FUJIFILM デジタル一眼レフカメラ FinePix S5pro その1




「桜撮影編」はこちら。

「写真撮影:とんかつサンド」


<S3proのリベンジなるか?>
僕は以前、同じFUJIFILMの先代機種であるFinePix S3proを所有していました。ところが
S3のページにも書いてあるとおり、僕にとっては不満に感じる部分が多かったために手放して
しまいました。中でも特に不満を感じていたのは、色の濃さが薄いモードか極端に濃いモー
ドしか選べないという点と、フィルムシミュレーションモードでは極端にシャープネスが緩
くなってしまうこと。これらをカバーするためにRAW撮影しようとすると極端にレスポンスが
落ちてしまう事でした。
その後、S3の後継機であるS5proが今から約1年前の2007年1月末に満を持して発売さ
れた。このS5はS3と違い、撮影時の画質調整に関する設定がかなり細かく調整できると言
う事で気にはなっていましたが、当初は22万〜25万円程度で販売されており、僕にとって
軽々と買える額ではなかった。それとニコンからD200とD2Xの後継機種の発表も控えて
いたためにこれらの様子を伺いたかったというのもあった。しかしD80以降のニコン機の発
色と露出傾向がどうにも馴染めず、またD300も例外ではなかった。そしてS5の発売から
1年弱が経った現在では美品中古の販売価格が13万円程度にまで下がり、なんとか射程
圏内に入ってきた。(もともとはD300用に貯めておいた資金だったのだが、、、。)

中野の某大型カメラ店に足を運ぶと数台のS5(中古)の在庫があり、中でもきれいなもの
を選んでチェックしてみた。ちなみにS5はセットアップメニューから総撮影枚数とシャッタ
ーユニットの交換回数が確認できる。するとそのカメラの総撮影枚数は1000枚程度と少
なく、バッテリー劣化度もゼロであった。
このカメラには「AB+」という札が付いているが、僕が細部をチェックした限りでは傷も見当
らず新品同様にしか見えない。強いて言えば、背面液晶の保護カバー(透明プラスチック製)
の表面に角度によって薄っすらと擦り傷が見える程度だろうか?お店的には「良上品」でも
僕的には十分「新同品」である。これが13万円程度で買えるならお買い得だと思う。
そして僕が持ち込んだニコンのD40レンズキットに3万円弱という驚きの査定額が提示さ
れたため、追い金10万円程度でS5proをゲットできた。(箱付き、主要付属品完備)

自宅に持ち帰り、とりあえず撮影メニューを確認すると確かに細かい設定が可能となっ
ている。その設定項目の多さは先代のS3とは比べ物にならないほどで、スタンダードモ
ードだけではなく、先代では一切の調整項目が無かったSTD以外のフィルムシミュレー
ションにも細かい調整項目が用意されている。またこれだけではなく、ホワイトバランス
においても「微調整」という項目があり、カメラが自動調整するオートモードにおいても青
色〜黄色、赤色〜シアンの2種の調整ができる。
で、実際に撮影した画像を見ると初期設定のままではS3と殆ど同じ印象かな?
スタンダードモードでは彩度が低めで、フジクロームモードでは極端に派手目。しかし
S5では細かい調整が可能となっているので結構楽に狙い通りの色を出す事ができた。
またS3の時に気になった照度差の大きな境目に発生する紫色の偽色も殆ど気にならない
レベルになっていた。
しかし僕のカメラだけでしょうか?日中の晴天下にオートホワイトバランスで撮影をする
とどうにも色合いが青っぽい。真っ白いはずの壁なども薄っすらと青みが掛かっている。
そこで先程も紹介したホワイトバランスの微調整が大きな効果を発揮する。「青〜黄」
の調整ポイントを黄側にマイナス1〜2ほど動かしてみたところ、僕にとっては見た目に近
い色合いに調整できた。ニコンのカメラではRAWで撮影し、CaputureNXの各項目を駆使し
てやっと出せる色味がS5ではJPEGモード一発で出せるのはやはり楽だし凄いと思う。
(画像の青みについては鑑賞するモニターの色温度設定の影響であり、実際には初期
値がベストであった事が後日になり判明した。)

高感度に関してはカタログに「ISO3200などの高感度撮影時でもノイズの極めて少ないク
リアな画像を実現。」とあるけれど、それはちょっと言い過ぎかな?でも確かにISO1600
は常用に耐えるレベルだと思います。ニコンのD40と同レベルくらいでしょうか?
ダイナミックレンジの設定に関しては「オート」が最も自然で良いと感じました。逆光気味
に撮影をしてもD2Hのようなピーキーな白とびではなく、アナログチックで自然なとび方を
します。

カメラ本体がF80からD200になっている点も大きな改良ポイントで、AF、シャッター、液晶
等を含む全てにおいて大幅にブラッシュアップされている。なかでも特に嬉しかったのはフ
ラッシュまわりの機能がD200と同等になった事により、ニコン製スピードライトSB-800の性
能がフルに発揮できるようになった事。(S3ではD-TTL調光で、同調SSも1/180秒以上に
は設定できなかった。)

以上、まだ少ししか使っていないので詳しいレビューは出来ませんが、第一印象としては
先代の不満点を様々な点で上手に解消し、実にバランスの良いカメラになっていると感じ
ました。とりあえず高速連写が必要な時にはニコンのD2H、それ以外にはS5proというふ
うに使い分けていきたいと思います。
(記:2007年12月31日)




