Gibson Custom Shop Historic Collection
1958 Les Paul Standard Reissue Hand Selected VOS(2014年製)





       
<Photo :とんかつサンド> (2015年1月16日 内容更新)




【15年ぶりのヒストリック・レスポール購入】
この度、1999年製の1959レスポール・スタンダード・リイッシュー以来、実に15年ぶりにレスポールを購入した。
今回購入したのは、2014年製のGibson Custom Shop Historic Collection 1958 Les Paul Standard Reissue Hand Selected VOS。

実は、各部形状やパーツ類に大規模なリファインが行われた2009年モデル発売時にも物欲爆弾に火が付きそうになったのだが、当時は資金的に困難
な時期であったこともあり、手を出す事ができなかった。
それから年月は流れ、ヒストリック・コレクションのレスポール・リイシューモデルが発売されてから20年目となる2013年にも更なる仕様変更が行われた。

2009年モデルではヘッドやボディ各部の形状などの木工加工部分に主な変更が施されていたのに対し、2013年モデルでは各部の組み付け工法や構
成パーツ類がよりオリジナルヴィンテージに近い仕様への変更が行われた。
組み付け工法の変更については、ネックとボディの接着にはニカワが使用されていたり、トラスロッドにはヴィンテージと同様にチューブレスタイプが採用
されている。
また、テールピースのスタッドもヴィンテージと同様のロングスタッドに変更となっている。

ボディバックの塗装については、従来では「フィラー→カラーリング」という方法であったのに対し、2013年モデルからは、アニリンダイという染料パウダーと
フィラーを混合したもので着色し、その上からクリアーラッカーを吹き付けることで深みのあるチェリーレッドを再現させるような塗装法に変更されている。

また、ハンド・セレクト (Hand Selected)モデルの場合、各ディーラーの代表者がナッシュビルにあるカスタムショップの工場を訪問し、木材を1枚づつ実際に
手に取って吟味し、納得のいく材だけを選定していく。
ここで選定されるのは、トップのメイプル材とバックのマホガニー材、そして指板のローズ材がその対象となる。

そもそもカスタムショップの工場に保管されている木材は、ギブソン・カスタムショップのヒストリック・プロダクト・マネージャー、エドウィン・ウィルソン氏によって
厳選されたものだけが納入されており、その中から更に厳選されるというのだから、相当特別な木材が使用されているという事になる。

本来、1958モデルにはプレーンや、うっすらと杢が浮き出るグレードのトップ材が採用されるのだが、このハンド・セレクト・モデルの場合、下手な1959モデル
よりも見事な杢が浮き出たトップ材が採用されることも多く、1959モデルとの価格差を考えると、実にコストパフォーマンスに優れたモデルとなっている。

その他にも各部の仕様に細かい変更点はあるが、詳しくは大手ギブソンディーラーのショップページ等で紹介されているので、そちらを参照して欲しい。

これら数多くの仕様変更情報を目にした時点で僕の物欲爆弾は爆発寸前となり、いつの間にか暇を見てはネット上にて2013年製以降のレスポールをデジマ
ートでチェックすることが日課になっていた(苦笑)

それから更に1年が経過し、翌年の2014年がギブソン社創立から120周年にあたる年ということで、2013年のスペックに加え、指板のニカワ接着、120周年記
念メダリオンスイッチプレートが装着(通常の黒のスイッチプレートも付属)されたモデルとして発売された。

もはや限界である、、、、(汗)
そんな中、国内の某大手ヒストリック・コレクション・ディーラーにおいて、2014年末〜2015年の年末&年始セールを実施していたため、試しに以前から目を
つけていた2014年製の58モデルの現物を手にしてみたところ、ショップページにアップされていた詳細画像以上の素晴らしさに思わず堪えていたものが爆
発してしまったという訳だ(苦笑)









【簡単にレビューしてみる】
僕としては、ヒストリック・コレクションのリイッシューLPは1995年製〜2001年モデルあたりまでしか弾いた経験がなく、2002年製〜2012年製については触った
ことも無い。

その後、2013年製が発売された時に2013年製58LP(プレーントップ)を軽く弾かせてもらった程度だ。
それ以外では、本物のヴィンテージ・レスポールの1956年製と、新品同様のコンディションの1959年製レスポールを今から15年ほど前に、某ヴィンテージギター
ショップで弾かせてもらった経験があるのだが、この時の経験が後のリイッシューLPの出来具合を判断する上でとても良い貴重な経験になったと思っている。

さて、実際に購入した2014年製58LPの外観をじっくりと見てまず気が付いた点として、99年製ではボディトップのアーチが外周部から緩やかに盛り上がり、PU
キャビティ中間のセンタートップ部分も丸くラウンドする形状になっていた。
しかし、2014年製では外周部からPUキャビティ外面にかけて急激に盛り上がり、PUキャビティ中間のセンター部分については、ほぼ平坦なラインになっている。
これはヴィンテージLPにも見られた特徴で、この点については2009年のリファイン時に最新の技術によってオリジナルヴィンテージを精密にスキャニングして再
現されたというだけの事はあると感じた。

トップの杢については上にも書いたように、僕が購入したのはハンドセレクトモデルのため、58リイッシューでありながら、とても見事なフレイムが浮き出ている。
その素晴らしさは画像では伝わりにくく、実際にはホログラムを彷彿とさせるほど立体的なフレイムとなっており、「THE BEAUTY OF THE 'BURST」の115ページ
に掲載されている「9 2012」の'BURST VIEWの杢具合にそっくりだ。
もしくは同誌の111ページに掲載されている「9 1982」の'BURST VIEWにも似ているかも?
(ページ数については、同誌の出版バージョンによって多少前後しているかも?)

