マーシャル JCM2000/DSL100と リニューアル版DSL100Hを弾き比べてみた

(Marshall JCM2000/DSL100 VS DSL100H)





       
<Photo :とんかつサンド>  (2015年3月1日 内容更新)


【DSL100が再販されていたことすら知らなかった、、、、】
1997年に発売されるやいなや、プロアマ問わず、あっという間に大ヒットモデルとなったマーシャルヘッドJCM2000のDSL100。
僕も発売が発表された当時、すぐに予約を入れ、DSL100ヘッドと1960Aキャビを発売開始と同時に手に入れた。
(僕によるJCM2000/DSL100のレビューページは→こちら
前評判だけで全く試奏もせず、しかも通販での購入という事もあり、実際の音作りや音量的に自宅使用にも耐えられるか?などの不安はあったが
実際にはマーシャルトーンの素晴らしさは勿論のこと、自宅使用における扱いやすさと音作りの幅の広さに感激したものだった。

あれから10数年以上が経過し、しばらくギターアンプ関係の情報から遠ざかっていた事もあり、マーシャルの新しい製品については、あまり詳しくは
把握していなかったのだが、最近(2014年)になってから、2012年後半にDSL100が再発売されていることを遅ればせながら知った。
組み立て工程を英国ではなくベトナムで行う事により大幅なコストダウン化が実現し、本体価格も実売価格で10万円を切る価格設定となっている。

一方、JCM2000/DSL100に関しては中古市場での値もあまり下がらず、むしろコンディションによっては新品のDSL100Hよりも高値が付いている事
もあるばかりか、JCM2000/DSL100の新品時の実売価格とほぼ同等の売値が付けられていることもあり、それでも中古品の在庫情報が掲
載されると直ぐに売れてしまう状況だ。
はたして10数年以上(モノによっては18年以上)酷使された中古のJCM2000/DSL100に対し、新品のDSL100H以上の金額を支払ってでも入手する
ほどの優位性が本当にあるのだろうか?

ということで、今回はJCM2000/DSL100と、リニューアル版のDSL100Hとの新旧比較を行ってみた。
勿論、僕自身もJCM2000/DSL100を使い倒してきたユーザーの一人なので、そのトーンについては身体全体に染み込んでおり、十分知り尽くしているつもりだ。





【外観上において、コストダウンを感じさせる部分はあるのか?】
では、まずは外観から。
リニューアル版(以下:再販版)DSL100Hを正面から見ると、フロントパネルから「JCM2000 DUAL SUPER LEAD」の文字が消えており、その代わりに
「DSL 100H」の文字が大きく印字されている点が印象的だ。
また、JCM2000版には刻まれていた「Jim Marshall」のサインも無い。

次にパネルのレイアウトをよく見ると、コントロールつまみの配置が若干異なっている事に気付く。
JCM2000版ではトーンコントロール群の右側にあったリバーブつまみが、再販版ではトーンコントロール群の左側に移動している。
また、JCM2000版では「PRESENCE」の左側に設置されていたDEEPスイッチが無くなり、再販版では代わりに「RESONANCE」コントロールが増設されている。
これは、JCM2000版では低域の強調度合がONかOFFしか選べなかったのに対し、再販版では無段階で調節することができるというもの。
それ以外の音作りに必要な主要コントロール部については全く同じだ。

本体の全体的な部分としては、再販版ヘッド本体の奥行がJCM2000版よりも厚くなっていることに気付く。
実際にはJCM2000版の各サイズ(横幅×高さ×奥行)は748×297×214であるのに対し、再販版では741×274×242となっており、JCM2000版に対
して再販版では横幅が7ミリ短く、高さは23ミリ低く、そして奥行が28ミリ大きくなっている。

