パイオニア カロッツェリア カスタムフィットスピーカー TS-V171A

Pioneer carrozzeria 17cm SEPARATE TWO WAY TS-V171A





(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、本ページに書かれている作業を真似して行う場合はあくまでも自己責任でお願い致します。
   万が一、これらの作業によって何らかの事故や損害が引き起こされたとしても当方は一切関知致しません。)

<Photo :とんかつサンド>       


【ハイエンドアンプに見合うスピーカーを】
現在の僕は、ホンダライフ・パステルの純正デッキをパイオニアのFH-770DVDに交換し、フロントスピーカーにはケンウッドのコアキシャル2Wayモ
デルのKFC-RS170を、リアスピーカーにはパイオニアのコアキシャル2WayモデルのFS-1701をセットし、HU(ヘッドユニット)とスピーカー間には外
部アンプとしてパイオニアのハイエンドモデルであるPRS-A900を組み込んである。

これらの組み合わせにより、現時点でも実にリアルで生々しい音質を堪能できているのだが、どう見ても外部アンプの能力に対してスピーカーが
貧弱なのは明らかであり、定価12.6万円のアンプ(A900)によって増幅された音声信号を定価8,000円弱のスピーカーから出力させるのはA900
様に対して失礼じゃないか?という、どうでも良い思いが日を追うごとに強くなってきたのだ。
補助的に音を出しているリアはまだ良いとしても、メインとなっているフロントSPだけはもう少しグレードアップさせて、A900様に見合うクラスのスピ
ーカーを奢ってあげなくては、、、ということで色々と検討した結果、パイオニアのカスタムフィットシリーズでは最上級モデルとなる、TS-V171Aに
決定した。

このスピーカーの特徴は、「Open & Smooth Concept」という理論(?)に基づいて設計されたものであるという事。
これはどういう事かというと、ホームオーディオ用、カーオーディオ用共に、一般的な2Wayスピーカーではツィーターからは高域だけを出力させ、
中域と低域はウーファーから出力させるのが常識であった。
しかしカーオーディオの場合、ウーファーはドア下部の足元に設置されるのが殆どである。
音の指向性は音域が高いほど狭く、低いほど広くなる性質があるため、ウーファーが足元に設置されていても低域に関しては比較的問題なくリス
ナーの耳に音が届くものの、中域に関してはスピーカーの正面から外れてしまうことによって聴こえ難くなってしまう。
したがって、足元から届く低域と、高い位置からリスナーに向けて設置されているツィーターから発せられる高域に比べて中域が不足気味になっ
てしまうのがこれまでのセパレート式の宿命であった。

そこで、クロスオーバー周波数を低く設定し、ウーファーからは低域のみを、そしてツィーターから中域と高域を出力させることで、全域の音がもれ
なく人の耳に届くことになるのだが、それを実現させるためにはツィーターに中域から高域までのこれまで以上に広い帯域を出力させなくてはなら
ず、そのために、ユニットの設計を根本から追求して完成させたという事らしい。

ちなみに、パイオニアのカスタムフィットシリーズは基本的に中国で製造されているのだが、このTS-V171Aだけは日本国内で製造されており、特に
重要な工程に関しては専任のクラフトマンによる手作業によって1台ごと精密に組上げられている。

実は今回のスピーカーを選ぶ際に、TS-V171Aの下位モデルであるTS-C1710AIIとどちらにするかで悩みに悩んだのだが、我が家の家訓(?)であ
る「悩んだ時には高い方のグレードを買え!」に従い、TS-V171Aに決めたという訳だ(汗)


【ウーファーは実に豪華で美しい造りだけど、、、、】
さて、実際に手元に届けられたTS-V171Aの箱を開けてみると、とにかく大きなクロスオーバーネットワークに驚かされる。
まるで、これひとつが外部アンプかと見紛う大きさと外観だ。

スピーカー本体も最上級モデルらしい豪華な造りで、フレームには剛性感溢れるアルミダイキャストを採用し、スピーカーターミナルにも一般的な
平型端子などではなく、高級ホームオーディオ用のスピーカー等に多く採用されている、金メッキ処理が施されたバインディングポスト型のターミ
ナルが使用されている点が無駄に豪華だ。
これほどの美しい外観が、組み付け後には一切見えなくなってしまうのが実に惜しい(苦笑)

ツィーターも実物を手に持ってみると、意外にズッシリとした重みがある。
ていうか、このTS-V171の下位モデルであるTS-C1710AIIに付属されているツィーターと比較すると、その大きさの違いに驚かされる。
ちなみに下の画像は、23インチ、16:9、 1920×1080のモニターで鑑賞した場合において、それぞれが正確に実物大に表示されるように設定
したものだ。


(カタログ画像より抜粋)

仕様上は2.5cmダイヤフラムを採用したTS-C1710AII(左)と、3.0cmダイヤフラムを採用したTS-V171A(右)とでダイヤフラムサイズだけを見ると
わずか5mmしかサイズ差が無いのだが、実際の本体ではこれほどのサイズ差があるのだ。
これは確実に中域の出方(特に音の厚みとレンジの広さ)に影響するものと思われる。



↑化粧箱はコンパクトだが、結構な重さがある。



↑クロスオーバーネットワークの大きさ比較用に、単三電池を置いてみた。
 給食弁当のご飯容器(?)くらいの大きさがある。



↑ケーブル接続端子は豪華な金メッキ処理が施されたバインディングポスト型のターミナルを採用。


【取付けについて】
TS-V171Aを組み付けるのに必要な取り付けキットについて、はじめはケンウッドのRS170のマウントブラケットをそのまま流用しようとも考えたの
だが、PRS-A900とTS-V171Aによって出力される強力なパワーを支えるために、同社から発売されているMDFインナーバッフルボード、「高音質
インナーバッフルスタンダードパッケージ:UD-K524」を使用することにした。


