エスプレッソマシン クイック・ミル / アンドレア・プレミアム

QUICK MILL / Andreja Premium




<Photo :とんかつサンド>       (2018年2月4日内容更新)     


【ホームバリスタ達の憧れ、E61セミコマーシャルマシンを買うぞ!】
僕は2011年10月にランチリオ・シルビアを購入し、それから約半年間ほぼ毎日のように使い続けてきた。
このシルビア、普及価格帯の家庭用マシンとは一線を画す本体性能と使用感に対し、今でも使う度に大きな感動と悦びを感じている。
しかし、そうなると次にはセミコマーシャルマシンの存在が気になってしまうというのが人情というもの(?)。
ということで、実は今年(2012年)の2月あたりから密かにセミコマーシャル機の購入計画を企てていたのだ。


【セミコマーシャルマシンとは】
セミコマーシャルマシンとは、マシン本体こそコンパクトでありながら、大型の据置型業務用マシンに使用されているものと同じグレードのパーツを主
要各部に使用し、短時間内に効率良く抽出とスチーミングの連続作業を可能とする為の内部構造を採用することにより、大型の据置型業務用マシン
に準ずる本体性能と耐久性を備えたマシンのこと。
そのため、業務用機としては小規模店舗や移動店舗などに使用され、また家庭用機としてもお洒落なオフィスやマニアックなホームバリスタ達に愛
用されている。

一口にセミコマーシャルマシンとは言っても、メーカーやグレード、価格などは様々であり、予算や使用頻度、電源環境や拘り度(?)などに応じて機種
を選ぶ事ができる。
ところが面白い事に、このクラスのマシンには、正面から見るとまるで昔懐かしいロボットの顔のような作りになっている機種を多く見かける。
これは、1961年にイタリアのFAEMA社が開発した業務機用のグループヘッド(抽出ユニット部のこと)「E61」をセンターに搭載し、その両サイドにスチ
ームワンドとホットウォーターワンドを配置していることによる。
まるで、センターに配置されたE61グループヘッドが鼻に、両サイドのスチーム&ホットウォーターノブが目のように見えるのだ(笑)
また、このクラスのマシンの場合、製造メーカーは異なっていても、マシンの中に使用されている主要部品は各社共通のものが使われている事が多い。
これは、上にも書いたE61グループヘッドがその代表でもあるが、抽出ポンプやスチーム&ホットウォーターバルブユニット、各種制御系パーツなどに
も、定番的な製品が使用されている。
これはまるで、異なるPCメーカーが揃って同じブランドのCPUやグラフィックチップを採用して1台の完成品にして販売しているパソコンの世界と似てい
るかもしれない(苦笑)

このクラスには大きく別けてシングルボイラー機とダブルボイラー機とに別れるのだが、シングルボイラー機の殆どがヒート・エクスチェンジャーを内蔵し
ており、ダブルボイラー機と同じようにエスプレッソの抽出とスチーミングの同時作業が可能となっている。
ヒート・エクスチェンジャー(Heat Exchanger)とは熱交換器の事で、略してHXとも呼ばれる。
HXの仕組みについては以下のとおり。
マシン本体に設置されているボイラーそのものはスチーム用とホットウォーター(給湯)用として、ボイラー内部の温度と圧力は固定設定される。
では抽出に使うお湯の加熱は?ということになるが、上記のボイラーの中をパイプが貫通しており、そのパイプの中に水を通す事による熱交換作用に
より、抽出用のお湯を加熱する仕組みだ。

また、E61グループヘッドにはとてもユニークな機能がある。
エスプレッソマシン本体にメイン電源が入ったままポンプを停止させている(ヒートアップ中orスタンバイ中)状態にある場合、そのままではボイラー内に
あるHX内部(熱交換器内部)に留まっている水だけが極端に加熱される事になってしまう。
ところが、E61グループヘッドにはお湯の入り口と出口があり、これがそのままHX部の入り口と出口に繋がっている。
そしてHX部で加熱されたお湯はHX上部の出口からパイプを通じてE61グループヘッドの内部へ入り、グループヘッド内を循環した後に出口からパイプを
通じてHX部の入り口へと対流して戻る仕組みとなっている。
これは2つ穴式のお風呂の浴槽と同じ原理で、ポンプを使わずとも温度差による自然循環で対流が発生する。
これによってグループヘッドを一定の温度に保つのと、HX内部のお湯だけが著しく加熱されるのを防ぐ仕組みだ。
(それでも排出一発目の湯温はかなりの高温になってしまうのだが、この件については後で説明をする。)

上記の機能以外では、抽出時にいきなり高い圧力をフィルターバスケットにかけずに、徐々に圧力を高めていく事により、よりベストな状態で抽出を行
なうための工夫もされているようだ。(プリ・インフュージョン機能)



↑画像中心にある鼻みたいな形のものがE61グループヘッド。


【セミコマ機を家庭用として使う場合のベストバイとは】
さて、市場には実に様々なモデルのセミコマーシャル機が存在する中、果たしてどの製品を買うのが僕にとってベストなのだろうか?
このクラスで最も有名なマシンの一つとしては、Rocket社(or:ECM社)のGiotto(ジオット)シリーズがまず頭に浮かぶ。
このRocket社(or:ECM)Giottoとは、いわゆる上にも書いたような、最もよく見るマシンスタイルの大ヒットメーカーであり、世界中での評価も高い。

しかし、今となっては同価格帯において他のライバルメーカーの方がGiottoシリーズよりも優れたパーツやスペックを備えている事が多く、これら後手メー
カーに比べ、このRocket社の製品は価格の割りに若干見劣りしてしまう点が有るのも否めない。
ところがそれ以前に、僕としてはどうしても引っかかるマイナスポイントがこのRocket社の製品には存在する。
それはRocket社の製品全てに鉄製のベースフレームを採用している点だ。
勿論、その表面には防錆塗装が施されており、普通に使用する分には錆びは発生しないと思われるが、それでもRocket社製品を画像検索してみると、
ところどころにフレームに錆が発生している画像が見受けられる点が気になった。
ということで、コストパフォーマンス面と鉄製フレーム仕様の2点から、Rocket社の製品は僕の購入候補からは除外された。
(ちなみにランチリオ・シルビアも鉄製フレームを採用しているが、こちらは価格的にも仕方が無いレベル。)

次に、同じく有名なところではISOMAC社の「Tea」や「Millenium」の存在がある。
しかし、前回のランチリオ・シルビアのページでも書いたように、僕はこのISOMAC社の品質管理体制に若干の不安を抱いている。
事実、TEA購入者のレビューを見ると、ヴィーナスの時と同様に付属品の欠品や本体パーツの組み付けミスなどのトラブルを経験した方が何人かいるよう
だ。
ということで、ISOMAC社製品も候補から除外。

また、ダブルボイラー機の場合は基本的に本体価格が高価である事と、要求アンペアの関係上、電力関係の条件が厳しいのでNG。
本体価格的に2000ドル以下に収まるダブルボイラー機の場合、スチームボイラーの容量がシングルボイラー&HX機に比べて極端に小さくなったり、ヒー
ター能力が低かったりすることがあり、これではちょっと頼りない。
大容量のスチームボイラーとハイパワーヒーターを搭載したマシンの場合は概ね2,500ドルを軽くオーバーしてしまい、今の僕には予算的に無理。

 その他では、給水タンクの上蓋が本体の天板を兼ねた1枚板構造になっている場合、給水タンクを出し入れする度に、あるいは本体にタンクを収めたまま
水を継ぎ足す場合、天板上に乗せたカップやショットグラスなどを一旦全て移動さなくてはいけなくなる。
そのような面倒な手間を避ける為にはタンク上部のフタだけが独立した構造になっていることが望ましいのだが、実はこのポイントを条件に加えると、
結構多くのマシンが候補から除外されてしまうのだ(苦笑)

