Victor JVC EXOFIELD THEATER XP-EXT1 ワイヤレスシアターシステム

(XP-EXT1 VS MDR-HW700DS)




(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、個人による感じ方以外に映像ソース、音源の質や接続機器等、再生環境によっても大きな差が生じる点もご理解願います。)




【既存のバーチャルサラウンドヘッドホンとは異次元の再現性!?】
僕は以前、自宅の部屋に本格AVアンプと当時ではクラス最大級800Wアンプ搭載のサブウーファーやと大型スピーカーによるリアル7.1chシステムを組んでいました。
しかし、実際に映画を観賞する事が多い夜間には大きな音を出す事ができなかったり、なんだかんだで現在ではソニーのデジタルサラウンドヘッドホンシステム、MDR-HW700DSとプロジェクター&90インチスクリーンにて映画を堪能していました。
MDR-HW700DSのサラウンド感に関しては不自然な誇張も無く、自然な立体感と空気感で再現されており、これはこれで充分満足していたのですが、やがてVictor EXOFIELD THEATER XP-EXT1の存在が気になり、この度追加購入しました。

ということで、今回はXP-EXT1 VS MDR-HW700DSという視点でレビューしてみます。
試聴にはXP-EXT1 に付属のデモンストレーション・ブルーレイディスクと映画「レディ・プレイヤー1」を使用。

まずヘッドホンの外観ですが、使用されているドライバーユニットがXP-EXT1では40mmであるのに対しMDR-HW700DSでは50mmを使用している為か、ハウジングとイヤーパッドがMDR-HW700DSの方が若干大き目。
パッド内部の奥行きもMDR-HW700DSの方が深く、装着した感じも耳周りに若干の余裕を感じます。
装着感はXP-EXT1の方がややタイトに感じますが、逆に僕にとってはMDR-HW700DSの装着感がやや緩いと常々感じており、むしろXP-EXT1の方がしっくりくるように感じます。
側圧も特にきついとは感じません。重さはMDR-HW700DSが320gなのに対してXP-EXT1では330gとなっていますが、どちらも特に重いとは感じず長時間の装着でも苦になることはありません。

さて、XP-EXT1がMDR-HW700DSとは大きく異なるのがEXOFIELD技術によってDolby AtmosやDTS:Xなどのマルチチャンネル音源(7.1.4ch)をリアルに再現させるというもの。
これを実現させるためにハウジング内部に装備されたマイクによってひとりひとりの音の伝わり方の特性を正確に測定し、サラウンドの効果を最適化させるという点。
このEXOFIELD技術によるサラウンド感というものがMDR-HW700DSによるバーチャルサラウンドとはどのような差があるのか?

結論から言いますと、僕の場合はEXOFIELD技術および測定結果との相性が完璧にマッチしたのでしょうか?MDR-HW700DSによるバーチャルサラウンドとは別次元のリアルなサラウンド空間が再現されました。
MDR-HW700DSでは、自分を中心に直径1メートルくらいの範囲内で音が移動する感覚で、またそれぞれのチャンネルに関しては良く言えば自然な音の繋がり感というイメージで、そこにスピーカーが設置されているという感覚はあまり感じ取る事ができません。
これに対してXP-EXT1では、10畳間の部屋の隅々に150ミリくらいのスピーカーユニットを備えたトールボーイが自分を中心に2〜3メートルほど離れた位置に設置され、更には2メートルほど頭上の天井の前後に4つの天井スピーカーが設置されている様子がハッキリと感じ取る事ができます。
ネットで調べたレビューの多くは、背後に回り込む音は聞き取れるが天井スピーカーからの音はあまり感じられないというレビューが多かった事であまり期待はしていませんでしたが、僕に関してはハッキリと天井スピーカーからの音を感じ取る事ができました。
一方、MDR-HW700DSではDolby AtmosとDTS:Xには非対応なので、天井スピーカーからの音は感じ取ることができません。


↑正に、上図のようなサイズのスピーカー&配置にセットされたサラウンド感のイメージ
 それぞれのスピーカーの定位と距離感をハッキリと感じ取る事ができる

次にセンタースピーカーに関しても、多くのレビューでは前方定位が弱いとの事でしたが、僕の場合は3メートルほど離れた位置の90インチスクリーン全体からセリフが発せられているように感じられ、違和感はありません。
また、低域の出方についても、一部レビューではMDR-HW700DSと比較して低域の出方が弱いという感想もありましたが、僕の場合はむしろMDR-HW700DSよりも力強く、しかも少し離れた場所から広範囲に包み込むように響いてくる感じで、XP-EXT1の方がリアルに感じます。