↓下の写真(上から6画像)はS5proのJPEGモードそのままで、リサイズ以外はノーレタッチです。





↑空と雲の階調表現が素晴らしいと思います。






↑これがD2Hなら、前頭部〜鼻先の直射日光が当たっている部分は白とびするはずです。


↑ニコンでは赤くなっているこの三角部分は無塗装仕上げです

<購入後、数日使ってみて気が付いた事>
お正月休みの間、色々と撮影してみて何点か気が付いた事がありました。まず、人物を撮
影した時の肌色の再現力(表現力?)はさすがFUJIFILMという印象で、JPEGモードのまま
で十分満足な結果が得られます。JPEGモード画質に関しては耐白とび性、階調性、ホワイ
トバランス、色合いの全てに関して不満が無く、僕にとっては(今のところ)RAW撮影の必要
性を感じません。

ライビビューについては完全に三脚固定での使用が前提ですね。コンパクトデジカメのよう
に背面液晶に写し出された映像を見たままシャッターを切る事は出来ません。S5における
ライブビューの使い方は、背面液晶に写し出された画像をモニター上でクローズアップさせて
任意の位置にマニュアルでピントを合わせる。その後ライブビューを解除させて普通にシャッ
ターを切るという手順になります。

メニュー操作に関しては、D200ユーザーの一部からは扱いにくいという声を聞きますが、僕
にとってはむしろS5の方が直感的で分かりやすかったですね。まあ、慣れの問題だと思いま
す。

バッテリーの減り方についてはD200と同じくらいの感覚で、最近の機種の傾向から比べ
ると減りが早い方ですが、それでも300〜400枚程度は撮影できそうなので、ちょっとしたス
ナップ撮影や日帰り旅行程度の撮影ならば問題は無いと思います。
(連続撮影ですと800枚くらい撮影できるとの情報もあります。)

背面液晶の色再現性もかなり正確で、PCモニターで観るのとほぼ同じ色味&明るさで表示さ
れます。ですから、試し撮りをした後に背面液晶に写し出された画像を元に撮影時の画質設定
を行ったとしても、実際のイメージと大きく異なるといった失敗は無さそうです。

次に少々気になった点として、何枚か続けて連写した後のCFカード書き込み中は一切のメニ
ュー&再生操作ができなくなります。この現象に最初は少々戸惑いましたが、その時間は微
々たるものなので慣れれば気にならなくなりました。でも撮影時間が限られる時などはイラつ
きを感じる事になるかもしれません。

以上、今のところは特に致命的な不満点も見当たらず、概ね満足しています。D2Hの時には
被写体への光りの当たり方を考えながら撮影しなくてはいけない部分もありましたが、S5で
は特に気にせずとも満足のいく結果が得られます。何よりも撮影後のRAW現像作業から開
放される事のメリットは大きいですね。
また気が付いた事があれば随時書き足していきたいと思います。
(追記:2008年1月7日)


<諸悪の根源はモニターの色温度設定にあり??>
 実はその後の検証で判った事なのですが、青被りを軽減させる目的であった「B-Ye」値をYe側へマイナス
させる調整において、プリントした結果では結局「0」が最も自然であったこと。これにはPCモニターの色設定
のからくりが影響していた。キャリブレーションされていない一般的なPCモニターの場合、テレビ画面の高い
色温度に合わせて9300K近辺に設定されている場合が多い。そのため、本来は真っ白な部分も若干青っぽ
く、物によっては青っぽさとマゼンタっぽさが強調されたような色合いになっている。逆に言うと、キャリブレー
ションされたモニターを初めて見た場合、慣れるまではウインドウズの白い部分が黄色っぽく感じられる。つま
り、キャリブレーションされていないモニター上で丁度良いと思ってプリントすると、実際には黄色っぽくプリント
されてしまうという訳です。しかし一般的にはキャリブレーションされていない9300K付近の色温度に設定され
たモニターで画像を鑑賞する人が殆どなので、プリント時本来の色設定に調整した画像をアップすると、事情
を知らない人が見たら違和感を感じてしまう事になってしまう。一般的モニター観賞用とプリント用とを別けて
アップする必要がある??(笑)
つまり結論として、僕がS5proのデフォルト画像を青っぽいと感じていた原因は、使っているモニターの色温度
設定が高めに設定されていた事によるもので、カメラは全くおかしくなかったという事なのでした。。。orz
そのため、上記の写真については、キャリブレーションされたモニターで鑑賞すると若干黄ばんで見えてしまう
はずです。(次ページの写真が本来の色味になります。)
(追記:2008年2月10日)


<購入から3ヶ月が過ぎて・・・>
あれから3ヶ月の間、モニター調整やらいろいろと紆余曲折の末に辿り着いた最終的なベストセ
ッティングは下記のとおりとなった。
ちなみにホワイトバランス微調整は全て工場出荷時のままです。

・晴天下での人物スナップ撮影→F1b(カラー+2、ホワイトバランスオート)
・曇天下での人物スナップ撮影→F1c(カラー+2、ホワイトバランスオート)

そして春という事で桜を撮影してきました。
(追記:2008年3月29日)

桜の撮影は次のページへどうぞ。


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