エスプレッソマシン ラ・マルゾッコ GS3

La marzocco GS3 (Auto Volumetric Model)






<Photo :とんかつサンド & 一部web画像より転載>     (2023年3月4日 内容更新)


【いざ!セミコーシャルマシンの上級クラスを目指して・・・】
僕は、2012年4月にE61系セミコマーシャルマシンであるクイックミル社のAndreja Premiumを購入し、その準業務用ならではの優れた性能を堪能しつつ、今日までの10ヶ月間使用してきた。
(セミコマーシャルマシンの詳細と、HX機のAndreja Premiumに関する詳細記事については→こちら
このAndreja Premiumは、シングルボイラー機でありながら、HX(熱交換)構造によってエスプレッソの抽出とミルクスチーミングを同時にこなす事ができるマシンであり、
僕的には、E61というグループヘッドを搭載したセミコマーシャルマシンの中において、コストパフォーマンスにとても優れたマシンであると感じている。
ところが、今度は日本の100V(15A)の電源環境で使用することができる条件の中で、更なる上位に位置するマシンを試したくなってしまったのだ。

今回のターゲットとなる機種を検討する上で、ポイントとなる条件は以下の4つ。

1.ブリュー(抽出)用とスチーミング用のボイラー&ヒーターが独立したダブルボイラー方式

2.音が静かで振動も少ないロータリーポンプ採用

3.ブリューボイラーとスチームボイラーを個々に制御可能なPIDコントローラー装備

4.価格は送料を含めて2500ドル超(汗)

以上の4点だが、僕的に興味をそそる機種を適当に独断で絞り込んだ結果、以下の3機種が候補に挙がった。

まず1台目は、昨年(2012年)の発売開始と共に人気急上昇中のRocket社初のダブルボイラー機である R58。
そして2台目が、E61系ダブルボイラーマシンのベストバイとの呼び声も高い、IZZOのAlex Duettoで、しかも大好評であったAlex Duetto 2に対して更
に改良を施したモデル、Alex Duetto 3が2012年末から発売が開始されたばかり。
それも、あまりの好評につき、しばらくメーカー欠品が続いていたモデル。

そして最後の機種は、エスプレッソマシン界のフェラーリとも称される業務用エスプレッソマシン専門メーカー、ラ・マルゾッコ(La marzocco)が、家庭用
としても使用可能なマシンとして世に送り出したGS3だ。

これら3機種はいずれも共通して上記の3点のスペックを有し、かつ、日本の100V(15A)環境でも使用することができる(らしい。)
しかし、Rocket社 のR58だけは他の2機種と大きく異なる点がある。
それは、R58だけがブリュー(抽出専用)ボイラーとスチームボイラーが完全に独立したダブルボイラー機であるということ。
ここで、「いや、いや、、、、だって、ダブルボイラー機だから当たり前じゃん?」と、思われた方もいるのではないだろうか?
その理由について、簡単に説明させていただく。


【ダブルボイラー機にも2つの種類がある?】
R58の場合、給水タンクに溜められた水は、ポンプによってスチームボイラーとブリューボイラーの双方に直接給水される。
まあ、ダブルボイラー機なのだから、これが当たり前といえば当たり前だ。

これに対し、GS3もAlex Duettoもダブルボイラー機という点では同じなのだが、ブリューボイラーへの給水は給水タンクから直接注がれるのではなく、H
Xマシンのように、スチームボイラー内に装備されている熱交換器を通過してからブリューボイラーへ注がれる構造となっている。
これにより、抽出中にブリューボイラーへ低温の水が注がれてしまう事による抽出湯の温度低下を防ぐ仕組みだ。
(この機能をプレ・ヒーティングシステムという。)

では、R58では抽出中に湯温がどんどん低下してしまうのか?という疑問については、海外のサイトを片っ端から読み漁ってみたが、特にそのような
現象に関する記述は見つけられなかった。
(そもそも、発売されてからの期間もそれほど長くは無いので、R58のレビューそのものが、あまり多くは無いのだが、、、。)
しかし、「このR58は20Aモードで使用することを前提とされているようで、実際に20Aで使用した方が真価を発揮してるっぽい・・・」という内容のレビュ
ーがいくつか見受けられたことから推測すると、もしかしたら15Aモードではヒーターの能力が追い付いていないという事を意味しているのかもしれない。

その他では、PIDコントローラー&ディスプレイが本体に組み込まれておらず、後付パーツのようにハーネスでぶら下がっているだけという点が格好悪
いのと、地味に不便という意見も多かった。(この格好が悪いという点については僕も同感だ。)
また、メーカーにとって初のダブルボイラー機という点も、大いに不安要素ではある。
ということで、これらの不安材料からRocket社のR58は除外と判断。

続いてIZZOのAlex Duetto 3であるが、まだ発売から間もないことからDuetto 3に対するユーザーレビューは殆ど見つけることはできない。
しかし、前モデルのAlex Duetto 2が多くのユーザーから大絶賛であったモデルの更なる改良版ということで、かなり期待大だ。
Duetto 2のユーザーレビューの多くがポジティブなもので、ネガティブなポイントについては、今回のモデルチェンジによって解消されているようだ。
ということで、こいつが現時点では最有力候補として一時保留。

そして最後は、寝る子は育つ、いや、泣く子も黙る、ラ・マルゾッコのGS3であるが、まず何よりも日本国内の正規ディーラーによる168万円という販売価格が恐ろしい(汗)
それに対し、米国内ではメーカー希望価格9,800ドルとなっており、実売価格としては日本国内に比べてかなりリーズナブルな(?)6,500ドル程度で販売されているようだ。
(それでも93円/ドル換算で60万円もするのだが、、、、。)


【ラ・マルゾッコGS3に関する深追い調査は危険?】
確かにGS3は世界中の小規模店舗オーナーやマニアックなホームバリスタ達にとって垂涎のアイテムであり、15A電源で使用可能な家庭用機として
は頂点の座を不動のものとしていることは誰もが認めるマシンだ。
(家庭用マシンの定義とは、?給排水配管せずとも使用可、?一般家庭の電力で使用可、?動作に必要なパーツを全て本体に内蔵、等が一般的)

ここで、本当にこのGS3が本体価格6,500ドル(プラス送料600ドル→計7,100ドル)を支払ってでも手に入れる価値のあるマシンであるのか?
(ちなみに実際の見積額は、常連さん割引として本体を6,000ドルにしてくれたため、送料込みで約6,600ドルとなった。)
実際に買う買わないとは別に、単純にこのGS3と、ラ・マルゾッコというメーカーについての興味が沸き、そこで約2ヶ月間、ラ・マルゾッコとGS3につ
いて徹底的に調査を行った。

しかし、日本国内においては個人の趣味として実際にGS3を所有している方のレビューが書かれたブログやホームページを見つけることが出来ず、
店舗用として使用されている方のブログでも「さすがGS3、最高です。」程度の情報しか得ることが出来ないため、僕は海外のサイトを片っ端から読
み漁って、様々な情報を入手することにした。
ユーザーレビューは勿論、過去に発生したトラブルの内容やその対処法、定期的なメンテナンスに関すること、本体内部の構造や、インストールマニ
ュアル、使用説明書、PIDコントロールマニュアルやパーツカタログまで、徹底的に目を通した。
そして、GS3が誕生した経緯や業務用フラッグシップのGB5/FB80の事やラ・マルゾッコの歴史など、、、。
GS3とラ・マルゾッコに関するありとあらゆる情報を徹底的に調査を進めていった結果、僕の脳内におかしなスイッチが入ってしまったのだ、、、、。

「GS3って、、、、自分が思っていた以上に凄いマシンだったのでは、、、?
 為替相場がどんどん円安になっている今、このまま待っていたのではGS3がさらに遠退いてしまう、、、。
 ということは、今のうちになんとしてでも手に入れておくべきではないか??」、、、、(汗)


インストールガイド(PDF:1.5MB)

オーナーズマニュアル(PDF:5.51MB)

ソフトウェア&プログラミングマニュアル(PDF:611.8KB)

パーツカタログ(PDF:5.58MB)


【ラ・マルゾッコGS3を個人輸入する際の問題点について】
ということで、いつの間にか、ラ・マルゾッコの GS3購入に向けて予算確保を検討しはじめることに、、、(汗)
(ごく普通のサラリーマンにとって、GS3の購入は当然、清水の舞台モノなのである(苦笑))
勿論、国内正規店での168万円という価格で買えるわけも無く、お得意の個人輸入での購入となるのだが、実はここでいくつかの問題がある。

まず一つ目の問題について。
GS3の購入に関して、米国にあるいつものショップの店長によると、ラ・マルゾッコのマシンを購入した場合、搬入時のマシン・インストールおよび設
定・調整作業はラ・マルゾッコのサービスマンか、認定されているショップの担当者が直接行う決まりになっているらしく、この一連の作業をユーザー
自身が行った場合は一切の補償対象外となってしまうとのこと。
つまり、個人輸入ではこれら一連の作業が事実上できないことから、本来は小売店から国外への販売自体が許可されておらず、どうしても購入した
い場合は全ての保証及び故障部品における代替パーツの無償送付等に関する権利を放棄し、整備・修理も含めて全てが自己責任でもOKであれ
ば、個人輸入でも買うことができるというものらしい。

しかし、今回のGS3は送料も含めれば6,600ドルもする高額商品。
しかも、いつ故障してもおかしくないようなハイテクパーツが満載されているイタリア製品。
これを不安に感じないわけがない(汗)

この点に関して、僕は事前に(自己責任の問題について)情報を得ていたこともあり、上記の約2ヶ月にも及ぶ調査時において、この件も踏まえた調査を行なっていたのだ。
特にパーツカタログに関しては、一点一点ごとのパーツの役割と、その役割から想像できるトラブルの内容と対処方法についても確認をしていった。
その徹底的な調査の結果、故障した部品を同ショップ(あるいは他のショップから)を通じて入手する事が可能であれば、僕一人でも対応する事が
できると判断し、この点についてショップ側に確認したところ、トラブルの症状を店側に伝える事で問題を解決に導くための相談や、交換が必要なパー
ツの特定といった相談には応じてくれることと、部品の取り寄せ販売(但し有償)については問題は無いとのことで、本機の購入を決意した。
(ちなみに単品部品として最も高額なのは、コンピューター基盤(Brain Card)の約500ドル)

(2013年5月5日追記:その後、店長さんのご厚意により、1年間のパーツ保証を付けてくれる事になった。)

そして二つ目の問題は、購入代金の支払いについて、僕の場合はこれまでの支払いにはPayPalを利用していた。
ところが、6,600ドルもの金額をPayPalで支払うとなると送金手数料だけで600ドルほどになってしまうので、銀行振り込みにして欲しいとのことであった。
しかし、私が契約しているネットバンクでは海外への(円→ドル変換)送金には対応していないため、平日の昼間に銀行へ直接足を運ばなければならなかった。
そして銀行の窓口(一番奥の為替取引専用窓口)にて、めっちゃ美人な銀行員のお姉さんの言われるがままに手続きをし、何とか無事に代金を送
金することができた。
その後、早々と入金を確認してくれた店長さんより、すぐに出荷の準備に取り掛かる旨のメールが送信された。

ちなみにGS3をショップが発送する場合、その他の一般的な機種のように倉庫に保管されているであろう在庫からそのまま発送されるわけではない。
上にも書いたように、GS3は本来サービスマンが設置と各種調整&設定作業を行なうのだが、個人輸入の場合はショップ側にて丸1日から2日間も
の時間をかけ、じっくりと各種調整&設定作業と、既定のチェック項目に沿った稼働テストを行なった後に発送されるのだ。

そして3つ目の問題。
GS3の場合、その梱包状態は一般的な「ダンボール箱」ではなく、「ダンボール&木製パレット」によって梱包されている。
そのため、その梱包総重量はなんと64kgにも及ぶ(驚!)
(パレット底部には、フォークリフトのツメを挿し込むためのスリットが入っている(苦笑))
ちなみにマシン本体の乾燥重量は32kgなので、残りの約32kgは付属品や梱包の箱や緩衝材、パレットの重さということだ。
そのため、UPSジャパンから「とても一人では降ろせないので、荷物を降ろす際に、手を貸して欲しい、、、。」という泣きの依頼が僕の元へ入った(苦
笑)

そして最後の問題。
このGS3はメーカーによって「業務用食品加工機械」と登録されているため、そのままでは厚生省への申請&許可を得ないと通関することができ
ないという事実がUPSジャパンより連絡された。
しかし、個人使用目的の場合は厚生省を通す必要が無いとのこと。
この場合、当該荷物が個人使用目的での輸入であるという事を書いた書類(担当者からメールにて送付)に、自筆のサインと押印したものが必要に
なる場合があるとのこと。
「必要になる場合がある」というのは、通関作業を担当する作業員によって大きな差があるからだそうだ。
その電話で話をした担当者によると、「私なら書類が無くてもそのまま通しちゃいますけど、頭の固い人は、その書類がないとダメと言う人もいます。」
とのこと。
そのため、書類が有った方が確実なので、とりあえず書類3通を事前にその担当者宛に郵送して欲しいということで、言われるままに3通を郵送した。
ところが結果的に、こちらから郵送した書類は不要であったらしい(苦笑)

