モバイル・プロジェクター Anker Nebula Capsule II

アンカー ネブラ・カプセル 2




(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、個人による感じ方以外に映像ソース、音源の質や接続機器等、再生環境によっても大きな差が生じる点もご理解願います。)




【今時のモバイルプロジェクターの実力は凄い!!】
自宅で映画館のような大画面で映画を観たい。そんな夢をかなえるためのホームシアターですが、映像の大画面化といえばプロジェクターの導入が必須です。
プロジェクターというと値段が高額で本体も大きいことなどもあり、導入設置にはある程度の覚悟が必要でした。
僕も以前(2002年頃)、自宅をホームシアター化した際には定価で28万円ほどする(それでも当時としては破格の安さであった)プロジェクターや大型のスピーカー等を設置していました。
(当時、NHKのホームシアター番組が我が家を取材し、番組に出演したこともあります。また、「ホームシアターファイル」という雑誌に掲載されたこともあります。)

当時はホームシアターが一大ブームになっていた事もあり、各オーディオ機器メーカーがこぞって5.1chや7.1chなどのサラウンドシステムセットを販売していた時期でもありました。
また、大型家電店にもホームシアター(サラウンドシステム)の特設コーナーがどこの店にもあったものです。

しかし、当時のホームシアターと言えば一つの部屋をホームシアター専用にするか、あるいは映画を観賞する時にだけプロジェクターやサラウンド機器類をセットするなどの必要があったり、また、折角のサラウンド・システムも近隣への騒音問題からなかなか思い切って使えないなどから、やがていつしかブームは去っていきました。
僕自身も、子供たちが成長し個別に部屋を与えなくてはいけないことなどからホームシアターも撤去することに、、、。
その後しばらくはテレビやパソコンのモニターを使って映画を観る日々が続きます。

それから時代は流れ、十数年が経った現在ではちらほらと「ポータブル・プロジェクター」や「モバイル・プロジェクター」なる製品が色々なところで話題になっていました。
しかし、「所詮、小さなプロジェクターは画質も悪く、とてもホームシアターには使えないでしょ?」と思い込んでいた僕としては完全にスルーし続けてきました。

そんな中、妙に色々なブログやYoutube等で取り上げられ、絶賛されているモバイル・プロジェクターが、、、。
そして、色々とリサーチした結果、僕もモバイルプロジェクターを購入しました。それが今回紹介する「Anker Nebula Capsule II」です。

ということで、これからAnker Nebula Capsule IIについて簡単にレビューさせて頂きます。
レビュー環境は90インチ(16:9)のスクリーンいっぱいに映像を映写し、スクリーンから約2.6メートル離れた位置で観賞。

以前、僕が使っていたプロジェクターに対して革新的な変化(進化)を遂げていたのは以下の点。

・基本的に本体への配線が不要であり、本体のみで映画観賞が可能
・500mlのアルミ缶よりも小型なのに高画質&高音質

まず、本体への配線が一切不要の状態でホームシアターが完成するという点については、2000年初頭にホームシアターを組んでいた時代からするととても考えられない事ですね。
ところが今では様々な分野の技術の進歩により、それも可能になりました。
本体内にAndroid TV 9.0というシステムを搭載しているので、WI-FI環境さえあればパソコンやスマホ等で見る事ができるネット上の動画配信サイトの動画は、基本的に全て映写が可能です。
また、内部に8GBの記憶領域を搭載しているため、本体内に動画を保存させたり、外部メモリ(USBメモリ等)に保存した動画を映写するのであれば、WI-FI環境すら無くともホームシアターが完成してしまいます。
また、本体背面にはHDMI端子を備えているので、ブルーレイ・プレーヤー等の外部映像再生機器を接続しての使用も勿論可能です。

ということで、これからAnker Nebula Capsule IIについて簡単にレビューさせて頂きます。
レビュー環境は90インチ(16:9)のスクリーンいっぱいに映像を映写し、スクリーンから約2.6メートル離れた位置で観賞。
プロジェクターのスペックとしては解像度1280×720、明るさ200ルーメンという事で、据置き型のプロジェクターに比べて劣っている点が気になります。(僕自身もこの点が不安で大いに悩みました。)
しかし結論から先に言えば、どちらも全く問題は無いと僕自身は感じました。

