レスポール・リイッシュー・ミュージアム2




注:下記の写真は月刊YMMプレイヤー誌より転載し、文章も同誌を参考・引用させていただいております。
また、これらの使用について(株)プレイヤー・コーポレーションより承諾を得ています。
これらの写真、文章の無断複製及び転用を堅くお断りいたします。


Les Paul Guitar Trader(1982)

ニュージャージー州のギターショップ、ギター・トレーダーは定期的に発行していた
プライス・リストにヴィンテージ・ギターの解説を載せるなど、中古以上の価値を持つ
"ヴィンテージ・ギター"の販売に早い時期から力を入れていた店の一つ。
そのギター・トレーダーが細部にわたりスペックを指定し、オリジナルに近い仕様で
オーダーしたレスポールだ。このギターにはヘッド裏の他に、コントロール・キャビ
ティのフチにもう一つシリアルが打たれており、こちらは同時期の通常のフォーマット
のシリアルとなっている。


Les Paul Leo's Vintage(1982)

カリフォルニア州バークレーの楽器店レオズがギブソンに特注したレスポール。
シリアル・ナンバーの頭にLが付くのが特徴だ。
また、ギター・トレーダーでオーダーしたものの残り分がレオズで販売されたとも言われている。
ペグは斜めに大きくうっすらと"Gbson"のロゴの入った珍しいものだ。
ギター・トレーダーのものと並び、古いカラマズー工場製ということで1ランク高い評価を得ている。


Les Paul '59Vintage(1983)

82年の'58ヴィンテージに続き、83年に当時の日本のギブソンの輸入代理店
のオーダーによって生産された'59ヴィンテージ。マホガニー1ピース・ネック、
ニッケル・メッキのオールド・チューン・オー・マチック・ブリッジ、スタンプに
よるヴィンテージスタイルのシリアルなど、かなり細かい部分までオリジナルを再現
しているが、指板はローズウッドのはずが、なぜか前年の'58ヴィンテージの
仕様であるエボニーとなっている。当時の定価はモデル名にちなんで59万円だった。
写真のものはピックガードが外されている。


Les Paul Jimmy Wallace(1982)

ギター・コレクター/バイヤー、そしてプロ・ギタリストとしての経験も持ち、
有名なダラス・ギター・ショーの主催者の一人でもあるジミー・ウォレスが80年前後に
テキサス州のアーノルド・モーガンという楽器店を通じてギブソンにオーダーしたレスポール。
79年〜82年までにカラマズー工場で約100本のジミー・ウォレス・モデルが作られたそうだ。
ジミー・ウォレス・モデルは、彼のレスポールのコレクションから特に良い一本を選び、それを
ギブソンに渡して、そっくり同じものを作らせたという。


Les Paul Norman's Rare Guitars(1993)

L.Aの有名なヴィンテージ・ギター・ショップのノーマンズ・レア・ギターのオーダーによる
レスポール。ギター・トレーダーやジミー・ウォレスらと同じく80年代からギブソンにカスタムメイド
のギターをオーダーしていたようだが、写真は近年のもの。ヘッド裏にはシリアルの他に頭文字の
"NRG"がスタンプされ、シリアル・ナンバーは9 0001という代物だ。このギターはピックガード
は最初からマウントされていない。


Les Paul Classic (1990)

90年から発売されたクラシック。 レスポール・リイシューを基本として発売されたモデルで、その特徴は1960年のスタンダード 
を連想させる薄目のネック・グリップ(1960の文字もビックガードに入れられている)、ピックアッ
プにはオープン・タイプの496R/500Tがマウントされており、出力が高めで歯切れがよいロック向
きなサウンドに設定されている。そしてギブソン社のピックアップのラインが見直され、機種やフ
ロント/リア専用のピックアップ(ポール・ピースの問隔、出力違い)が開発された。
一時期ペグがグローバーになったり、生産中止になったりしたが、現在も写真の仕様で販売されている。
(その後、2008年に生産完了となり廃盤となった。)


Les Paul Historic Collection(1993)