次に、フィンガーボードには色が濃い目の材が使用されており、昔のまるでカフェラテのような色の指板も多く見られた頃から比べると、より厳選されたローズ材が
採用されていることが理解できる。

その他のペグやジャックプレートやトグルスイッチ・リングナット、デルリンナット等、目に見える細かいパーツ類も、99年製とは比較にならないレベルでヴィンテージ
に近い外観や形状のパーツ類がふんだんに組み込まれており、僕的には交換の必要性が感じられる部品は特に見当たらない。

塗装については99年製とは明らかに異なっている。
99年製では、木材の表面のザラザラした凹凸がそのまま浮き出ていたほどの塗膜の薄さであったのに対し、2014年製では99年製よりも塗膜が厚くなっており、木
材の表面の凹凸は塗膜の中に完全に封じられている。
しかし、オリジナル・ヴィンテージの塗装面の拡大画像を確認してみると、どうやら木目の凹凸が浮き出るほどの薄さでもないようで、2014年製の方がオリジナルに
近い塗膜厚のようだ。
(僕が2000年頃にビンテージの情報をネットから入手していた頃に比べ、最近ではデジタルカメラやネット回線の進歩により、以前では考えられないほどリアルなヴ
ィンテージの画像資料が出回っていることに驚いた(笑))

また、僕が購入したのはVOS仕上げのため、各部の金属パーツは程良い感じに曇っており、落ち着いた雰囲気を演出するのに一役買っている。

ネックを握ってみると、太さそのものは99年製の1959モデルと大きな違いは感じられない。
以前の58モデルでは露骨にネックが太くなっていたらしいが、少なくともこの2014年製58モデルにおいては特に太いといった印象は無い。
しかし、99年製ではフィンガーボード両端部のバインディングのエッジ処理がピン角になっていたため、ネックを握った際にバインディング角部が指に当たることで痛
かったのだが、2014年製58モデルでは角部のエッジに丸みを付けるR付けがされており、99年製に比べて大幅に握りやすい。
以前、本物の59年製LPを弾かせてもらった時にもフィンガーボード両端部にはR仕上げ処理が施されており、その事が深く印象に残っていた。
だが、59年製のヴィンテージLPには、より丁寧なR付け処理が施されており、2014年製58モデルにおいても59年製の丁寧な仕上げには及ばない印象。

次に、アンプを通さずに生音で弾いてみると、ボディからヘッド先端にかけてのギター全体が一体となって鳴っている感覚を、ギターに触れている部分から正しく文字
通り肌で感じる事ができる。

さて、次にアンプに通してのサウンドチェックをしてみたところ、ここで99年製との大きな違いに驚かされた。
99年製の59LPには「57クラシック」というPUが搭載されており、僕的にはこのPUにも特に大きな不満など無くむしろ気に入っていた。
しかし、「カスタムバッカー(アルニコ3)」が搭載された2014年製58LPは、99年製LPよりも更に倍音が多く含まれた、分離感溢れるトーンになっていた。
何て言うんだろうか?良い意味でジャギジャギな枯れたトーンなのだ。
これがまた、いつまでも弾き続けたくなるほどの心地よいトーンで、これぞ正しく僕が求めていたLPサウンド!


【最後に】
1999年製モデルから、15年間分の改良が施された2014年製のヒストリック・レスポール。
その違いは想像以上のもので、ハッキリ言って全くの別物という印象。
勿論、エレキギターという一つの楽器としては99年製のレスポールも十分完成の域に達している究極のレスポールであることに違いはないし、僕が以前持っていたレ
ギュラーラインのレスポール・クラシックでも楽器としては十分なクオリティーだ。
しかし、ヴィンテージ・レスポールのレプリカとしてみた場合、99年製は2014年製の完成度には遠く及ばず、やはり15年という年数のアドバンテージは相当大きなもの
であった。
ギブソン・カスタムショップのヒストリック・プロダクト・マネージャー、エドウィン・ウィルソン氏によると、まだまだ細かい部分に取り組むべき課題があるとの事だが、僕と
しては現時点で十分に満足だ(笑)
(記:2015年1月7日)



↑キャパシタにはバンブルビータイプが純正状態で装着されている。
 また、ポッドもヴィンテージと同様に裏面が平坦なタイプが採用されている。



↑ギブソン創立120周年記念メダリオンスイッチプレートと、アニリン・ダイ処理による塗装が施されたボディバック



↑ペグには、半透明のペグボタンが採用されている。



↑フィンガーボードに使用されているローズ材も、濃い目の模様が良い感じ。








<↓2015年1月16日追加情報↓>
実は、今回の2014年製1958レス・ポールを購入直後、BlackstarというブランドのHT-1Rというオールチューブ・ギター・アンプを購入していた。(詳細は→こちら
これがレス・ポールとの相性がバッチリで、70年代〜90年代ハードロック大好きな僕としては、このHT-1から出力されるトーン(クリーントーン&ディストーション・トーン)
の全てが最高に心地好い。

店頭で試奏できるチャンスがあれば、是非とも試してみてほしい。
ちなみに僕の場合、全く買う気は無かったのに、初めて試奏した10分後には衝動買いしていた(苦笑)


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