その他のところでは、スマホとの連携によって様々な設定や現状の様子(入力信号)などが全てスマホから確認できる点も便利ですね。
MDR-HW700DSではプロセッサーユニットを通した映像内にP in P状態でしか設定内容を確認することができず、更にHDCP2.2に非対応な事もあって4K UHD盤を再生時には設定情報を確認する事ができません。
ボリューム調整に関しては、MDR-HW700DSがハウジング側面にアナログ式ダイヤルが設置されており、ヘッドホンを頭部に装着したままでも違和感の無い音量調節ができていました。
これに対してXP-EXT1ではハウジング側面にボリュームダイヤルは無く、ハウジング側面を指で撫でることにより音量を調節する仕組みです。
この点について、購入前は操作性の悪さを懸念していましたが、実際に操作してみると特に違和感の無い調節をする事ができました。

ということで、サラウンドヘッドホンとしてはXP-EXT1に対してMDR-HW700DSの方が勝っていると感じられる点は何一つ感じられず、サラウンドのリアル感、音質、操作性、設定項目の多彩さ等、全ての面でXP-EXT1の方が優れていました。
まあ、メーカー希望価格で2倍以上の差がある訳ですから、これ位の違いが無ければ納得もできないでしょう。

ちなみにヘッドホンのお値段として考えた場合、実売価格で10万円前後というお値段は高額な部類になると思います。
しかし、このヘッドホンで得る事ができるサラウンド効果と同等の効果を実際にAVアンプやスピーカーを設置して実現させようとした場合、とても10万円では無理だと思います。(あくまでも、お一人様視聴の場合ですが)
この点を考慮すると、僕はむしろ安上がりではないか?とさえ感じています。

レビューの中には期待外れとのコメントも見受けられますが、これらのレビューを多く目にしていた事もあるのでしょうか?僕にとっては期待以上の製品でした。
映画を観るためのサラウンドヘッドホンとして、XP-EXT1は既に完成の域へ到達したと言っても過言ではないと思います。
(記:2021年2月20日)


<↓2021年2月27日追記↓>
映画「トリプルX:再起動」のブルーレイ(2K版:Dolby Atmos収録)を観た。
後半の倉庫内での銃撃戦のシーンがDolby Atmos全開で凄い迫力!
銃の発射音が倉庫の屋根(トタン板)に反射して、上から降り注ぐように音が響いてくる。
まるでその現場に居るかのよう。
しかも天井スピーカーの前後の鳴り方の違いも聴き取ることができる。
こりゃあ凄い(驚!)





<↓2021年3月3日追記↓>
<専用アプリおよびファームウェア無償アップグレードについて>
本日(21/3/3)JVCの公式サイト上にて、XP-EXT1本機のアップグレードおよび専用アプリのアップデートが発表&配布されました。
以下、公式サイトより抜粋

「アクション映画やライブ映像などのセリフが明瞭かつ迫力ある低音のサウンドで楽しめる「THEATER ROOM2」を追加
1.コンテンツの特性に合わせてより最適な音場が楽しめるよう、広い音場や自然な空間を再現した従来の設定を「THEATER ROOM1」とし、
セリフの明瞭さや低音の迫力を優先することによりアクション映画やライブ映像などをさらに臨場感のあるサウンドで楽しめる音場設定「THEATER ROOM2」を新たに追加しました。
これにより2つの異なるシアタールームの空間で視聴しているような音場を楽しめます。

2.クリアでメリハリのある音質に改善
再生アルゴリズムの改良により、従来と比較してクリアでメリハリのある音質※2を実現しました。
※2:ファームウェアのアップデート後、再度測定(EXOFILED matching)をすることで適用されます。」(抜粋以上)

早速アップデートしました。
アップデートに掛かる時間は12分程度でしょうか?
まず音場設定「THEATER ROOM2」を試してみますと、以前よりもサブウーハー(LFE)による低域がパワフルに、そしてレンジが広くなっている事が実感できます。
人のセリフに影響を与える中域帯も厚みが増しており、全体的にラウド感がアップした印象。
だからと言って変に籠ったりせず、一つ一つの音の輪郭はくっきりとしています。

「THEATER ROOM1」については以前と大きな違いは感じませんが、DSPソフトのアップデートにより、若干メリハリの向上が感じられます。
定位感も以前より少しアップしているように感じます。

<↓2021年3月6日追記↓>
上記のアップデート実施後、何本かアクション系の映画(全てDolby Atmos音声)を観賞してみました。
僕の場合はもともとアップデート前の状態でも低域の出方に不満は無かった事もあり、新設された「THEATER ROOM2」ではむしろ低域が過剰に感じられてしまうことが判りました。
これによってサラウンドの広がり感も若干阻害されてしまう印象。
色々と試した結果、アップデート後の「THEATER ROOM1」の方がレンジも広く自然な感じでベターな印象です。



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