AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-F5.6G

〜ニコンD3用としても満足できるレンズなのかテストしてみた〜




写真撮影:とんかつサンド


(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。)


【ニコンD3でも使える望遠レンズ〜リベンジ編】
さて、今年の頭に半ば衝動買い的に入手した、FXフォーマット用お手頃望遠レンズのタムロンA17であるが、70mm〜300mm
のズーム全域と、絞り開放〜F11あたりにまで絞っても画質は甘く、また画像中心から周辺にかけて見事なまでに色収差が
発生する点にどうしても我慢できなかった。
そこで今回は、なにかと評判の良いこのニッコールVR70-300mmを新たに入手したというわけである。

このレンズは今から約3年程前に発売されたものであるが、ネット上においてもかなり評判が良く、人によっては旧型VR70-2
00mm F2.8と比較しても引けをとらないとまでレビューしているほど。
まあ、さすがにそれは言い過ぎだとしても、かなり画質にうるさいと思われるユーザーやD700やD3といったFXフォーマットユー
ザーらによっても「文句の無い性能」とまで言わしめるほどのものなのである。
ちなみに価格.comのレンズ部門において、2010年2月現在では「売れ筋ランキング」の1位の座に輝いている。






↑レンズ本体の他に、フードと巾着袋が付属する



↑フードを装着した状態



↑ズームを伸ばした状態



↑上記の赤枠部分をタムロンのA17と本レンズとで比較してみる(共にテレ端300mmの絞り開放F5.6)


↑金属パーツのエッジ感とコンクリートの質感に大きな違いが見られる


【FXフォーマットでも何ら問題無っしんぐ】
さて、実際に使用してみると噂どおりの高画質っぷりにまず驚かされる。
DXフォーマット時は勿論だが、FXフォーマットでの使用であっても画像周辺部の光量低下も殆ど感じられず、ワイド端からテレ
端の全域に渡って絞り開放から充分な解像感を得る事ができる。
(画像周辺の光量低下の評価に関してはヴィネットコントロールを標準に設定時のもの)

厳しい見方をすると、ワイド端の画像周辺の四隅部分に若干の解像度の低下が見られるが、あくまでも等倍サイズで見た場
合に認識できるもので、画像全体としては問題無いレベルだと思う。
また、絞り込んでいく事により幾らかは四隅の解像感が改善されるのと、DXフォーマットであれば全く問題無い部分だろう。

確かに、描写に関しては旧型VR70-200mm F2.8と比較しても引けをとらないという意見もあながち言い過ぎでもないような気
がする。
というのも、旧型のVR70-200mm F2.8の場合、ワイド端に比べてテレ端の解像度が若干低下する傾向がみられたのだが、こ
のVR70-300mmではテレ端においても素晴らしい解像感を実現しているので、より両者が肉薄しているように感じるのかもし
れない。




【D3による、FXフォーマット使用時の描写テスト】
以下はニコンD3本体とVR70-300mmレンズによる、ワイド端とテレ端の絞り開放とF11の比較画像である。
(レンズの中心部分と周辺部の赤枠部を等倍にて切り出し、また全ての画像においてヴィネットコントロールは標
準に設定し、手ブレ補正機能による手持ち撮影の画像となる)


↑70mm(ワイド端、ノートリミング)
 クリックするとオリジナルサイズの画像が表示されます(約5.2MB)



↑中心部は絞り開放から充分な解像感を達成している。(画像左=F4.5、右=F11)



↑周辺部が若干ボヤけているが、絞ることでいくらか改善される。(画像左=F4.5、右=F11)



↑300mm(テレ端、ノートリミング)
 クリックするとオリジナルサイズの画像が表示されます(約8.6MB)



↑テレ端に関しても、中心部は絞り開放から充分な解像感を達成している。(画像左=F5.6、右=F11)



↑テレ端では周辺部も絞り開放から満足のいく解像感を実現している。(画像左=F5.6、右=F11)


(おまけ画像)

↑70mm F5.6
 クリックするとオリジナルサイズの画像が表示されます(約6.7MB)



↑300mm F5.6
 クリックするとオリジナルサイズの画像が表示されます(約6MB)


【手ブレ補正VRIIはかなり効果的】
フォーカスモーターに関しては、AF-Sということで超音波モーターを内蔵してはいるが、決して「速い!」という程のレベルでは
ない。しかし、よほど不規則に素早く動き回る被写体でもない限り、レスポンスとしては充分であると思う。

手ブレ補正のVRIIに関してはかなり効果的で、テレ端の撮影時においてもまるで頑強な三脚にガッチリと固定させて撮影した
かのようにブレる事が無い。この点に関しては、手振れ補正機能の無いタムロンのA17を使用してみて、手ブレ補正機能のあ
りがたみをあらためて痛感した。
タムロンA17のレビューページにも書いたのだが、ここ数年間、僕が使用してきた200mm以上のレンズには全て手ブレ補正機
能が付いていた。
そんな状況の中で感覚が麻痺していたせいか、手ブレ補正機能の恩恵をあまり意識していなかったのだが、先日入手したタム
ロンのA17(手ブレ補正機能の無い70-300mmレンズ)の300mm域での手持ち撮影では、手ブレ画像のオンパレードになってし
まった。
冒頭にあった電柱の比較画像なども、結局手持ちでは満足のいく撮影ができなかったため、A17では三脚に固定して撮影した
ほど。(VR70-300の画像は手持ち撮影)
特に1200万画素以上のデジカメにおいては、600万画素機では気がつかないような微細な手ブレであっても克明に写し取って
しまうものなのだ。


↑スイッチは上から順に、AFとマニュアル切り替え、手ブレ補正のオン/オフ、VRモード切替となっている


【開放F値は暗いけど・・・】
このレンズの唯一の欠点といえば、開放F値がワイド側でF4.5、テレ側でF5.6と若干暗めな部類のレンズであること。
しかし、ニコンD3の場合は高感度時においても画質の劣化が少ないのと、絞り開放時から高画質なレンズであるため、D3やD
700用として使うのであれば、従来のニコン機のF2.8レンズと同等かそれ以上の感覚でシャッタースピードを稼ぐことができる。
(あまり暗い場面では、AF精度などの問題はあるのだが・・。)
そのため、D3やD700用の望遠レンズとしてならば、このレンズの開放F値の暗さもそれ程深刻な問題ではない。


【最後に・・・】
DXフォーマット機では評判が良いこのレンズも、FXフォーマットではどれ程の能力を発揮するのかとても興味深かったのだが
想像以上の実力に驚かされた。
特にズーム全域において、絞り開放から見事な解像感を達成しているあたりはさすがニコンの看板望遠ズームだと言わざる
を得ない。
まだFXフォーマットのD3がリリースされていなかった時期に発売された本レンズだが、既にD3のプロトモデルとのマッチングも
テストした上で発売されていたのではないか?と思えるほどD3とのマッチングも良い。
前回も大絶賛であったタムロンの28-75mmF2.8ズーム(A09nII)との組み合わせにより、28mmから300mmの範囲については
充分に満足のいく描写を得る事ができるだろう。
(記:2010年2月14日)


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