しかし、これら上記の諸問題を全てクリアし、さらにコーヒー機器を専門とする海外版の「価格.com」ともいえる「coffeegeek.com」にて、ダントツのレビュ
ー数(=ユーザー数)を誇る、人気のマシンがある。
それが、今回僕が購入したQUICK MILL(クイック・ミル)というメーカーの Andreja Premium(アンドレア・プレミアム)というモデルだ。

(↓参考までに、2012年4月28日現在の「coffeegeek.com」による、E61搭載セミコマ機レビュー数ベスト5)

1位:QuickMill Andreja (73レビュー)
2位:Izzo Alex Duetto II (34レビュー)
2位:QuickMill Vetrano (34レビュー)
4位:ECM Giotto (27レビュー)
5位:Isomac Millenium (26レビュー)


【QUICK MILLってメーカーを知ってるかい?】
このQUICK MILLとは、イタリアのミラノにあるコーヒー機器メーカー。
日本国内では正式な販売ルートが無いことからあまり知られていないが、世界的には評判の良いメーカーのようだ。

そして僕が今回選んだAndreja Premiumとは、QUICK MILL社と米国にある大手コーヒー機器販売会社のスタッフらにより、ジオットーをはじめとする既存
の人気モデル達のメリットやデメリットを徹底的に分析し、ベストなセミコマーシャル機を目指して共同開発されたマシンである。
そのため、採用されているパーツについては性能面だけではなく、使い勝手や耐久性、信頼性などにも拘って選定されている。
例えばスチームワンドやホットウォーターワンドにはアンチ・バーン(火傷防止処理)が施されたものが採用されており、スチーミング中に素手でスチーム
ワンドを握っても、熱で火傷をしないように配慮されているとのこと。

また、メインスイッチが3ウェイ式になっており、センター位置が完全なOFF。
そして右側に倒すとメインONとなり、ボイラー内の水量が足りなければ給水され、ボイラーが冷えていればヒーターが加熱する。
ここまではごく普通であるが、Andreja Premiumではスイッチを左側に倒すことで、ヒーターをOFFにしたままボイラーへ水を給水することができる。
これは本機購入後の初回使用時とか、長期間の保管の際にボイラー内の水を抜いた後に再度使い始める場合など、ボイラー内に水が無い状態のまま
ヒーターを空焚きすることにより、ヒーターを傷めてしまうのを防ぐためのものだ。


↑3方向式メインスイッチ。
 向かって左側「I」がヒーターOFFの給水モード、右側の「II」が通常のメイン電源ONモード。


ちなみにAndreja Premiumのファーストモデルは2004年にリリースされ、その後2011年に更なる改良を施されたものが現行モデルとして販売されている。
本機は海外の多数のショップから販売されているが、USドル圏内での販売価格は肩を揃えたかのように1,795ドルに設定されている。

とりあえず、基本的なスペックは下記のとおり。

・業務用「E61」グループヘッド
・銅製シングルボイラー(容量:1.6L) & 1400Wヒーター
・ヒート・エクスチェンジャー(熱交換器:HX)内蔵(抽出とスチーミングの同時作業OK)
・イタリアULKA社製52W電磁ポンプ
・本体サイズは(幅)28.5 x(高さ) 41 x (奥行き)44,5(cm)、本体重量20kg
・フロントパネルには抽出圧力メーターとスチームボイラー圧力メーターを装備
・給水タンク容量=3L(水量警告アラーム機能付き)
・本体はベースフレーム、ボディパネル共、全ての材質にフードグレード・ステンレス・スチール(SUS#304)を使用。
・4穴スチームノズルチップ
・イージー・アクセス・抽出圧調節ボリュームを天板上に装備。
・スチーム・ボイラー圧調整可
・プレミアム・クオリティ・業務用グレードのスチーム&ホット・ウォーターバルブ
・アンチバーン(火傷防止)・スチームワンド&ホットウォーターワンド
・大容量1.3Lドリップトレイ


【個人輸入により、高級セミコマーシャルマシンも身近なものに?】
ということで、約2ヶ月以上にも及ぶ徹底的なリサーチを重ねた結果、僕はこのQUICK MILL Andreja Premiumを選んだという訳だ。
購入先は、以前にランチリオ・シルビアやMAZZER MINIを購入した時と同じ、米国内のコーヒー機器ショップ。
購入価格は送料込みで2,000ドル程度であった。(荷受時の支払いは地方消費税他、計3,800円)
仮に、このAndreja Premiumが日本国内の某輸入エスプレッソマシン・ショップで販売されていれば、おそらく30万〜40万円程度の販売価格になってしま
うだろう(苦笑)
(ちなみにショップによる2年間の保証は個人輸入においても有効で、故障した場合は新品パーツを無償で送付してくれる。)


ちなみにQUICK MILLには数種類のセミコマ機が存在するが、このAndreja Premiumの下位グレードモデルに「Anita」(アニータ)というモデルがある。
こちらはエスプレッソ抽出とスチーミングの両性能に関する基本的な仕様はAndreja Premiumと全く共通でありながら、一部の使用パーツの省略やグレー
ドを下げたり、サイドパネルを簡素なステンレス単板にするなどの違いにより、Andreja Premiumの販売価格よりも200ドル程度安い価格設定となっている。
エスプレッソマシンとしての実用上は殆ど(全く?)同じという事で、Andreja PremiumよりもこちらのAnitaをチョイスする方も多い。
事実、僕も随分と悩んだのだが、「迷った時には上のグレードを買っておけ!」の家訓(?)に従い、Andreja Premiumを選択した(苦笑)


【Andreja Premiumが我が家にやってきた!!】
早速届いた大きな段ボール箱を開けると、まず意外ともいえる本体の大きさに驚かされる(驚!)
そして箱から本体を取り出すのだが、これがはっきり言って激重で、腕力には自信がある僕ですら、作業後に背中と腰を痛めてしまった(苦笑)
従って、箱から本体を取り出す際には必ず二人で作業を行った方が良いだろう。

ということで、なんとかマシンの設置が完了。
ダンボールから取り出されたAndreja Premiumは想像以上に美しく、もはやエスプレッソを作るための機器であるというよりも、まるでひとつの美しいオブジ
ェのようだ。
それでいて、準業務用としての迫力も半端無い。

ちなみに付属品は下記のとおり。

・ダブルショット用ポルタフィルター&バスケット
・シングルショット用ポルタフィルター&バスケット
・簡易タンパー&スプーン
・バックフラッシュ・ディスク
・グループヘッド用クリーニングブラシ
・水質硬度試験紙×2本

尚、ユーザーマニュアルは購入店からEメールを通じてPDFにて送付された。
全頁カラーで構成されており、各調整機能やチェック方法、使用方法など、かなり詳細に記述されているもので、ネット上にも同じPDFファイルが出回っ
ている。(勿論、全て英語であるが、、、。)

また、ポルタフィルターについてはランチリオ・シルビア純正品がそのまま使用可能だ。



↑手前の箱がエスプレッソマシンの箱で、奥の箱が輸送用の梱包箱。



↑ようこそ我が家へ!
 しかしこの後、背中と腰を痛めることに(苦笑)



↑箱から取り出されたばかりのAndreja Premium。



↑天板は奥の部分がヒンジによって開閉可能。



↑フタを開けた状態。



↑付属品一式。



↑上がスチーム圧力計で、下が抽出圧力計。



↑コンセントは日本と同じ「A型」のアースピン付きタイプ。







【Andreja Premiumは中身も凄い】
次にアウターパネルを外してマシン本体の中身を見てみよう。
このクラスのマシンはメンテナンス性も考えられているので、外装の着脱も比較的簡単だ。
しかし、外装を外して僕の目に飛び込んできたのは、とても美しく組み付けられた内部とそれに使用されている豪華なパーツ達であった。
各配管類を接合している「ろう付け」もキレイに処理され、ボイラーにはしっかりと断熱材が巻き付けられている。
また、配管に使用されているニップルやユニオンなども真鍮製パーツは勿論、ステンレス製のパーツも多く使用されている。

