ギターの指板材のメンテにお勧め 「蜜蝋ワックス」







(注:当ページにて紹介しているメンテ方法及び製品に関するレビューはあくまでも私が個人的に効果を感じられたものであり、その感じ方には個人差がある
   ことをご理解願います。
   また、当ページにて紹介された情報または、製品を利用することにより生じたいかなるトラブル・損失・損害に対して、当方は一切責任を負いません。)





【真冬の乾燥からローズ指板を守ろう!】
エレキギターというものは基本的に塗装が施されているが、レスポール・スタンダード等が指板材として採用しているローズ材には塗装が施されておら
ず、無垢の木材が裸のまま剥きだしの状態になっている。

無塗装状態の指板材は外気の影響をもろに受けやすく、真冬の空気が乾燥する季節は特に注意が必要だ。
指板の乾燥が進むと材に縮みが発生したり、最悪の場合は指板に割れが生じる場合もあるとのこと。(僕自身は割れてしまった経験は無いのだが。)
まあ、指板が割れてしまうというのはかなり極端な事例だとは思うが、何よりも乾燥しきった指板は見た目に美しくないし、弾き心地も良くない。

そこで、ローズ指板のメンテ方法としては、レモンオイル等を定期的に塗る様にあちらこちらで書かれている。
勿論、これはこれで良いのだが、レモンオイルは揮発性が高いので、真冬の乾燥しきった場合などは、数日ですぐに乾いた状態に戻ってしまう。
だからといって、そう度々レモンオイルを塗るのもちょっと気が引けてしまう、、、。

そこで、超お勧めなのが、蜜蝋(みつろう)ワックスだ。
蜜蝋ワックスとは、ミツバチが巣を作る時に体内から分泌するロウと、荏胡麻(えごま)から抽出した荏の油(えのあぶら)を調合させて作られたワックスの事。
「蜜蝋ワックス」または「蜜蝋クリーム」といったキーワードでググれば様々な製品がヒットし、実に多くの会社が製造販売している事が解る。
実は蜜蝋と荏の油さえ入手できれば自分で簡単に作ることも可能だ。

もともとはフローリングなどの内装材や木製家具等に使用されている木材の防水、防汚、保護が本来の目的なのだが、「材を保護する」というだけではなく
程良い自然で上質な艶を出しながら、木目のコントラストを高めてハッキリと目立たせることにより、木材本来のもつ美しさをも引き立てる効果もある。

他の物に例えるならば、自動車ボディ用のワックスの最高峰が「カルナバ蝋・固形ワックス」とするならば、さしずめ蜜蝋ワックスは木材用の最高級ワックス
と言えるだろう。
数日で揮発してしまい、乾燥した艶の無い指板に戻ってしまうレモンオイルとは異なり、上質な艶としっとり感が長期間持続するので、指板用のワックスとして
も適している。

僕の場合、レモンオイルの代わりにハワードのオレンジオイルを指板に塗布し、乾いた布でオレンジオイルをしっかりと拭き取った後、その上から蜜蝋ワックス
を塗布し、再度空拭きをして仕上げている。

この蜜蝋ワックスにはクルマ用の固形ワックスの様なバター程度の固さのものと、クリーム状のものが販売されている。
僕はたまたま近所のホームセンターに売っていた「小川耕太郎∞百合子社」という会社の「未晒し蜜ロウワックス(Aタイプ)」を購入し、使用している。
これはクルマ用の固形ワックスと同じような固さで、僕がクルマ用に愛用しているシュアラスターのカルナバ蝋・固形ワックス「ブラックレーベル」と似た感じだ。
価格は製品の違いやサイズにもよるが、僕が使っているのは100mlサイズで税込1,300円。

ちなみに使い方も自動車のワックスがけと全く同じで、スポンジに蜜蝋ワックス少量を取り、指板面に薄く塗り伸ばした後、乾いた布で拭き取るだけ。
実によく伸びるので、耳かき1〜2杯分程度の量があれば、レスポール1本分の指板全体に塗る事ができるだろう。

その仕上がり具合も実に絶妙で、安物の木材用艶出し剤にありがちな下品で白々しい艶ではなく、腕の良い大工さんによってカンナを掛けられた後に発生す
る木材本来の艶のように、ごく自然な仕上がりになる。
逆に言えば、リッケンバッカーの塗装が施された指板の様な、艶々テカテカな仕上がりをお望みであれば、この蜜蝋ワックスでは満足できないだろう。
しかし、ビンテージ・レスポールのリイッシューモデルとしてのポジションである、ギブソン・ヒストリック・コレクションのレスポール用としてならば、僕としては最高
の指板メンテ剤だと感じている。

ただ、蜜蝋ワックスが入っている容器を開けた際に少々くせのある匂いがあり、初めてこの匂いを嗅ぐと、大切なギターに塗ることを若干ためらってしまうかも
しれない(苦笑)
なんていうか、あまり新鮮ではないマグロの切り身みたいな?(苦笑)
しかし、塗布後数時間でローズ材の匂いや直前に使用したオレンジオイルの匂いと馴染み、すぐ気にならなくなるからご安心を。

と言う事で、ローズ指板の乾燥に悩まされていたり、ローズ材の持つ美しい木目をくっきりと引き締めたいとお考えの方には是非ともお勧めしたいが、その取扱
いについては冒頭にも書いてあるように自己責任でお願いします。
(記:2015年1月25日)





↑中身は自動車用の固形ワックスと似た感じ。



  ↑僕の場合、レモンオイルではなく、ハワードのオレンジオイルを使用している。
 使い方と効果はレモンオイルと全く同じ。


↑蜜蝋ワックス仕上げ後の指板。
 画像では上手くお伝えできないのが残念。



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