解像度については普通に映画館で映画を観ているのと同じような感覚と解像感で、全く問題無く観る事ができます。
字幕がボヤけるなんて事もありませんし、映像内の輪郭部に不自然な滲みが出る事もありません。
YoutubeのフルHD以上の画質で撮影された映像を映写すると、あれ?これって1920x1080ピクセル(フルHD)だったかな?と勘違いしそうなくらいに解像度の不足感は感じられません。
勿論、90インチに引き伸ばされた映像を1メートル以内の至近距離で凝視すれば当然ながらボヤけや滲みは確認できますが、通常そのような見方はしない筈ですので問題ではありません。

参考までに、画面比率16:9における画面サイズと本機設置距離の関係は以下の通り。(カッコ内寸法は映写画像の横幅寸法)

60インチ(1328mm)→1845mm
70インチ(1550mm)→2156mm
80インチ(1771mm)→2460mm
90インチ(1992mm)→2771mm
100インチ(2214mm)→3080mm

上記となっており、6畳間の長辺寸法が約3.4メートル?3.8メートル、短辺寸法が約2.5メートル?2.8メートルである点から、6畳間で100インチ映写も充分可能です。

色合いに関する調整項目については、色温度として「暖色」、「標準」、「寒色」の調整しかありませんが、「標準」の状態ですと映像ソースによっては赤色が強めに表現される場合があります。
(全体的に赤色っぽいのではなく、赤色だけが強調される)
その為、「寒色」に設定することによっていくらか軽減されますが、それでも映像ソースによっては気になる場合があります。

次に明るさの点について。
据置き型では本機の10倍以上の2000?4000ルーメンが当たり前の中、たったの200ルーメンで大丈夫なのか?と心配な方も多いと思います。
そもそも、プロジェクターに高い照度が求められるのは、会議や講義、プレゼン等で部屋を暗くできない環境下でもはっきりと映像を映し出す必要があるからであり、映画館のように部屋を暗くする環境下での使用であれば、そこまでの高い照度は必要ありません。
本機の場合、さすがに部屋の照明を点灯させた明るい状態では全く使い物になりませんが、そもそも本機においてはそのような使い方を想定していません。
夜間での部屋の明かりを消した暗い環境下では全く問題が無い事は勿論、日中晴天の外部が明るい環境下でも遮光カーテンを使用することにより、若干コントラストの低下は否めないものの普通に観賞することができます。
以上から、映画館のように暗い環境下での使用であれば、解像感、色合い共に画質面では十分満足できるものと感じます。

次に、映画観賞となれば音質面も大事な要素ですよね?

本機を購入前に多くの方々のレビューをチェックしたのですが、皆さんの感想としては、映画観賞にも十分耐えられる音質であるというもの。
しかし、過去に本格AVアンプと、当時ではクラス最大級800Wアンプ搭載サブウーファー、ヤマハのYST-SW800をシステムに組んでいた僕がはたして満足できるのか?
実際に音出ししてみると、その本体の大きさから想像される音質とは大きく異なり、結構迫力のある音質に驚かされました。
よくよく調べてみたところ、本機にはスキャンスピーク社製のスピーカーが搭載されているとの事。
このスキャンスピーク社とは、デンマークのハイエンド・スピーカーブランドであり、日本国内のオーディオ専門誌「Stereo (ステレオ) 」にも特集が組まれるほどのスピーカーブランド。
この8Wのフルレンジスピーカーに併せて2台のパッシブ・バス・ラジエーターを本体の左右に設置することにより、低域の強化と広指向性を実現させているとのこと。
出音のイメージ的にはBOSEの広指向性スピーカーが内蔵されているような感じでしょうか?
人の会話が中心のドラマや映画であれば、特に大きな不満は無いと思います。


↑スキャンスピーク社製の8Wスピーカーを搭載


しかし、本機の設置位置がリスニングポイントよりも背後になる場合には音も背後から聴こえる状態になってしまう為、気になる方は別途にブルートゥース・スピーカー(もしくは有線接続スピーカー)を前方にセットするか、ヘッドホンを使うなどの工夫が必要になります。
僕自身も、本機に対して音質面では大きな不満は無かったのですが、以前にソフトバンクがオマケとして配布していたブルートゥース・スピーカー、harman kardon ONYX STUDIOと組み合わせてスクリーンの前に設置することで、更に音の広がりと迫力がアップしました。