本体の大部分を占めるHX内蔵銅製ボイラーは想像以上に大きく、まるで建設業の人達に愛用されている保温機能付きのランチボックスのようだ(苦笑)
背面側から見てボイラー右上にぶら下がっているベイブレードみたいな物体がボイラー内のスチーム圧を制御しているプレッシャースタットで、上面の
マイナスねじを調整することによりスチーム(ボイラー)圧を調節することができる。
ちなみにこのプレッシャースタットは「スチーミングの強さを制御する」というものではなく、ボイラー内の圧力を管理・制御することで、ヒーターのON/OF
Fを制御して水温調節をするのが本来の役目であり、一般的な家庭用マシンでいうところのサーモスタットの役割になる。
(まあ、これが間接的にスチーミングの強さにも影響する事にもなるのだが、、、。)
したがって、本機にはサーモスタットは装備されていないのだ。

反対側の左上にある、金色のオートマのシフトノブみたいなパーツが、抽出圧を調整するためのエクスパンション・バルブと呼ばれるものだ。



↑本体内部を背面側から見たところ。
 大きさ比較用として、タマゴを置いてみた(笑)



↑ボイラー右上にぶら下がっているのがプレッシャースタット。


【Andreja Premiumのスタートアップ手順について】
さて、外装を元に戻していよいよスタートアップ作業に入る。

まずはここで水の硬度テストを行うのだが、我が家の水道環境は硬度試験紙が全く反応しないレベルなので、テストをやるだけ無駄だとは思いながらも
一応やってみる。
銀色の袋の中には2本の試験紙が入っており、袋の外側に色見本が貼り付けてある。
実際に使う水をコップに注ぎ、試験紙を水に1秒程度浸す。
次にコップから試験紙を抜き取り、水平にしたまま15〜20秒間程度じっと待つ。
そして色見本と見比べて、水の硬度を判定する。
この時の結果が3グレイン(50ppm)以下であれば問題は無く、それを越える場合は軟水化フィルターなどを使用した方が良いとマニュアルには書かれて
いる。
ちなみに我が家の場合は、いつものごとく無反応であった(苦笑)

次に、給水タンクをはじめ、ポルタフィルターなどをしっかりと洗った後、タンクに水を満たしてマシン本体にセットする。
そしてスチームノブ、ホットウォーターノブ、ブリュー(抽出)レバーがしっかりと閉じているのを確認し、メイン電源がOFFなのを確かめた上でコンセントを
接続する。

そして給水ホースがしっかりとタンク内に沈んでいるのを確認してからメインスイッチを向かって左側の「I」へ倒す。
すると、ポンプが作動してボイラー内への給水が始まる。(ヒーターは作動しない。)
この給水時のポンプ音は「ケタタタタタ・・・」といった感じで少々大きめ。
鉄筋コンクリート壁による仕切りではなく、石膏ボードのみの仕切り壁構造のアパートの場合、壁際に本機を設置して深夜にこの作業を行ったとしたら
隣人から「壁ドン」されるかもしれない(苦笑)

マニュアルによると、ボイラーが完全な空状態の場合、給水時間はおよそ60秒から90秒程度で満水になり、自動的にポンプが停止すると書いてある。
僕の場合はピッタリ90秒で停止した。
そして、そのまま5分間待ってくれとマニュアル書いてあるので、一応待ってみる。(これに何か意味があるのか??)
そしておおよそ5分後に、今度はポルタフィルターをグループヘッドに装着し、ブリューレバーを持ち上げてポルタフィルターから水が排出されるまでポン
プを作動させ、しばらく水が出たところでレバーを下ろしてポンプを停止させる。

ちなみにここまでの作業はボイラー内が完全に空の状態からのスタートアップ時のみで、次回からはいきなり下記作業から開始でOK。

では、今度はメイン電源スイッチを先ほどとは逆の「II」へ倒す。
すると赤いランプが点灯してヒーターが作動し、ボイラーが過熱され始める。

マニュアルによると、15分以内にヒーターが停止しなければ、何らかの異常の可能性があると書かれているが、120Vの昇圧トランスを使用している我が
家の場合は12分10秒でヒーターが停止した。(赤ランプが消灯)
しかし、この状態でエスプレッソ抽出が開始できるのではなく、クレマたっぷりの美味しいエスプレッソをお望みであるならば、ここから最低でも15分〜3
0分(はじめのヒートアップ時間を含めると約30〜45分)はポルタフィルターを装着したまま暖機させておけと書かれている。
(本当の理想は1時間以上だそうだ。)

さて、およそ40分が経過した時点で、一応、念のためにポンプ圧とスチーム圧をマニュアルに従ってチェックする。(この作業はお好みで、、、。)
ということで、まずは抽出圧のチェックから。

ポルタフィルターにバックフラッシュディスクを組み付けて、グループヘッドにセットするのだが、しばらく放置されたままの湯温は高温になっているため
約20〜30秒程度、グループヘッドからお湯を排出させる。(これをクーリング・フラッシュという)
そしてポルタフィルターをセットしブリューレバーを持ち上げて抽出を開始する。
するとポンプが唸りを上げ、圧力計の針が上がっていく。
ちなみに抽出作業時のポンプ音は給水時よりも静かめだ。
この時に9.5〜10barを指していれば正常で、これよりも高かったり低かったりした場合は、先に説明をした、抽出圧を調整するためのエクスパンション・
バルブのネジを回して調節をする。
ちなみに9.5〜10barという値はあくまでもバックフラッシュディスクを使用した場合のもので、実際にエスプレッソを抽出する際にはそれよりも若干低下
する。(僕のは当然ながら適正値であった。)
また、この適正値というのはあくまでも基準値であり、豆やグラインダーの設定やタンピング圧などとの組み合わせによって加減調整させることも可能。
これにより、エスプレッソの仕上がりに幅広いバリエーションを持たせることができる。


↑右手前に見える金色のマイナスネジが、抽出圧を調整するエキスパンション・バルブ。


続いてスチーム圧のチェックをする。
最初に一旦スチームを排出させ、スチーム圧力計の針が下がっていくのを確認し、やがてヒーターが作動し始めたらスチームを停止させる。
すると、スチーム圧力計の針がグングンと上昇していき、やがて一定の数値を指したところで停止する。
この時の数値が1.2〜1.3barあたりが適正値で、1.5bar以上は本体破損の危険性があるので注意の事と書かれている。
(こちらもやはり適正値であった。)

ちなみにこれらのチェック&調整作業はアウターケースを外さなくとも、上に乗せてあるだけの天板を外す事で作業は可能だ。

以上をもって、マシン・インストールに関する全てのスタートアップ作業は完了。
これでやっとエスプレッソショット(抽出)作業に入ることができる。


【Andreja Premiumによる記念すべきファーストショット!】
ポルタフィルターを外してコーヒー粉を詰めてタンピングをする。
この際のMAZZER MINIのメッシュサイズセッティングはシルビアと全く同じ設定で、粉量は16〜17ク゛ラム程度。

で、ここからが問題なのだが、HX機の場合、このままいきなりポルタフィルターを装着してショット(抽出)を開始してはいけない。
上にも書いたように、暖機させたままの状態では抽出用の湯温が高すぎて、そのままショットを開始してしまうと焦げ臭いエスプレッソになってしまうか
らだ。

マニュアルによると、まずはポルタフィルターをセットしていない状態でブリューレバーを持ち上げてシャワーヘッドからお湯を排出させる。
すると、はじめの内は「ブシュブシュ!」といった、いかにも高温の沸騰したお湯が排出される。
そしてそのまましばらく(おおよそ20〜30秒くらい)お湯を出し続けていくと、やがて排出音が穏やかになってくる。
(しつこいようだが、これをクーリング・フラッシュという)

この状態になったのを確認した上でポルタフィルターをセットして抽出を開始する。
これで無事にハチミツのようなとろ〜りとしたエスプレッソが抽出される。
時間も25〜30秒程度で30ccバッチリだ。
抽出を停止させるためにブリューレバーを押し下げた瞬間、3方向バルブから勢い良く「ブシュッ!」と、お湯が排出される。
ということで、抽出に関しては使い始めのファーストショットから何とか上手くいった。





そしてポルタフィルターを外し、グループヘッド内を軽く洗浄した後、引き続きミルク・スチーミングの準備に入る。(別にスチーミングが最初でも良いけ
れど、、、。)
勿論、Andreja PremiumはHX機なので、スチーム用にボイラーの追い炊きといった作業は必要無く、そのままスチーミングを始める事ができる。
がしかし!ここはやはり、いわゆる「サーモスタット騙し」を行った方が断然、ドライ&ハイパワーなスチームを得る事ができるようだ。
(本機にサーモスタットは存在しないので、正確にはプレッシャースタット騙し?)

