2015 EVH Wolfgang Special Stealth (Arch-Top)

2015 EVH ウルフギャング・スペシャル ステルス アーチド・トップ





       



【現在のエディはエボニー指板がお気に入り】
さて、こちらはEVHブランドのwolfgang (SPECIAL)。

EVHブランドのwolfgangは、2015年7月現在において、エディ・ヴァンヘイレンの現行シグネイチャー・モデルとなる。
ボディ・デザイン、スペック共に先代シグネイチャーブランドであるPEAVEY版のwolfgangの仕様をほぼそのまま継承しており、パッと見だけでは、ヘッド先端の形状を確認しなければ
両者の違いが判別できないほど酷似している。
(実際には、ブランドロゴは勿論、コントロールノブやバインディングをはじめ、至るところに細かい変更点はあるが、、、。)

当初、エディ本人はデビューからPEAVEY時代までと同様に、メイプル指板のモデルをメインに使用するものだとばかり思っていた。
しかし、2012年に公開された新曲のPVにて真っ黒いエボニー指板&マットブラックフィニッシュ仕様のギター(モデル名:Stealth)を使用し、ファン達を驚かせた。

その後のステージでは常にエボニー指板のギターを使い続けている事から、これまでの一貫したメイプル指板派から一転、エボニー指板派に変わったようだ。
特にここ数年においては、先のPVでも使用していたエボニー指板&マットブラックフィニッシュ仕様のStealth (ステルス)というモデルがメインギターとなっている。

D-Tunaを装備したEVH Wolfgangには、ざっくりと別けてUSAシリーズとSPECIALシリーズが存在する。
USAシリーズについては文字通り、米国のカリフォルニア州にあるフェンダー工場で生産されている。
しかし、SPEClALシリーズについてはちょっと事情が複雑だ。

EVHブランドがスタートした直後は日本国内にある中信楽器製造株式会社が製造を請け負っていた。
しかし、2011年12月5日、中信楽器製造株式会社が自己破産申請を行い操業を停止したため、中国の工場に生産が引き継がれる事になる。
この両社によって製造されたギターは、仕様上においては同じ製品として扱われている。
(勿論、ヘッド裏の生産国表示はそれぞれ異なる。)

ちなみに、ボディ形状に関しては、USAシリーズはアーチドトップであるのに対し、日本&中国製のSPECIALはフラットトップ。
また、ボディ&ヘッド周囲のバインディングがUSAシリーズは5plyで、 SPECIALは1ply(ヘッドにはバインディング無し)
そして、USAシリーズはアングル・ヘッドであるのに対し、SPECIALはストレートヘッドという違いがある。

やがて、2014年に入るとSPECIALシリーズにモデルチェンジを施すための準備が進められることになり、これに合わせて生産拠点を中国からメキシコ(Fender MEX工場)へ変更した。
日本&中国製との最も大きな違いは、これまでフラットトップであったボディ形状がUSAシリーズと同じようにアーチドトップになった。
しかし、USAシリーズの場合はバスウッドボディにアーチド加工がされたメイプル材を貼り付けてあるのに対し、SPEClALではバスウッド材そのものにアーチ加工が施されている。
(サンバーストモデルは表面にメイプルの薄板がラミネートされている。)

また、ロックナットとトレモロを含む金属パーツ類が、ボディカラーに関係なく、クロームメッキから黒染めメッキ仕様へと変更になった。
それと、この点は変更してほしくは無かったところだが、これまではUSAシリーズと同じSKB製のハードケースが付属していたのに対し、メキシコ版からは標準ではケースが付属
せず、本体のみによる販売となってしまった。



↑塗装がマットブラックのため、サンバースト系モデルに比べてポディのアーチ具合がとても判りやすい。
 ちなみに、ギターの下に敷いてあるEVHのダンボール箱は、米国からの配送時に使用されたもの。
 箱そのものは裸のままであったが、箱自体が全く損傷していない点はさすが。





↑ペグボタンも、本体カラーとは無関係に金属製に変更された。
 生産国は「MADE IN MEXICO」と印字されている。





【Stealthモデルは世界中で大人気?】
このArch-Top版 Wolfgang Specialは2015年のNAMMショーで正式に公開され、2015年1月からリリースが開始された。
2015年7月時点にて、メイプル指板の各カラー・モデルについては国内でも発売されているが、エボニー指板のStealth (ステルス)モデルに関しては2015年7月現在において日本
国内では発売されておらず、サウンドハウスによれば、入荷は早くても10月以降とのこと。
そこで待ちきれない僕は、米国内にあるギターショップへ注文し、個人輸入したというわけだ。
しかし、既に流通しているはずの海外においても在庫しているショップは稀であり、Arch-Top版 Wolfgang Special Stealthは現時点において世界的な品薄状態となっている。

さて、それでは実際にArch-Top版 Wolfgang Special Stealthの現物を手に取り、使ってみた感想に入ろう。
ちなみに僕はこれまでにミュージックマンのEVHモデルもPEAVEY版およびEVH版Wolfgangも一切使用した経験が無い。

まず、手に持ってみて、その軽さに驚いた。
バスウッド材を使用したストラトタイプのFRTトレモロ付きギターも所有しているが、それと比べても明らかに軽く、僕がこれまでに所有してきたどのギターよりも軽い印象。
ボディトップにはレスポールを彷佛とさせるアーチド加工が施されている。

ネックはかなり薄く、まるで手摺りでも握っているのかと思ってしまう太さのネックであるレスポールとは大違いだ。
ブリッジのフロイドローズについては僕自身、昔から使用している事もあり、特に違和感は無い。
ユニットがフローティング・ロックされており、ダウン専用となっている点についても、僕が高校時代から同じセッティングで使ってきた事で違和感は無い。

僕にとって初体験のD-Tunaについても、ロッドを引っ張る事で瞬時にDチューニングを設定する事ができ、とても便利。
ただ、チューナーによってピッチを測ると微妙にずれてはいるが、まあ、練習やライブ等で演奏する分には支障が無いレベルであると思う。

ボリュームポッドのトルクは、これまでに経験した事が無いほど軽いもので、ブリッジから近いこともあって演奏中につい触れてしまうことでノブが動いてしまう事が多々あり
使い始めは若干戸惑ったが、この点についてはすぐに慣れた。
反対にトーンノブはこれまでにないほど重いものとなっていた。
また、コントロールノブは、MXRのエフェクターに付いているものと同じ形状になっている点が面白い(笑)

PUセレクターはギブソン系とは逆になっており、下向きがフロント、上向きがリアとなっている。
これはリアPUを使っている状態でライトハンド奏法を実行する際、右腕がセレクターに接触してしまう事を避けるためだそうだ。

実際に音を出してみると、ピックアップ自体に結構なパワーがあることから、無理なく豊かなディストーションを得る事できる。
それでも、一音、一音がしっかりと分離し、ベタっとつぶれていない点はさすがで、エディ特有の(良い意味で)ザクザクっとしたトーンになっている。
また、低域から高域までまんべんなく豊かなトーンになっている。

では、一方ではクリーントーンには不向きかというと、決してそのようなことはなく、甘くてメロウなトーンにもしっかりと対応する事ができ、その気になればジャズにも対応
可能だろう。

今更当然ではあるが、このEVH Wolfgang Specialは、エディの曲を演奏するには最高のギターであることは紛れもない事実だ。
(記:2015年7月5日)


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