ローパスフィルターのクリーニングについて(D200編)



(下記に書いてある事を参考にしてクリーニングをする場合は、あくまでも自己責任でお願いします。)

デジタル一眼レフとローパスフィルター(以下LPF)の汚れは切っても切れない関係ですが、殆どの埃はブロアを使う事で
除去できます。
ところが、中にはLPFにガッチリとこびり付いてブロアでは落ちないものもあります。
LPFはその性質上、電源を入れると静電気を発生するので大小さまざまな埃を吸着してしまいます。
しかし、そこで強引にブロアで吹き飛ばそうと意地になるとファインダー内にホコリが入り込んでしまったりして、違う部分に
悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
ブロアで取れないとなると、LPFを直に拭き取り清掃する必要が出てきますが、僕のような田舎住まいでは気軽にサービス
センターに持ち込む事は出来ません。
でも自分でクリーニングしようとすると随分と勇気が要りますよね?
ところが実際に自分の手でやってみると、これが意外と簡単なんです(笑)
メーカーとしても、勝手にお客側で掃除をして何か不具合を出された後にクレームを付けられても厄介なので、かなり大袈
裟に脅しているのではないのでしょうか?(笑)
自分でクリーニングをするのに、ニコンから発売されているクリーニングキットを購入しても良いのですがちょっと高価ですよ
ね〜?
そこで、もっと安く手軽にLPFクリーニングができる方法を解説いたします。

まずはLPFクリーニングに関する基本的な知識を、こちらのHP記事を読んで頭に入れて下さい。
そして大まかな流れと基本的知識を理解できましたら、またここのページに戻ってきて下さい。

どうですか?上記のサイトを読んでみて、自分でやってみる気になりましたか?まだちょっと不安ですよね?(笑)
では、これから具体的に説明をしたいと思いますが、まずは必要な物について説明いたします。



・無水エタノール(無水アルコール)
これは薬局に行けば500ml入りで1000円ちょっとで買えます。
カメラのクリーニング以外にも、水で70〜80パーセントくらいに希釈すれば万能消毒液として使えるので、一家に一本ある
と便利です。
必ず「無水」と明記してあるものを用意して下さい。「消毒用アルコール(消毒用エタノール)」と書いてあるものは、精製水で
70〜80パーセントくらいに希釈済みのものですので、絶対に間違えないように注意して下さい。
また、アルコールを液晶パネル面やゴム、プラスチック部等のクリーニングに使用すると刺激が強すぎるので避けた方が良
いです。

・ブロア(ゴム製)
これはLPFをクリーニングする前に大まかにゴミを吹き飛ばす為に使います。

・割り箸
すぐに折れそうな安物の割り箸よりも、丸く面取り処理がされたような、ちょっと上質な箸の方が良いです。
また、僕はニコンのものにならって太い方の先端をマイナスドライバーの先端のように削っていますが、別に太いままでも支障
は無いと思います。

・キレイな小皿(完全に乾いているもの)
本当はハンドラップが有れば良いのですが、近所には売っていなかったので小皿で間に合わせています。
但し、注意点として完全に乾いている事。
また、食器洗い用洗剤で洗ってあるのが普通だと思いますので、皿の表面に薄っすらと界面活性剤や艶出しの皮膜が付いてい
ると思います。
それらの余分な成分をLPF上に持ち込まない為にも、無水エタノールでよく拭き取ってから使用して下さい。

・シルボン紙(若しくは柔らかめの不織布)
僕は安物の不織布を使っていますが全く問題なしです。

以上5点を自前で揃えても2000円は掛からないと思います。



(ステップ1)
まずは最初に紹介したサイトを見て、割り箸にシルボン紙を巻きつける練習をしましょう。
コツとしては、あまり多く巻き過ぎ無い事、先端をむやみに触らない事、なるべくタイトに巻く事、そして最も大事なのは、割り箸
先端から紙のロール部分が5ミリ程度ハミ出ている事です。
間違って箸の角でLPFを引っ掻いてしまったら泣くに泣けませんからね。

(ステップ2)
では試しにレンズフィルター等を使って練習してみましょう。
乾いた清潔な小皿に原液のままの無水エタノール(無水アルコール)を少量移します。
そして、やや多めにシルボンの先端に浸み込ませ、別に用意したシルボン紙の上にチョン!チョン!とやって量を調節します。
適量の目安としては、フィルターを寝かすのではなく、立てた状態にしてシルボン紙先端で拭き取った時に、液が垂れずに1
〜2秒後にすぅ〜っと揮発する程度がベストです。

ただ、実際にクリーニングをする時にはLPFは横に寝ている状態でクリーニングを行うので、少ないよりは若干多目の方が良
いです。
逆に乾いたシルボン紙で拭いてしまうと傷をつける恐れがあるとの事なので注意。
またニコンの方法ですと、中心から外側に向かって蚊取り線香のようにグルグルと回すと書いてありますが、僕の経験では
(右利きの場合)左から右へ(長手方向へ)一方通行に拭き取った方が格段にやり易いです。