海外のAndreja Premiumの紹介動画を見ると、1〜2秒程度の空ぶかしを行うだけで、いきなりミルクスチーミングを開始している。
しかし、シルビアの時と同様に、この状態ではヒーターは休止している状態のため、徐々にスチームパワーが低下してしまう。
(それでも普及機クラスよりは格段に強いのだが、、、。)

ということで、僕のお勧めスチーミング手順は下記になる。

?ヒーターが休止している状態でスチームノブを開き、そのまま10〜20秒程度空ぶかしする。(圧力計の針が下がり、ヒーターが作動する)
?スチームノブを閉じ、圧力計が設定ピーク値に達するまで待つ。 (時間にして約10〜20秒くらい)
?圧力計の針が設定値に達した直後、ヒーターが作動しているうちに5〜10秒程度の空ぶかしを行い、ミルクスチーミングを開始する。

以上の手順となり、「サーモ騙し」とは言っても、3分程度の時間を要していたランチリオ・シルビアのものに比べ、とても短時間で簡単なものだ。
これにより、家庭用機では有り得ないほどのハイパワー&ドライなスチーミングが可能となる。
ただし、人によってこの方法ではパワーが強すぎると感じられる場合には、ヒーターが休止した状態からのスチーミングでも良いかもしれない。
(※スチームに関しては修正・補足情報がありますので、後述の2012年7月14日追加情報を参照願います。)

また、空ぶかし時には熱湯を含んだスチームを文字通り四方へ勢いよく排出するため、何らかの受け容器を用意した方が良いだろう。
僕の場合は、500cc程度の広口ステンレス水筒の中にスチームワンドを挿し込んで空ぶかしを行っている。 


↑スチームワンド先端には4穴チップを採用。
 1.6Lボイラーから出力されるハイパワー&ドライなスチームは、正しくセミコマーシャルマシンならではのもの。


ここで特に感動したのがスチームノブのレスポンス性と剛性感に優れた感触で、まるで高級な水栓のノブを回しているかのようにカッチリとしてお
り、芯ブレや、たわみ感などはこれっぽっちも感じられない。
スチームの排出・停止も、ノブを閉じた状態から手首だけの捻りによって180°程度の角度範囲で瞬時に開閉を繰り返す事により、「シュパッ!シ
ュパッ!」といったスチームアクションが可能だ。
僕的には、この部分に最もセミコマーシャル機っぽさを感じたかもしれない(苦笑)

4穴スチームチップについては少々の慣れが必要で、これまで一つ穴しか経験の無い僕には不思議な感覚であった。
また、本機のウリのひとつでもある「アンチバーン(火傷防止)・スチームワンド&ホットウォーターワンド」であるが、どうやらステンレスパイプの上か
ら更にもう一段のステンレスパイプを重ねている構造のようだ。
で、実際の効果の程については、、、はっきり言って微妙(苦笑)
というのも、ステンレスは熱伝導率の低さから熱の伝わり方が遅いため、スチーム開始後のしばらくはパイプ外周に熱が伝わってはこないのだが
やがて30秒も経過すると、しっかりと熱くなってくる。
しかし、熱が伝わりにくいということは、一旦熱くなってしまったら逆に冷めにくいとうことでもあり、上にも書いたようなプレッシャースタット騙し作業
中に熱々になってしまうのだ。
ということで、結果的に僕はスチームワンドに火傷防止用の摘みクリップを取り付けたのであった(苦笑)
(2012年5月27日追記→アンチバーンの件は、どうやら先端に近いほど熱く、付け根に近い方がそれ程熱くならない事を発見した。)


↑結局、スチームワンドには火傷防止用にクリップを装着した(苦笑)


また、容量1.3リットルのドリップトレイは使っていて大きな安心感があり、結構大胆にお湯を排出させたとしても、ドリップトレイが簡単に満水になる
ことは無い。


↑ドリップトレイの容量は1.3リットル。


次に気がついた点として、暖機された本体は結構あちこちが熱くなっているので注意したい。
特に最も前面側に露出しているグループヘッド周りは循環機能によって常に100℃近い温度になっているので、大人は勿論、誤って子供が触った
りしないように注意する事が大切だ。
その為、絶対に本機を小さな子供の手の届く場所に設置してはいけない。
また、意外なところではメインスイッチのレバーが結構熱くなっているので、スイッチを操作する際には十分に気をつけて欲しい。


【エスプレッソ抽出用湯温管理の必須アイテムについて】
もう一つ、HX機特有の癖でもある、抽出用の湯温管理についてであるが、一発目のショット(抽出)ならば、基本的には上にも書いたようにクーリン
グ・フラッシュを行えば大きな失敗は無い。
ところが立て続けに2回目3回目とショットを繰り返す場合は適正な抽出温度を確かめる術が無い。

そこで、より精度の高い湯温管理を行うための便利なアイテムが米国内のショップからリリースされている。
それが「デジタル・サーモメーター & アダプター for E61グループヘッド」(Digital Thermometer & Adapter for Exposed E-61 Groupheads)だ。
これはE61グループヘッド正面の鼻筋部分(?)にある六角穴付きボルト部に装着するもので、これにより、グループヘッド内を流れる湯温がそれ
こそ手に取るようにリアルタイムに確認することができる。(摂氏(℃)と華氏(°F)の両温度単位に対応)
価格は、温度計と取り付けアダプターのセットで97ドルとなっている。
実は温度計自体はe-Bayから送料込みで1,000円程度で購入出来るのだが、取り付けアダプター単体を購入する術が無いため、上記価格で購入
せざるを得ない。
しかし、このアイテムは一箇所のショップだけが販売しているわけではなく、その他のショップでも取り扱われており、僕の場合はAndreja Premiumを
購入したショップから同時に購入をしたため、上記価格よりもいくらか安く購入する事ができた。

取り付けに関しては、特にマシン側を改造したり特別な手を加える必要は無い。
基本的には元の六角穴付きボルトを外した穴に装着するだけで、僕の場合、取り付けに掛かった作業時間としては10分と掛かっていない。
但し、工具としては12mmのスパナorメガネと、11mmのスパナ(メガネは不可)を用意する必要がある。

ということで、温度計取り付けの手順を下記にまとめてみた。

?デジタル温度計に、アダプターの構成パーツ全て(アダプターボディ、ナイロン製フェルール×2種、六角ナットキャップ)をマニュアルに記されている
 順番&方向で仮組みし、ナットキャップとアダプターボディを指の力で回らなくなる程度にまで軽く締め付ける。(メーカー出荷時状態)
 この時、温度計センサーの先端が、アダプターボディのM6ネジ先端から3/8インチ(9.5mm)くらいの長さが突き出るように調節する。

?後工程でナットキャップ側からセンサー先端の突き出し量(9.5mm)を決められるように、ナットキャップ根元のセンサー軸にマジック等で位置決め
 用のマーキングをしておく。

