35mm判フルサイズ一眼レフカメラ対応 大口径標準ズームレンズ

TAMRON SP AF28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO(Model A09N II)




「写真撮影:とんかつサンド」


(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。)


【ニコンD3に最適な高画質標準ズームレンズを求めて・・・】
今回はニコンD3を入手するにあたり、FXフォーマットに対応した標準ズームレンズを検討することになった。
予算的に余裕のある方ならば迷うことなく純正であるAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDを選択するだろう。
僕の場合は予算的に全く余裕は無いのだが、とりあえず上記レンズの購入も視野に入れ、色々な製品をリサーチした。
そこで、最終的にNIKKOR 24-70mm F2.8GとTAMRON AF28-75mm F2.8の2モデルに絞った。

色々なところでもこの2モデルの比較が何かと取り上げられているようで、特に海外のサイトには実に詳細な比較テストのページ
がいくつか存在していた。
これらを見る限り、やはりNIKKOR 24-70mm F2.8Gの画質は圧倒的とも言えるもので、ズーム全域にわたって開放からキレのある
画質を実現している。
それに対してタムロンのAF28-75mm F2.8の場合は開放でやや甘めの画質になるが、それはあくまでも等倍表示で比較した場合
であり、モニターサイズにフィットさせた表示やA4サイズへのプリントでは普通にキレのある画質に見える。
そこから1段程度絞ればさらにキレのある文句無しの解像感を実現している。

しかし、実際にこの2モデルを手にとって比べてしまうと、やはりNIKKOR 24-70mm F2.8Gの大きさと重さは躊躇してしまう。
この一見すると望遠レンズかと見紛うほどのサイズと重さは、やはり僕にとって大きなマイナスポイントだ。
そこで最終的にはタムロンのAF28-75mm F2.8を選択した。(決して値段に屈した訳ではない・・・)

さてこのレンズ、実際に使ってみた感想をいきなり述べてしまうと「別にこれで十分なんじゃないの??」である(笑)

まず、ニコンD3に装着した時の重量バランスがとても良く、カメラを肩に吊り下げた時に前玉が斜め下に垂れるような事もない。
ちなみにレンズフードを外し、インナーフォーカスレンズがカメラ側にある時は、カメラにレンズを装着した状態でカメラが自立する。
(逆の言い方をすれば、それだけD3本体が重いということか・・・。)
また、鏡筒にはズームロックが装備されているが、D3で使う限りは特に必要はない。また、ズームリングそのものに適度なトルク感
があるので、前玉を下に向けても垂れ下がる気配は感じられない。

外観的にはレンズ鏡筒外周の表面処理がD3(ニコン機全体)のものとよく似ており、まるでD3に合わせて塗装を施されているのか
とも思えるくらいマッチしている。このあたりは、一貫して艶消し塗装を採用しているシグマ製のレンズよりもセンスの良さを感じる。


【肝心の画質はどうよ?】
購入前に最も心配していた画像周辺の流れや減光も殆ど感じられず、その画像を見る限りでは画像全体にわたり十分に高画質だ
と思う。
(周辺の減光に関してはヴィネットコントロール機能の効果もあるのだろうが・・・)
また色滲みや収差に関しても、D3で使う限りでは特にこれといって確認できなかった。

解像感については確かに絞り開放では(等倍で見た場合)写りが甘めになるが、A4程度のプリントや、PCによるモニターサイズで
の鑑賞ならば全く問題にならない。

それともたまたまD3との相性がとても良いのだろうか?僕としては全くもって不満が無いどころか、NIKKOR 24-70mm F2.8Gの5
分の1程度の金額でこれ程の性能のレンズが入手出来ることに驚きを隠し切れない。