ちなみにエスプレッソマシンのような電気機器を個人輸入する場合、関税は非課税となるのだが、店側の仕入れ価格(インヴォイス)が日本円換算で
1万円を越える場合、その金額に対して4%の消費税が課せられ、更にその税額に対して25%の地方消費税が課せられる。
これに更に通関手数料や保管料等が別途加算され、(こちらの額は、重さによって変化するようだ。)荷物の受け取り時に着払いとして支払う必要が
ある。

僕のGS3の場合、そのインヴォイス額は4,950ドル、実総重量66kgとなっていたため、荷受時に支払った額の詳細は以下のようになった。

・仕入れ価格4,950 USD→通貨レート93.39JPY =課税対象額→462,280円
 消費税(4%)→18,480円
 地方消費税(18,400円の25%)→4,600円
 税額計→23,000円(端数切捨)

 通関手数料他→7,498円
 上記合計→30,498円+通関料の消費税→350円

 着払い合計→30,848円 

      以上となった。

ということは、僕は総額約65万円ほどでGS3を購入したことになる。

それでも、機器の設置から1年間は修理費が無料である国内正規代理店による販売価格とは100万円以上もの差があり、代理店からの購入であっ
ても、1年が経過した後は年間で88,000円の保守契約を結ばない限り、修理費は有償となる。
僕の場合、定期交換が必要な消耗部品や故障した部品さえ入手する事ができれば交換作業は全く苦にはならないので、特にこの点が大きなデメ
リットとも感じてはいない。
ということで、現時点では個人輸入によって、とてもお得な買い物をしたと思っている。


【ラ・マルゾッコとGS3について】
ここでGS3について説明したいのだが、その前にまずはラ・マルゾッコというメーカーとコマーシャルマシンについて簡単に説明をさせて頂きたい。

ラ・マルゾッコ(La marzocco)とは、イタリアのフィレンツェに本社を構える業務用エスプレッソマシン専門のメーカーで、日本では「(ラ・)マルゾッコ」とか
「ラマゾッコ」などと呼ばれている。(ちなみに米国では「ラマゾッコ」と発音しているようだ。)

ラ・マルゾッコ(La marzocco)は、1927年にジュゼッペ・バンビ氏と弟のブルーノ・バンビ氏によってイタリアのフィレンツェに設立された。
社名のラ・マルゾッコ(La marzocco)とは、フィレンツェのシンボルであり、シニョーリア広場前や博物館に設置されているライオンの石像の作品名(ラ・マ
ルゾッコ)がその由来となっており、そのライオン像の姿がラ・マルゾッコ社のイメージシンボルとして、社名ロゴや製品のいたるところにちりばめられている。

つまり、仮に東京の渋谷に本社工場があったとしたら、その社名は「忠犬ハチ公」となり、イメージシンボルは、お座りをした秋田犬のハチ公像となるようなものだ。


↑フィレンツェのシンボルである「ラ・マルゾッコ像」


それまで縦型のボイラー1台による本体構成が当たり前であった時代の中、1939年に世界で初めてボイラーを横に(水平に)倒したレイアウトのマシンを発表として特許を取得。

さらに1972年には、ブリュー(抽出)用とスチーム用のボイラーを水平方向に並列配置し、それぞれを独立させたデュアルボイラーマシンを開発したことで一躍有名になる。
この世界初のデュアルボイラー・水平配置方式のマシンこそが、このGS3の先祖にあたるGSシリーズなのである。
GSのモデル名の由来は「GRUPPO SATURO」、(英語読み=Saturated Group(サチュレーテッド・グループ)、日本語に直訳すると、"浸される(満たされ
る)グループ(固まり)")の略であり、ブリューボイラーとグループヘッドが直結されている構造を示す意味になるのだが、これが、ボイラーとグループヘッ
ドがパイプ等で直結されるというレベルのものではない。
グループヘッド内部とそのネック部がボイラーと一体の中空構造となっており、その内部はブリューボイラーのお湯によって満たされている。
これにより、ボイラーとグループヘッドとの抽出湯の温度差を極限まで減少させて水温を安定させる仕組みだ。


↑世界初の水平横置きデュアルボイラーマシンの「GS」



↑Saturated Grouphead(画像はGB/5)



↑Saturated Groupheadの断面図


その後、LINEAシリーズやGBシリーズとFBシリーズ、そして2013年現在の最新モデルである、ストラーダシリーズにも、これらの基本構造は殆ど変
わることなくそのまま受け継がれていく。

1988年、ラ・マルゾッコはスターバックスのエスプレッソマシン供給メーカーとして独占契約を結ぶことになる。
これを機に、世界中の多くのスターバックスに設置されたのがLINEAシリーズである。
しかし、2008〜2009年あたりからスイス製の「マスト」という全自動機に徐々に入れ替えられ、現在のスターバックスでは殆どその姿を見ることはで
きず、スターバックス・マニアの一部には、ラ・マルゾッコが設置されている店舗の情報をネット上で共有しているほどだ。
尚、2013年3月現在でも、シアトルにあるスターバックス1号店にはラ・マルゾッコのLINEAが設置されている。

この80年代からの流れによって、北米を中心にラ・マルゾッコの評価が世界中で更に確実なものになったのだと思われる。

そして2005年、後に世界的な大ヒットモデルとなるGB/5を発売する。
このモデルは、既存の水平横置きデュアルボイラーマシン(リネアシリーズ)に対し電子制御関係を洗練させ、ブリューボイラーに冷水が注がれる事
を防ぐためのプレ・ヒーティングシステムを搭載し、エクステリアには美しい曲線を描くステンレスボディを纏わせたもの。
本機は創設者ジュゼッペ・バンビ氏の息子であるピエロ・バンビ氏の設計したマシンであり、「GB」というモデル名は、ピエロ氏の妻の名前である「ジ
ョヴァンナ・バンビ(Giovanna Bambi)」の頭文字が由来となっている。

また、ラ・マルゾッコ創立80周年の年となる2007年には、このGB/5にコンポジット素材の新たなデザインのボディを採用したFB/80が発売される。
現在、世界中のプロのバリスタ達にとって、このGB/5やFB/80をカウンターに設置することが最高のステータスとなっている。


↑「LINEA」 3連モデル(1993〜)



↑「GB/5」 3連モデル(2005〜)



↑「FB80」 3連モデル(2007〜)



↑「Strada」 3連モデル(2011〜)


そしてFB/80の発売と同じく2007年にはGS3が誕生することになる。

GS3(AVモデル)に関する主な仕様と付属品は下記のとおり

【主な仕様】
●PIDコントロールシステム(マルチファンクション・キーパッド&デジタルLCDディスプレイ)
●クールタッチ・ステンレス・スチームワンド&ホットウォーターワンド(火傷防止式)
●ジョイスティック式スチームノブ
●連式 1連式
●プリ・ヒーティングシステム(HXハイブリッド方式)
●ボイラー容量 コーヒー:1.5L、スチーム:3.5L (オールステンレス製)
●ヒーター ブリューボイラー:500W (115V)、スチームボイラー:1000W (115V)
●熱湯抽出能力 10L/h
●リザーブタンク容量 3.5L (実充填容量:約2.7L)
●ポンプ  FLUID-O-Tech社製 ロータリーポンプ
●エスプレッソ抽出能力 120杯/h
●電源:単相100V-120V
●寸法 W400×D530×H355mm
●重量 32kg(乾燥重量)

【付属品】
●ステンレス製ポルタフィルター、ダブル・スパウト/シングル・スパウト×各1
●La marzocco純正ステンレスタンパー
●VST社製・Strada インサートバスケット 21g / 17g / 14g / 7g / & バックフラッシュ・ディスク
●ステンレス製・水道直結配管用ホース
●排水配管用ドレンホース一式
●グループヘッドエア抜きボルト用銅ワッシャー予備×2枚 & 六角レンチ
●La marzocco純正エスプレッソマシン・クリーナー(Puro Caff) 566g
●水質(硬度)テスター
●インストール&ソフトウェア・プログラミング・マニュアル(英語版)
●オーナーズ・マニュアル(英語版)


↑付属品一式


このGS3は、ラ・マルゾッコのコマーシャルモデルの持つスペックをそのままレストラン、オフィス、ケータリング、喫茶店、そしてマニアックなユーザーの
ための家庭用として使用可能にすることをコンセプトに設計開発されている。
そのため、コマーシャルモデルであるGB/5に採用されている技術の全てが惜しげもなくこのGS3にも投入されており、グループヘッドやPIDコントロ
ールパネル&ディスプレなどの目に見えるパーツをはじめ、内部の各種制御系パーツや水平横置きに設置されるデュアルボイラー、プレ・ヒーティン
グシステム等の構造もコマーシャルモデルとほぼ共通だ。
GS3の基本構造は、GB/5やFB80の3連/2連グループモデルをそのまま輪切りにしてシングル・グループ仕様に分割し、本体の中にポンプや給水
タンクを内蔵させたようなものと考えて概ね間違いではない。
これらを裏づけることとして、ブリュー用とスチーム用それぞれのボイラー容量はGB/FB 3連モデルの約1/3、また、2連モデルの約1/2となっている。

・GB/FB 3連モデル:ブリューボイラー容量=5000cc、スチームボイラー=11000cc
・GS3         :ブリューボイラー容量=1500cc、スチームボイラー=3500cc  

モデル名も外観も、伝説の名器である「GS」を継承したかたちになってはいるが、システム的にはGB/5 & FB80シリーズのホームユース可能な1グ
ループ版と考えた方が正しい。
しかし、その販売価格についてはGB/FBシリーズをシングルグループに分割した金額よりも割高なものになっている。
GB/5 & FB80の3連モデルの国内正規代理店価格は約280万円であるのに対し、GS3の国内正規代理店価格は168万円ということで、価格割合
としては50パーセント以上の値がつけられている。



↑GB5(2連モデル)の本体内部。
 画面中央に見えるのがブリューボイラーで、右側に見えるのがブリューボイラーと一体構造になっているグループヘッド。
 そして画面左側に見えるのがスチームボイラーで、これらのレイアウトはGS3と全く同じだ。


【MPモデルとAVモデルの違いについて】
ところで、現行のGS3には2種類のバージョン・モデルが存在する。
1種類目としては、抽出量やプレ・インフュージョン(蒸らし)時間等のパラメーターを、設定に合わせて自動で制御してくれる機能を持つ、オートボリュ
ーメトリック(AV)モデル。
勿論、一般的なセミオートマシンと同様に、ブリューボタンがオンになっている間だけ抽出し、任意のタイミングでスイッチオフにすることで抽出を止め
るマニュアル操作も可能である。
ちなみに2007年にGS3が発売された時点ではこのAVモデルしか発売されていなかったのだが、その後、ラ・マルゾッコ製品全体の動きとして、バリスタ
によって抽出時の圧力の加減調整と抽出量をリアルタイムで自在にコントロール可能なパドルモデルが2009年初頭あたりから発売され、このGS3
にも新たにマニュアル・パドル(MP)モデルとして追加発売された。

これは、パドルと呼ばれる「ちょんまげ」のような形の調整レバーがグループヘッドに設置されているもの。
このレバーを操作することにより、抽出開始時のプレ・インフュージョン(蒸らし)をリアルタイムで自在にコントロールすることが可能になった。
販売価格はAVモデルの価格に対して200ドル程度上乗せされている。

僕もはじめはパドルモデルにしようと考えていたのだが、ショップ店長のアドバイスや米国でのネット情報によると、このパドルシステムはマシンを水
道直結式にすることにより、ポンプがオフの状態でも水道の圧力を利用して微妙な蒸らし効果と抽出圧の調整が可能になるものらしく、僕のように
内蔵のリザーブタンクのみを使用する場合、パドルは単純なポンプON/OFFだけのスイッチと化してしまい、全く何の意味も無いらしい。

むしろ200ドルも価格が高くなるのに対し、パドルモデルでは抽出量等の自動出力設定機能が使用できないことと、「蒸らし」についてはオートモデル
でも「Pre-infusion(蒸らし)」という設定モードがあり、そこで蒸らし時間を設定する事が可能なので、それならばAVモデルを購入した方が断然良いと
のことであった。
ちなみにAVモデルでは抽出湯量を検出するためのフローセンサー(流量センサー)を内蔵しており、これによって任意の抽出量を設定管理すること
ができるが、パドルバージョンではフローセンサーを内蔵しておらず、抽出量はユーザー側のパドル操作のみに託される。
また、パドルバージョンの場合はパドル内部の機構が複雑になっており、その部位に使用されている3〜5個のOリングを頻繁(数か月ごと)に交換する必要もある
らしく、この点も少々厄介だ。(交換作業そのものは簡単らしいのだが、、、。)
ということで、僕は上記の理由により、最終的にAVモデルを選択した。