?アダプターボディとナットキャップを一旦分解する。
 (ナットキャップ側には温度計本体とナイロン製フェルール×2種が組みつけられている状態でも構わない。)

?E61グループヘッドに穴栓用として固定されている六角ボルトを慎重に外し、ボルトとグループヘッド間に挟まっている樹脂パッキンも取り外し、紛
 失しないように保管しておく。

?ネジ穴をきれいにして、キットに付属されている銅製パッキン1枚をネジ穴底面にセットし、アダプターボディ単体をネジ穴に指の力でやさしくねじ込
 む。(この際、シールテープを使用する事は避けて下さいとマニュアルに記載されているので注意のこと。)

?アダプターボディがネジ穴に底突きし、指の力では回らなくなった状態から12mmのスパナかメガネを使って1/8回転(45度)アダプターボディを締め
 こむ。

?アダプターボディに温度計本体とナイロン製フェルール×2種、ナットキャップを(マニュアルに記されている順番&方向と間違いの無いように)軽く組
 み付け、温度計センサーの挿し込み深さを?でマーキングした位置に合わせる。

?ナットキャップを指の力でねじ込み、回らなくなった位置から3/4回転(270度)11mmのスパナか小型のモンキーレンチ等でナットキャップを締めこみ、
 温度計本体のディスプレイの傾きを指で回して修正して組み付け作業は完了。

?エスプレッソマシンに電源を入れて通常使用する温度にまで暖機させ、バックフラッシュによって10秒間程度加圧してアダプター周りに水漏れが無い
 かをチェックする。
 もしも漏れがあった場合、それがグループヘッド付け根であればアダプターボディを、ナットキャップ側であればナットキャップを慎重に増し締めする。
 また、正常に温度計が動作しているかについてもチェックする。

以上が組み付け手順となる。


で、実際に使ってみると、リアルタイムに正確な湯温を把握できる事は、便利であるのと同時に大きな安心感に繋がると実感した。
実際、この温度計を使う事で判明したことがある。

ボイラー内の水温が室温程度の状態からスタートアップさせた場合、上にも書いたようにおおよそ12〜13分程度でヒーターが停止し、代わりに緑色の
レディランプが点灯してにスタンバイOK状態になる。
という事は、外見からは一応、この時点で内部の湯温が90℃程度に温まったのか?と思ってしまう。
しかし、温度計によると、この時点でのエスプレッソ抽出用の湯温は70〜80℃程度にしか達していない。
それもそのはずで、ヒーターが停止したのは、あくまでもスチームボイラー内の圧力が設定値の1.2〜1.4barに達したからであり、その状態からHX内部
の抽出用の水が加熱されるまでにはタイムラグがあるからだ。
実際にグループヘッド内の湯温が90℃を越えたのは、ヒーターが停止した状態から更に5〜8分程度経過してからであった。
つまり、正常にエスプレッソを抽出するためには、どんなに急ぎであっても最低20分程度は待たなければいけないことになる。
(そもそも、セミコマ機はそのような使い方をするものではないので、、、。)

また、好みによって抽出時の湯温を微妙に高めに(あるいは低めに?)設定したいという場合にも、この温度計は便利だ。
ある程度の暖機をさせた状態では、抽出用の湯温は100℃〜105℃程度にまで加熱されている。
ここからクーリングフラッシュによって湯温を下げていくのだが、温度計を確認しながら下げていく事で、まるでPID機のように(?)ある程度狙った湯温
での抽出が可能になる。
つまり、このデジタル・サーモメーターによる抽出湯温管理と、上にある抽出圧調整機能を駆使する事により、実に幅広いバリエーションのエスプレッソ
を作り出すことが可能となるのだ。

ということで、これはAndreja Premiumだけに限らず、E61グループヘッド&HX機には必須アイテムと言って良いだろう。



↑「Digital Thermometer & Adapter for Exposed E-61 Groupheads」のセット一式。



↑デジタル温度計をグループヘッドに装着した状態。
ちなみに奥に見えるのは、左上がメインスイッチ。
 その下の緑色のランプはパワーインジケーターで、メインスイッチが「I」もしくは「II」状態にある時に常時点灯する。
 右上の赤色のランプはヒーターランプで、ヒーター作動中に点灯する。
 そして右下の緑色のランプがレディランプで、ヒーターがOFF状態の時に点灯する。(←これって必要か?)



↑装着に関しては特に難しい点は無い。


【最後に】
2011年10月にランチリオ・シルビアを購入した時には、それまで使ってきた普及価格帯のエスプレッソマシンとは一線を画す本体性能と使用感に対
して驚嘆したが、やはり実戦投入を考慮して作りこまれているセミコマーシャルマシンの操作感は更に別次元のものであった。

では、実際に作られるエスプレッソやカフェラテそのものにおいて、シルビアと大きな差があるのか?というと、普通に使う限りではそれほどの大きな差はない。
むしろ、完成したエスプレッソおよびカフェラテそのものに関して、シルビアはかなり完成されたマシンであることが再認識できた。
しかし、上にも書いたようにグループヘッドに温度計を設置する事で微妙な湯温調節が可能になり、これによる味のバリエーションに変化を付ける事ができる点ではAndrejaに軍配が上がる。

また、スチームと抽出を同時に操作できる、あるいは待ち時間無しで次の作業に移ることができるメリットはとても大きなもので、実際に一杯のカフ
ェラテを作るのに必要な作業時間(暖機時間は除く)については、シルビアに比べて4〜5分間は短縮されている。(スチーミング前のヒーター騙し準備
時間を含む)

そして、スチーム圧力計と抽出圧力計が装備されているのが想像以上に便利で、スチーミング開始のタイミングや抽出圧がピンポイントで把握できる
ことのメリットはかなりのものであった。
特に上記の各部調節機能とデジタルサーモメーターを併用することで、実にバリエーション豊かなエスプレッソを抽出する事ができる。
これと同じことを家庭用機で実現させる事は大変困難であり、PID化や圧力計の増設など、大幅な改造が必要とされるだろう。

また、作業性以外においても、セミコマーシャル機であることの存在感と所有する事の満足感はプライスレスだ(爆)
となると、シルビアは早速お払い箱になるのか?と言うと、そうではなく、今のところは併用を考えている。
というのも、そもそもセミコマーシャル機は電源を入れっぱなしにしておく使い方が前提であるため、起動に最低でも20〜30分の時間を必要とする。
そのため、急ぎの朝や急にエスプレッソを作りたいとなった場合には、やはりシルビアが必要とされる。
Andreja Premiumは休日や夜間など、比較的、時間に余裕がある時に活躍する事になりそうだ。
という事で、このQUICK MILLのAndreja Premiumが僕にとってベストな選択であったことは、どうやら間違いなさそうである。

以上、まずはファーストインプレッションとなるが、今後も引き続き気がついた点や使用感についてレポートしていきたい。
(記:2012年4月28日)


【昇圧トランスの必要性について】(2012年5月3日追記)
今回、僕が入手したAndreja Premiumは米国仕様のため、電源は110-120V仕様のものだ。
という事は、日本国内で使う場合は若干電圧が足りないことになる。
機器本来の性能をフルに発揮させるためには昇圧トランスを使用するのがベストであるが、果たして昇圧トランスを使用した場合と使用せずに100V環
境のまま使用した場合とでは一体どれ程の差が発生するのであろうか?

