パウダー専用エスプレッソマシン

デロンギ CAFE TREVISO BAR14N & コーヒーグラインダーKG364J








<思いがけずエスプレッソにハマり、パウダー機も欲しくなった!>
今から一ヶ月ほど前に、気軽にカプチーノが飲みたいという要求からカフェポッド専用機のPD-1を買った。これはこれで大変満足のできる
製品であった。実売4万円のポッド専用機でありながら、高級機にも迫る高性能な一面も見せ付ける名機である。
しかし予想していた以上にエスプレッソにハマってしまい、たまにはじっくりと豆から挽いてエスプレッソを淹れてみたいという欲求も出てき
た。そこでさっそくパウダー機の検討に入った。

 <三大家庭用エスプレッソマシンとは?>
普及価格帯の家庭用エスプレッソマシンは数多く存在するが、人気のある機種は概ね次の3種に絞られる。それはサエコ社のマジックカ
プチーノ、デバイスタイル社のTH010、デロンギ社のBAR14(20)である。結論から言えば僕はデロンギのBAR14を選んだのだが、理由は
構造が最もシンプルで低価格、それでありながらエスプレッソ抽出に関する重要なツボがしっかりと押さえられているからだ。しかし、ここ
までを読んで「じゃあ僕もBAR14に決めよう!」と安易に結論づけてはいけない。それについては後から追って説明する。
 まず、マジックカプチーノを選ばなかった理由は単純に価格の問題。TH010とBAR14が1万円程度で販売されているのに対し、マジックカ
プチーノは3万円程度で販売されている。そしてデバイスタイルのTH010に関しては、抽出量が最低2人分からとなっており、豆の消費量
に無駄が生じてしまう。また、フィルターカップ部にもクレマ増強機構なるものが付いており、この部分の必要性とメンテ性に疑問を感じた
ので、最もシンプルな構造のBAR14に決めたというわけである。またBARシリーズには金色ラベルのBAR20が存在し、こちらはポッドも併
用できるタイプだが、価格が少々高く、パウダーを使用する際に黒いゴムパッドを乗せる必要があり、フィルターホルダーの抽出口の形状
も気に入らなかったのでBAR14にした。それと同じデロンギにEC200というモデルもあるが、こちらはBAR20のデザイン変更版だと思って頂
いていいと思う。
また、パウダー機は一概にコーヒーパウダーの挽き目にシビアだというので、ネット上で評判の良いデロンギのコーン式コーヒーグラインダ
ーKG364Jも一緒に購入した。

早速持ち帰り色々と試行錯誤してみたが、想像以上にセッティングがシビアなのに戸惑ってしまった。まず一発目はグラインダーの挽き
目設定を最も細かい状態で挽いて軽めにタンピングして1人分を淹れてみる。ところが殆どならす程度のタンピング圧にも関わらず、ポタ
ポタとしか垂れてこないし時間も掛かる。明らかに挽き目が細か過ぎるようだ。次に最も細かいところから5番目に粗いポジションで挽い
て、ヘルスメーター計測で20キロ程度のタンピングをして抽出すると、今度は10秒も経たないうちにあっという間に30ccを超えてしまう。
再度同じパウダーを使って全体重を掛けてタンピングしても殆ど効果なし。そこで今度は一段づつ挽き目を細かくしながら試していったと
ころ、最も細かい位置から2番目の位置で、7〜10キロ程度のタンピングをした時がベストセッティングだということが判った。30ccまでの
抽出時間が約20〜25秒で、「クレマ」「ボディ」「ハート」の3層分離もバッチリ。勿論、味も文句無しです。但し、このベストセッティングを見
つけるまでにホール豆を150gほど消費しました。

今回の試行錯誤をした中で強く感じたことは、事前の情報のとおりパウダー機はグラインダーも必要不可欠であるということ。挽き方が少
々変化しただけで、タンピング圧の強弱加減では対処しようが無いほど抽出がバラついてしまう。グラインダーを持っておらず、既に挽き済
みのパウダーを使用している人は問題なく淹れられているのだろうか?と心配になる。実際にネット上の評価を見ると、深く考えずに軽い気
持ちで購入した人と、抽出の難しさを理解した上で購入した人とでは、このBAR14に対する評価が大きく異なっていることがこれらを象徴して
いるように思う。

さて僕が安易にこのBAR14を薦めることが出来ないと言った理由は、BAR14のスチーム部の構造が少々貧弱だからである。というよりも、こ
のスチームを使ってみていかにPD-1のスチーム部が優秀であるのかを再認識させられた。PD-1の場合、乾いたスチームが勢いよく安定し
て長時間持続するのに対し、BAR14では若干ウエットなスチームが強くなったり弱くなったりを繰り返したあげく、15秒ほど経過したあたりか
ら勢いが落ちてしまう。
 それ以外では、ノズル形状がカプチーノ用のふわふわフォームドミルクしか作れない構造になっていること。PD-1ではノズルアウターの脱
着が可能なので、アウターを外すことにより、スチームミルクからフォームドミルクまで自由自在に作ることが出来る。つまりラテアートの練習
が目的の人にとっては、このBAR14は不向きだといえる。
同じパウダー機でもTH010はPD-1と同様にノズルアウターが取り外せるので、ラ
テアートを練習したい方はTH010や、マジックカプチーノの方が向いていると思われる。
(訂正)
上記で、BAR14ではふわふわフォームドミルクしか作れない構造になっていると書いたが、スチーミング中にフロスター全体をミルクに沈み込ま
せることにより、フォームド具合を調節できることが判りました。ただし、フロスターが取り外せる機種に比べて若干のコツが必要なことは確かで
す。