93年に登場したヒストリック・コレクションの60年レスポール・フレイム・トップ。
初期ものの中の1本。微妙なボディ・シェイプや、カーブの描き方、ヘッドの厚さなど外見的
な部分はもちろん、ディープジョイントと呼ばれるボディ側に伸びたジョイントや、カーブに
対応した3次元的なコントロールキャビティの底面、シルクスクリーンによる"Les Paul MODEL"
によるロゴ、削り出しのピックガードなど、"顕微鏡で覗いた"と言われるほど細かい部分にまで
気を配り、オリジナルに忠実に再現している。
(更にマニアックな見方をすればいくつかの相違点はあるが)
93年の発売後、99年にフルモデルチェンジを受けて(とりあえず59モデルのみ。その他のモデルは翌年
から適用される)ボディシェイプ、ネックジョイント位置
の見直し、バインディンを細く、材もトラ杢の強いタイプから、リアル志向の杢や、バックの
マホガニーも導管の目立つタイプが採用され、重量もかるくなった。そして、01年にはオリジ
ナルと同じ材質であるアルミ製のテールピース、トートシェル・ポジションドット、オリジナル風
の薄いネックバインディングが採用された。
そして03年にはヘッド形状、ペグ位置の見直しが行われ、遂にブラジリアンローズウッドが指板に
採用された。しかし残念な事に初期ロットのみとなってしまい、サイトカタログからブラジリアンの表記
は消えてしまった。
その他ではコンデンサーにバンブルビーが採用された。


'50 Les Paul Standard(2002)

02年春、スタンダードモデル(レギュラーシリーズ)がフルモデルチェンジした。
ギブソンはビンテージを意識したモデルはクラシックに任せていたが、多くの
リクエストにより、スタンダードモデルまでもがビンテージを意識したモデルに
変化した。内容はまず、ヘッドがクラシックと同じくビンテージ風のスモールヘッドに
なり、ネックの握りも59年をコピー。ペグもクルーソンタイプになり、ボディバックにも
レッドフィラーが使われている。PUは専用に設計されたバーストバッカー5を搭載。
トップ材にもAAフィガードメイプルが使用されている。
ハードウェアのメッキもクロームからクラシックと同じニッケルに変更。
クラシックがレギュラーシリーズの'60モデルのコピーモデルなのに対し、これは'59の
コピーモデルとも言える。しかし、ブリッジにはナッシュビルT・O・Mが使われているのが残念!




