マーシャル ギターアンプ MG2CFX

MARSHALL AMPLIFICATION MG2CFX





<Photo :とんかつサンド>            


【6年ぶりのギターアンプで13年ぶりのマーシャルアンプ】
今回は、数年ぶりに(6年ぶりくらい?)にギターアンプを買ってみた。

さすがに今回はヘッドフォン端子など装備していないような大型スタックアンプではなく、部屋から部屋への持ち運びが簡単でヘッドフォンも使う事が出
来る小型のアンプを物色していた。

僕が望むポイントは、エフェクターを使わずともアンプだけでギターを楽しむための音作りができること。
そのためには、最低でもディストーション回路とリバーブを装備していることが必須となる。
そこでいろいろと吟味していった結果、マーシャルのMG2CFXを購入した。(実売価格:12,600円)
こいつは付属されている9VのACアダプターか、内蔵の電池ケースに乾電池をセットすることにより作動する、出力2Wの小型アンプ。
練習用にミュージックプレーヤーなどを接続させるための「LINE IN」入力端子の他、ヘッドフォン出力端子も装備する。

しかし、このアンプ、小型で安価な製品だからといって小バカにしてはいけない。
その小さくて華奢な外観からはとても想像が出来ないほど強烈なポテンシャルを秘めたアンプなのだ。

【小さなボディに豊富な機能が凄い!】
こいつの本体内部にはデジタルエフェクター回路が内蔵されており、3種のディストーションの他、コーラス、フェイザー、フランジャー、デジタルリバーブ、
デジタルディレイといったエフェクターらにより、実に多彩なトーン作りを可能にしている。
(コーラス、フェイザー、フランジャーについてはどれか1種のみが選択でき、複数以上の同時使用はできない。)
コントロールパネルを一見すると、コントロールつまみが4つしか装備されていないように見えるのだが、実際にはタップスイッチとの併用により実質12種
類のコントロール機能を備えている。
(以降の説明を簡略化するために、タップスイッチを押さずに操作する事をA状態、タップスイッチを押しながら操作することをB状態とさせて頂く。)

さて、マーシャルアンプだけに最も気になるディストーション関係についてであるが、これが単なる「ディストーション」だけにとどまらない。
モードの切替によって「クランチ」、「OD-1」、「OD-2」の3種のディストーションモードを備えているのだが、これが同社の名機であるJCM2000のクラシック
ch、リード1ch、リード2chに似たトーン作りとなっている。
例えるならば、「クランチ」は1959SLPのような、音の芯にナチュラルな部分を残しながら表面にワイルドな歪を被せたようなトーンであり、「OD-1」は80年
代ハードロックにて活躍したJCM800っぽいトーン。
さらに「OD-2」は、より歪をブーストさせたようなハードなディストーションとなっている。
ちなみに80年代ハードロックにガッツリとハマっていた僕としては「OD-1」モードがツボだ(苦笑)

また、これら3つのディストーションモードにはそれぞれ3種(計9種)のトーンバリエーションが用意されている。
それは、イコライザーの設定でいうところの中間をへこませたドンシャリトーンと、フラットなトーン、そして中間を盛り上げたトーンの3種で、まず「0」が完全
なクリーントーン。
そして1〜9の各モード番号(クランチ→1〜3、OD-1→4〜6、OD-2→7〜9)において、数字が増える順に上記順のトーン変化がおきる。
ちなみに、このディストーションモードコントロールつまみは、B状態時ではトーンコントロールの「BASS」に切り替わる。
(ディストーションモードはA状態)

そして、その隣にある「GAIN」は説明するまでも無くディストーションの歪量を調節するためのつまみで、B状態時にはトーンコントロールの「TREBLE」に切
り替わる。

次に、「GAIN」の右隣にあるコントロールつまみは空間系エフェクターコントロールになっており、コーラス、フェイザー、フランジャーが一つのコントロールつ
まみの中を3つのゾーンに区分して割り当てられている。
0からMAXまでを10等分した場合、「0」はエフェクトOFFで、1〜3までがコーラスゾーン、4〜6がフェイザーゾーン、7〜9がフランジャーゾーンとなっており、
各ゾーンにおいて時計方向へ回すほど各エフェクターの効果が無段階適に深くなる。
したがって、これら3種のエフェクト効果を複数種以上同時にかけることはできず、いずれか1種しか使用することが出来ない。

そして最後は残響系エフェクトであるが、こちらはリバーブとディレイが完全に独立して調整・設定が可能となっている。
先に説明をした空間系エフェクトのコントロールのB状態時がリバーブコントロールとなり、右端にあるボリュームコントロールつまみのB状態時ディレイコン
トロールに切り替わる仕組み。

