エディ・ヴァンヘイレンのギター・サウンド作りに欠かせないエフェクターについて

MXR EVH117 FLANGER フランジャー
MXR EVH Phase90 フェイザー
Jim Dunlop Eddie Van Halen Signature Wah EVH-95 ワウペダル
MXR M-234 ANAROG CHORUS アナログ・コーラス





       

↑こちらは僕の愛用ペダルボード

【VAN HALENの"あの"トーンが欲しくて・・・】
僕の好きなギタリストの一人にエディ・ヴァンヘイレンがいる。
特にファースト・アルバムから1984までの作品は僕にとってのバイブルとなっている。
今回は、そんなエディのギター・サウンド作りに欠かせないエフェクターについて紹介してみたい。
尚、歪み系のトーンについてはアンプ本体(Marshall 1959 & 1960AX)で作り出す事を前提にしているため、このページでは触れていないので悪しからず(苦笑)



↑こちらは2015年現在、エディ・ヴァンヘイレン本人のペダルボード

【MXR EVH-117】


まず最初の一つ目がフランジャー。
特に有名どころの曲では「Ain't Talkin' 'Bout Love」や「Unchained」等々、曲の所々おいてアクセント的に使われている。
アルバムの中で実際に使われていたフランジャーは、70年代製のMXRのM117というモデル。
現在ではリイシュー版も発売されているが、エディ・ヴァンヘイレンのシグネチャーモデルとしてMXRからEVH117というモデルが発売され、
実際にエディ本人も市販品と同じものを現在のペダルボードに組み込んで使用している。
僕も最初はこのEVH117の購入を考えたのだが、本体が横長の形状であることから現在使用しているエフェクターボードに組み込めないと思い、
BOSSの現行型フランジャーであるBF-3を購入した。

このBF-3にはウルトラ・モードがあり、これはスタンダード・モードよりもフランジャー効果が強く掛かるというもの。
このモードを使用する事で、「Ain't Talkin' 'Bout Love」や「Unchained」のフランジャーサウンドとほぼ同じ効果を作り出す事ができる。
しかし、ひとつだけ大きな欠点というか許せないところがあることが後から判った。
それは、BF-3の場合はエフェクト・オンにした時のフランジャー効果は必ず上昇するところからスタートするということ。
「Unchained」の場合、フレーズの小節ごとにフランジャー効果がアップとダウンを交互に繰り返すのだが、常にアップからスタートしてしまう点がどうしても許せなかった。
ということで、結局このMXR EVH117を新たに購入する事になってしまった。

このMXR EVH117はレギュラー品のMXR M117Rをベースにしてエディ・ヴァンヘイレンのシグネチャーモデル化させたもの。
4つのコントロールつまみによるフランジャー効果については両者とも共通だ。
異なるのは、EVH117には「EVH」ボタンが追加されており、このボタンを押す事で「Unchained」のセッティングに固定される。
この場合、4つのコントローラー操作はキャンセルされ、つまみを回しても出音に影響は無い。
その他では、ボディがエディ独特のストライプデザインになっている点がM117Rと異なる。

しかし、驚くべき事に、エディ本人はライブ時においてはこの「EVH」スイッチは使用しておらず、主に画像のようなセッティングで使用している。
(ライブ時期によって微妙にセッティングは異なるが、2015年6月現在では上記のセッティングである事が多い。)
「EVH」スイッチをONにした状態のセッティングは、画像のセッティングに対して「REGEN」が2時〜3時あたりの設定だと思われ、ライブでのセッティングよりも
若干フランジャー効果が軽めになっている。
これは、EVH117を開発する時点では「EVH」スイッチの設定でOKしたものの、その後の実際にライブで使用していく上で、いまひとつ効果が弱く感じられたため
更に「REGEN」をMAXにして使っているという事ではないだろうか?
ということは、もしも「EVH117」よりも「M117R」が安く売られていたならば、後者を購入しても現在のエディと同じセッティングを再現する事が出来るわけだ(苦笑)

電源は9V電池を2個セットするか、18VのACアダプターによる外部電源となる。
で、実際に使ってみると、やっぱりこれだよ、これこれ!(笑)
アップとダウンが交互に掛かるこの感じがたまりません(苦笑)
ということで、MXR EVH117(もしくはMXR M117R)はエディサウンドに欠かせないエフェクターですね。







【MXR EVH Phase90】


続いてフェイザーについて。
衝撃的なデビュー作となったファーストアルバム「VAN HALEN」。
このアルバムでは、ありとあらゆるところにフェイザーが隠し味的に使用されている。
例えば「Eruption」や「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」、「You Really Got Me」などなど。