↑GS3 マニュアル・パドルモデル(2009〜)
赤い印の部分がパドルコントロールレバーだ。
 但し、パドルの効果を得るためには水道直結が必須となる。



↑GS3 マニュアル・パドルモデルの本体右側内部。
AVモデルでは設置されているはずのフローセンサーがMP(マニュアルパドル)モデルには設置されておらず、
 そこまでの配管にはキャップが被せられている。(画像、赤丸部分)


【最新のGS3こそが最良のGS3】
また、このGS3は2007年に発売が開始されてから、結構頻繁に内部のパーツや制御プログラムなどをバージョンアップさせている。
これは、試作開発の時点では判明しなかった不具合などが、実際に多くのユーザーが使用していくことで発覚したものに対応する形で改良が施されていたようだ。
それも結構ストイック(?)なほど大きく改良されている部品もあるため、初期ロットユーザーたちは「Home-Barista.com」などで情報を交換し、改良パ
ーツが発売されたと知ると、こぞってそれらの純正部品を購入して交換しているようだ。
しかし、これらのダメ出し改良については、どうやら最初の2〜3年あたりで落ち着いたらしい。


【PIDコントロールパネルについて】
ブリューボイラーとスチームボイラーのヒーター制御は当然ながらPIDによってコントロールされるが、それだけではなく、抽出に関するポンプ動作の
制御や本体の電源管理の設定、トラブルや警告に関する情報などもこのディスプレイを通じて表示される。
また、本体にはヒーターの作動状態を示すランプがどこにも設置されていないのだが、実はこのPIDコントロールディスプレイ上に二つの四角いマー
クが表示されており、これがブリューボイラーとスチームボイラーの動作状態を表している。
(左がブリュー、右がスチームボイラーの動作状態を示している。)
マシンから離れていてもヒーターの動作状態が判りやすいE61系のマシンに対し、GS3ではディスプレイを覗き込まなければならない点はちょっと不便だ(苦笑)



↑PIDコントロールディスプレイ & キーパッド

 ?ブリューボイラーの実温度
  ?ブリューボイラー・ヒーターモニター(画像は停止中で、作動時は四角の中も白くなる)
  ?スチームボイラー・ヒーターモニター(同上)
  ?オートマチック抽出ボタン(プログラムモード時は選択項目のアップ&ダウンや決定など)
  ?マニュアル抽出ボタン(プログラムモード時はファンクションスイッチになる)
  ?ティー・ウォーター(メイン電源スイッチ)
  ?抽出開始からの抽出時間をカウントし、次の抽出ボタンを押すまで消えずに表示される。
   (しかし、単純に抽出ボタンがONになっている時間をカウントしているので、正確な抽出時間ではない。)
  ?時計


【ヒーター動作モードと予約モード】
ボイラーを加熱するヒーターには2つの動作モードがあり、初期設定の「FULL」ではスチームボイラーとブリューボイラーが同時に過熱される。
しかし、それでも15A動作なので、日本の100V-1500W電源環境でもギリギリではあるが、ブレーカーが落ちることはない。
(但し、同じブレーカー配線のコンセントに、他の電気機器を接続作動させている場合はこの限りではない。)

そしてもう一つのヒーターモードが「HALF」で、この場合はブリューボイラーだけが先に加熱され、その後からスチームボイラーが過熱される。
その為、加熱に掛かる時間は「FULL」に比べ、約3倍程度に伸びてしまうそうだ。(この件は後日にでも検証してみたい)

GS3はメイン電源のオートON/OFF設定にも対応しており、設定した時間にマシン電源のオン/オフを自動で制御することができる。
また、店舗での使用の際、定休日として任意の曜日を「Closed On」に設定することで、誰もいないところで勝手に電源がオン/オフしないようにする事も可能だ。

ということは、ヒーターの作動モードとタイマー機能を上手に利用する事で、電源環境が他の電気機器との関係上、「FULL」モードでは15Aをオーバ
ーしてしまうような場合でも、上手くやり繰りする事が可能となる。

例えば、出勤前の朝食時にはマシンの暖機が完了している状態にセットしたい場合、「FULL」ヒーターモードでは他の電気機器(例えば炊飯器や電
子レンジなど)と電力使用量が重なる事でブレーカーが落ちてしまうことが懸念される。
しかし、ヒーターモードを「Half」にセットし、その分起動時間を早めにセットしておけば、他の電気機器との電気使用量の干渉を抑えることができる。
また、夕食時の暖機時間についても同様だ。
毎日の生活の中で、エスプレッソマシンを使用する時間帯がほぼ決まっているのであれば、ヒーターモードを「HALF」にして、タイマーを上手に利用
する事で、特に立ち上げ時間の長さも気にはならないはずだ。
ただ、残念な点としては、1日のうちに一つの予約プログラムしか設定できないため、朝と夕方とではどちらか一方しか設定する事が出来ない。

さて、前置きがかなり長くなってしまったが、いよいよ実物のGS3について触れていく事にしよう!


【荷受けと設置について】
上の方でも既に書いたとおり、先ず真っ先に驚かされたのは、GS3が搬送された時の梱包状態。
これまでに購入してきたSILVIAやAndreja Premiumの場合は普通にダンボール箱による梱包であったが、このGS3では木製パレットで搬送された。
その梱包総重量たるやなんと64kg(驚!)
そりゃあ、送料に600ドルも掛かるはずだ(苦笑)

ちなみに本体だけであっても32kgなので、階段しかないマンションやアパート等では上の階まで運ぶのに難儀しそうだ(汗)
また、マシン本体の運搬や設置にはなるべく大人の男性二人で作業する事をお勧めする。
僕自身は一人で作業してしまったが、その重さから手が滑ったり足元がつまずいて転倒でもしたら危険であるし、一度も使わずしてGS3が壊れてし
まっては悔やんでも悔やみきれないだろうと思う。

ちなみに、UPSから国内への配送についてはヤマト運輸ではなく、西武運輸のトラック便で配送された。







↑配送は木パレットで送られてくる。


【本体内部は、迫力満点】
早速ボディパネルを外して中身を確認してみる。
個々のパーツの詳細については既に前もって学習済みなので、それぞれのパイプや部品の役割は全て頭に入っている。
それにしても、本体内容積の殆どを占めているとも思えるほど巨大な二つのボイラーが圧巻だ。
そもそも、GB5やFB80に搭載されているボイラーを強引に、そのまま輪切りにしたものを搭載しているのだから、その迫力にも納得。

とりあえず、GS3とAndreja Premiumを並べてみたが、意外とGS3はコンパクトであることに気がつく。
Andreja Premiumに比べて横幅が11.5cm広く、奥行きが8.5cm長く、高さが5.5cm低い。
あれ?数字にすると結構大きく感じるね(苦笑)









↑プリ・ヒーティングシステム(HX)と、フローメーター(流量計)が見える。

?スチームボイラー
?プレ・ヒーティング・アウトレット
?プレ・ヒーティング・インレット
?フローメーター(流量計)



↑少々判りにくいが、画像上にスチームボイラー、画像下にブリューボイラー。
 そして中央に見える銅色のU字型パイプが繋がっている四角形で黒い部品が3方向ソレノイドバルブだ。
 ちなみにU字型銅パイプの行き先は、画像下にあるドリップトレイ内に向かっている。








【GS3の初期インストール手順について】
では、ここでGS3のインストール作業手順について説明しよう。

まずマシンを平らな場所にセットし、リザーブタンクを水洗いしようとするが、、、、。
なんと、このGS3はリザーブタンクが簡単に本体から切り離せる構造になっておらず、給水チューブはタンクに固定されている金属パイプにクリップ留めされている(苦笑)
また、このクリップが厄介で、ラジオペンチのような道具を使わなければクリップを広げる事が出来ないほどツマミ部分が小さい。
そのため、僕はペンチでクリップを摘みながら強引にチューブを外してタンクを切り離した。(これが結構固い!)
(後日、指だけで摘み外す事ができるホースクリップをホームセンターから購入して交換した。
これによって、タンクの取り外しは簡単になった。)

また、このリザーブタンクは上ブタがネジによって固定されているため、上面のフタをフルオープンにして内部をゴシゴシと洗う事ができない。
したがって、上面手前側にある小さな小窓から水を入れて、ジャバジャバと洗う程度にとどまった。
ちなみにオーナーズ・マニュアルによると、「リザーブタンクをお手入れする際は上ブタを固定している全てのネジを外し・・・・」と書いてある。

このメンテナンス性の悪さについては、今までにリザーブタンクを使用するような家庭用機を作った経験が無いラ・マルゾッコらしいということで自分を納得させた(苦笑)


↑本体内下面にセットされる、リザーブタンク。
 ホースはクリップによってガッチリと固定されているので、取り外しにはペンチが必要。
 また、上ブタは多数のネジによって組みつけられている。


また、ドリップトレイについても、トレイ内に溜まった水をドリップトレイごと本体から取り外して捨てることをあまり考慮されていない。
というのも、一見するととても大容量なドリップトレイに見えるのだが、実際には本体奥の下側に突き出たエキスパンションバルブがドリップトレイ内
に収まる構造になっており、ドリップトレイを引き抜くためにはエキスパンションバルブを避けるようにトレイ手前を持ち上げながら引き抜く必要があ
り、この傾ける角度が45度近くになってしまう事から、あまり大量に水を溜めてしまうと、傾けた所から水が溢れてしまうのだ(汗)
まあ、それでも実質的に1.5リットルくらいの水を溜めておくことは可能なので、Andreja Premiumのドリップトレイと同じくらいの余裕はある。

このドリップトレイの造りとしては、ABS樹脂製のトレイの外側に薄いステンレス板を貼り付けただけのもので、とても安っぽい(苦笑)
まるで、以前使っていたデロンギの全自動エスプレッソマシン(EAM1000BJA)のドリップトレイ(プラ製)を思い出した。

先のリザーブタンクといい、このドリップトレイといい、普通のメーカーならぶち切れるところだが、ラ・マルゾッコだからということで全て許されてしまうとこ
ろが自分でも悔しい(苦笑)



↑見た目にはとても大きなドリップトレイ。
 しかし、その実態は、、、、、。


さて、浄水器を通した水道水をリザーブタンク注水して本体にセットし、ドリップトレイもセットする。
そして電源ケーブルをコンセントに接続する。(一応、100V→115Vの昇圧トランスを使用。)

次に本体背面にあるメインスイッチを入れ、PIDコントローラー部にある一番右側の電源ONボタンを一回押す。
すると、小さく微かに「シュィイイイイーーーーン!!!!」という、何ともお上品なポンプ音と共にボイラー内への給水が始まる。
ちなみにGS3ではスチームボイラー側に水位センサーが設置されており、その水位センサーが反応する位置にまで水が満たされないとヒーターは
作動しない仕組みになっている。
(後日追記:ボイラーへの給水が始まりましたら、なるべく早いうちにマニュアル抽出ボタンを一度押して下さい。
        すると、一旦はブリューボイラーへの注水が優先され、しばらくすると自動停止し、またスチームボイラーへの注水が再開します。
        これにより、先にスチームボイラーが満水になった直後からヒーターが加熱されることによるブリューボイラー用ヒーターの空焚きを防止
        します。
        そして、スチームボイラーが満水になった後に、下記にあるブリューボイラーのエア抜きを実施して下さい。)


↑本体背面にあるメインスイッチ。


そして1〜2分ほどたった時点でディスプレイ上に「Refill Tank」という表示が出てポンプが停止した。
つまり、リザーブタンク一回の満タン分では水量が足りなかったため、もう一度リザーブタンクに水を補充しろということだ。
そこでもう一度リザーブタンクを満タンにしてセットした途端、またポンプが作動し始めた。
そして今度はタンクの1/5程度の水が減ったところで給水が完了し、ヒーターが作動してブリュー用とスチーム用両方のボイラーの過熱が始まった。

しかし、現時点ではスチームボイラーの方は適正な水位に達している状態であるのに対し、ブリューボイラー側はまだ満水状態になっていないため、
ブリューボイラー内の水位を上げて、グループヘッド上面のエア抜き穴から水が溢れ出るところまで給水してやる必要がある。
その為、グループヘッド上面の黒いプラカバーを反時計方向に手で回して取り外し、次にエア抜き用の六角穴付きキャップボルトを外し、マニュアル・
ブリューボタン(渦巻きボタン)を押す。
すると、またまた「シュィイイイインンン!」というポンプ音が聞こえるが、グループヘッドからはまだ水は出てこない。
そのまましばらく(20秒くらいかな?)放置していたところ、突然、エア抜き穴から水がドバドバと溢れ出てきた。
この状態になったらマニュアル・ブリューボタンを押してポンプを止め、またエア抜き穴にキャップボルトでフタをする。
以上で、ブリューボイラーのエア抜き作業は完了だ。

次に、ブリューボイラーとスチームボイラーの圧力を確認するのだが、本来、この工程についてはショップ側が出荷前の調整・検査にてチェックしてい
るはずの部分となる。
しかし、ここは受入確認として一応チェックしておこう。


