Apple iPod nano 第5世代 16GBモデル

アップル アイポッド ナノ






(撮影:とんかつサンド)





【僕がiPodを欲しくなった理由】
 僕が音楽を聴く場合、自宅ならばピュアオーディオシステムのある部屋か、居間にあるパソコン&PCスピーカーを使用し、
屋外では通勤時を含め自動車内でカーコンポを使用している。
そのため、これまでは特にポータブルミュージックプレーヤーに必要性を感じていなかった。

しかし、5世代目iPod nanoが発表され、そのスペックを目にした時にちょっと気になるキーワードがあった。
それが今回のモデルから新たに追加された機能である、ビデオカメラとFMラジオである。
特にFMラジオに関しては自宅にラジオが無い為に、時々聴きたいと思った放送があっても、いちいちクルマに乗らなくては
聴く事ができないことに少々の不便を感じていた。
また、最近ではしっとりとしたジャズを聴きながら眠りにつきたいという思いもあったことから今回はiPod nanoを購入した。

ということで、ここからは全くiPodに触れた事がなかった者の観点でレビューを書いていくので、既にiPodのことを熟知して
いる方々からすれば当然のように知っている情報しかないと思うが、そういう方は是非とも読み飛ばしていっていただきた
い。

【さすがの僕も初めてのiPodの取り扱いには四苦八苦?】
僕はいわゆる家電芸人ならぬ家電サラリーマン(?)であり、毎週のように大型家電店やPCショップに足を運ぶほどの家
電好きである。
そんなこともあり、殆どの家電・デジタル製品は取り扱い説明書を読まずともある程度は使いこなすことができる自信があ
る。
しかし、こんな僕でもiPodの取り扱いには戸惑った。まず、本体をケースから取り出すのに頭を悩ましたのだ(苦笑)
ケースに収められたiPodは本体の上下を透明プラスチックの台座にしっかりと固定されており、上下方向にはガタが無い
事からそのままでは本体を抜き取ることができないのだ。
しかし、いろいろと弄っているうちに台座がケースから外れる事に気づき、その外した台座の裏には台座を弓なりに曲げて
本体を抜き取れという意味のイラストが描かれたシールが貼ってあり、そのとおりにやってみたらあっけなく本体を抜き取る
事ができた....orz




ケースを開けてみると、中にはイヤホン、USBドックケーブル、Dockアダプタ、クイックスタートガイド、保証書、そしてアップ
ルマークのステッカーが同梱されていた。
最近の多くのPCパーツがそうであるように、このiPodに関しても本格的な取説はメーカーサイトからダウンロードするという
システムだ。


↑本体の他にイヤホン、USBドックケーブル、Dockアダプタ、クイックスタートガイドが付属する

クイックスタートガイドによると、まずはアップルサイトからiTunesというソフトをダウンロード&インストールしろと書いてある
ので、早速PCにインストールした。そしてDockケーブルを使用してPCとiPodを接続し、様々な登録作業を行う。

次に躓いたのが、PC内にある音楽ファイルをiPodへ転送させること。
これまでの多くの製品の場合、USBケーブルを繋いだ状態でプレーヤーが外付けドライブとして認識され、ウィンドウズのエ
クスプローラーを使用して適当なフォルダへ音楽ファイルをコピーすれば転送が完了するものが多いのだが、iPodに関しては
基本的にiTunesというソフトを介しての転送となる。
しかも、PCから直接iPodへコピーさせるのではなく、一旦iTunesのライブラリといわれるスペースに取り込みたいファイルを
取り込んでからiPodと同期させるという、iPod未体験者にとってはちょっと馴染みの薄い方法になる。
つまり、一度iPod内へ取り込んだファイルを、PC内に保存してある方の同じファイルを削除してからそのまま何も考えずに同
期させてしまうと、iPod内にあるファイルも消えてしまうということになる。(これは自動同期の設定で回避できる。)


↑これが本体とPCを繋ぐためのDockケーブル


また、逆にiPod内にある音楽ファイルをiTunesへ戻すということも著作権の点からできないようになっているが、これに関して
は裏ワザが存在しているようだ。

ということで、iPod初心者の僕の場合、PC内の音楽ファイルをiPod本体へ転送させる方法を理解して実行させるまでに実に
2時間も掛かってしまった(苦笑)
ちなみに16GBのiPodへ僕の持つ全ての音楽ファイルを転送し終えた後のメモリ残量は5.1GBとなっており、仮に8GBモデル
を買っていたら全ての音楽ファイルが取り込めなかった事になる。

【操作性に関して】
 iPodを初めて手にした時に、メニュー画面の上下選択の方法が全く判らず、クリックホイールを指で撫でる方法を知った時
にはえらく感動した。(笑)
ただ、手の大きな僕がセンターボタンを押そうとする際には周りのクリックホイールに指が触れてしまい、本当に選択したい
項目の上下のどちらかを選択してしまうことが結構あった。
しかしこの点に関しては慣れさえすれば問題は無いかもしれない。