ちなみにランチリオ・シルビアによる検証では、立上げ時の時間に2分程度の差は出るものの、抽出とスチーミング作業においては大した差はないとい
うものであった。
ということで、Andreja Premiumを100V環境で使用してみた。

朝9時頃に本機を使用した後、電源を切って夕方の17時頃まで放置された状況から100V環境で立上げてみた。
この時点では、まだほんのりとボイラー内に余熱が残っていた様子で、グループヘッドに設置された温度計によると内部の抽出用の湯温は27℃。
給水タンク内の水温は24度であった。
ちなみに同じような状況において、120V昇圧環境の場合はおおよそ10分ちょっとでヒーターが停止していた。
それに対し、100V環境では13分10秒でヒーターが停止し、120V環境に対して2〜3分程度の加熱の遅れが確認できた。
(完全なコールドスタート(21℃)では14分58秒(120V時:12分10秒))
しかし、これはボイラー内の圧力を1.2〜1.3barにまで押し上げるのに必要な時間であり、一旦設定圧に達してしまえば、あとのHX内部の水やグループ
ヘッド周りを温めるのはボイラー内に溜められた熱湯の役目であり、電圧低下の影響を受けるヒーターの能力差はあまり関係が無くなる。
つまり、ヒーターが消えてから実際に抽出可能になる最低限の時間に関しては、120V環境と変わらず5〜8分程度でOKとなる。

さらに120V時と同じようにトータル時間で40分程度の暖機を実施しておくことで抽出用の湯温は100〜105℃に達し、その状態から抽出を行う際の手順
や操作性は120V時と同じであり、100V環境であることによる性能低下は一切感じられない。
バックフラッシュディスクによる抽出圧チェックに関しては若干の低下が見られるが(9.5bar→9.3bar)ここは調整可能なので問題は無い。
電源オンからの立上げ時には2〜3分程度の時間差はあったものの、本機の場合は(より美味しいエスプレッソにするために)そこから更に10〜20分の
放置時間を必要とするので、ここでの2〜3分という時間差は殆ど無いに等しいものだ(苦笑)
ということで、抽出に関しては電圧低下による性能差は無いと言って良いだろう。

では次にスチーム性能について。
スチームボイラーの圧力はプレッシャースタットにより監視・制御されているので、常にボイラー内の圧力は1.2〜1.3barに保たれている。
そこから10秒程度の空ぶかしを行う事で一旦スチーム圧は下がり、ヒーターが作動して圧はまた元に戻ろうとする。
しかし、ボイラー容量に対して元々のヒーター能力に余裕があるのかどうかは不明だが、戻りの時間も120V時と差は感じられず、結果的にスチームも
120V時と全く変わらぬハイパワーっぷりを見せてくれる。
ということで、スチーム性能に関しても、全く性能低下は感じられなかった。

以上の検証結果から、このAndreja Premiumを家庭用機として使用するにあたり、昇圧トランスは必要か?という疑問に対する僕の結論は、、、。
「既に昇圧トランス持っているならば使った方が良い。しかし、今はまだ持っていない方が本機のためだけに買う必要は無い。」という感じ。

今回の結果は僕にとっても意外であったのだが、これは本機がセミコマーシャル機という性質上、連続的にエスプレッソ抽出とスチームの使用が必要
とされることを想定し、ボイラー容量とヒーターパワーに余裕を持たせたものになっている可能性があるということがひとつ。
そして、HX機の場合はヒーターが直接的に抽出用の湯温やスチーム力に影響を与えているというよりも、全ては1.2〜1.3barに保たれた1.6リットルもの
大容量ボイラーに蓄積されたエネルギーによるところが大きいということがひとつ。
上記ふたつの理由により、電圧低下による性能差が殆ど(いや、全く)感じられなかったのだろうと思われる。

但し、今回の検証はあくまでも本機を家庭用機として使用した場合の結果であり、実際に業務用として何杯も連続的に抽出&スチームの使用が求め
られるような環境の場合には、昇圧トランスが必要となる可能性はある。


(注意!:2013年末あたりから、Andreja Premiumに採用されているウルカ社製ポンプの仕様に変更があり、100V環境では
 正常にポンプが作動しない症状が確認されています。詳細については2014年6月2日の追記を参照願います。)



【消費電力と電気代について】(2012年5月5日追記)
セミコマーシャルマシンを入手したいと考えている方にとってやはり気になるのは、ハイパワーなヒーターによる消費電力と、それに絡む電気料金ではな
いだろうか?

ちなみに、このAndreja Premiumの仕様上での最大消費電力はメーカーサイトによると1500Wとなっているが、これは220V仕様の数値であり、110V仕様
の場合は1400Wとなる。
ということは、このAndreja Premiumの場合はヒーターだけではなく、その他のポンプや電装系の合計で1400Wということであるから、多くのショップが提示
している「1400Wヒーター採用」という事では辻褄が合わず、ちょっと疑問(苦笑)

ということで、ちょっと話がそれてしまったが、リアルタイムに消費電力と電気料金を調べる事ができるワットモニターを購入したので、Andreja Premiumを
使用した場合の消費電力と電気代について調べてみた。
接続は「(100V)コンセント」→「ワットモニター」→「120V昇圧トランス」→「Andreja Premium」の順。
尚、電気代の計算は「21円/1kWh」にて設定。

マシンと給水タンク内の水、共に室温程度(20℃)からメインスイッチをONにして、ヒーターを作動させる。
すると、ワットモニターの数値は一気に上昇し、1152Wを表示したままボイラーを過熱し続ける。
電源ONから11分26秒後にヒーターがOFFとなり、赤ランプが消滅する。
この時点での積算電気料金は4.41円。
ヒーターOFFでのスタンバイ状態時の消費電力は5.0〜5.2W程度。
このまま引き続き暖機を実施、そしてメイン電源ONから40分後にエスプレッソ(ダブル)抽出とミルクスチーミングを行い、そのままグループヘッドやスチ
ームワンドの洗浄も実施。
全ての作業が終えたのはメイン電源ONから45分後で、この時点での積算電気料金は8.20円。
ということは、この時点で電源を落としてしまうのであれば、一回のエスプレッソ(カフェラテ等)を作るのに必要な電気代は約8円前後となり、1日に一回
程度のカフェラテやカプチーノを作った直後に電源を切るような使い方を1ヶ月間続けた場合の電気代は約250円程度ということになる。

そして検証はそのまま続行し、次は電源を入れたままのスタンバイ状態を1時間継続させた場合の電気代も調べる事にした。
スタンバイ中のAndreja Premiumは5.0〜5.2W程度の消費電力を保ちながら、約1分40秒くらいに一度、約5〜8秒間程度ヒーターをONにしてボイラー圧
を1.3barあたりに押し上げてはまたスタンバイに入る動作を繰り返している。
そしてメイン電源ONから1時間45分後(抽出作業終了時から1時間後)の積算電気代は10.93円であった。
ということは、1時間のスタンバイ状態を維持するのに掛かった電気代は「10.93円−8.20円=2.73円」となり、スタンバイ料は約2.73円/時間となる。
仮に夕方の6時頃から電源を入れ、そのまま夜の11頃まで電源を入れっぱなしにしておくという、ワイルドだぜぇ〜?な使い方をしたとしても、掛かる電気
代は1日あたり約22円程度という事になり、その生活を一ヶ月間続けたとしても、電気代の合計は700円程度だ。

以上の検証結果から、想像していたよりもあまり電気代が掛からずにちょっと驚いたというのが率直な印象。
それと同時に、このAndreja Premiumに積まれているヒーターって、本当は1200Wなんじゃないの?という気もする(苦笑)
(注意:算出された電気料金はあくまでも目安であり、実際の金額とは異なります。)



↑今回入手したワットモニター。


【メンテナンスについて】(2012年5月12日追記)

(毎日のお手入れについて)
・固く絞ったタオルなどでボディやスチームワンドなどに付着したお湯や汚れを拭き取る。
・ステンレスボディーのミラー仕上げ面は、乾いた柔らかいタオルなどで乾拭きすることでピカピカになる。
・シャワーヘッドやグループヘッド内部に付着したコーヒー粉をブラシや濡れ布巾などで拭き取る。
・ドリップトレイに溜まったお湯を捨てる。
・ポルタフィルターとフィルターバスケットに付着したコーヒー粉をお湯で洗い落とす。