↑画像左:矢印のネジがエア抜き用のネジ。
 画像右:ブリューボイラーからの水が溢れ出て、エア抜きは完了。



↑左がスチーム圧計、右がブリュー圧計


ブリュー用ボイラーは定期的に内部の水を加熱させているのだが、その際にボイラー内に溜まる圧力を12barで開放するように設定する必要がある。
もしもこの圧が高かったり低かったりした場合、ドリップトレイ右奥に顔を出しているエキスパンション・バルブを指で回して調整をする。
そして、スチームボイラーについては1.5barを工場出荷時設定とし、最高で上限2.0barまで設定することが出来る。
(後日訂正:工場出荷時設定圧及び推奨設定圧は2.0barであり、好みによって1.3barから2.0barの間に設定しても良いと、説明書に書かれていた。)
この圧力設定については、プレッシャースタットのような実際の圧を直接的に制御するのではなく、スチームボイラーの温度設定によって調整する仕
組みだ。
ちなみにGS3ではスチームボイラーの実温度を表示する機能は無い。
僕のGS3の場合、スチームボイラー圧についてはショップ側の調整によって1.5barにセットされていた。

以上で基本的なインストール作業は終わりだ。





【ウォーミングアップに掛かる時間と消費電力について】
さて、ここでSILVIAやAndreja Premiumのレビューページでもお馴染みの、ウォームアップに掛かる時間と消費電力&電気代について、昇圧無しの100
V環境と昇圧有りの115V環境とで検証してみた。

検証内容は、室温、ボイラー内の水温共に20℃の状態からスイッチを入れ、抽出可能になるまでの時間、消費電力、電気料金をワットモニターを使用
して検証し、ウォーミングアップが完了した時点から更に1時間放置させた場合の消費電力と電気料金を調べる。

先ずは昇圧無しの100V環境から。

ブリューボイラー内温度→20℃にてスタート。
ブリュー&スチーム双方のボイラー内ヒーターが加熱を開始し、ワットモニターは1,090Wあたりを維持し続ける。
GS3はブリューボイラーに500W、スチームボイラーに1000Wのヒーターを搭載しているのだが、これは共に115V環境での値であるため、日本の100V
環境下では1,090Wという数値になってしまう。
(以下、経過時間とブリューボイラー温度)

・5:00 →33.2℃
・8:00 →39.6℃
・10:00→43.4℃
・15:00→52.8℃
・20:00→62.6℃
・25:00→71.0℃
・25:53→73.0℃(この時点でスチーム圧が1.5barに達し、スチームボイラーのヒーターはアイドリング状態に入る。
           これ以降の消費電力は、380W〜890Wの間で加減を繰り返す。)
・30:00→80.6℃
・35:00→90.6℃
・36:10→92.6℃(ブリューボイラーのヒーターがアイドリング状態に入る。
           これ以降の消費電力は、3W〜890Wの間で加減を繰り返す。)
・37:20→93.0℃〜93.2℃を維持し始める。

以上でウォーミングアップ完了。

ここまでの累積電気料金は11.76円。
このまま更に1時間放置させた後の累積電気料金は15.6円。
つまり、GS3におけるウォーミングアップ完了後の待機料金は、約4円/h程度という計算になる。
ということは10時間待機させても約40円ということだ。
意外と安い?

ちなみに、これまで僕が使用してきたランチリオ・シルビアや、E61系セミコマーシャル機(Andreja Premium)の場合、ボイラー内温度が90℃以上に達し
たからといって、すぐにエスプレッソの抽出が開始できるわけではない。
それは、ボイラー内に溜まっているお湯が90℃を超えた直後の状態では、まだグループヘッド内部のシャワースクリーンまでの経路が温まっていない
為、ボイラーからポルタフィルターに送り込まれる過程で湯温が低下してしまうからだ。

しかし、ラ・マルゾッコの場合はブリューボイラー内の湯温が90℃を超えた状態(実際には92℃〜93℃程度)になれば、同時にグループヘッドもほぼ同
じ温度にまで温められているので、基本的にはエスプレッソの抽出も問題無く開始することができる。
(但し、更に待機させておけば、より良い事は言うまでもない。)


続いて、昇圧ありの115V環境にて検証してみた。(実際には、上記検証から24時間以上が経過した翌日だが。)

ブリューボイラー内温度→20℃にてスタート。
ブリュー&スチーム双方のボイラー内ヒーターが加熱を開始し、ワットモニターは1,400Wあたりを維持し続ける。
100V環境時の1,090W対し、310Wほどヒーターパワーが大きくなっている。
まあ、こちらが本来の数値であることは確かだろう。

(以下、経過時間とブリューボイラー温度)

・5:00 →36.6℃
・8:00 →43.0℃
・10:00→48.8℃
・15:00→60.6℃
・20:13→73.5℃(この時点でスチーム圧が1.5barに達し、スチームボイラーのヒーターはアイドリング状態に入る。
           これ以降の消費電力は、490W〜1200Wの間で加減を繰り返す。)
・25:00→84.0℃
・28:30→73.0℃(ブリューボイラーのヒーターがアイドリング状態に入る。
           これ以降の消費電力は、3W〜1100Wの間で加減を繰り返す。)
・30:00→93.0℃〜93.2℃を維持し始める。

以上でウォーミングアップ完了。
ここまでの累積電気料金は11.5円。
(ちなみに、そこから1時間の待機電力料金は100V時と殆ど同じであった。)

ということで、100V環境時に比べてウォーミングアップ時間に7分以上の差が付いた。
この差を大きいと考えるか、大したことは無いと考えるかについては人によると思うが、僕自身は特に問題はないと考える。
一旦ウォーミングアップが完了してしまえば、その後の抽出作業とスチーミングについては特に電力差による大きな変化は感じられない。
(後日補足:上記ではブリューボイラー設定温度を93.2℃としていますが、最近では豆のローストにもよるが、93℃〜96℃の間で気分によって調節している。)


【GS3を使ってみた感想】
とりあえず、まずはスチームパワーについて。
元々の設定圧が1.5barということで、1.3barに設定されていたAndreja Premiumと比較して、初期パワーについては若干強い程度の感じ。
しかし、Andreja Premiumに比べてグイグイとトルクフルにミルクを加熱&フォーミングし続け、ミルクの温度上昇スピードはAndreja Premimの1.5倍速といった印象。
このスタミナ感溢れるスチームパワーに関しては、もはやスチーミング中におけるヒーターの作動状態など一切関係ないといった感じ。
つまり、ユーザーはスチーミングを行う際にボイラー内の状態を気にする必要は全く無く、いつでも好きなタイミングでスチーミングを開始すれば良いのだ。
ここにきて初めて、本体に大きなヒーター作動ランプが付いていない理由が理解できたような気がした。

但し、GS3のスチームで一点だけ気になったことは、その特殊な形状と長さのスチームワンドからも僕自身想像していたのだが、パイプ内に留ま
る水がAndreja Premiumに比べて若干多い。
そのため、ドライなスチームにするためには少なくとも10秒 (訂正→)5秒以上は空ぶかしを行った方が良いと思う。
また、デフォルト設定の1.5barでは(まだ僕が慣れていない為か)スチームが強すぎるので、空ぶかしによる水抜きをしながらスチーム圧を1.2bar位
にまで落としてからスチーミングを開始した方が扱いやすいような感じがする。
しかし、一旦水抜きさえ終わってしまえば、後はドライ&ハイパワーなスチームが延々と続く点はさすが大容量3.5Lボイラー&1000Wヒーターを搭載
しているだけのことはある。

また、スチームノブはジョイスティック式になっており、上下左右のどの方向に倒してもスチームが排出される。
その操作レスポンスは、その昔、ゲームセンターでプレイした、F1レースゲームの筺体にセットされていたシフトノブを思い出させるものであった(笑)


↑ジョイスティック式スチームノブ。
 その反応は実にクイックだ。



↑スチームチップは4つ穴になっている。


抽出に関する部分ついては、まず、ダブル用のインサート・バスケットとして2種類のフィルターが用意されていた。
一つは14g用で、もう一つが18g用だ。
僕の場合はいつも16〜17gで抽出しているので、とりあえず18g用をダブル用ポルタフィルターにセットした。
また、付属しているインサートバスケットは全て巷で有名なVST社製のラ・マルゾッコOEM品となっている。
(後日追記:最近では14g用のバスケットに約16gの粉を詰めて抽出している。)

ちなみにラ・マルゾッコのポルタフィルターの場合、前方の底面側にフラットな出っ張りが形づけられており、これがテーブルの端部に押し付けてタンピ
ングする際にポルタフィルターが安定するようになっている。

さて、タンピングを終えたポルタフィルターをグループヘッドに固定させるのだが、これが結構固い。
これまでに僕が扱ってきたマシン(SILVIAやAndreja Premium他)の感覚で回すと、上から見て7時の角度でハンドルが止まってしまう。
WBC会場などに設置されているFB80が、よくこの角度にハンドルが固定されているのを見た事はあるが、確かにその角度と同じ位置で止まる。
しかし、実際にはそこから更に力を込めて一捻りすることで、ハンドルが正面(6時)を向いて固定させる事ができる。
まだ新しいという事もあるかもしれないが、これはおそらく普通の女性にはハンドルを正面に向かせることは無理ではないだろうか?
一応、7時の角度のままでも問題なく抽出そのものはできた。

まずはマニュアル操作によって抽出を実行してみる。
渦巻きマークのボタンがマニュアル抽出ボタンで、一度押せば抽出が開始され、もう一度押すと停止する。
(WBCの中継を観ていると、ポルタフィルターをグループヘッドにセットする直前に、マニュアル抽出ボタンを押して5秒程度のお湯出しを行ってから
セットしているので、僕も同様に真似てみる(笑))

ポンプの動作音は想像以上に静かで、振動なども一切無い。
時々Youtubeの動画で見かけるのだが、ショットグラスを指で押さえていなければグラスが動いてしまうほどの振動を発しているGS3は何なのだろう?という感じだ。

次にオートモードを試してみる。

エスプレッソのダブルショットは左から2番目のボタンで、これを1回押す事で、自動的に任意(事前に設定した量)の量に達すると自動で停止する。
こちらもほぼ30cc×2でぴったりだ。
ちなみに自動で設定される抽出量については抽出時間による制御ではなく、お湯の流量制御で設定されるので、粉のメッシュサイズやタンピング
の強弱や豆の熟成度や焙煎度等の条件変化によって抽出時の抵抗に差が生じた場合は抽出時間が増減変化し、最終的に抽出される量は変わらない。
これは、本体内に装備されているフローメーターが、お湯の流量をモニターしていることによって制御されている。
ちなみにこの抽出量はユーザーによって自由に設定する事ができ、トレースモードにて一度ユーザーがマニュアル操作を実行することで、それと
同じ動作を記憶することで設定される。




ところでこのGS3を扱う上で、慣れるまでは少々やっかいな点がひとつある。
それは電源オン/オフの操作に関するところなのだが、電源を入れる場合、スイッチパネルの一番右にあるボタンを1回押す事でマシンは起動する。
しかし、電源を落とす場合、ついつい同じように右端のボタンを押してしまいそうになるのだが、実はこの一番右のボタンはマシンが起動している状
態ではティー・ウォーター・ボタンになっている。
(いわゆるホットウォーターのことをラ・マルゾッコではティー・ウォーターと呼ぶ)
また、パネルのボタンを操作する際には同じ位置にあるティー・ウォーターワンドが邪魔なので、ワンド自体を外側へ向けている事が多いのだが、
この状態でつい電源ボタンを押してしまうと、「ジョボジョボ・・・・」とマシン右外側に熱湯を排出してしまうことになるのだ(苦笑)
ちなみにマシン導入初日に僕はこのミスを3度も犯している(汗)
尚、マシンを落とす時のボタン操作の正解は、左隣のファンクションボタン(渦巻きボタン)を押しながら、右端のボタンを同時押しすることで電源が落ちる。
ちなみに、このティー・ウォーターは本体右側面手前に設置されているディスク状の調整ボリューム(?)を回す事で、水温を調整することができる。
実際に温度を測定してみたところ、60℃から85℃の間で設定する事ができ、Andreja Premiumの時のようにスチームボイラーに設定されている高温
のままブシュブシュと排出されることは無い。
正にティー・ウォーター用として最適な湯温で扱う事ができるのだ。


↑本体右側面手前に設置されている、ティー・ウォーター水温調整ボリューム。
 実際には、サイドパネルによって下側の5ミリくらいの部分だけが露出している。


【最後に】
さて、実際にGS3によって作られたエスプレッソやカフェラテについてはどうなのか?
もはやこのあたりの味や舌触りなど、SILVIAやAndreja Premiumの時点でも十分満足できるレベルに達していたし、デフォルト状態においてエスプレ
ッソを淹れた場合では、これらと大きな差が有るとも感じない。
(後日訂正:3月10日の追記にもあるように、プリ・インフュージョン機能を使用することで、コクと香りが大幅に増加して、これまでのマシンのものより
 も明らかに美味しい!)