↑今回の取付けに使用した「高音質インナーバッフルスタンダードパッケージ:UD-K524」


ちなみに説明書については箱の裏面に最低必要事項だけが記載されているもので、明らかにこの手のスピーカー交換の経験者向けの内容とな
っている。
スピーカー交換の経験が全く無い方にとって、この説明書だけで取り付け作業を行うのは困難だと思われる。

スピーカーケーブルについてはこれまで既設の車内配線を使用しており、今回もこの配線を流用する事も出来たのだが、とりあえず16ゲージのケ
ーブルを新たに引き直す事にした。

ホンダ・ライフ(JC1)の場合、そのまま車体とドアの間にあるゴムの蛇腹の中にケーブルを通そうとしても、蛇腹が曲がっているため難しい。
そこで、ジャバラから車内に接続されているハーネスのカプラー2〜3個を外し、ハーネスごと蛇腹をドアの内側からドア内に引き込む。
そして、スピーカー取り付け穴から蛇腹とケーブルを取り出してしまった方が断然、簡単にケーブル通し作業が行える。
蛇腹内にケーブルを通し終えたら、ハーネスと蛇腹を元に戻せばOK。



↑ドアヒンジの部分にある蛇腹をドア内側から引っ張り抜く事で、配線通しがラクになる。



↑MDFインナーバッフルを取付けた状態。



↑MDFインナーバッフルにTS-V171Aのウーファーユニットを組み付けた状態。
 外周には、インナーバッフルに付属していた遮音クッションを貼り付けてある。


配線は、PRS-A900(外部アンプ)からTS-V171Aに付属のクロスオーバーネットワークに接続し、ここからツィーターとウーファーに分岐する配線と
なる。
クロスオーバーネットワークは助手席の足元奥に設置し、ツィーターはダッシュボード上にセットした。



↑クロスオーバーネットワークは助手席の足元奥に設置。



↑ツィーターはダッシュボード上にセット。





【TS-V171Aの音質について】
これくらいのクラスのスピーカーの場合、エージングにある程度の時間を掛けないと本領が発揮できないものだが、とりあえずファーストインプレッ
ションとして音質に関するレビューしたい。

全ての取り付け作業を終え、正常に音が出るかの確認と、ツィーターの角度調整のために適当な曲を再生してみたのだが、、、、。

「えっ!?」

TS-V171Aから出力された音を聴いた瞬間、全く想定していなかった音の聞こえ方に驚きと同時に鳥肌が立ってしまった。
僕が想像していた音の聞こえ方とは、低域が足元のウーファーからズンズンと響き、ツィーターからは高域がシャカシャカと鳴り、その中に中域がト
ントンと鳴るのかな?というものであった。
しかし実際には、「ウーファーから、、、ツィーターから、、、」という個々に分割された音の出方ではなく、フロントウィンドウからダッシュボードにかけて
の前面側全体から、高域から低域にかけて満遍なく豊かでワイドなレンジのトーンに包まれるように出力される。
中域と高域はツィーターから出力されているのだから正面から音が聴こえるのは当然だが、実際には足元にあるはずのウーファーがまるでツィータ
ーのすぐ下にこちらを向いて設置されているかのような音の聞こえ方をしている。

この不思議とも思える体験、実は僕にとって今回が初めてではない。
昔所有していたBOSEの101イタリアーノというスピーカーや、ロジクールのZ4でも同じ体験をしている。
本来、離れた位置にあるはずの二つのスピーカーから出力された音の位相が上手くマッチすることにより、互いのスピーカーの間にあたかも大きな
スピーカーが存在して、そこから音が発せられているかのような効果が生まれるのだ。

また、取り付け前にツィーター単体を見て予想していた通り、大きな口を開けたツィーターからは想像以上にぶ厚い中域が発せられており、この厚み
のある中域と、足元にあるウーファーから発せられている低域が互いに分離せずにスムーズに繋がる事で、上記のような効果をより自然な状態で
実現させているのだろう。

ちなみに、TS-V171Aに付属のクロスオーバーネットワークには、ツィーターの出力を3段階に調節するための切り替えスイッチが装備されているが、
僕の場合は工場出荷時のまま(±0)に設定した。

低域については決して出しゃばる事はなく、あくまでも自然であり、上質でもあり、上品なものだ。
量的にも僕にとっては必要にして十分であり、サブウーファーの必要性は特に感じない。
中域の厚みと透明感は、正にこのTS-V171Aの真骨頂とも言えるもので、特に女性ボーカルの生々しさは見事としか言いようがない。


【最後に】
冒頭にも書いたように、ケンウッドのKFC-RS170をフロントにセットしていた時点でも十分に高音質なものであり、これをTS-V171Aに換えることによ
り、はたしてどれほどの音質向上効果があるのか若干の不安もあったのだが、実際には比べ物にならない程のものであった。
外部アンプのPRS-A900との相性もバッチリで、アンプの良さがさらに際立って感じられるようになった。
新品の状態でこれ程なのだから、今後エージングが進むことでどう変化していくのかが楽しみだ。
また、現時点では一切のデッドニングを施していないので、こちらについても今後は検討していきたい。
(記:2012年10月14日)


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