(週に一度のお手入れについて:バックフラッシュ洗浄)
?、ポルタフィルターにバックフラッシュディスクをセットし、グループヘッドにセットする。
?、ブリューレバーを上げて抽出を開始し、抽出圧計の針が上昇してから10秒間待ってブリューレバーを降ろして抽出を停止させる。
  (グループヘッド下側の3方向バルブから勢い良くお湯が排出される。)
?、?を3〜5回繰り返す。

(月に一度、もしくは 35〜50ショットに一度のお手入れについて:洗剤を使ったバックフラッシュ洗浄)
?、エスプレッソマシン・クリーナーの粉末を3ク゛ラム用意し、ポルタフィルターにセットされたバックフラッシュディスクの上に洗剤を乗せてグループヘッドに
  セットする。
?、ブリューレバーを上げて抽出を開始し、抽出圧計の針が上昇してから10秒間待ってブリューレバーを降ろして抽出を停止させる。
  (グループヘッド下の3方向バルブから勢い良くお湯が排出される。)
?、10秒間待ち、また?を実行する。(2回目あたりから、洗剤による泡と共に茶色の汚れたお湯が排出される。)
?、?を3〜5回繰り返す。
?、一旦ポルタフィルターをグループヘッドから外し、グループヘッドからお湯を排出させながらバックフラッシュディスク上面を洗い流す。
?、またポルタフィルターをグループヘッドにセットし、グループヘッド下側の3方向バルブから排出されるお湯がキレイになるまで?の作業を繰り返す。
  (ただし、抽出動作の待ち時間と繰り返し時の待ち時間はそれぞれ5秒程度でOK。)

上記の洗剤については僕の場合、「URNEX」(アーネックス)というメーカーの「Full Circle」(フル・サークル)というエスプレッソマシン・クリーナーを使用
してみた。(海外で評判が良いみたいなので、、、。)
これは使用されている成分の全てが天然成分によって構成されている。
(例えば、重曹や海藻由来の炭酸ナトリウム、ダイエット食品に使用されているグルコン酸ナトリウムやトウモロコシを原料とするクエン酸など。)
しかし、その洗浄能力は驚くべきものがある。

僕の場合、本機を使い始めてから2週間程度しか経っていないのだが、実を言うと僕は毎回の使用ごとに洗剤を使わないバックフラッシュを1回実施し
ていた。
なぜならば、E61グループヘッドのマシンの場合、これまで使用してきた家庭用機の3方向バルブ付きマシン(シルビアなど)に比べ、抽出を停止させた
瞬間のグループヘッド内のお湯の排出量がとても多く、いかにもフィルターバスケット内の余分なコーヒー粉を大量に吸い上げている様子が感じられ
たからだ。

しかし、この時に排出されるお湯はキレイなものであったのだが、上記手順によって洗剤を使用したバックフラッシュを実行してみたところ、2回目くらい
から茶色の汚れたお湯が排出され、その意外ともいえる汚れっぷりに驚かされた。
E61グループヘッドの3方向バルブ、、、、、恐るべし(苦笑)

(注意!:洗剤を使用するバックフラッシュ洗浄の実施頻度については、あまり頻繁に行い過ぎても内部を必要以上に脱脂してしまう可能性があるので
      注意の事。)


ちなみに、マシン内部のディスケーリング(石灰除去)に関しては、クイックミル(メーカー)としては基本的に実施を推奨していない。
というのも、ディスケーリングによって内部の石灰を除去する事によるメリットよりも、何らかのトラブルを引き起こすリスクの方が高いからと言う事らしい。
特に軟水を使用している場合はディスケーリングは不要とまで言い切っている。

しかし、僕のように硬度試験紙が反応しないような軟水であったとしても、HX機を使い続けていく上で注意しなくてはいけない事がある。
HX機の場合、コーヒー抽出に使われる水は常に入れ替わっており、当然ながら軟水は軟水として給水タンクからマシン内部を経てグループヘッドから排
出される。
ところが、スチームボイラー内の水に関しては、ホットウォーターとして外部へ排出しない限りはボイラー内の水が本当の意味で入れ替わる事は無い。
ここで危険なのは、スチームボイラー内の水をあくまでもスチーミング用として使い続けた場合、煮沸した水道水の水蒸気の部分だけを外部に排出し続け
る事になるという点だ。
この場合、水道水に含まれる様々な残留物(カルシウムやマグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウムどの塩類や有機物)はボイラー内部に残したまま、水
蒸気として外部へ排出されて減った分だけ新たに水道水が注ぎ足されることにより、結果的にボイラー内の水に含まれる蒸発残留物の濃度が高くなってし
まうのだ。
これを防ぐためには、意識的にホットウォーターを外部へ排出させてボイラー内の水を入れ替えていくように心がけていく方が良いだろう。
(注意!:ホットウォーターワンドからお湯を排出する場合、ヒーターを作動させたまま一度に180cc以上のお湯を排出させますと、最悪の場合ヒーターが焼き
      切れる事がありますので注意してください。
      一度に大量の排水を行いたい場合はスイッチモードをセンター位置のメインOFFモードにするか、「I」のヒーターOFFモードに設定し、ボイラー内の圧
      力によって排出される分だけの量に止めておいて下さい。→ボイラー内への給水が停止したのを確認後、電源を切るか、スイッチを「II」に戻すかの
      操作を行って下さい。)




↑Urnex社のエスプレッソクリーナー「Full Circle」(内容量:500g)
 まだ日本では正式に販売されていないが、近日中にArnexによる直販ネットショップが日本国内に開店するらしい。
 ちなみに価格は14.95ト゛ルで、今回は個人輸入にて購入した。



↑一回の使用量は3グラムでOK。


【SILVIAちゃん、さようなら・・・】(2012年5月15日追記)
当初懸念していた、Andreja Premiumの立上げに必要な30〜40分という時間は思っていた以上にあっという間で、この2週間という期間においては消費
電力の検証時以外、一度もシルビアを使用することが無かった。
ということで、ファーストインプレッション中の締めの言葉の中には「シルビアは併用を考えている・・・」と言っておきながら、その舌の根も乾かないうちに
新たなご主人様の元へ旅立っていったのであった(汗)。


【使い始めて1ヶ月が経過した】(2012年5月26日追記)
Andreja Premiumを使い始めてから1ヶ月が経過したので、この期間で気がついたことを書いてみる。

(抽出の安定度について)
デロンギのBAR14Nやシルビアの場合、メッシュサイズやタンピングの強さのバラつきに対して結構シビアな影響を受けるのだが、特にBAR14Nではそ
れが顕著で、シルビアの場合はBAR14Nよりもいくらは安定している。
しかし、Andreja Premiumの安定っぷりには、これらの機種とは圧倒的な差が感じられる。

これは、アップダウンの多い高速道路を軽自動車(BAR14N)と2リッター車(SILVIA←クルマじゃないよ)と4.5リッター車(Andreja)らによって80km/h定速
走行をするようなものかもしれない。
平らな道では3車の全てが安定して80km/hを維持出来ていたとしても、上り坂では排気量が小さいほどシビアなアクセル調整が必要とされるのと同じ
で、いずれも同じ「9気圧、90℃で抽出」しているはずが、実際の安定度は「Andreja>>>(越えられない壁)>>>SILVIA>>>(越えられない壁)>>>BAR14N」
といった印象。
この点に関してはボイラーのサイズが異なるという事もあるが、Andrejaでは抽出圧と抽出湯温がモニタリング出来る事(湯温に関してはデジタルサーモ
メーターを装着した場合)により、他の2機種よりも安定的な条件で抽出が行える事も大きいのかもしれない。

一方で別の見方をすると、条件がバッチリと決まっている状態のSILVIAとBAR14Nから抽出されたエスプレッソの場合、Andrejaとは価格ほどの違いは無
いとも言える(苦笑)