しかし、抽出音の静かさや、温度管理のしやすさ、ハイパワーでトルク感溢れるスチーム及び抽出温度の安定感、そして各種制御設定項目の豊富
さ(好みに応じた抽出時湯温設定の自由度やスチーム圧力設定の自由度含む)などについてはさすがに高価格マシンだけのことはあるといった感じ。

正直な話、夕食後あたりに1〜2杯のエスプレッソやラテを作る程度ならば、このGS3の性能は明らかにオーバースペック(苦笑)
しかしながら、この何とも言えないエキサイティングな感覚は、今までに使ってきたどのエスプレッソマシンでも味わえなかったものであり、仮にAlex
Duetto3で妥協をしていたとしたら、さすがにここまでテンションは上がってはいなかったであろうし、僕の性格的にも頭の中にはずっと「きっといつか
はGS3を、、、。」という思いを引きずる事になるだろう。

兎にも角にも、自宅に居ながらにしてラ・マルゾッコを自ら操作してエスプレッソを作ることができる贅沢。
やはり最終的にはこれに尽きるのではないだろうか?

という事で、ここまでをまずはファーストインプレッションとさせて頂き、これから引き続き気がついた点などを随時追記していきたい。
(記:2013年3月2日)










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【10日間ほど使ってみて気がついたこと】(2013年3月10日追記)
GS3を導入してから10日間ほどが経過し、今日までの間、まるで新しいオモチャを買い与えられた子供のようにGS3を弄り倒してきた。
今回は、ファーストインプレッションの時点では気が付かなかった、あるいは使いこなせていなかった機能などについて書いてみたい。


<プリ・インフュージョン機能は素晴らしい>
まず、2013年3月2日の時点では設定方法をよく理解していなかった事から使用していなかった機能である、"プリ・インフュージョン"(Pre-infusion=
蒸らし)機能について。

これは機能設定項目において、まず「enabled=使う/disabled=使わない」を選択することができ、「disabled」を選択している場合(初期値=disabled)は、
抽出ボタンを押すと、そのまま一般的なマシンと同様にいきなり抽出が開始される。
ちなみにファーストインプレションによる僕のレビューは「disabled」設定によるものだ。

これに対し、「enabled」に設定した場合、設定メニューは次の設定項目である「シングル・エスプレッソ ON 時間」の入力を要求される。
これは、蒸らしに使用する湯を何秒間出すのか?という項目で、設定単位は0秒から最長5秒まで、0.1秒単位での設定が可能。
とりあえず初期値は「0.6秒」に設定されていたので、ON時間についてはそのまま初期値を使用した。

上の「シングル・エスプレッソ ON 時間」を設定すると、次に「シングル・エスプレッソ OFF 時間」の入力を要求される。
これは、先の蒸らしに使用する湯の排出を止めてから、実際の抽出を開始するまでの「蒸らし時間」の設定となる。
こちらの初期値は「0.8秒」に設定されていたが、Youtubeなどでパドル操作による蒸らし作業を見ていると、概ね3〜5秒程度の時間で蒸らしを行なっ
ているようなので、仮に「3秒」で設定をしてみた。

以上でプリ・インフュージョンの設定は完了するが、これと同じ設定が「エスプレッソ・ダブル」と「コーヒー・シングル」、「コーヒー・ダブル」にも個々に割
り当てられている。
尚、プリ・インフュージョンを使用しない設定のまま自動抽出量の設定を完了している場合、そのままプリ・インフュージョンを「使う」に設定してエスプレ
ッソの自動抽出を実行すると、蒸らし用に排出されたお湯の量は考慮されずにそのまま自動抽出設定のプログラムによる抽出が実行されてしまう為、
出来上がりのエスプレッソは30ccよりも若干多めに抽出されてしまうことになる。
(蒸らし用の湯量:αcc + エスプレッソ用の湯量:30cc)

その為、プリ・インフュージョンを使用するための設定を終えた後には、新たに自動抽出の設定をやり直す必要がある。
(蒸らし用の湯量 + エスプレッソ用の湯量=30cc)

この設定は特に難しいものではなく、プリ・インフュージョン設定を終えた後に自動抽出量設定モードにて抽出を開始すると、先ずはじめにプリ・インフュ
ージョンが設定どおりに実行された後、そのまま通常の抽出が開始されるので、任意の量に達した時点で自ら抽出を停止させることにより、その時のコ
ーヒー抽出量がプリ・インフュージョン込みのエスプレッソ量として記憶される。

ところで肝心の味の違いについてであるが、(とりあえずラテにして飲んでみた、、、。)これが実に衝撃的であった。
プリ・インフュージョンを実行させたもの方が明らかに香り高くコクが深く、よりチョコレートっぽい風味に変化した。
これがとても同じ豆と同じ焙煎によるものとは信じられないほどの変わりっぷりである。
まるで、これまでの普通のラテの中に無糖のビターチョコを一欠け落として溶かしたような感じ。
蒸らしによって、豆の持つ香りと旨みが万遍無く抽出されたイメージだ。

ちなみにこのプリ・インフュージョン機能に関しては、実はE61系のマシン(Andreja Premium含む)にも搭載されている。
ただし、こちらはユーザー側によって自由に設定ができるというものではなく、グループヘッド内に仕込まれたスプリングとバルブによって機械的に蒸ら
しの効果を出している。
E61系のマシンを実際に使った事のある方には理解して頂けると思うのだが、ブリュー・レバーを上げて抽出を開始してからすぐにエスプレッソは抽出さ
れるわけではなく、しばらく(3〜5秒くらい)経ったあたりから抽出される。
これがE61グループヘッドのプリ・インフュージョン機能によるものなのである。
しかし、Andreja Premiumの時にはそれ以前のシルビア(プリ・インフュージョン機能無し)の時と大きな差は感じていなかったので、その効果は薄かった
のかもしれない。
ただ、要するに最初だけ一瞬で抽出を止め、そこから数秒ほど待ってから抽出を開始するという動作をプログラム的に実行しているだけなので、シルビ
アやAndreja Premiumでも手動によって同じような効果を得ることが可能なのかもしれない。
(後日追記:単純に抽出スイッチを一瞬オフにするだけでは3WAYバルブが作動してしまうので、そのままでは無理です。)


<やはり自動抽出機能は超便利>
HXマシンやデュアルボイラーマシンの場合、エスプレッソの抽出とスチーミング作業は同時に行なうことが可能だ。
ところが僕のような未熟者の場合、実際にエスプレッソを抽出しながらミルクのスチーミングを行なってみると、エスプレッソの抽出を止めるタイミングばか
りが気になってしまい、ミルクスチーミングに集中する事が出来ない(苦笑)

しかし自動抽出機能を使う事により、エスプレッソを抽出しながら同時にミルクスチーミングに安心して集中する事ができるので、ラテを作る際の時間がか
なり短縮される。
ちなみにミルクピッチャーに牛乳を入れ、ポルタフィルターにコーヒー粉を詰めてタンピングまでが完了している状態をゼロとし、その状態から一杯のラテを
作るのに必要な時間を計測したことろ、「軽く湯通し→グループヘッドにポルタフィルターをセット→エスプレッソ抽出&ミルクスチーミング→カップにミルクを
注ぎ終える」までに要した時間は1分41秒であった。
これは、上記と同じスタート条件でカウントした場合において、一杯のラテを作るのに5分以上の時間を要していたシルビアとは比べものにならないレベル。
(本体価格も比べものにならないレベルだが、、、。)

また、上にも書いたように自動抽出量については「抽出時間制御」ではなく「抽出湯量制御」なので、豆の焙煎度や熟成度、メッシュサイズ、タンピング強さ
の変化によって抽出量が増減しない点もさすがだ。
このあたりは百戦錬磨の業務用マシン専門メーカーとして、実戦での使用を想定した実用的機能を搭載しましたといったところだろう。

実は昨日、ニューマシンで作ったカプチーノを飲ませて欲しいということで、突如、4人の客人が僕の自宅を訪れてきた。
そこで一気に4杯分のカプチーノを作ったのだが、GS3は何のストレスも無く、とてもスムーズに作業をこなしてくれた。


<GS3の取扱説明書はかなり大雑把>
このGS3には全部で4種類の取扱説明書が用意されているのだが、PIDコントローラーによる機能設定や操作方法に関する説明についてはかなり大雑把
なものになっており、各項目に関する詳細な説明も無いことから、僕にとっても未だに意味不明な設定項目もいくつかある(苦笑)
事実、ディスプレイに表示されているヒーター作動マークについて、マニュアル上には一切何も書かれていない。

そんな中、本体のメンテナンスに関する部分のバックフラッシュ洗浄において、マニュアル上ではこれまでのシルビアやAndrejaの時と同様にユーザー側で時
間をカウントしながらブリューONとOFFを繰り返すように書かれている。
しかし、兄貴分であるGB/5やFB80には自動クリーニングモードという機能があり、操作キーパッドのファンクションボタン(渦巻きボタン)を押しながら、エス
プレッソ・シングル自動抽出ボタンを同時押しすることで、自動クリーニングモードが発動する仕組みになっている。

そこで僕は、「え〜〜?、、、GB/5やFB80ばっかりズルいじゃ〜〜ん!」っと思いながら同じコマンド操作をGS3に試してみたところ、ディスプレイ上に「Ri
nsing in Progress」(ただ今洗浄中)と表示され、「ブリューON:5秒→待機:5秒」の動作を20回ほど自動で繰り返す自動クリーニングモードが実行された。
これは結構便利かもしれない(笑)

以上、また引き続き気がついた点などを随時追記していきたい。
(記:2013年3月10日)


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【↓2013年3月19日追加情報↓】
GS3を導入してから20日間ほどが経過したのだが、前回の時には書き切れなかった情報を追記したい。

<カップトレイ上は超アチチ>
GS3の天板は、幅360mm×奥行き200mmのカップ(ウォーマー)トレイになっている。
デロンギなどの普及価格帯の家庭用機や、ランチリオ・シルビアくらいまではカップ・ウォーマーとしての効果はあまり感じられなかったが、セミコマーシャル機
であるAndreja Premiumでは丁度良い感じにカップを温めてくれた。
ところがGS3の場合はむしろ熱くなり過ぎてしまい、カップトレイ上に直接カップを置いたまま2〜3時間ほど経つと、とても素手ではカップを掴む事ができない
温度にまで加熱されてしまう。
特にスチームボイラーの真上あたりが熱くなりやすいような気がする。

その為、僕はカップトレイ上の一部分に小さなタオルを敷き、その上にカップを置くことにした。
この際、カップトレイの数センチ下面に設置されている遮熱板において、本体内の熱を逃がす目的と思われる開口部を塞ぐ事にならない様に注意した。
これにより、カップが丁度良い感じの温度に温められる様に調節することができた。


↑とても強力(すぎる)なカップウォーマーだ。


<スチームボイラーの水抜きについて>
Andreja Premiumのページでも説明しているが、HX機やダブルボイラー機の場合、スチームボイラー内の水をあくまでもスチーミング用として使い続けていくと、
煮沸した水道水の水蒸気の部分だけを外部に排出し続ける事になる。
この場合、スケール付着の原因となる水道水に含まれる様々な残留物(カルシウムやマグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウムどの塩類や有機物)はボイラ
ー内部に残したまま、水蒸気として外部へ排出されて減った分だけ新たに水道水が注ぎ足されることにより、結果的にボイラー内の水に含まれる蒸発残留物
の濃度が上昇し続ける事になってしまい、これがボイラーや配管内部へのスケール付着の原因になる。
この現象を防ぐ為には、定期的にスチームボイラー内の水を全て入れ替える事を心掛けるべきであり、これにより、内部へのスケールの付着を少しでも軽減す
ることができるはずだ。

ちなみに僕の場合、Andreja Premiumの時には2週間に一度程度のペースでスチームボイラー内の水を入れ替えていた。
やり方は簡単で、スチームボイラー内の圧力が高くなっている状態のまま本体の電源を切り、ホットウォーターノブを開く事で、内部の圧力によってボイラー内
の水が全て排出される。

しかしGS3の場合、上記の方法では排出された水の量だけ自動的に水が足されてしまうので、何となく全ての水を入れ替えた感じがせずスッキリしない。
そこで、スチームボイラーに装備されている水抜き用のドレンから水抜きを行なう。

まず最初に注意事項として、GS3において水抜きを行う場合、必ずマシンが加熱されていない状態(常温時)に作業を行う事。
ボイラーが高温時には、ボイラー内部が加圧されている状態にあるため、そのままドレンを開放してしまうと、熱湯が勢いよく吹き出し、とても危険なので注意すること。

さて、GS3のスチームボイラーには、マシンを正面から見て左面に水抜き用のドレンが装備されている。
ドレン口元にはボールバルブによるコックが備えられており、一見するとごく簡単に水抜きが実行できそうに思えるが、画像を見て頂ければ解かるようにその
ままでは全ての水をベースフレーム上に垂れ流す事になってしまう。
その為、ドレン口元には3/8インチサイズのネジが切られており、ここにホース類を接続させる事が出来る様になっている。

