E61グループヘッド用デジタル温度計&取り付けアダプター

Digital Thermometer & Adapter for Exposed E-61 Groupheads






<Photo :とんかつサンド>     (この記事はQuickMill Andreja Premiumのレビュー内容から抜粋編集されたものです。)


↑「Digital Thermometer & Adapter for Exposed E-61 Groupheads」のセット一式。


【エスプレッソ抽出用、湯温管理の必須アイテムについて】
シングルボイラー&ヒートエクスチェンジャー(熱交換器)仕様のE61系セミコマーシャルマシンの場合、エスプレッソ抽出用のお湯は抽出に適した温
度を維持するようには制御されず、スチームボイラー内の温度に大きく左右されてしまう。
そのため、しばらくスタンバイ状態に置かれた場合の抽出用湯温は軽く100℃を超えてしまっている。

この状態からエスプレッソを抽出したい場合、一発目のショット(抽出)ならば、しばらくお湯を排出させることで湯温を下げる「クーリング・フラッシュ」
を行えば大きな失敗は無い。
ところが立て続けに2回目3回目とショットを繰り返す場合は適正な抽出温度を確かめる術が無い。

そこで、より精度の高い湯温管理を行うための便利なアイテムが米国内のショップからリリースされている。
それが「デジタル・サーモメーター & アダプター for E61グループヘッド」(Digital Thermometer & Adapter for Exposed E-61 Groupheads)だ。
これはE61グループヘッド正面の鼻筋部分(?)にある六角穴付きボルト部に装着するもので、これにより、グループヘッド内を流れる湯温がそれ
こそ手に取るようにリアルタイムに確認することができる。(摂氏(℃)と華氏(°F)の両温度単位に対応)
価格は、温度計と取り付けアダプターのセットで97ドルとなっている。
実は温度計自体はe-Bayから送料込みで1,000円程度で購入出来るのだが、取り付けアダプター単体を購入する術が無いため、上記価格で購入
せざるを得ない。
しかし、このアイテムは一箇所のショップだけが販売しているわけではなく、その他のショップでも取り扱われており、僕の場合はAndreja Premiumを
購入したショップから同時に購入をしたため、上記価格よりもいくらか安く購入する事ができた。

E61グループヘッドへの取り付けに関しては、特にマシン側を改造したり特別な手を加える必要は無い。
基本的にはE61グループヘッドの鼻筋部分に設置されている六角穴付きボルトを外し、その穴に取り付けアダプターを使用して装着するだけであり、
僕の場合、取り付けに掛かった作業時間としては10分と掛かっていない。
但し、工具としては12mmのスパナもしくはメガネと、11mmのスパナ(メガネは不可)を用意する必要がある。

ということで、温度計取り付けの手順を以下にまとめてみた。

1.デジタル温度計のセンサー部に、アダプターの構成パーツ全て(アダプターボディ、ナイロン製フェルール×2種、六角ナットキャップ)をマニュアルに
 記されている 順番&方向で仮組みし、ナットキャップとアダプターボディを指の力で回らなくなる程度にまで軽く締め付ける。(メーカー出荷時状態)
 この時、温度計センサーの先端が、アダプターボディのM6ネジ先端から3/8インチ(9.5mm)くらいの長さが突き出るように調節する。

2.後工程でナットキャップ側からセンサー先端の突き出し量(9.5mm)を決められるように、ナットキャップ根元のセンサー軸にマジック等で位置決め
 用のマーキングをしておく。

3.アダプターボディとナットキャップを一旦分解する。
 (ナットキャップ側には温度計本体とナイロン製フェルール×2種が組みつけられている状態でも構わない。)

4.E61グループヘッドに穴栓用として固定されている六角ボルトを慎重に外し、ボルトとグループヘッド間に挟まっている樹脂パッキンも取り外し、紛
 失しないように保管しておく。

5.ネジ穴をきれいにして、キットに付属されている銅製パッキン1枚をネジ穴底面にセットし、アダプターボディ単体をネジ穴に指の力でやさしくねじ込
 む。(この際、シールテープを使用する事は避けて下さいとマニュアルに記載されているので注意のこと。)

6.アダプターボディがネジ穴に底突きし、指の力では回らなくなった状態から12mmのスパナかメガネを使って1/8回転(45度)アダプターボディを締め
 こむ。

7.アダプターボディに温度計本体とナイロン製フェルール×2種、ナットキャップを(マニュアルに記されている順番&方向と間違いの無いように)軽く組
 み付け、温度計センサーの挿し込み深さを?でマーキングした位置に合わせる。

8.ナットキャップを指の力でねじ込み、回らなくなった位置から3/4回転(270度)11mmのスパナか小型のモンキーレンチ等でナットキャップを締めこみ、
 温度計本体のディスプレイの傾きを指で回して修正して組み付け作業は完了。

9.エスプレッソマシンに電源を入れて通常使用する温度にまで暖機させ、バックフラッシュによって10秒間程度加圧してアダプター周りに水漏れが無い
 かをチェックする。
 もしも漏れがあった場合、それがグループヘッド付け根であればアダプターボディを、ナットキャップ側であればナットキャップを慎重に増し締めする。
 また、正常に温度計が動作しているかについてもチェックする。

以上が組み付け手順となる。


で、実際にQuick MillのAndreja Premiumに装着して使ってみると、リアルタイムに正確な湯温を把握できる事は、便利であるのと同時に大きな安心感に
繋がると実感した。
実際、この温度計を使う事で判明したことがある。

Andreja Premiumにおいてボイラー内の水温が室温程度の状態からスタートアップさせた場合、上にも書いたようにおおよそ12〜13分程度でヒーターが停
止し、代わりに緑色のレディランプが点灯してにスタンバイOK状態になる。
という事は、外見からは一応、この時点で内部の湯温が90℃程度に温まったのか?と思ってしまう。
しかし、温度計によると、この時点でのエスプレッソ抽出用の湯温は70〜80℃程度にしか達していない。
それもそのはずで、ヒーターが停止したのは、あくまでもスチームボイラー内の圧力が設定値の1.2〜1.4barに達したからであり、その状態からHX内部
の抽出用の水が加熱されるまでにはタイムラグがあるからだ。
実際にグループヘッド内の湯温が90℃を越えたのは、ヒーターが停止した状態から更に5〜8分程度経過してからであった。
つまり、正常にエスプレッソを抽出するためには、どんなに急ぎであっても最低20分程度は待たなければいけないことになる。
(そもそも、セミコマ機はそのような使い方をするものではないので、、、。)

また、好みによって抽出時の湯温を微妙に高めに(あるいは低めに?)設定したいという場合にも、この温度計は便利だ。
ある程度の暖機をさせた状態では、抽出用の湯温は100℃〜105℃程度にまで加熱されている。
ここからクーリングフラッシュによって湯温を下げていくのだが、温度計を確認しながら下げていく事で、まるでPID機のように(?)ある程度狙った湯温
での抽出が可能になる。
つまり、このデジタル・サーモメーターによる抽出湯温管理と、上にある抽出圧調整機能を駆使する事により、実に幅広いバリエーションのエスプレッソ
を作り出すことが可能となるのだ。

ということで、これはAndreja Premiumだけに限らず、E61グループヘッド&HX機には必須アイテムと言い切っても良いだろう。



↑デジタル温度計をグループヘッドに装着した状態。



↑装着に関しては特に難しい点は無い。


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