<コーヒーグラインダーについて>
パウダー式のエスプレッソマシンで丁度良く抽出させる粗さで豆を挽くことができ、かつ普及価格帯の製品となると意外に選択肢が少ない。
定番アイテムとしては手挽きタイプのポーレックス社のミルが存在し、こちらは3,000円程度から販売されているが少々手が疲れるというデメ
リットがある。電動式としては今回購入した電動式のデロンギKG364Jの人気が高い。これら以外にもこのワンクラス上にアスカソ社やランチ
リオ社のグラインダーも存在するが、こちらは価格が5万円を超えてしまうのでなかなか手が出しにくいと思う。
また、メリタからは「パーフェクトタッチII CG-4B」という実売価格が5,000円〜6,000円程度で販売されている製品があるが、こちらは某サイト
の検証によるとエスプレッソ用としては挽き目が少々粗すぎるようである。
さてKG364を使ってみた印象を一言で表すと「これで十分じゃない?」という感じ。粗さ調整もカチッカチッとしたクリック感はあるものの、その
中間で止めることもできるので結構微妙な粗さ調整が可能である。またネット情報の一部では結構な量のパウダーが刃の周りに残るという
ことであったが、僕の場合は殆ど残ることなくキレイに落ちていた。一般的な家庭で使用するのならこれで十分ではないだろうか?
(後日追記:粉残りが少なかったのは新しかったからのようで、その後からは結構な粉残りが見られるようになりました。
内部の粉を全て吐き出させるためには、本体の背面側が上になるように持ち上げて、背面をトントンと叩く必要があります。)

<最後に・・・>
最初に使い方のコツを掴むには少々の勘と根気とセンス(?)が必要なのは事実だと思う。しかし、自分なりのベストセッティングを見つけたと
きの達成感はポッド機では味わえないものだろうと思う。
じっくりと時間が掛けられる時にはBAR14でエスプレッソ抽出を楽しんでいこうと思う。
(今後も引き続きレポートを追記していきます。)
(記:2008年7月6日)





↑左が1人用、右が2人用のフィルターカップ。


↑1人用の場合、タンピングしない状態でカップと面一になればおおよそ8gとなる。
 (写真の表示は、あらかじめフィルター分の重さを差し引いてあります。)


↑タンピング後の状態。
 購入直後の状態ではタンパーが本体にぶら下がっていますが、取り外して
 使用したほうが断然使いやすい。


↑黄金のハチミツがとろ〜〜りと垂れ落ちているかのような状態。


↑抽出部のアップ。


↑抽出直後の様子。


↑僕にとってのグラインダー目盛りは写真の位置がベストであった。


↑豆を引き終えた後のグラインダー内部の状態。それほどパウダー残りはない。
 ちなみに中刃を止めているボルト孔の上には必ず豆が一粒乗っている。
(後日追記:粉残りが少なかったのは新しかったからのようで、その後からは結構な粉残りが見られるようになりました。)




<BAR14を購入して約1ヵ月が過ぎて・・・>
あれから約1ヶ月の間、毎日欠かさずこのBAR14を使用している。一方、PD-1は時間の無い時のPOD抽出用として使用したり、時間はあるけれ
ど、カフェラテなどのスチームドミルクが必要な時には抽出をBAR14で行い、スチームはPD-1を併用して使っている。
(PD-1のスチームに慣れてしまうと、BAR14のスチームはちょっと、、、、。)

また、BAR14にはお試し用のコーヒーパウダーが漏れなく貰えるハガキが同梱されているので、早速ハガキを投函したところ1週間ほど経ってか
らムセッティのエボリューションというコーヒーパウダーが届いた。開封して中身を見てみると、まるで小麦粉のような極細挽きのパウダーだったの
で、これでまともに抽出ができるのだろうかと不安になった。ところが軽めのタンピングで丁度良い感じに抽出ができた。しかし前回KG364にて極
細挽きした時には、軽めのタンピングでもポタポタとしか抽出されなかったので何故だろうと一瞬疑問に思ったが、パウダーを見比べることで原因が
すぐに判った。
KG364で抽出直前に挽いたものは豆の油によって粉が若干しっとりとしているのに対し、缶入りの挽き済みパウダーはサラサラになっているために
湯圧の抵抗が少ない事が原因なのだろうと思う。


↑おまけで貰えるムセッティ・エボリューション。

また、後になって気がついたのだが、フィルター(1人用と2人用)によって豆の挽き方も異なるようである。僕が使っている豆の場合、1人用の時
よりも一目盛りほど細かいポジションで挽くと2人用フィルターで丁度良い感じであった。(1人用フィルターの挽き方で、2人用フィルター&2人分の
パウダー量では抽出が早すぎてしまう)
最近はもっぱらアイスラテばかりですが、実に癖になる美味しさですな〜(笑)
(追記:2008年8月3日)


↑特に意味は無いですが、BAR14で抽出した後の豆カスです。

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