レスポール・リイッシュー・スペック表
機種  ヘッド 指板材/ネック材ボディトップ材/ボディバック材  ピックアップ ハードウェア 
'68スタンダードスモールヘッド  ローズ/1Pマホガニー/ディープジョイント  2Pメイプル/1Pマホガニー  P−90クルーソン・キーストーン・チューナー、オールド・チューン"O"マチック  
'69スタンダード  ラージ・ヘッド  ローズ/3Pマホガニー 3Pメイプル/2層構造のマホガニー  ↑ 
'69デラックス ↑ ↑ ↑ ミニハム ↑ 
'58モデル スモールヘッド ローズ/1Pマホガニー3Pメイプル/1Pマホガニー P−90 クルーソン・キーストーン・チューナー、
バーブリッジ・テイルピース 
'74スタンダード ラージ・ヘッド ローズ/3Pマホガニー 3Pメイプル/2層構造のマホガニーラージハム クルーソン・キーストーン・チューナー、ナッシュビル・チューン"0"マチック 
'76スタンダード↑ただし、82年頃よりスモールヘッド ローズウッド/3Pメイプル
82年頃より3Pマホになる 
↑ただし、78年頃より1Pマホバックになる ↑ 
KM ラージヘッド ↑ 2Pフレイム・メイプル/1Pマホガニー ↑(ダブルホワイツ)ギブソン・キーストーン・チューナー、ナッシュビル・チューン"0"マチック 
80スタンダードスモールヘッド ローズ/3Pマホガニー 2Pフレイム・メイプル/1Pマホガニー   ニューPAFグローバー・102N、ナッシュビル・チューン"0"マチック、ニッケルパーツ
80エリート ↑ エボニー/1Pマホガニー 2Pキルテッド・メイプル/1Pマホ ↑ ↑ 
58ビンテージ↑ エボニー/1Pマホガニー 2Pフレイム・メイプル/1Pマホガニー クルーソン・タイプ・チューナー、オールド・チューン"O"マチック 
59ビンテージ↑ ↑ ↑ ↑ 
リイッシュー ↑ ローズ/1Pマホガニー ↑ ↑ 
クラシック ↑ 2Pメイプル/1Pマホガニー496R/500T ↑ 
90年以降スタンダード スモールヘッド
(クラシックよりは大き目) 
↑ ↑ 490R/498T クルーソンタイプ/ロトマチック・チューナー、ナッシュビル・チューン"O"マチック
(99年頃からペグがグローバーになる) 
02年モデル・スタンダード スモールヘッド↑ 2Pフィガードメイプル/1Pマホガニーバーストバッカー5クルーソンタイプ・チューナー、ナッシュビル・チューン"O"マチック
ヒスコレ'54モデルスモールヘッド ローズ/1Pマホガニー/ディープジョイント 2Pメイプル/1Pマホガニー P−90クルーソン・タイプ・チューナー、バーブリッジテイルピース 
ヒスコレ'56モデル ↑ ↑ ↑ ↑ クルーソン・タイプ・チューナー、オールド・チューン"O"マチック 
ヒスコレ'57モデル ↑ ↑ ↑ 57クラシック ↑(01年製以降のテールピースはアルミ製) 
ヒスコレ'58・'59・'60モデル↑ ↑ 2Pフレイム・メイプル/1Pマホガニー(99年以降はフィガード・トップになる) 
ヒスコレ(YCS)58モデル ↑ ↑ 2Pフィガード・メイプル/1Pマホガニーバーストバッカー ↑ 
ヒスコレ58・59・60モデル(02〜) ↑ ↑ 2Pフィガード・メイプル/1Pマホガニー ↑ クルーソン純正・チューナー、オールド・チューン"O"マチック(ワイヤーレス)
ヒスコレ57モデル(03)↑ ローズ(初期のみハカランダ)/1Pマホガニー/ディープジョイント2Pメイプル/1Pマホガニー ↑  (ギブソン内製)クルーソン・タイプ・チューナー、オールド・チューン"O"マチック(ワイヤー付き復活)
ヒスコレ58・59・60モデル(03〜08)↑(ヘッドシェイプ&ペグ配列変更) ↑ 2Pフィガードメイプル(58はプレーン)/1Pマホガニー ↑ ↑ 
ヒスコレ57・58・59・60モデル(09〜11)↑(更にシェイプ変更) ローズ/1Pマホガニー/ディープジョイント2Pフィガードメイプル(57&58は原則プレーン)/1Pマホガニー
ボディシェイプ変更
 ↑ (ギブソン内製)クルーソン・タイプ・チューナー、オールド・チューン"O"マチック(ワイヤー無し復活)
ヒスコレ57・58・59・60モデル(12)↑ ローズ(12年製の一部に2Pラミネート材を採用)/1Pマホガニー/ディープジョイント ↑(58にはプレーンとフィガードモデル有り)  ↑  ↑ 
ヒスコレ57・58・59・60モデル(13)↑ 1Pソリッドローズ/1Pマホガニー(トラスロッドをチューブレスに変更)/ディープジョイント  ↑ (ネックとボディの接着をニカワに変更)カスタムバッカー クルーソン純正(シングルライン&グリーンボタン)・チューナー、オールド・チューン"O"マチック(ワイヤー無し)
ヒスコレ57・58・59・60モデル(14)↑ ↑(13年仕様に加えて指板の接着をニカワに変更)  ↑ 
トゥルー・ヒストリックシリーズ(15〜)↑(更にリアリティに仕様変更) ↑(更にリアリティに仕様変更) ↑(更にリアリティに仕様変更) ↑(更にリアリティに仕様変更)
2016年からはPUカバーとスイッチノブにType1とType2が存在し、ランダムに搭載されている。 
スタンダード・ヒストリックシリーズ(16〜17)(ヒスコレ14年モデルの仕様を踏襲) (ヒスコレ14年モデルの仕様を踏襲)(ヒスコレ14年モデルの仕様を踏襲) (ヒスコレ14年モデルの仕様を踏襲) 
カスタムショップ・レスポール・シリーズ(17〜)(True Historicの仕様を踏襲) (True Historicの仕様を踏襲)(True Historicと同様の凹凸の大きなアーチに変更) (True Historicの仕様を踏襲) 
ヒストリックコレクション・シリーズ復活(18〜)↑  ↑ 
60th Anniversary(19〜)↑ インディアンローズとボリビアンローズをボディカラー別に採用ポッティング未処理タイプ ↑ 



レスポール・リイッシュー年表
年   スタンダードについて     備考
68 55スタイル(P−90)再発売    
69 一旦、デラックスにモデル・チェンジミニハム仕様で発売
71 53年スタイルが限定発売     
73 ラージ・ハムバッカー仕様のギターが少量発売される    
74 2ハム・サンバーストのモデルが限定発売   
75      メイプル3ピースネックに移行
76 2ハム、サンバースト、メイプルネック
のモデルが正式発売
     
77 バックのマホガニーが1Pに変更←    
78      P−90PUを搭載したプロ・デラックス発売  
79 LPカラマズー限定発売    
80 ヘリテイジ・シリーズ発売    
81 30thアニバーサリー発売    
82 LPリイッシュー発売
マホガニー3Pネックに移行
2ピーストップのスタンダード限定発売 その後何度か発売
マホガニー3Pネックに移行、徐々にフェイドアウト   
83 58モデル発売    
84 59モデル発売 LPスタジオ発売   
86 LPリイッシュー発売    
88     LPスタジオ・ライト発売 
89 '56スタイルのP−90ピックアップ・モデル発売    
90 LPクラシック発売    
92 クラシック・セレブリティ限定発売再発売    
93 プラス、プレミアム、プレミアムプラス発売。
ヒストリック・シリーズがスタート
    