ここでひとつ、先程のサイトでは書いていない事を補足説明します。
練習にレンズフィルターを使った場合、拭き取った表面に虹色の拭きムラが薄っすらと残る事があります。
これは市販のレンズクリーナーに含まれる界面活性材や、自然に付いた汚れ等がレンズフィルター上に付着している事によるも
ので、実際のLPFの表面にはそのような付着物が無いので拭きムラの心配はほとんどありません。(キレイに揮発してくれます。)
試しにフィルター表面に虹色の拭きムラが残った場合、表面を数回拭き続ける事により、やがて完全に余分なモノが取り除かれ
て拭きムラが残らなくなります。
この状態になってはじめてLPFと同じ条件になったと思って下さい。

ちなみに「LPFをアルコールで拭いてしまって、表面の紫外線・赤外線カットコートが剥げる事は無いの?」という疑問が出てきそ
うですが、ニコンのサービスセンターに問い合わせたところ、無水エタノール(アルコール)で拭き取った程度ではビクともしないそ
うです。
また拭き取る際の強さは「拭く」というよりも「アルコールを軽く塗る」というイメージです。

また、「一度拭き取ったシルボン紙は必ず交換する」ともありますが、それほど神経質になる必要は無いと思います。
特に最後の仕上げ時に新しい紙を使用すると細かい繊維が残ることがあるので、最後は紙を取り替えずにアルコールだけ浸み
込ませて拭きあげた方が良い結果が出ることが多いです。

(ステップ3:それでは実際にカメラでクリーニングしてみましょう。)
まずは、LPFのどの部分にゴミが付いているかをチェックします。
白い紙(A4程度の大きさでも十分)を壁に貼り適当なレンズをD200に付けます。
そして、モードを絞り優先にしてf16にセットします。画質モードはJPEGノーマル・ラージにセットし、ピントを∞にして、画面いっぱ
いに白い紙が納まるようにフレーミングして撮影します。
当然の事ながらピントは合っていない状態ですが気にしなくても大丈夫です。
そしてPCにて等倍表示にしてチェックします。
ちなみに写真の画像とLPFは上下が逆さまになっています。つまり、画面の右上にゴミがあったのならば、LPF上には向かって
右下にゴミがある事になります。

次にレンズを外し、シャッター&ミラーを開放状態にするのですが、D200の場合は、「メニュー」→「セットアップメニュー(スパナ
のマーク)」→「クリーニングミラーアップ」を選択し、「決定」を押す。
次にシャッターレリーズを押せばミラーアップ&シャッター開放になる。
これを解除するには電源を切れば解除される。(但し注意点として、バッテリー残量が十分にある状態で行う事。クリーニング作
業中にバッテリー切れにより電源が落ちた場合、シャッター&ミラーが戻ってしまい、大きなトラブルの原因となります。また純正
バッテリー以外ではミラーアップはできません。)
そしてレンズマウント面を下に向けてエアブローをする。

(ステップ4:いよいよ拭き取り)
では、シルボン紙を割り箸に巻きつけ、無水アルコールを小皿に移して適量を浸み込ませます。
そして螺旋状でも良いですし、僕みたいに直線的に一方通行でも構いませんが、CCD面外周にある1ミリ程度の薄い青色をした
淵の部分まで拭ききって下さい。
途中で上げてしまうと外周にゴミが残る事があります。

そしてLPF全体を拭くのを1セットとした場合、最初の1セットを拭き終えたら、割り箸をくるりと半回転させて拭き取った反対側の
シルボン紙面で2セット目をクリーニングし、そのまま3セット目を拭いて下さい。
(各セットごとにシルボン紙先端のアルコール吸湿量を確認、調整して下さい。また、1セットごとにシルボン紙の汚れ具合を確認
し、目に見えるようなゴミが付着していた場合には、シルボン紙を交換して下さい。)

ここで一旦画像チェックをします。
殆どの場合はこれでキレイになっているはずですが、もしもダメならばもう1〜2セット繰り返してクリーニングします。

ちなみにf16の絞り値でチェックした場合、何回拭き取っても薄くて微細なゴミが残ってしまうこともあります。
この場合は絞り値をf11程度まで開いてチェックし、この状態で写り込まなければ良しとした方が精神的にも楽です。
実際APS−Cデジカメの場合、f11以上の絞込みはかえって解像度を低下させるとの見解もありますし、、、。

最後に重要なポイントとして、空拭きは絶対にしないで下さい。
不織布とLPF表面との間に発生する摩擦により、表面のコート皮膜に傷を付ける事があるそうです。

LPFの清掃は、まるで素人がやってはいけない禁断の作業みたいに思えてしまい、初めての作業の時には緊張してしまいます。
ところが思い切って1回自分でやってみると2回目以降は楽にできるようになります。
作業に慣れてくれば清掃開始から完了までに5分〜10分くらいの時間で作業完了してしまいます。
何よりも「好きな時に自分でいつでも自宅でLPF清掃ができる。」という精神的安心感は大きなメリットになりますよ(笑)

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