背面については、JCM2000版では内部が見えにくい金属製のパンチング・プレートであったが、再販版では長窓が開けられたバックプレートにメッシュ
へが貼られている構造に変更されており、JCM2000版よりも内部が見えやすくなっている。
僕としては、再販版の背面のデザインの方が好みだ。
また、再販版の背面にはパワー切り替えスイッチが新たに設けられており、これにより出力を50Wと100Wに切り替える事ができるようだ。
その他、細かい部分ではコーナーガードが釘止めではなく、ビス止めに変更されているが、コーナーガードが割れてしまった場合の交換作業を考えると、
ビス止めの方が良い様な気がするのは僕だけだろうか?
とりあえず、外観を見比べる限りでは、コストダウン化による質の低下を感じさせるような要素は全く見当たらない。


【最も重要なマーシャルトーンの違いについて】
外観チェックもそこそこに早速試奏を開始してみる。
クラシックCHのクリーントーンやクランチトーン、リードCHの各種ディストーションなど、数十分間にわたり、たっぷりと弾き込んでみた。
そこで感じた事として、肝心なマーシャルトーンに関する部分については全てのチャンネルとセッティング状態において、僕が散々弾き込んできたオリ版
のJCM2000との違いを感じることは出来ず、全くと言って良いほど同じものであると感じた。
目隠しをされた状態でアンプを切り替えられたら、どちらが再販版DSL100Hなのか、僕は当てられる自信は無い。
また、トーンだけではなく、ボリュームをかなり絞って音量を小さくしても、抜けの良いトーンはそのままに音量だけを抑える事ができる点もJCM2000版と全く同じだ。
(2015年3月1日追記:上記の印象については、下記の追加情報にて訂正があります。)

ただ、一つだけ大きく異なっていると感じたのが、JCM2000版ではアキュトロニクス社製のスプリングリバーブが搭載されていたのに対し、再販版ではデジタルリバーブに変更されている。
この再販版のデジタル・リバーブの効き具合がとても弱く、オリ版にはあったスプリングリバーブ独特のピチャピチャ感が皆無であったのが唯一残念であった。
しかし、マーシャルのスタックアンプに対してそこまでリバーブを効かせることは現実的にまず無いと思われ、多くの人にとっては再販版のデジタル・リバーブ程度の効き具合であっても特に大きな不満は無いだろうとは思う。

以上の比較検証結果から、組み立てが英国製ではない点と、オリ版に比べてリバーブ感が甘い点が許されるのであれば、使い古されていながら高値が
ついているオリ版のJCM2000のDSL100を無理に選ぶ必要はないと強く感じた。
(記:2015年2月2日 )



↑確かにオリジナル版JCM2000/DSL100は名機だが、アンプの性質としては再販版のDSL100Hとほとんど同じだと感じた。


【↓2015年2月28日追加情報↓】(再販版のDSL100Hに対する感想に変化有り)

前回(2015年2月2日)、JCM2000版のDSL100と、再販版のDSL100Hとでは、ギターアンプとしての(マーシャル・トーンの質や、機能、使い勝手など)違いはほとんど無いと書いた。
しかし、その後、再度ショップへ足を運び、更に色々と弄ってみたところ、前回のレビューには誤りがあることが判った。

実は、前回試奏した際には「RESONANCE」コントロールを「0」にした状態で弾き続けていた。
というのも、JCM2000版ではプッシュプル・スイッチによる「ONかOFFか」という設定しか選択できなかったのだが、「ON」にすると不自然に低域が強調されてしまう事もあり、常に「OFF」にする事が癖になっていた。
その影響もあり、再販版のDSL100Hを試奏する際においても「RESONANCE」コントロールを「0」にしていたという訳だ。
しかし、この「RESONANCE」コントロールを微妙に調整する事で、ごく自然に音の厚みをコントロールする事ができるようになっていた。
これにより、JCM2000版よりも更に広いトーンバリエーションを備えている事が判った。
特に深夜の自宅練習の際など、音量を極限まで小さく絞った場合の低域の補正などにも効果大だ。

また、背面に設置されている出力切り替えスイッチにより、元々自宅練習用としても音量を絞る事ができるJCM2000版のDSL100よりも、更に音を絞る事ができる。

ということで、なんと僕はこの再販版のDSL100Hをとても気に入ってしまい、結局そのままお持ち帰りしてしまった(苦笑)
DSL100Hに関する詳細な画像やレビューに関する記事は→こちらのページ

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