96 ヒスコレ58モデル(YCS) 発売    
98 ヒスコレ58モデル(YCS)生産終了    
99 一旦クラシックが生産中止になるが、復活の声多く再発売される
ヒスコレ59モデルにAGEDグレード、プレーントップが追加される
ヒスコレ59モデルがフルモデルチェンジ
00 59プレーントップ生産終了 ヒスコレ54、56、57モデルもモデルチェンジ    
01 ヒスコレ57モデルAGED発売
ヒスコレ58及びオーセンティック発売
 
ヒスコレがアルミテイルピース、
トートシェル・ドットポジションマークになる    
02 レギュラーSTDがモデルチェンジ、'50/'60スタイル(?)になるヒスコレ59がブリッジ、ノブ、ペグブッシュ、スイッチ/
ジャックプレート他を変更 
03 ヒスコレのレスポールSTDシリーズの指板にハカランダ採用
(↑初期ロットのみ)
他、ペグ位置やヘッド形状等、細かい変更あり。
コンデンサーにバンブルビーを採用 
04 基本的に03年後期モデルから変更無しトップの杢が03年よりも若干地味目? 
05 04年モデルから変更無し
06 ヒスコレシリーズにVOSシリーズが加わり従来のモデルは
Les Paul Reissue Glossというネーミングになる
VOSはライト・エイジド仕様が標準となる
08 レギュラースタンダードがシリーズを一新
2008スタンダード、LPトラディショナルとなる
'50、'60STD、LPクラシックは生産完了
09 ヒスコレ59モデル50thアニバーサリー発売ボディ、ネックを新設計とし、フォルムが更にリアルになった。
また、細かいパーツや設置位置等にも変更が施された。(57〜60などのモデルにも適用)
1009年のモデルチェンジ仕様を継承
1958Les Paul Reisse Lightly Figured VOS発売
1958Lightly Figuredは、59仕様のネックとライトフィギュアドトップを採用。
12Gibson社が指板材調達難に陥ってしまう。2012年製の一部個体の指板に2Pラミネート(貼り合わせ)のローズ材が採用される事になる。
1313年モデルとして大幅リニューアル各部木工形状は09年仕様を継承しつつ、ペグ、トラスロッド、PU、バインディング、ボディバックの着色方法など多数の変更あり。
1413年モデルに対して一部変更あり13年から採用されたネックのニカワ(Hide Glue)接着に加え、指板にもニカワ接着が採用された。
また、2014年はギブソン社創立120周年にあたる年として、ヒスコレLPのスイッチプレートには金属製の記念メダリオンプレートが装着されている。(通常タイプも付属)
15ヒスコレシリーズが14年モデルを最後に打ち切りとなり
新シリーズとしてTrue Historicシリーズがスタートした。
ボディ&ネック等の木工部をはじめ、細かなパーツのほぼ全てに対しリアリティが追及されている。
16True Historicシリーズはそのまま継続。
新たなシリーズとして、Standard Historicシリーズがスタートした。
True Historicシリーズについては15年から仕様継続。(2016年から、PUカバーとスイッチノブにType1とType2が存在し、ランダムに搭載)
Standard Historicシリーズとは、ヒスコレシリーズの中で最も完成度が高いと噂の(?)14年モデルの仕様が引き継がれたもの。
17 Historicシリーズが完全に廃止され、
Custom Shop Les Paulシリーズが新たにスタート。
基本的に全てのレスポール・モデル(実売価格で40万円台〜)にTrue Historicと同仕様、パーツが使用される。
(トップのアーチ形状も凹凸の大きなカーブが採用された。)
182014年をもって生産完了となっていたHistoric Collectionが復活し
2015年から2017年の間で生産されていたTrue Historic が生産完了となる。
基本的には17年のCustom Shop Les Paulシリーズの仕様を継承しつつ、トラスロッドの形状やネックシェイプ、フレットサイズが変更された。
また、バックのアニリンダイチェリーが、若干色抜けした雰囲気の『Faded Red Aniline Dye』カラーに変更となった。
19ヒスコレ59モデル60thアニバーサリー発売2018年までの仕様をベースに以下の点を変更した。
ヘッドのブランドロゴと"Les Paul Model"のシルクスクリーン、ポジション・インレイの質感を改良。
アルニコIIIのカスタムバッカーはポッティング処理が施されていないタイプに変更。
ボリュームポッドのカーブ変更とバンブルビータイプのオイルペーパーコンデンサに変更。
指板にはインディアンローズとボリビアンローズをボディカラー別に採用。


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