また、一応はフラッシュサーフェイス処理(ボディ部とボタン部に凹凸が無く面一なこと)されたクリックホイール面にも、指先
で感じ取れる程度の微細な凹凸があるので、暗闇や本体が目の届かないところにあってもボリュームや早送り/巻戻しボタ
ンを感覚的に操作することができる。
日本製の製品ならば、様々なボタン類をごちゃごちゃと付けてしまうところだろうが、シンプルな操作性&デザインに拘るあた
りのセンスはさすがはAppleといったところか。



【iPodって音が悪いの?】
さて、なんとか音楽ファイルの転送も完了し、早速いろいろと弄繰り回してみた。
まずはミュージックプレーヤーとしての一番の評価ポイントとなる音質について。
ネット上の情報によると、音が薄っぺらい、音域が狭いなどといったあまり良くない評価もちらほらと見かけるが果たして本当
なのだろうか?

まず、この手のプレーヤーの音質を評価するにあたり、自分の耳に入るまでのいくつかのプロセスを考慮していく必要がある
ことを忘れてはいけない。
先ず第1にCDに収録された音源そのものの音質がある。当然、近年の最新のレコーディングシステムによって録音された音
源と、数10年以上も前の音源とでは音質も異なって当たり前である。
次にPCに取り込む際の変換ソフトや変換レートにも大きく左右されるし、更には音の出口となるイヤホンの性能差も音質の評
価に大きく影響する。
特に最後のイヤホンによる影響は大きく、ここが自分に合ったものでないとなかなか良い評価が出てこないだろう。

また、イヤホン以外でも、専門家の検証によるとiTunesによってmp3に変換された音楽ファイルには、他のエンコードソフトには
見られない微少なノイズが高域部のグラフに見られるようである。確かに、Windowsメディアプレーヤーによって取り込まれたも
のと比較すると、iTunesによって取り込まれたものの方が微妙に高域に微少なノイズが感じられる部分があった。
しかし、mp3ではなくAAC変換の場合は問題無いようである。

ちなみに新型iPodの音質の評価をするにあたり、音源にはピュアオーディオシステムで鑑賞しても高音質であったCDのいくつ
かを、320kbpsにてMP3に変換して取り込んだ音楽ファイルを使用することとした。
(取り込みにはWindowsメディアプレーヤーを使用)

そこで先ずはiPodに付属していた純正イヤホンを使用して、様々なジャンルの音楽を聴いてみるが、純正イヤホンの音質はお
世辞にも優れているとは言えないレベル。特に中音域が不足気味で、いかにもとりあえず付属しましたという感じ。
次に僕のお気に入りでもあるオーディオテクニカのATH-AD700というヘッドホンをつないでみたところ、先ほどのダメダメ感はど
こへやら、純正イヤホンではスカスカだった中音域も豊かになり、普通に高音質に聴けます。これがあの薄っぺらい本体のプレ
ーヤーから出力されている音だとはちょっと想像しにくい感じ。


↑これが違う意味で評判の付属品イヤホン
 しかし、寝しなに小音量で使う分には充分だ(笑)


そして最後に我が家のピュアオーディオシステムである、マランツのステレオプリメインアンプPM6001と、KEF社のスピーカー
であるiq3のシステムに繋いで試聴してみた。
結論から言いうと、全くもって不満は無い。低域と中域の重厚感、高域の抜けの良さ、そして全体的な解像感のどれをとってみ
ても特に不満は無く、上のヘッドホンの時にも書いたが、これが厚さ6.2mmのポータブルミュージックプレーヤーによるものだ
とは信じがたい音だと感じた。

つまり、iPod本体による音質に関してはそれほどの非がないどころか、充分に満足のいく品質の音質を出力していると思う。
これを活かすためには適切なエンコードソフトを使用し、なるべく高ビットレートな設定にて記録された音楽ファイルと優れた品
質のイヤホン/ヘッドホンを用意する必要があるだろう。

音質の調整に関しては「ベース」「トレブル」といったイコライザーは搭載しておらず、音楽ジャンルのネーミングが付けられた
いくつかのプリセッティングが用意されている。
しかし、「オフ」が一番良いと思うのは僕だけであろうか?(苦笑)

最後に内蔵スピーカーによる音質にも一応触れておくと、これに関しては「ただ鳴っている」というレベルでしかない。

【FMチューナーは想像以上の実力】
次に、この5代目iPod nanoから追加された新機能であるFMチューナーについて触れてみよう。
FMチューナーを受信するためには受信アンテナが必要となるが、こいつの場合はiPodに接続するイヤホンやヘッドホンのケー
ブルをアンテナとして電波を受信する仕組みになっている。
これは純正イヤホンだけということではなく、iPodのミニプラグ端子に接続する事ができるケーブル全てに関して該当する。
で、肝心の受信感度であるが、決して電波状態が良いとはいえない我が家でもきれいな音質でFMラジオを受信する事ができ
た。(純正イヤホン使用時)