ところが、この3/8インチサイズのアダプターを備えたホースというものが、欧米ではごく一般的に普及しているのに対し、日本国内では手頃なものが見つからず、
価格も概ね3,000円以上してしまう。
また、ドレン口元のすぐ手前に本体パネル固定用のステーがあるため、接続アダプター部分が大きなホースではステーと干渉してしまい、取り付けが出来ない。
そうなると、日本国内では殆ど適当な物は見つけられなかった為、海外のe-bayにて探してみることにした。
すると、安くて丁度良さそうなものが多数見つかり、その中に2本セットで送料込450円程度のものがあったので、それを購入した。

実際に届いたホースをドレンに接続してみると、バッチリ接続させる事ができ、無事にスチームボイラー内の水を全て抜き取る事ができた。



↑開閉レバー付きの水抜きドレン



↑別途用意したホースを繋げて水を抜く。


<スチームパワーはやっぱり強い方が良いね>
スチーム圧について、ファーストインプレッションでは上限値1.5barから水抜きを兼ねて1.2barくらいにまで落とした方が扱いやすいと感じると書いた。
ところが最近ではGS3のスチームにも慣れたため、現時点では設定圧を1.8barにしている。

スチーム圧の設定値については当初、1.5barが工場出荷時の初期設定だと思っていた。
ところが実際の工場出荷時の設定圧は1.5barではなく2.0barがデフォルト値であった事が判明した。
(リリーフバルブ(安全開放弁)は2.5bar以上で作動するっぽい)
どうやら、ショップによる出荷前の各種調整作業時において、家庭用として多く使用されている12オンス(約350cc)のミルクピッチャーにて扱いやすいと思われる
1.5barに設定されていたようだ。
そこで僕は上限値を1.8barに変更し、そこから水抜きを兼ねた空ぶかしによって1.5barくらいにまで圧を下げたところでミルクスチーミングを開始するようにした。
現時点では、このスチーム圧設定が僕にとってのベストポイントっぽい。

GS3のスチーム圧についてはスチームボイラーの湯温にて設定することは既に説明済みだが、ユーザーマニュアルによると、湯温とスチーム圧の関係はおおよ
その目安として以下のようになっている。

・119℃→1.0bar
・127℃→1.5bar
・133℃→2.0bar

僕の場合はスチームボイラー湯温を130℃にセットすることで、スチーム圧が1.8barに設定されている。


<ヒーターモードの「Half」はハッキリ言って微妙>
GS3の機能の一つである、ヒーターモードの「Half」について色々と検証してみた。
これは、通常の「Full」モード時にはスチーム用、ブリュー用の両方のヒーターが同時に作動するのに対し、「Half」では、どちらか一方だけが作動し二つのヒーター
が同時に作動しないようにするためのモードで、ちなみに作動優先度はブリュー用ヒーターの方が高くなっている。

この「Half」モードにてマシンを起動させると、先ずはブリューボイラーのヒーターだけが作動し、スチーム用のヒーターは休止したままとなる。
この時、ブリュー用のヒーターに関しては通常の「Full」モード時と何ら変わらない動きを示し、抽出準備OKとなるのに掛かる時間も同様(約30分程度)だ。
そして、ここからやっとスチーム用のヒーターが作動するのだが、今度はスチーム用のヒーターだけが作動する訳ではなく、ブリュー用ボイラーの設定温度を維持し
ようとしたままスチームボイラーの加熱を行う為、どうしてもスチーム用のヒーターはON/OFFを繰り返してしまい、結果的にスチームボイラーの湯温が適正温度に
達するのにヒーター作動開始から1時間以上もの時間を要してしまう。
ちなみにこの時のピーク消費電力は800W程度。(100V電源時)

しかも、ボイラー圧を上昇させるために必要なバキュームブレーカーのバルブが閉じられる前にヒーターが切れてしまうため、いつまで経ってもボイラー内の圧力
を上げる事ができない。
これはどうやらヨーロッパ圏内の20A仕様機では正常に作動するようだが、US圏内の15A仕様機ではバルブを閉じるのに必要なパワーを維持できないからのよ
うだ。
その為、ユーザーの操作によって一時的に「Full」モードに切り替えて、バキュームブレーカーを作動させてから圧を上げてやる必要がある(苦笑)

(※バキュームブレーカーとは:高温・高圧状態のボイラーが電源OFFによって冷却される際、内圧が低下して真空になろうとする現象が起き、最悪の場合はボイラーに接
  続されている各パーツを破壊してしまう事があるらしい。
  この内圧低下時にバルブが開き、外部から空気を吸入させることでパーツを破損から守る為の装置。

  ボイラーが冷えた状態から本体を立ち上げた場合、ボイラー内の水が過熱されて圧が上昇しようとする際に内圧によってバルブが押し出されることにより、バルブが
  閉じられてボイラーを外気から遮断する仕組みになっている。
  セミコマ機のAndreja Premiumなどでも、ボイラーが過熱していく途中で「シュシュシュシュ〜〜!シュッ!!!」という音が聞こえる。
  この音の発生源がバキュームブレーカーだ。)

また、抽出を行ないながらスチーミングを行なう場合において、どうしてもブリュー用ヒーターが優先されてしまうため、スチーム圧の落ち込みも激しく、GS3らしい
パワフルさが大きく損なわれてしまう。

以上の検証結果から、ヒーターの「Half」モードについては、スチームを必要としないエスプレッソだけを作りたい時に、少しでも消費電力を抑えたいという場合か、
あるいは本体立ち上げる際に極限までピーク電力を抑えたい場合のエマージェンシー用と考えた方が良いだろう。
抽出とスチーミングを同時作業する場合には、「Full」モードに切り替えておくことが必須となる。
勿論、この「Full」モードでの使用時において、昇圧無しの100V電源でも全く問題が無い点についてはファーストインプレッションにも書いたとおりだ。
ということで、GS3を正常に使用するためには最低でも1100W程度の電力容量を確保する必要があると考えるべきだろう。

以上、また引き続き気がついた点などを随時追記していきたい。
(記:2013年3月19日)


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【↓2013年3月23日追加情報↓】<GS3の電装ボックスの中身を見る>
GS3の電装系パーツは黒い樹脂製のボックスに密閉され、ベースフレームの下面に潜り込むように設置されている。
密閉とは言っても前方側の中心部に開口があり、そこからハーネス類が伸びているので完全な密閉状態ではないが、フレーム上にあるボイラーやパイプ類をメン
テナンスによって取り外す際、水が垂れてしまっても電装ボックスの中に水が入り込むのを防ぐのと、遮熱にも貢献しているようだ。

GS3の動作を全てコントロールしている通称「ブレイン・カード」(正式名称はエレクトロニック・ボード)と呼ばれるコンピューター基板は意外とシンプルで、正直「え?
これが単品で500ドルもするの?」といった印象(苦笑)
まあ、ボードの価格については部品代というよりも、メモリに記録されているシステムソフトウェア代という事なのだろう。
その他ではヒーターをON/OFFさせるためのソリッドステート・リレーと、巨大な電解コンデンサーが見える。

ちなみに、セミグロス・ブラックにペイントされているベースフレームは鉄製ではなく、ステンレス製の板を曲げて加工されたものだ。



↑GS3の電装ボックス内部



↑GS3の頭脳にあたる「ブレイン・カード」は驚くほどシンプル。


それにしても、GS3をここまで解体してみて強く感じる事は、とにかく内部パーツにアクセスする事がとても簡単であるということ。
この状態まで解体するのに工具を使用した箇所は、背面パネル下側の電装ボックスをベースフレームに固定させている2個のプラスネジだけ。
サイドパネルはナットを指で回すだけで取り外し可能であるし、背面パネルは上記2個のネジを外せば抜き取る事ができる仕組みになっている。
ちなみに今回は外していないが、天板(遮熱板)を固定させているネジも、対角に位置する2個のねじによって留められているだけだ。
(普通の感覚では最低でも4つ、もしくは6個くらいのネジで固定されていてもおかしくはないと思う。)
これは、業務用として現場で毎日稼働させている機械にトラブルが発生した場合、店側への影響を極力軽減させるために現場で迅速な修理作業が行なえる様、で
きるだけ工具やネジ・ナット類を必要としないための工夫が施されているのだろう。
それだけに、リザーブタンクにおけるメンテナンス性の悪さが惜しまれる(苦笑)



↑ここまで解体するのに5分と掛からない。


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【↓2013年3月28日追加情報↓】<GS3を1ヶ月間使ってみて>

GS3導入から1ヶ月が経過し、これまでに感じた事や気がついたことを相も変わらず書いてみる。

先ず始めに、僕は今まで「La marzocco」のことを「ラマゾッコ」と呼んできた。
これは、欧米各国から発信されているYoutube等の動画上において「ラマゾッコ」と発音しているように聞こえたからそのように呼んでいたのだが、どうやらここ日本
では正規代理店をはじめとして、圧倒的に「(ラ)・マルゾッコ」という呼び方が有力らしい。
ということで、上記の記事の内容も全て「ラマゾッコ」から「ラ・マルゾッコ」に修正させていただいた。


ところで、ここ最近の休日で全く外出しないようなパターンの場合、僕は朝の8時頃から夜の11頃までずっとGS3に電源を入れたままのスタンバイ状態にしている。
それでも累積電気料金メーターが50〜60円程度にしかならない点については、GS3購入前のイメージからはちょっと意外であった。


また、最近では電源を基本的に昇圧無しの100V電圧のまま使用している。
というのも、僕が会社にいる時間帯である、平日夕方の18時にマシンが起動するようにタイマーをセットしてあるのだが、115V電源の場合、ご飯を炊きながら電子レ
ンジを使用すると、稀に ブレーカーが落ちてしまう事があるらしく、一時対処的に100V電源で使用していた。
ところが以前にも書いたように、特に100V環境でも使用感的には全く支障が無いため、今のところはそのまま100V電源で使用し続けている。


<ポルタフィルターが実は画期的なものだった?>
GS3には、シングル・スパウトとダブル・スパウトの2種類のLM(ラ・マルゾッコ)オリジナル製のポルタフィルターが付属している。
この点については上の方でもさらっと紹介しているが、古くからのLMユーザーにとって、実はこのポルタフィルターがとても画期的なものであったらしい。
僕のGS3に付属しているステンレス製のポルタフィルターは2012年の春あたりから新しく採用されたものらしく、それまでの(GS3を含む)全てのLM製品に付属し
ていたのは一般的なE61系マシンに付属しているような、真鍮にクロームメッキが施され、ホルダー下側の形状も普通に円錐形状のものであった。
(独特なグリップ形状とハンドル部のアングルについては従来品も共通)

ところが業務用として酷使していくと、徐々に内面のメッキが剥がれることによって真鍮材が露出してしまい、それがコーヒーと反応して黒く汚れてしまっていたそうだ。
そこで、多くのバリスタ達の意見を反映させた形で、現行のステンレス製のポルタフィルターが新たに設計された。
これについて、当時の海外LMユーザーらによるフォーラムやブログなどを見てみると、ステンレス化によって汚れにくくなった点や、ホルダー下面の一部平面形状化
によりタンピングがやり易くなった点などに関して、かなり大絶賛であったことが記事の内容から伺える。

僕としては、フィルターホルダーとハンドル間に付けられている15度のアングルと、手に吸い付くような形状と材質のグリップの部分が秀逸と感じているのだが、これ
らについては従来のLM製ポルタフィルターにおいても特に変わらない部分となる。
むしろ、旧タイプのダブル・ポルタフィルターの方がスパウト部が肉厚で重厚感があり、カッコイイとさえ感じているほどだ(苦笑)
(実は旧タイプも1本欲しいとか思ってる、、、。)



↑ラ・マルゾッコ純正 ステンレス・スチール ポルタフィルター
 このグリップが何とも絶妙だ。



↑ホルダー下面には、テーブル端部でのタンピングに便利なフラット形状が付けられている。
 

<GS3は本当に素晴らしいマシン>
GS3を1ヶ月間、毎日使用してきたが、使い込むごとにGS3の凄さが身にしみて実感できる。
僕がこれまでに使用してきたエスプレッソマシン達は、エスプレッソの抽出やスチーミングをよりベストな状態で作業するためには少なからず常に何らかのタイミングを
計りながら作業していた。
それはエスプレッソを抽出させるのに適した温度になるのを待つ時間であったり、よりドライでハイパワーなスチーミングを実現させるためのヒーター作動状態や圧力
状態など。

ところがGS3の場合、エスプレッソの抽出とミルクをスチーミングする事において一切のタイミングを計る必要は無い。
エスプレッソを抽出したい場合、好きなタイミングでポルタフィルターをグループヘッドにセットして抽出ボタンを押せば良い。
すると、まるでプロのバリスタが抽出しているかのような、ディープ・オレンジに輝くエスプレッソがタラァ〜りと落ちてくる。

ラ・マルゾッコ独自のサチュレーテッド・グループヘッドと大容量のエスプレッソ抽出専用ボイラー&ヒーターにより、抽出中の湯温低下は勿論、2ショット目を立て続けに
作業しても全く問題は無い。

