カプチーノの温度について





<カプチーノはぬるい飲み物?>
あなたは、お店で注文したカプチーノがぬるいと感じたことはないだろうか?実はこれには大きく別けて2つの理由がある。

まず色々なところで説明されている理由としては、ミルクを70℃以上に加熱してしまうと甘みの成分が破壊されて美味しくなくなっ
てしまうというもの。これによってスチームミルクを作る際、70℃以上にミルク温度を上げてはいけないというエスプレッソ業界の
「掟」がある。
つまり、ミルクを70℃以下で加熱し、カップにゆっくりと注いで客の手元まで運び、やがて客が口にする頃には更に温度が下が
ってしまっているというわけである。

それともう一つ、エスプレッソの本場であるイタリアでは熱い食べ物や飲み物が苦手であり、殆どが冷まさなくてもそのままグイ
飲みできるような温度になっているらしい。それに対して我々日本人は、食べ物や飲み物を熱ければ熱いほど美味しいと感じ
る人種である。
そのため、日本を訪れるイタリア人の多くが日本食の多くを熱すぎると感じているらしく、グツグツ煮立ったまま運ばれてくる鍋
焼きうどん等は、拷問に近い食べ物なのだそうだ(笑)

つまり本場のカプチーノをよく研究し、それを忠実に再現させようとすればするほど、日本人のお客が美味しいと感じる飲み物
とのギャップが大きくなっていくという事態になる。

言い方を変えると、私たち日本人の多くの場合、温度上昇によってミルクの甘み成分が破壊されることによる味の損失などよ
りも、温度が低い事による不満の方が大きくなってしまうのである。
これを解決させるためには、注文を受ける際にカプチーノは本来ぬるい飲み物であることを客に告げ、必要であれば客のニー
ズに応じて熱くすることも必要なのではないだろうか?(実際、どうしても熱いラテが飲みたいと言う人のために、スタバには「エ
キストラホット」というオーダー方法もある。)


<↓2009年1月25日追加情報↓>
実は今回、デロンギの全自動エスプレッソマシン(EAM1000BJA)にて作ったカプチーノの温度を調べるべく、キッチン温度計を入
手して試してみたところ実に意外な結果が出た。(使用温度計はキャリブレーション済みであり、狂いは無い)

まず、エスプレッソ・ソロに関しては57℃で、やや低めではあったが、それでも思ったよりは低くは無かった。
(写真は撮影タイムラグの影響で55.6℃にまで下っている。)

↑抽出直前までカップを熱湯などで加熱しておけば、もう少し温度は上がると思う。


そして問題なのが、ミルクのスチーミング温度。
ミルクをスチーミングする場合、ステンレス製のミルクピッチャーにミルクを入れてスチーミングをするのだが、適正温度を判断するた
めの基準に「ミルクピッチャーが指で触れなくなった頃が適正温度である。」という定説がある。しかし、実際に温度を計ってみると、
指で触れなくなる温度という状態では60℃にも達していない事が判明した。

僕はギターをやっていることもあり、左手の指先の皮は普通の人よりも厚い方である。そんな僕が1秒として触っていられない状態
でも温度は57℃ほどしかない。(スチームはEAM1000BJAを使用)
そこから更にスチーミングを続け、温度計が67℃に達した時点でスチームを止め、既にエスプレッソが入っているカップに注いだ。
その直後に撮影したのが下の写真で、温度は63度になっている。

↑カプチーノの適正温度とされる60℃前後というのは結構熱い。
 このくらいの温度だと一気に飲みこむことはできない。


この状態では、カップの側面を指で3秒以上は触っていられない程の熱さ。この後にシュガーを加えてかき混ぜ、実際に飲んでみると
心地良い熱さ加減になっている。この時点でカップ側面に指が触れると、おおよそ3〜4秒ほど経ってから「アチッ!」となる。

ということは、「ミルクピッチャーが指で触れなくなった頃が適正温度である。」という判断方法では明らかにぬるいという事が判明した
と共に、一般的に言われているカプチーノの適正温度である60℃前後と言う温度は結構熱いということだ。
つまり、ピッチャーが指で触れなくなった直後にスチーミングを止めてカップに注がれたカプチーノ(実際にぬるいと感じたもの)は、おそ
らくテーブルに運ばれた状態で50℃〜55℃近辺の温度にしか達していないのではないのだろうか?

ちなみに、ここまで読んでいただければ既に理解して頂けていると思うが、EAM1000BJAで作るカプチーノはぬるいのか?という疑問に
ついて、答えは「NO!」である。

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