オールチューブ・ギター・アンプ ブラックスター HT-1R

Blackstar HT-1R Combo with Reverb







(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、感じ方の個人差以外に、使用する楽器や使用環境等によっても大きな差が生じる点もご理解願います。)


<Photo :とんかつサンド> (2015年1月16日 内容更新)



【店頭で目に入ってから10分以内に衝動買いをしてしまった小型アンプ】
僕は2013年末に「今回はヘッドフォン端子など装備していないような大型スタックアンプ(特集ページは→こちら)ではなく、部屋から部屋への持ち運びが簡単でヘッドフ
ォンも使う事が出来る小型のアンプを、、、、」という目的で、マーシャルの出力2Wのギターアンプ(MG2CFX)を購入した。(特集ページは→こちら

これはこれで十分に気に入っていたのだが、今回ふとピックを買いに近所の楽器屋さんへ足を運んだところ、展示品で気になるアンプを発見した。
それが今回購入した Blackstarというブランドのオールチューブ・アンプ、HT-1Rだ。

店長さんにお願いして試奏をさせて頂いた(試奏にはギブソンのレスポールSTDを使用)のだが、その小さな箱から飛び出す音にぶったまげた。
そこから出てくるトーンは、僕のマーシャルJCM2000 DSL100とそっくり。
これで出力が1ワットだって?
いやいや、なかなかボリュームを12時から右へは回せないほどの迫力ですよ?
そして、次にヘッドホンを使用してみたところ、そこで更に驚かされた。
このアンプが搭載しているデジタルリバーブはステレオに対応しているため、ヘッドホンを装着して弾くと、まるで広いスタジオで弾いているかのような音響が耳の中に広
がるのだ。

トーン・コントロールには一般的な「ベース」「トレブル」といったものではなく、「ISF」と呼ばれるコントロールが一つあるだけ。
通常、トーンが一つだけの場合は単純にMAXがトレブリーなトーンになっていて、そこから絞り込んでいくことで高域成分がカットされるものだが、この「ISF」の場合、その
ような可変具合とは全く異なる。
このツマミを絞り気味の場合はダイレクトで音の輪郭が強調された感じのトーンとなり、右に回すほどに、キャビネットが箱鳴りすることで生じる独特のブーミー感が強調さ
れるようになっている。
そのため、トーンのセッティングに若干の癖はあるものの、そのトーンバリエーションの幅広く、つまみ位置のどこかに自分の欲しいトーンが潜んでおり、好みによって、そ
のポジションに合わせるといった感じだ。
各部の操作関係も、少々複雑で直感的ではなかったマーシャルのMG2CFXとは違い、実に扱いやすい。

約10分程度の試奏を終え、そのまま店長さんに、「すみません、このアンプをお持ち帰りでお願いします、、、。」と、購入を即決してしまった(苦笑)


【Blackstarとは?】
ところで、このBlackstarというブランド、僕は全く知らなかったのだが(いや、正確には数年前から店頭でその存在を目にはしていたが、ギター・アンプといえばフェンダーや
マーシャルで育った僕には眼中になかった。)それもそのはず、元々マーシャルに在籍していたエンジニア4名が2004年に独立し、2007年にはじめてフランクフルトショー
でデビューしたと言う事なのだから、しばらくギター関係から遠ざかっていた僕が知らなくて当たり前と言えば当たり前なのだ(汗)

Blackstarの製品ラインアップをよく見ると、「マーシャルで、こんな感じのアンプがあったらなぁ〜、、、。」という部分をそのまま実現してくれたようなラインナップばかり。
特にすごいと感じたのは、このHT-1を含め、大型スタックアンプにもヘッドホン端子が装備されているので、夜中でも気兼ねなく弾く事ができる。
これって、自宅ミュージシャンにとっては結構大きなポイントなんですよね(苦笑)

【製品としての質感はかなり高め】
実際に現物を見てみると、各部が丁寧に造り込まれており、質感も高い。
一昔前の(古き良き時代の)フェンダーやマーシャルのコンボアンプをそのまま小型化したような雰囲気がプンプン漂っている点も所有欲を満たしてくれる。