また、スチームを使用したい場合については、これまでに僕が使用してきたマシン達のようにヒーターの作動状態や圧力状態を気にする必要は無く、スチーミングを
始めたい瞬間にスチームレバーを倒すだけで良い。(ノズル内の水抜きのため、数秒間の空ぶかしは必要だが。)

尚、これらについては単純にダブルボイラー機だからということだけで実現できたものではなく、ラ・マルゾッコの伝統的な構造となっている大容量横置きボイラーやサ
チュレーテッド・グループヘッドをはじめ、プレ・ヒーティングシステムや各種センサー&制御パーツとそれらを制御するシステム・ソフトウェアなどの全てが高い次元で融
合した結果の賜物なのだろう。

一刻も早くカプチーノを複数のお客様に提供するという訳でもなく、主に自分と家族と時々訪れる客人が飲むだけなのだからそれ程急ぐ必要は無いと、シルビアを使っ
ていた頃までは考えていた。
しかし、マシンの状態によって作業が中断させられる事が無く、スムーズに全ての作業が進められるという流れを実際に体験してしまうと、もう前の状態に戻ることは
出来ないほど素晴らしい事であった。

もしも今現在GS3の購入を迷っている方が実際にGS3を2〜3回ほど使用してしまった場合、その方は絶対にGS3を手に入れたくなってしまうであろう事は間違い
ないほどの魅力を持ったマシンであると思う。

僕はこれまでに1万円クラスのエスプレッソマシンから段階的にステップアップしながら、いくつかの家庭用マシンを使用してきた。
だからこそGS3に対してこれだけの驚きや感動を味わう事ができるのであって、仮にどこかのお金持ちの方が人生初のエスプレッソマシンとしていきなりGS3を入
手した場合、もしかしたら僕が今感じているほどの驚きや感動は味わえないのかもしれない。
う〜ん、、それはちょっと勿体無いなぁ(苦笑)



 


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【↓2013年4月8日追加情報↓】<抽出とスチーミングの動画をアップしてみた>



↑電源は、昇圧無しの100Vにて作業。
 背後から聞こえるガタゴト音は、すぐ横にある食器洗浄機によるもの(苦笑)


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【↓2013年5月5日追加情報↓】<お店から嬉しい連絡が来た>

先日、僕がGS3を購入したお店の店長から何やらメールが届いていた。
その内容は下記の通り。

本来、ラ・マルゾッコのエスプレッソマシンはラ・マルゾッコのサービスマンか、認定されたショップのスタッフ以外の者によってマシンのインストール作業を行った場合
メーカー保証は一切無効となる。
しかし、僕と、今日までに僕を通じてGS3を購入されたお二人の方(注:購入者およびショップ側、共に仲介報酬等は一切頂いておりません。)は「特別なお客様」と
いうことで、店側が独自に1年間のパーツ保証を付けてくれるというものであった。
つまり、GS3の購入から1年以内にGS3に何らかの故障が発生した場合、故障した部品を店長さんがラ・マルゾッコに手配して無償で送付してくれるというものだ。
(交換作業はユーザー側にて対応し、故障パーツの返送は不要。)

実に義理人情に厚い店長さんならではの粋な計らいである(笑)


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【↓2013年6月9日追加情報↓】<ブリューボイラーの水抜きについて>

GS3を導入して3ヶ月が経過した。
これまでにトラブルも無く、相変わらず、今までに使用してきたエスプレッソマシン達とは比較できないほどのパフォーマンスを常に発揮してくれている。

さて、今回はGS3のメンテナンスに関する情報として、ブリューボイラー(コーヒーボイラー)の水抜きについて書いてみたい。

このページの上の方にも書いてあるように、僕はAndreja Premiumの頃からスチームボイラー内の水を最低でも2週間に1度のペースで総入れ替えしている。
しかし、今回のGS3においては、このスチームボイラーの水抜き時に併せてブリューボイラーも水抜き&総入れ替えを実施している。
(ちなみにリザーブタンクの水は毎日総入れ替えしている。)

その理由として、GS3の場合はブリューボイラーの容量が大きいため、僕のように1日に2〜3杯程度の使用頻度ではブリューボイラー内の水が簡単に入れ替わって
いる状態にあるとは考えにくい。
また、ブリューボイラー内に水を満たして10日を過ぎたあたりの状態で、グループヘッドから排出されるお湯をそのまま「白湯」(さゆ)として口に含んでみると、まだボ
イラーが新しいこともあってか、何となく金属っぽい風味が感じられるようになるのだ。
実際にエスプレッソやカフェラテにして飲む分にはその風味は全く感じられず、そのままでも特に大きな問題ではないのだが、やはり気分的には常に新鮮な水をボイ
ラー内へ入れておきたいものなのだ(苦笑)

という事で、今回はブリューボイラーの水抜き&入れ替えの手順について説明したい。

まず初めに、内蔵されているリザーブタンクを本体から取り外しておく。

次に、ドリップトレイを外した状態で、本体下側に向かってエキスパンションバルブ突き出ているのが見える。
このエキスパンションバルブを向かって左側に回して、バルブ本体が外れない程度に緩めてやる。
ちなみに僕の場合は、ブリューボイラーの適正圧力上限設定値である12barの状態に固定されたバルブの位置に目印をペイントし、その状態から7回転緩めている。
そしてリザーブタンクが外れた状態のまま、ドリップトレイを本体にセットする。
(エキスパンションバルブを緩めた事によってバルブ下面端部が下がってトレイと干渉してしまうため、正常にはセットできないが、まあ良しとする。)

次に、マシンインストールにて紹介したグループヘッド上面にあるエア抜き用のボルトを緩めて抜けば、エキスパンションバルブ下面から排水が始まる。
やがて排水が止まった状態でドリップトレイ内の水を捨て、再度ドリップトレイをセットする。

この状態で、本体の向かって左側を持ち上げ、向かって右側へ本体を傾けることで、まだ抜けきっていなかった水が全て排水される。


↑赤丸の中にあるパーツがエキスパンションバルブ。
 


↑バルブを緩め、グループヘッド上面のエア抜きボルトを外した直後から排水が始まる。
 

全ての水が抜けたら、エキスパンションバルブを元の状態に回して戻す。
そして、またブリューボイラーへ水を注水してエア抜きを実行してやるのだが、実はここからが重要なポイントなのだ。

GS3の場合、スチームボイラー側には水位センサーが設置されているが、実はブリューボイラー側には水位センサーは設置されていない。
というのも、スチームボイラーはスチームの排出によって徐々に水位が下がり、一定以下の水位になった状態で水を自動注水しているため、水位センサーが必要に
なるのだが、ブリューボイラーについては常に空気の入る隙間も無いほどの満水状態が当たり前であることから、水位センサーによる水位管理は必要とされないか
らだ。

ということで、スチームボイラーが満水状態にあり、ブリューボイラーが空の状態のまま電源を入れてしまうと、マシンはブリューボイラー内に水が入っていないという
事を察知できないまま両ボイラーのヒーター過熱を始めてしまうのだ。
まあ、実際にはメイン電源オンと同時にマニュアル抽出ボタンを押せばブリューボイラーへの注水が優先され、また、ブリューボイラーのヒーターはボイラー底面側ギ
リギリの高さに設置されているので、すぐに水に沈んでしまい、問題は無いとは思う。
しかし、念のため、ブリューボイラーの水抜きを実施した際には、同時にスチームボイラーの水抜きを行い、両方のボイラーが空の状態から注水作業を実施した方が
安全だとは思う。




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【↓2013年9月6日追加情報↓】 <GS3を導入して半年が経過した>

GS3を使い始めてから半年が経過したので、自分で6か月点検を実施してみることにした。

ラ・マルゾッコUSAのメーカーサイトには、サービスマン向けの点検チェックシートが無料ダウンロードできるようになっており、実施時期としては3ヶ月、6ヶ月、1年と設
定されている。(LINEA、Strada、GB/5 & FB/80)

しかし、ラ・マルゾッコでは業務用マシンの抽出量の基準として1日に20杯〜300杯程度のボリュームを想定しているので、1日の平均抽出量が2〜3杯程度の我が家
と比較すると、最も頻度の少ないパターンでも約10倍程度の差がある。
ということは、我が家の使用環境において、業務用の最も短い点検時期である3ヶ月分と同等の使用頻度に達するには短くともおおよそ30カ月程度の日数が掛かる
事になるが、業務用途と比較して抽出頻度は少ないとしても、本体に電源を入れておく(本体が高温状態になっている)時間として考えれば、もう少し差は縮まるだろ
うか?
ということで、今回は3ヶ月点検用の項目の中から特に気になる項目をチェックしてみた。

まず、そのチェックシートに記載されているチェック項目の中から真っ先に気になったのが、各ボイラーにセットされている温度センサーと、スチームボイラーにセットさ
れている水位センサーの動作チェックとクリーニング。

スチームボイラーには温度センサーによる実温度を表示させる機能が無いので、ユーザーマニュアルに記載されているスチームボイラー温度とスチーム圧の関係表と
比較して、設定温度と実際のスチーム圧との関係に相違が無いことからスチームボイラーの温度センサーには問題無きことを確認。
また、抽出ボイラーも設定温度と表示温度、または実際に排出される湯温等をチェックし、これまた特に異常無きことを確認した。

次に、スチーム&ブリュー両ボイラーの水を抜き、温度センサーと水位センサーをボイラーから取り外してセンサーの汚れ具合をチェックしてみたが、カルシウム等の付
着も見られず、ピッカピカの状態であった。

その他のチェック項目としては、グループヘッドガスケットとシャワースクリーンの交換も記載されているが、この両パーツについては劣化や磨耗している様子が全く見
られず、シャワースクリーン内部についても日頃のメンテによってキレイな状態で問題無し。
抽出量についても購入時に設定した状態から変化は無く、安定して30cc or 60ccを抽出した状態で自動停止している点からフローメーターも正常と判断。

あと、点検チェックシートに記載されてはいないが、両ボイラーに設置されているヒーターの抵抗値をテスターにて測定し、ヒーターの劣化具合をチェックしてみたが、購
入時と同じ数値で劣化している様子は全く無くOK。(スチームボイラー:13.225Ω、ブリューボイラー:26.45Ω)
まあ、家庭用として細々と半年間程度使用したくらいでヒーターが劣化してもらっても困るのだが、、、(苦笑)

その他ではポンプの振動や異音、各配管やホース類の接続部の劣化や水漏れ、各ソレノイドバルブの動作状態なども確認した。

ということで、約半年間、ほぼ毎日使用してきた現時点においては新品時から劣化している点や異常な部分も全く見られず、ベストなコンディションで半年を迎える事
ができた。


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【↓2013年12月31日追加情報↓】 <GS3を導入して10ヶ月が経過した>

今日は12月31日の大晦日なのだが、特にやることも無く暇なので、GS3導入から10ヶ月後の状況についてアップしようと思う(苦笑)

GS3を導入してからの10ヵ月間、平日は会社から帰宅した直後、休日は起床した直後に先ずはGS3に電源を入れるという生活を送ってきた。

シングルの場合は約11〜12グラムの豆を、そしてダブルの場合は約16〜17グラムの豆をmazzer MINIのホッパーへ放り込み、挽いた粉をポルタフィルターに乗せ、指で
軽く平らにならす。
そしてEsproのオートマチック・タンパーで軽く押し込んだ後(仮タンピング)、タンパー外径面とフィルター内径面との間に潜り込んだ粉をフィルター内部に落とし込むため、
タンパーでポルタフィルターの外径面を軽くコンコンと叩いた後、今度は30ポンド(約13.6kg)の荷重で本タンピングをし、最後に無荷重のままタンパーをくるっと回してタン
ピング面を馴染ませてタンピング完了。
(フィルターのグループヘッドパッキン接触面に付着した粉は指でキレイに落とす。)

続いてグループヘッドから3〜5秒ほど湯を出してからポルタフィルターをセット。
グループヘッド下にカップを置き、自動抽出ボタンを押す。
そしてスチームを軽く空ぶかしさせてからミルクスチーミング開始。
ミルクスチーミング中にエスプレッソの抽出は完了して自動停止し、間も無くしてミルクスチーミングも完了する。
(スチーミング後は空ぶかし&タオルでノズルを洗浄。)

最後にスチームドミルクをカップに注ぎ込んでラテor カプチーノが完成。

これら一連の作業において、マシンの状態による待ち時間やロスは一切無く、むしろ作業者側の手際の良し悪しが問われてしまうほど、このGS3には隙が無い(汗)
危惧していたトラブルについては、おかしな動作や不調に陥ることも無く、至って快調そのもので、今のところエスプレッソマシンとしての不満点は全く思い浮かばない。

ファーストインプレッション時に少々不満であった、ペンチによってクリップを外さなければ本体との着脱ができないリザーブタンクについても、現在ではホームセンター
から購入したホースクリップすら使用せずに、給水チューブとタンクのアウトレットパイプとをそのまま抜き挿しするだけで問題無く使用できている。