また、グループヘッドの差が出ているものと思われる事として、ダブルショット時の左右の抽出量のバラつきに関して、Andrejaでは殆どバラつきが無い点
は流石は名器「E61」だけのことはあると感じた。


(スチームワンドとホットウォーターワンドの位置について)
ところで皆さんは水栓(蛇口)のノブを操作する場合、左右どちらの手を使うのだろうか?
僕は右利きで水栓ノブも右手で操作をするのだが、実は家庭用エスプレッソマシンの多くはマシンを正面から見て右側にスチームワンドが付いている事
が多いので、ミルクスチーミングを行う際には右手にピッチャーを持ち、左手でスチームノブを操作するかたちになる。(←僕の場合)
これが僕にとってはなかなか馴染む事ができず、いつもスチーミングを行う度に「やりにくいなぁ〜」と感じていたのだが、Andreja Premiumでは左側にス
チームワンド&ノブが付いているので、実に違和感の無い操作を行う事が可能となった。


(その他気がついたこと)
その他では、あまり効果の感じられないと書いたアンチバーン・スチームワンド&ホットウォーターワンドであるが、ホットウォーターの方はそれなりに効果
を感じる事ができた。
確かにそれなりに熱くはなるのだが、アンチバーン処理のされていないホットウォーターワンド先端のシャワーヘッド(?)部分の半端無い熱さと比較する
と、かなり軽減はされているようだ。
同じくスチームワンド側も本当の熱さはこんなものではないのかもしれない(苦笑)
(2012年5月27日追記→アンチバーンの件は、どうやら先端に近いほど熱く、付け根に近い方がそれ程熱くならない事を発見した。)


最後に、これまでの家庭用マシンではあまり効果を感じる事ができなかった本体天板上のカップウォーマーであるが、このAndrejaでは結構しっかりとカッ
プを温めることができる。
これまでの家庭用機でカップを逆さまに置いた場合、30〜50分ほど放置したとしてもカップが温まるのは呑口の縁から数センチくらいの部分までであり、
カップの底面まで温まる事は無かった。
ところがAndrejaでは同じく30〜50分ほど放置することで、カップの底面を含む全体がしっかりと温まっているのだ。

という事で、今後も引き続き気がついた点などを追記していきたい。


【スチームに関する修正・補足について】(2012年7月14日追記)
2012年4月28日執筆のファーストインプレッションの中でスチーミングを使用する際の手順について述べているが、ここで情報を修正捕捉しておきたい。

ファーストインプレの中では、サーモ騙しを実施せずにそのままスチーミングを始めると、「ヒーターは休止している状態のため、徐々にスチームパワーが低
下してしまう。」と書いた。
しかし、正確にはヒーターが休止している事そのものは特に大きな問題ではない。

このAndreja Premiumはサーモスタットによる水温制御ではなく、プレッシャースタットによる圧力制御であることは既に述べたとおりだが、ボイラー内の圧力
が設定の上限圧に達すればヒーターは休止し、設定の下限圧まで下がればヒーターが作動する。
つまり、同じようにヒーターが休止している状態であっても、ボイラー圧が高い状態と低い状態があるという事になり、下限圧に近い状態から水抜きを行い、
更に圧が下がってしまった状態からそのままスチーミングを開始するとパワーの無いスチームになってしまうということなのだ。

僕が使う場合においては、何もしていないスタンバイ状態ではボイラー圧が1bar以下になっている事が多いため、水抜きとヒーターを再始動させるために10
秒程度の空ぶかしを行い、ボイラー内の圧を設定上限まで引き上げるのだ。(2回目の空ぶかしは、更にスチームを安定させるための予備的作業)

ここで一点、情報の修正をしたいのだが、1回目の空ぶかし後と2回目の空ぶかし後にスチーム圧が上限に達する際、ヒーターが休止しないように注意と書い
たのだが、圧力が上限に達した状態であれば、ヒーターが休止してもスチーミングを開始すればすぐにヒーターが再始動するため、特に問題は無く、むしろヒ
ーターが停止した直後くらいの方が更なるパワースチームを得られるようだ。


(2013年3月2日追記)
この度、新たにリーサル・ウェポンを導入した。
詳細は→こちら。


【Andreja Premiumさん、10ヶ月間ありがとう・・・】(2013年3月8日追記)
新品購入から10ヶ月間使用してきたAndreja Premiumであるが、GS/3の導入に伴い、先日ついに新しいご主人の元へ旅立っていった。
E61マシン独特の工芸品的な美しさとエスプレッソマシンらしい本体という点でいえば、むしろGS/3よりも上を行っていると僕は感じている。
出来る事であれば手元に残しておきたかったのだが、さすがに2台のマシンを置いておけるだけのスペース的な余裕は無く、また、いつ使われるのか分から
ないような状態で保管されるよりも、本当に必要としている方の元へ行った方がAndrejaも幸せであろうという結論に達し、本当に大切にして頂けそうな方のと
ころへお届けさせて頂いた。

勿論、Andreja Premiumに不満があって手放す訳ではなく、普通に家庭用として使用する分には充分すぎる働きをしてくれるマシンであり、家庭用としてこれ以
上を望むことは、もはやマシンヲタ的な領域に足を踏み入れる行為だと思う。
事実、僕自身に限って言えば、最終的には単純に「ラマゾッコを自宅で使ってみたかった・・・」というミーハーな思いが発端となったグレードアップであり、Andre
ja Premiumそのものには大変満足していたという事についてはご理解して頂きたい。


【抽出ポンプの動作不良と昇圧について】(2014年6月2日追記)
2012年5月3日の追記にて、本機では100Vから115Vに昇圧させずとも正常に動作すると書かれている。
実際、私が所有していたAndreja Premiumを含め、その後に数人の方々が購入されたAndreja Premiumにおいても問題無く動作していた。

しかし2013年末あたりから、開梱直後の動作確認時において、抽出圧が5〜6barから上がらないというトラブルが数人の方々に生じていた。
その後、ショップ店長にも問い合わせを行い、調査してみた結果、2013年末あたりからウルカ社製ポンプの仕様が変更になったか、あるいはロットによるものか
は不明だが、とにかく電圧が100V環境ではポンプが正常に作動しない場合があると言う事が判明した。
そのため、この春あたりからAndreja Premiumに関するお問い合わせを頂いた方々に対し、ポンプを正常に作動させるために昇圧トランスが別途必要になる場合
がある旨を説明させて頂いていた。(昇圧トランスの価格は1万円前後〜)

特に今年に入ってからは、Andreja Premiumを購入された方のほぼ全員にこの症状が見られた。
(いずれの方々も、その後に昇圧トランスを導入される事によりポンプは正常に作動している。)
はたしてこれが一時的なものであるのか、或いは恒久的なものであるかについては今のところ不明だ。
この件について、その後また何か変化が見られた時点でこの場で報告していきたい。


【抽出ポンプの動作不良と昇圧について:その後】(2017年2月2日追記)
その後、2014年の夏以降からはまたトランス無しでも安定動作する方々の報告が増え、2015年以降ではポンプ動作に異常が発生したという報告は受けていない。

ということで、最近では、まずはトランス無しで使用して頂き、その状態で抽出圧が上がらない場合には昇圧トランスを購入という方向でアドバイスをさせて頂いている。


【Andreja Premiumがモデルンチェンジ】(2018年2月4日追記)
Andreja Premiumが新たにモデルンチェンジし、「Andreja Premium EVO」として生まれ変わった。

主な変更点は以下の通り。

・ドリップトレイのロゴ変更
・新デザインのポルタフィルター
・プレッシャー・スタットの耐久性向上
・スチーム&ホット・ウォーターバルブの耐久性を更にアップ
・圧力計に照明機能をプラス
・電磁ポンプの静寂性を向上



Youtubeの動画を確認する限りでは、抽出時のポンプ音が大幅に静かになっている印象を受けた。


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