アルバムレコーディング時に使用されていたのは70年代製のMXR Phase 90。
Phase 90には、70年代から発売され、筆記体で文字が印字されている「スクリプトロゴ版」と、現行モデルのブロック体で印字されている「ブロックロゴ版」が存在する。
(スクリプトロゴ版は、現在も復刻版が発売されている)
両者の違いは、初期のスクリプト版よりも後継モデルのブロックロゴ版の方がフェイザーのかかり具合が強めにセッティングされているようだ。

このEVH版はブロックロゴ版をベースにし、「Script」(スクリプト)スイッチを押す事で「スクリプトロゴ版」のトーンを再現させる事が出来ると言うもの。
しかし、実際にスクリプト版と比較した方によると、EVH版の方が実際のスクリプト版よりも若干浅めに設定されているようだ。

一般的なフェイザーには2つ以上のコントロールツマミがあるのに対し、このPhase90には一つしかない。
そのため、セッティングも悩むことは無く、強めに掛けるか弱めにするかだけ。
エディ自身も実際にこの EVH Phase90をライブでも使用しているが、ツマミの位置は8時〜10時くらいで使用しているようだ。
エフェクトONの状態で「Eruption」や「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」、「You Really Got Me」を弾くと、やっぱりこれこれ!って感じになります(笑)



以上のフランジャーとフェイザーについては、初期のエディサウンド作りにおいては絶対に欠かせないもの。
しかし、ここからは、エディが最近になってから使用しているエフェクターについて触れてみたい。


【Jim Dunlop Eddie Van Halen Signature Wah EVH-95】


まずはEVHシグネイチャーのワウペダル。
エディ本人は、ファーストアルバムから80年代までのアルバム曲においてワウペダルは一切使用していない。
しかし、90年代以降からエディはジムダンロップのクライベイビーに独自の改造を施し、そのペダルに「HOLY GRAIL」と名付けて使用していた。
EVH-95は、この)「HOLY GRAIL」を忠実に再現したモデルとなっている。

現在のエディは、ライブ上において初期の曲を含む、作品全般にわたって積極的にワウペダルを使用しており、例えば「Unchained」においても曲の終盤でオクターブ
奏法を弾きながらワウペダルを煽っている。

しかし、このEVHワウはエディファンに限らず、一般的なワウペダルとしても実に使い勝手が良いものになっている。
僕も以前、クライベイビーを所有していたが、その時に感じていた2点の不満点が見事に解消されていた。
その一つ目は、実際に音を出すまでは外観からエフェクターのON/OFF状態が判らない事。
しかし、EVH-95では前面の両角部に青色LEDが装備されており、これによってON/OFF状態が一目で判る。

2点目は、ノーマルタイプのクライベイビーでは結構な体重を掛けて踏み込まないとON/OFF切り替えが出来ず、椅子に座った状態のまま切り替える事は困難であった。
しかし、EVH-95では、足首から先(足裏)で踏み込む程度の荷重をかけることでON/OFF切り替えが出来るため、椅子に座った状態であっても背もたれから背中を離す
ことなく切り替えが出来るようになっている。

僕個人としては、エフェクトのセッティングがHOLY GRAILを再現しているという点よりも、先の2点の改良の方が感動した(笑)
ということで、このワウペダルについては、80年代までのアルバム曲をコピーする上では必ずしも必需品とはならないが、近年のライブバージョンの初期曲を演奏する場合や、
ワウペダルに対して僕と同じような不満を抱いている方にはお勧めのペダルだ。




【MXR M-234 ANAROG CHORUS】


最後に紹介するのはMXRのアナログ・コーラス。
エディの曲でコーラスというとあまり印象が無いかもしれないが、実は初期の頃から「Little Guitars」をはじめとして密かに(?)使用されている。
近年ではMXRのコンパクトエフェクターを足元のペダルボードに組み込んであり、特に2012年以降、現在も使用している最新のペダルボードにはMXRのM-234 ANAROG CHORUSがセットされている。
2013年の東京ドーム公演の際に「Hear About It Later」のイントロでも使用されていたようだ。
セッティングとしては、コーラスっぽい「シャララ〜ン」という感じではなく、ショートディレイによるダブリング的なセッティングで音の厚みを出すような方向性の使い方をしている。
このANAROG CHORUSに関しては稼働率も高くは無く、特に必需品というものでもないのだが、エディのペダルボードに組み込まれていたからという理由で紹介させて頂いた。




(↑画像の組み合わせによって、VAN HALENの“あの”トーンが、ほぼ完璧に再現される。)

(記:2015年6月21日)


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