NIKKOR 24-70mm F2.8Gと重箱の隅を突くような比較をすれば画質に関して負けているところが目立つかもしれない。
しかしタムロンのF28-75mm F2.8だけを使用している限り、その画質には全く不満を抱く事は無い。
特にf5.6以上に絞って撮影された画像の場合、僕の持っているタムロンのSP AF90mm F2.8や、AI AF Nikkor 50mm F1.4Dといった
高画質レンズらによる画像とも区別がつかない程、と言っても決して言い過ぎではない。
つまりNIKKOR 24-70mm F2.8Gと比較した場合、タムロンのAF28-75mm F2.8が劣るのではなくて、NIKKOR 24-70mm F2.8Gの性
能がそれだけ凄すぎるのだ。
むしろ、タムロンAF28-75mm F2.8のコストパフォーマンスと軽量&コンパクト性の方を評価すべきだと思う。
DX NIKKOR VR 18-200mm F3.5-5.6Gよりも軽量コンパクトでありながら、NIKKOR 24-70mm F2.8Gにも迫る(?)画質を実現し、そ
れでいて実売価格は3万円台前半というのだから、タムロンは実に商売上手だと思う。

勿論、レンズの性能というものは解像度や色のりだけではなく、防塵、防滴、耐衝撃性といった耐久性に関する部分も重要であり
これらの性能に関して、タムロンA09はNIKKOR AF-S 24-70 F2.8Gの足元にも及ばないだろう。
しかし、僕にとってはそれ程のヘビーデューティーな耐久性は必要無く、タムロンのA09程度でも充分なのだ。




↑ニコンD3にA09NIIを装着した状態。
 レンズを装着した状態でカメラが自立している。


【その他】
画質以外で気がついた点として、このModel A09N IIにはレンズ内モーターを装備してはいるが、ニッコールレンズのような超音波モ
ーターではない。
しかし実際に使ってみる限り、超音波モーターではないという違和感やAFの遅さは殆ど感じられず、むしろ低価格帯のニッコールレ
ンズに搭載されている、小型で非力な超音波モーターよりも動作が速いのでは?とさえ感じられる。

と、ここまでは褒めまくりのコメントが続いたが、次は欠点ともいえる点について触れてみたい。
まず最も気になったのが、AF動作時にレンズ先端のフォーカスリングが回転してしまうこと。
手前側のズームリングを操作してフレーミンングを決め、そこから撮影に入るべくレンズ先端を掴んでホールドし、AFを作動させた瞬
間、いきなり掴んでいる部分が回りだすので、慣れていないとびっくりしてしまう。
しかし、この点に関しては最初だけで慣れさえすれば大丈夫なので、深刻な欠点とも言えないレベルかもしれない。

余談だが、このA09NIIには製造時期によっていくつかのデザインバリエーションが存在する。
最も初期のものは、ズームリングのフロント側にあるレンズモデル名のラベルが黒地に金文字となっているタイプ。
ちなみに2010年1月時点でのカタログ写真がこのタイプ。
そして2009年の7月以降から、モデル名ラベルが金色ベースの黒文字に変更になった。
しかし、ここにも2種類のものが存在しており、7月〜未明のものは、ラベル表面から斜めに面取りされている部分までもが金色になって
いるのに対し、僕が2009年末に購入したものはラベル表面部分だけしか金色になっていない。
メーカーによると外観以外の変更は無いとのことだが、妙にフォーカスモーターが静かで速いのが気になる。
これは僕が今まで使ってきたレンズの中でもトップレベルの速さだと思う。
同じタムロンのレンズ内蔵モーターでも、70-300mmレンズ(A17N II)の方は情けなくなるくらい遅いのだが、、、。


【最後に】
ということで、僕はこのタムロンのAF28-75mm F2.8(Model A09N II)をとても気に入ってしまった。
D3やD700をお持ちで、明るくて高画質な標準ズームは欲しいが純正の24-70 F2.8Gには手が出ないという方も多いと思う。
そんな方々に対し、僕は自信を持ってこのModelA09N IIをお勧めしたい。
実売価格が3万円台半ばと価格は手頃であるが、その画質は決して手頃な価格のものではない。
仮に、実売価格が2倍の7万円程度であったとしても、おそらく僕は納得してしまうだろう。
この価格でこの画質ならば、殆どの方にとって満足できるだろうと思う。

尚、このレンズとD3によるサンプル画像については、D3のレビューページに掲載してあります。→こちら
(記:2010年1月5日)

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