背面パネルを外し、アンプ内部を確認してみると、2本の小さな真空管が見える。
どうやらECC83をプリアンプ用に、ECC82を出力アンプ用にセットされているようだ。
スピーカーもこの手の価格帯の製品にしては珍しい肉厚のフレームとコーンのものが採用されており、先の真空管と合わせてアンプ背面をバックプレートで覆ってしまうに
は惜しい感じがする。


【クリーントーンはJCM2000よりも良いかも?】
試しに、ストラトキャスターとの相性をチェックしてみたのだが、ISFのセッティングによってはSRV(スティーヴィー・レイ・ヴォーン)そのもののトーンを出す事も可能で、
この点についてはJCM2000以上のトーンバリエーションの広さを感じた。

また、クリーントーンもなかなか素晴らしく、正しくチューブアンプ独特の分離感を達成している。
特にレスポールのフロントPUを通してリバーブを深めにかけると、そこから出てくるトーンは甘くて優しいジャジーなものであり、そこにしびれるあこがれるぅ!といった感じだ。
むしろJCM2000のクリーントーンよりもチューブっぽいかなぁ?(苦笑)


【やっぱり真空管が一番だよね】
近年ではデジタル・シミュレーター技術の進歩により、トランジスタアンプでもチューブアンプっぽいフィーリングが得られるようになってきたが、やはり本物の真空管によって
生み出される自然なフィーリングの領域にはまだまだ達していないと言う事を、このHT-1によってまざまざと思い知らされた。
いやいや実に最高ですわ、このアンプ(笑)

ということで、僕としては全く購入の予定が無かったのに、いきなり購入を即決させられるほどの魅力を備えた、このBlackstar HT-1R。
2万円台(購入価格は税込み25,000円)という値段で、これほど素晴らしいオールチューブアンプが手に入れられるとは思わなかった。
自宅やアパートでの使用目的であれば、このアンプの魅力を上回ることができるアンプはそうそう見つけられないのではないだろうか?
(記:2015年1月11日)


<↓2015年1月16日追加情報↓>
このアンプを購入して1週間が経ち、毎日じっくりと思う存分に弾き込んだ。
使用したギターは、先日入手したギブソンのヒストリック・コレクション 1958 レス・ポール・スタンダード・リイシューの2014年製。(詳細ページは→こちら

いや〜〜、、とにかく気持ちが良い(驚!)
70年代〜90年代ハードロックが大好きな僕としては、このHT-1から出力されるトーン(クリーントーンもディストーション・トーンも)の全てが最高に心地好い。

また、イコライザー・コントロールの「ISF」についても、僕にとって無駄な(使えない)ポジションは無い。
それこそジミー・ペイジ、マイケル・シェンカー、エディ・ヴァンヘイレン、ランディ・ローズ、ゲイリー・ムーア、スティーブ・ルカサー、松本孝弘などなど。
これら全てのサウンドが、このHT-1の1台だけで堪能することができる。

レスポール・スタンダードの場合、歪み量としては6分目あたりのGAINでも十分な歪みが得られるが、GAINをMAXにしてスーパー・ハード・ディストーションにしても、1弦ごとの
音が痩せず潰れず、しっかりと分離している点はさすが。

それと、上にも書いたが、ヘッドホンを使用した音がとにかく素晴らしく、これまで僕が使ってきたギターアンプのヘッドホン・モードとは全く別次元の音質。
まるで、目の前に大型スタックアンプ(マーシャルの大型2段積み〜3段積みが置かれているかのような感覚をリアルに味わう事ができる。)
(勿論、接続するヘッドホンの質にも左右されるが、、、。)

いやはや、弾き込むほどにその凄さが身に染みて実感できるアンプだ。


 
↑「GAIN」と「VOLUME」の中間になるプッシュプルスイッチによってクリーン・モードとオーバードライブ・モードが切り替わる。
 また、EQ系は「ISF」の一つのみだが、そのトーンバリエーションはかなり広い。



  ↑スピーカーには、Blackstarによって設計監修された専用のBlackbird 15がセットされている。



  ↑基板上には2本の真空管がセットされている。
  右がプリ用のECC83(12AX7)で、左が出力用の ECC82(12AU7)だ。



  ↑背面には外部スピーカーキャビネット出力用の端子を装備。
  また、基本的に背面はバックプレートによって遮閉されており、内部の真空管を見ることはできない。




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