↑以前、ソフトバンクのおまけとして配布していたブルートゥース・スピーカー、harman kardon ONYX STUDIO。
 音質的に素晴らしく、個人的にとても気に入っている製品だ。


  最後に本機最大の特徴であるAndroid TV 9.0というシステムを搭載している点。
これは他のポータブル・プロジェクターのみならず、据置き型プロジェクターに対しても大きなアドバンテージになっています。
本機そのものにスマホのような機能があるため、ネット上の動画配信サイトへ直接アクセスすることにより、外部からの動画再生機器を接続しなくとも数々の動画や画像、音楽、ゲーム等を堪能する事ができます。
(YouTube、Amazon Prime、Abema TV、Hulu、FOD、GYAO!、U-NEXT、dTV、etc、、、。)
本機を購入前にはブルーレイ・プレーヤーを接続しての使用を大前提に検討していたのですが、Amazon Prime、U-NEXT、dTVに加入している我が家では、今のところブルーレイ・プレーヤーの出番は全くありません(苦笑)。それくらいAndroid TVの使い勝手が素晴らしいのです。
アプリ操作は附属のリモコンと本体上部のタッチパネルの他、スマホと連携させてスマホ上での操作も可能です。
これらの中では附属のリモコンが最も操作しやすいと感じますが、ボタン類に照明機能があれば更に完璧だと思いました。





ここまではAnker Nebula Capsule IIに関してベタ褒めの感想が続きましたが、全く弱点が無いのか?と言われればそういう訳でもありません。
強いて気になる点を挙げるとすると、まず横方向の台形補正機能が無い事。
上下方向の台形補正は自動にて調整されますが、斜め方向から映写した場合に生じる台形歪みについては補正機能がありません。
そのため、映写面に対して真正面に本機を設置する必要があります。
その為、リスニングポイントよりも前方に本機を設置する場合には特に問題ありませんが、後方に設置する場合には自分自身が映写の邪魔になってしまうため、リスニングポイントを横に避ける必要があります。(本機は天吊り(逆さ吊り)設置にも対応している為、天吊り設置できればこの問題は解決します。)

もう一つ挙げるとすると、HDMI入力モード時にはブルートゥース出力による外部スピーカーへの接続ができないこと。
その為、HDMI入力モード時に外部スピーカーを使用したい場合には、有線接続による外部スピーカーをセットするか、ヘッドホンを使うなどの工夫が必要になります。

ということで、ちょっとした弱点はあるものの、それでも十分満足できる完成度の高い製品だと思います。
モバイル・プロジェクターというカテゴリーの製品ではありますが、本体が小型であるからこそ据置き用としても邪魔にならない大きさで日本の住宅事情にマッチした製品だと思います。
実は現時点(2020年8月)ではモバイルプロジェクター最強と言われているXGIMI Halo(ジミー ハロ)と悩んだのですが、実売価格にて約2倍近い差があることと、Anker Nebula Capsule IIを絶賛する意見を選考上の加点にして最終的には本機に決めましたが、これはこれで正解だったと感じています。

また、これは特にAnker Nebula Capsule IIに限ったことではありませんが、やはり映画というものは液晶ディスプレイのように画面自体が発光しているパネルに表示された映像よりも
白い壁やスクリーン上に映写された映像の方がより映画館の雰囲気に近い感動が得られることを再認識しました。
ただ単に画面が大きいというだけではなく、あの独特の映像の質感があることによって、より映画としての没入感を生み出すのだと思います。

以上、白い壁さえあればどこでも手軽に大画面が堪能できるAnker Nebula Capsule IIは、ホームシアター入門用としてだけではなく、本格的に導入したい方にもお勧めできる魅力と実力を備えた製品だと思います。
(記:2020年8月14日)



↑スクリーンには16:9の90インチをセットしてあるが、部屋に大きな白い壁があれば、その壁に映写してもOK。



↑サンワの床置き式プロジェクタースクリーンPRS-Y90HD(16:9 90インチ)
 メーカー希望価格税抜き52,800円の製品だが、近所のハードオフで箱入りの未開封未使用新品をなんと8,000円でゲットした。





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