ソニー Dolby Atmosイネーブルドスピーカー SONY SS-CSE




(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、個人による感じ方以外に映像ソース、音源の質や接続機器等、再生環境によっても大きな差が生じる点もご理解願います。)




今回、リアルサラウンドシステムを再構築するにあたり、ドルビーアトモス(Dolby Atmos)にも対応したシステムを整えることにしました。
ドルビーアトモスとは、これまでの平面的なサラウンド環境に加えて天井から音を発する事により、立体的な空間上に音を定位させることで、よりリアルな臨場感を実現させるサラウンドシステムです。
ドルビーアトモスを構築するためには頭上(天井)へスピーカーを設置するトップスピーカーか、天井へ音を反射させて上方から音を振り下ろすイネーブルドスピーカーか、前面の壁上部にスピーカーを設置するハイトスピーカーのいずれかが必要になります。
(実は、ドルビー社としてはハイトスピーカー配置を公式にはサポートしていない)
この中で、トップスピーカーの設置はハードルが高く、ハイトスピーカーはドルビー社公式サポートの配置ではない点から、イネーブルドスピーカーを設置する事にしました。
数あるイネーブルドスピーカーの中から吟味に吟味を重ねて決めたのが、今回購入したソニーのSS-CSE。

梱包箱からスピーカーを取り出そうとしてまず驚いたのが、スピーカー本体の重さ。
見た目の想像を超える重量感に一瞬戸惑ってしまったが、それもそのはず。スピーカー1個の重さが3キログラムもあり、2リットルのペットボトル飲料1.5本分の重さ。
ユーザーマニュアルには2種類の設置方法が記されており、一つはフロントスピーカーの上に SS-CSEを置き、天井に向けて設置するイネーブルド配置。
もう一つは本体の底面を壁に取り付けてスピーカーを斜め下向きにセットするフロントハイト配置。
ここで興味深いのは、イネーブルド配置の説明イラストにはドルビーアトモスのロゴマークが表示されているのに対し、フロントハイト配置の説明イラストにはドルビーアトモスのロゴマークが表示されていない点。
つまり、ドルビー社として、フロントハイト配置はアトモス用としてはサポートしていない事を意味します。
(実際には各AVアンプ側で対応させていますが、、、。)

ちなみに使用AVアンプはヤマハRX-V583で、ドルビーアトモスとDTS-Xに対応しています。
早速SS-CSEをフロントスピーカーの上に設置。
ここで重要な事として、SS-CSEのユーザーマニュアルにも書かれているのですが、AVアンプのスピーカー設定をイネーブルドスピーカーに設定し、自動音場補正を必ず実行する事。
これにより、SS-CSEがドルビーアトモス用のイネーブルドスピーカーとしてAVアンプが認識し、スピーカーが適切に機能するようになります。

全ての設定を終えて、早速ドルビーアトモスのデモンストレーション・ブルーレイ・ディスクを再生してみました。
映像の中には、個々のスピーカーから単独で音を発するシーンがあるのですが、天井から音を発するシーンではハッキリと天井から音が聴こえます。
それだけではなく、3D空間上へランダムに音を定位させるシーンでも、しっかりと画面の位置と同じ位置に音が定位している事が判ります。
ぶっちゃけ最初は半信半疑でしたが、その効果のほどは想像以上でした。

ところで、ここで一点、ある疑問が浮かんできます。
それは、適当なスピーカーを、イネーブルドスピーカーのように天井に向けて設置すれば同じ効果が得られるのではないか?という点。
ということで実際に試しました。
以前、バックサラウンド用に使用していたパイオニアの小型スピーカーを天井に向けて設置し、AVアンプの自動音場補正を実行してみたものの、天井から音が発せられているようには全く感じられず、普通にフロントスピーカーの上に置かれたスピーカー本体から音が発せられています。
これは、イネーブルドスピーカー本体の再生周波数帯域から低域と高域をカットする事で、効率良く音を反射させるような音声帯域に計算・設計されているからだそうです。
ちなみにイネーブルドスピーカーを設置してAVアンプの自動音場補正を実行した後に、マニュアル調整によって個々のスピーカーバランスを少しでも変えてしまうと、途端にドルビーアトモス効果のバランスが崩れてしまい、全く立体的に聴こえなくなってしまいます。
つまり、イネーブルドスピーカーによるドルビーアトモス環境を適切に構築させるためには、AVアンプの自動音場補正機能が必須ということになります。

という事で、ドルビーアトモスシステムを構築したいけど、スピーカーの設置に悩んでいるあなたにとって、このレポートが参考になれば幸いです。
(記:2021/7/24)




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