つまり、まとめると、、、。
「クランチ/OD-1/OD-2」→「コーラス/フェイザー/フランジャー」→「リバーブ」→「ディレイ」
上記のように4系統のエフェクトを独立して設定することができる。

【操作方法には若干の癖あり?】
このMG2CFXによって音作り設定を行う場合、ちょっとしたコツが必要となる。
まず、先にB状態による機能から設定を行い、その後にA状態での設定を行う方が作業しやすいと思う。
というのも、先にA状態にて通常の操作による調節を行ったとしても、後にB状態時にて同じつまみを全く違う位置に動かしてしまうため、先に調節をした
つまみポジションが判りにくくなるからだ。
つまり、B状態での設定を必要とする「BASS」、「TREBLE」、「リバーブ」、「ディレイ」の調節・設定を先に行った後に、A状態にて調整する機能である「ディ
ストーションモード」、「GAIN」、「空間系エフェクト」、「ボリューム」の調節設定を行う。
この時点でまたB状態のいずれかの調節を行いたい場合、一旦B状態の調節設定を行った後、再度同じつまみのA状態での調節設定が必要となる。

このように操作手順を文章にすると頭の中が混乱しそうになるが、実際に慣れてしまえばそれ程苦痛でもない。
しかし、A状態の各ポジションは見た目のつまみの状態から確認することができるのに対し、B状態機能の各ポジションをA状態設定後に確認する術が無
い点は何かと不便ではあると思う。
僕としてはA状態機能の「ディストーションモード」と「空間系エフェクト」をB状態機能にして、逆に「BASS」と「TREBLE」をA状態機能にして欲しかった感じは
する。


↑MG2CFXのメインパネル





【小さなボディながら吐き出すサウンドは正しくマーシャル!】
とまあ、音作りには若干の癖はあるが、肝心の音がこれまた凄い。
これが9V駆動による2Wアンプとは思えない程のパワー感がある。
さすがにオールチューブのJCM2000 DSL100(2段積み)と比べてしまうと、倍音の出方や音の粒揃い感や伸び、微妙なピッキングニュアンスの追従感など
は遠く及ばないが、実売1万円チョイの2Wアンプということを考慮すれば十分満足できるレベルだろう。
いや、それどころか音だけを聴かされた場合、まさかこんな小さなアンプが出力している音だとは到底想像ができないだろうと思う。
上にも書いたが、3種類のディストーションモードにより、1959SLPのような70年代風のトーンからJCM800のような80年代〜90年代トーンと現代風まで幅広
いロックミュージックに対応できるアンプだと思う。

しかし、気になる点もいくつかあるのも事実。

まず、上でも説明しているように、4つのコントロールつまみに複数のコントロール機能を盛り込んでいる関係上、音作りの調整にコツを要し、やや判りにくい。
しかも直感的に操作できるような仕組みではなく、また説明書も解りにくい簡略なものなので、誰かに説明を受けるか、ここのような解説されたサイトを見るか
しないと正しく使用することは難しいだろう。

次にメインスイッチが上面パネル上ではなく、背面に小さなボタンで設置されていること。
これが裏面を見ずに指で探った感覚でも判りにくく、同じ縦列に似たような触感の端子もあることから、なかなかスイッチを探り当てる事が出来ない(苦笑)


↑MG2CFXのリアパネル。
 似たような触感の突起が並ぶため、アンプ正面側から裏に手を伸ばしてメインスイッチを探り当てるのが難しい(苦笑)


【最後に】
僕が学生だった頃、この手のクラスのアンプといえばクリーントーンしか出す事ができなかったものだが、やがてディストーションモードが搭載されただけでも
凄いと感心したものであった(苦笑)
しかし、それでもリバーブだけは搭載される事がなかったのだが、やがて時代は変わり、リバーブだけではなく、豊富なエフェクトを搭載されるようになった事
は嬉しい限り。
各種の設定方法にコツを必要とすることから使い勝手に若干の難はあるが、自宅での練習用アンプとして、総合的なコストパフォーマスとしてはとても優秀な
アンプだと思う。
(記:2013年11月3日)


【↓2015年1月16日追加情報↓】
実に多彩なトーンバリエーションを備えるこのアンプだが、やはり操作性の悪さが我慢できなくなり、結局手放してしまった(苦笑)
その代り、お手軽練習用アンプとしてBlackstarのHT-1Rを入手した。


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