と言う事で、2014年も宜しくお願い申し上げます(笑)


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【↓2014年1月21日追加情報↓】 <約1年点検(?)を実施してみた>

我が家のGS3は、来月の2014年2月27日をもって、導入から1周年を迎える。
と言う事で、ちょっと早いが今回は約1年点検(?)を実施してみた。

点検項目としては基本的に上の2013年9月6日追加情報にある、6ヶ月点検の時と同じ内容のものだが、今回はそれらに加えてバキューム・ブレーカーの分解・清掃も実
施することにした。

(※バキュームブレーカーとは:高温・高圧状態のボイラーが電源OFFによって冷却される際、内圧が低下して真空になろうとする現象が起き、最悪の場合はボイラーに接
  続されている各パーツを破壊してしまう事があるらしい。
  この内圧低下時にバルブが開き、外部から空気を吸入させることでパーツを破損から守る為の装置。

  ボイラーが冷えた状態から本体を立ち上げた場合、ボイラー内の水が過熱されて圧が上昇しようとする際に内圧によってバルブが押し出されることにより、バルブが
  閉じられてボイラーを外気から遮断する仕組みになっている。
  セミコマ機のAndreja Premiumなどでも、ボイラーが過熱していく途中で「シュシュシュシュ〜〜!シュッ!!!」という音が聞こえる。
  この音の発生源がバキュームブレーカーだ。)

このバキューム・ブレーカーに関して、僕がGS3をこれまで普通に使用してきた状況下においては特におかしいと感じた事は無い。
ところが、硬度が高めの水を使用している一部の海外ユーザーの中には、バキューム・ブレーカー内部のパッキン(シール?)の表面に細かい粉末状のスケールが付着
してしまう事により、バルブが閉じ難くなる現象が数ヶ月〜1年以内くらいに発生するケースがあるようだ。
その為、彼らは定期的にバキューム・ブレーカーを分解して、内部のパッキンに付着した汚れをクリーニングしているらしい。

上にも書いたように、僕のGS3ではそのような不具合は発生していないが、バキューム・ブレーカーの分解・清掃がGB5やFB80などの1年点検のチェック項目になってい
る事もあり、特に難しい作業でもないので、今回はチェックしてみることにした。

分解手順はとっても簡単。
サイドパネルとリアパネルを外し、バキューム・ブレーカーに繋がっているシリコンチューブを外した後に、スパナを使用してバキューム・ブレーカーをボイラーから取り外す。
そして、2本のスパナを使用してバキューム・ブレーカーを上下2つに切り離すだけ。
ここまでの一連の作業時間としては10分も掛からない。

バキューム・ブレーカーを分解後に内部の各パーツをチェックしてみたが、僕の使用環境下では全く汚れてはおらず、逆にちょっと寂しかった(苦笑)
また、その他の各センサー達も6ヶ月点検時と同様、殆ど汚れてはいなかった。

と言う事で、チェック&清掃をした各パーツを組み直し、僕のGS3の約1年点検は完了した。



↑画像中央のシリコンチューブが繋がっているパーツがバキューム・ブレーカーだ。  



↑分解されたバキューム・ブレーカー。
  内部パーツは殆ど汚れていなかった。  



↑スチーム・ボイラーの水位センサー・プローブ。  



↑スチーム・ボイラーとブリュー・ボイラーの温度センサー。  



↑無事に、約1年点検(?)を終えたGS3。  


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【↓2014年3月1日追加情報↓】 <GS3導入から1年が経過>

我が家のGS3が先日の2014年2月27日をもって、導入から1周年を迎えた。

この1年間において、GS3が故障したり何らかの不調に陥ることも無く、いたって快調そのものであった。
また、僕が購入したのとほぼ同時期に、僕の紹介によってGS3を購入された方々からも特に何らかのトラブルに関する相談は来ていないので、こちらも問題無くGS3の魅力
を堪能されているのだろうと思う。

ということで、今後も引き続き長期レビューとして何かあれば書き足していきます。


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【↓2014年5月14日追加情報↓】 <念願の旧タイプのポルタフィルターを入手した!>

マルゾッコの純正ポルタフィルターには真鍮製の旧タイプとステンレス製の新タイプがあり、僕がGS3を購入する1〜2年前あたりから新タイプにモデルチェンジされ、僕のGS3に
もこの新タイプが付属されていた事は以前にも書いた。
また、僕個人としては付属されていた新タイプのものよりも、旧タイプの方が無骨でマルゾッコらしくてかっこ良く、いつかは旧タイプを入手したいとも書いた。
そんな思いから旧タイプのポルタフィルターを日々探していたのだが、今回めでたく新品の旧タイプを入手する事ができた。

そもそも、ラ・マルゾッコの純正ポルタフィルターは新旧両タイプ共に国内のコーヒー機器ショップ等では殆ど取り扱われておらず、正規代理店でも新タイプのポルタフィルターのみ
の販売となり、旧タイプは取り扱われていない。
また、国内での販売価格は異常に高価であり、仮に新タイプであっても35,000円から40,000円以上で販売されている。
一転して海外ではラ・マルゾッコの純正ポルタフィルターは100ドル程度(日本円で1万円程度)であちらこちらのショップから販売されてはいるが、旧タイプについては取り扱って
いるショップを見つけることは難しく、見つけたとしても250ドル(約25,000円)を超える価格設定である事が殆ど。
(今や希少品としてプレミア扱いになっているのだろうか、、、?)

そんな中、世界最大のオークションサイトであるebay(イーベイ)にて、未使用新品の旧タイプを125ドルの即決価格で多数出品しているショップを見つけ、更に125ドルという表示
価格からの値引き交渉を可能とするためのebay独自の機能である「Make Offer」が適用されていたため、数度に及ぶ値引き交渉の結果、110ドルにて購入することができた。
実際には商品価格にプラスして送料が2,000円程度掛かったので、合計約14,000円程度で今や貴重な旧タイプの純正ポルタフィルター(ダブルスパウト)を入手したことになる。

現物を実際に手にしてみると、やはり重厚で無骨な造りの旧タイプの方が数段カッコ良い。
使い勝手としては、下面にタンピング用の平端面が無いなど、旧タイプらしい部分はあるが、特に気になる部分でもない。
とにかくかっこ良ければ良いのだ(笑)


↑スパウト部(注ぎ口)が肉厚で短いのが旧型の特徴。  


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【↓2014年12月10日追加情報↓】 <ラ・マルゾッコ メーカー公式のGS3イメージビデオがカッコイイ!!>

先日、ラ・マルゾッコの公式サイトにGS3のイメージビデオがアップされていた。
それが超カッコイイ!(驚!)




ちなみに我が家のGS3は至って絶好調。
導入から今日までの間、ほぼ毎日使用しているが、おかしな動きを見せた事は一度も無い。


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【↓2015年1月18日追加情報↓】 <あちらこちらをばらしてチェックした>

あと一カ月ほどでGS3購入から2年が経過する。
今日は暇だったので、ちょっと気合を入れてメンテナンスをしてみた。
ところが、2014年1月21日に実施した点検の時と同様、各部は全く汚れておらず拍子抜け(苦笑)
マシン自体は相変わらず絶好調。





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【↓2015年3月2日追加情報↓】 <GS3導入から2年が経過>

我が家のGS3が先日の2015年2月27日をもって、導入から2周年を迎えた。
平日は夕食前から夜の11時頃まで、休日では朝から夜まで、ほぼ電源を入れっ放しにしているが、この2年間においてもGS3が故障したり何らかの不調に陥
ることも無く、いたって快調そのもの。
また、僕がGS3を購入後、多くの方々が僕の紹介によってGS3を購入しているが、その方々からも依然として何らかのトラブルに関する相談も来ていない。

ということで、今後も引き続き長期レビューとして何かあれば書き足していきます。


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【↓2016年3月25日追加情報↓】 <GS3導入から3年が経過>

気が付けば、1年以上も放置してしまった(汗)

我が家のGS3も既に導入から3年が過ぎた。
毎日のように使っているのは↑の2周年経過時と全く同じ状況だが、やはり故障したり何らかの不調に陥ることも無く、いたって快調そのものだ。
同様に、僕の紹介によってGS3を購入している方々からも依然として何らかのトラブルに関する報告も来ていない。

ということで、このGS3は想像以上にタフなヤツであった(苦笑)


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【↓2017年2月11日追加情報↓】 <GS3導入からまもなく4年が経過>

今月の2月27日で、GS3購入から4年が経過する。

あいかわらず毎日のように使っているが、全くもって快調そのもの。
ポンプの作動状態やヒーターパワーに関しても、新品導入直後の状態から衰えている様子は一切感じられない。


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【↓2018年2月28日追加情報↓】 <GS3にトラブル発生!?>

2018年2月27日をもってGS3導入から5年が経過する。
しかし、今回に関しては何事もなく無事に6年目を迎えるという訳にはいかなかった。

というのも、今年に入ったばかりの1月中旬に、スチームボイラーのヒーターエレメントが故障してしまったからだ。
実は昨年末(17年末)に、その前兆を感じたことがあった。

これまでに、スチーミング中にスチームボイラーの圧力計の針が目に見えて落ち込むようなことはあまり無かったが
何となく圧の下がり具合が大きく、また、圧の回復が遅く感じた事があった。
だが、この時は自分の思い違いだろうと自分を納得させて、その後の日々を送っていた。

しかし、今年2018年1月中旬のこと、いつもどおりにエスプレッソマシンの電源を立ち上げたところ
どこからか、ビニールが焼け焦げるような異臭を発している事に気がついた。

そこでGS3本体のサイドパネルを外して各部をチェックしてみたところ、スチームボイラーのヒーターエレメントに接続されている
2本のケーブルのうち、1本の端子の付け根のビニールカバーが熱によって溶けており、ケーブルの端子に近い部分が異常に熱くなっていることが判った。
これらの症状からスチームボイラーのヒーターエレメントが劣化あるいは破損していると断定。
交換用のヒーターエレメントとOリングの品番をGS3のパーツリストから調べて海外のショップに発注した。
部品代は送料込みで209ドル。


↑左が新品、右が故障したスチームボイラー用のヒーターエレメント

ヒーターエレメントの交換作業はいたって簡単。
まずはスチームボイラー内に溜まっている水を抜き取ってから交換作業を開始。
故障したヒーターエレメントに接続されている2本のケーブルを外し、ヒーターエレメントをボイラーに固定させている3つのナットを外せばヒーターエレメントを取り外す事ができる。
エレメントを外したついでにボイラーの開ロ部からスチームボイラー内部の状態を確認したが、カルシウム等の付着や蓄積等もなく、実にきれいな状態であった。

新品のヒーターエレメントに新品のOリングをセットし、取り外した逆の手順で組み付けてマシン本体を起動させた。
順調にスチームボイラーの圧力は上昇し、ヒーターに接続されているケーブルが異常発熱している様子は無い。
何度かスチームの排出とティーウォーターの排出を繰り返し、ボイラーの圧力の変化状態をチェック。
以前のようにスチーム圧が安定している事が確認できた。
また、ヒーターエレメント組み付け部からの水漏れの有無をチェックし、無事に修理完了となった。


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【↓2019年5月19日追加情報↓】 <GS3導入から6年が経過>

既に今年の2月27日をもってGS3導入から6年が経過した。
昨年(2018年1月)にヒーターが故障した以降、特に不調になることも無く順調な毎日を送っている。


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【↓2019年7月20日追加情報↓】 <アップトランスを交換>

初めて海外から個人輸入にてシルビアを導入した2011年10月から7年以上の間、ずっと通電させた状態で使い続けてきた昇圧トランスがついに故障した。
GS3を起動させた直後にトランスから金属が焼けた時のような独特な匂いがトランスから発生。
このまま使用するのは危険と判断し、新たに昇圧トランスを購入した。
今回購入したのは、ネット上でレビューの数が多くさらに高評価であった育良(イクラ)精機のポータブルトランス PT-20U(価格9,700円)を購入した。
トランス本体に電源スイッチがあるため、常に通電状態であった以前のものよりも安心感はある。
今後の耐久性についてはどうなのだろうか?




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【↓2020年4月5日追加情報↓】 <GS3導入から7年が経過>

今年の2月27日をもってGS3導入から7年が経過した。
昨年(2018年1月)にスチームボイラーのヒーターを交換した以降、順調な状態を維持している。
2019年7月に導入した昇圧トランスも問題無く安定している。


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【↓2022年7月3日追加情報↓】 <GS3導入から9年が経過>

気が付いたら2年も更新をスルーしていた。 とりあえず今年の2月27日をもってGS3導入から9年が経過している。
その後も、特に調子が悪くなることもなく、至って快調だ。
2019年7月に導入した昇圧トランスも問題無い。


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【↓2023年3月4日追加情報↓】 <GS3導入から10年が経過>

今年の2月27日をもってGS3導入から10年が経過した。
イタリアの製品ということで10年はどうか?と購入当時は思っていたが、全く問題なく至って好調だ。
2019年7月に導入した昇圧トランスもとても調子がいい。


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