実は、我が家にFMラジオが無い一番の理由は、FMラジオを聴こうとしてもまともに受信できないというところが大きかったの
だが、それらのラジカセよりも受信感度が優れていた事に驚かされた。
また、このケーブルについては長さによっても受信品質が変わるようで、ケーブル長が1m程度の純正イヤホンよりも、2m以上
はあるAD700ヘッドホンの方が受信状態が良かった。
しかし、ラジオ再生中にiPod本体からケーブルを抜いてしまうと「ラジオ信号がありません」といったエラーメッセージが出てしま
い、ラジオを聴くことはできない。
つまり、音楽ファイルやムービーファイルの音を内蔵スピーカーから出力させることはできても、FMラジオの音を内蔵スピーカー
から出力させることはできないという事になる。
ただし、外付け用スピーカー(PCスピーカーなど)を接続させる事によって外部に音を出す事は可能である。

【ムービーカメラはハッキリ言っておまけ程度】
今回の新機能の目玉ともいえるのがムービーカメラ機能。はたしてこのカメラ機能の実力はいかがなものなのだろうか?
この点に関しては、日頃デジタル一眼レフカメラによる高品質な画像や、ハイビジョン動画による映像を毎日のように扱っている
僕からは、少々厳しい評価となってしまう点をご理解していただきたい。

ネット上の評価においては「想像以上の実力」という意見も見られるが、僕の印象としてはやはり「想像どおりの性能」となって
しまう。

全体的にコントラストが低く、ラチチュード(暗い部分と明るい部分が同一画面中に存在する際の照度差を表現できる能力)も狭
いため、晴天下の明るい部分がすぐに飛んでしまう。それに対し、日陰や曇りの条件下で撮影された動画の場合は極端な照度
差が発生しないことから、晴天時のものに比べて自然で破綻のない画像となる。
しかし、それでもペットの毛並みや森の葉っぱなど、細かいディテールは油絵のようなベタ塗り画像になってしまう。
したがってあくまでも動画メモ的な用途でなら十分な性能であるが、このムービー機能に過度な期待をしてiPod nanoを買い求め
るのは少々危険かもしれない。
しかし、これだけのコンパクトな本体内に動画撮影機能までを付加したあたりには大いに評価できると思うが、ここまでできるの
ならば静止画撮影モードも加えて欲しかったと思うのは僕だけではないだろう。
サンプルムービーに関してはアップルサイトをはじめ、Youtubeにも大量にアップされているので、是非ともそちらを参考にして欲
しい。


↑本体裏面に動画撮影用のレンズが付いている。
 撮影を行う場合には右手の指位置に注意しないと、不意にレンズに映りこんでしまう。
 横の小さい穴がマイクで、内蔵スピーカーはクリックホイールの裏側に納められており
 外観からは判らない。


【気になるバグ?】
新型のiPod nanoが発売された直後から、ちょっと気になる情報がネットを中心に広まっていた。
内容は、省エネモードONに設定した後に音量を最小にして曲を再生させる。そのまま放置しておくと画面が消えて省エネモード
が働き、その後からプツプツといったノイズが発生するというもの。
僕のiPodでも早速試してみたが、それらしい症状は確認できなかった。
もしかして対策版が出荷されているのだろうか?それとも偶然なのだろうか?

【その他】
他では歩数計やボイスレコーダー機能なども備えてているが、ボイスレコーダーに関しては僕が仕事で使用している専用のレコ
ーダーよりも音が良いくらいで驚いた。
強いて言えば昔のカセットテープレコーダーのヒスノイズのような「シャーーーーッ!」というノイズが目立つのが気になったが、人
の声はしっかりと録音できていた。

また、音楽ファイル以外に動画ファイルも再生することができるが、この場合は動画サイトからiPod用に変換された動画をダウンロ
ードするか、自分が持っている動画を入れたい場合には何らかの変換ソフトを使用して規格に適した動画に加工する必要がある。

【最後に・・・】
色々と悩んだ挙句、結局買ってしまった第5世代版のiPod nanoだが、買って後悔は無いどころか充分満足できるものだった。
特にPC作業をしながらのFMリスニングが可能になったことや、眠りにつきながら音楽を聴く事ができることは実に至福極まりない。
今回紹介した内容はiPod nanoの持つ機能のごく一部を触り程度にレビューしたに過ぎないが、今後も引き続き長期レビュー的
に取り扱っていきたいと思う。
また、今後はクルマで聴く事も踏まえてトランスミッターの導入なども考えていきたい。
(記:2009年10月18日)


【2009年10月25日追加情報】
ということで、早速FMトランスミッターを購入した。
そのレビューはこちらへ。


【2009年11月10日追加情報】
iPodに付属のイヤホンがしょぼいため、お手ごろ価格で音の良いイヤホンを探してみることにした。
詳細はこちらへ。


【2009年11月29日追加情報】
2009年11月20日から、iPod専用のリモコン機能付きポータブルヘッドフォンアンプ「Fiio E1」が発売された。
価格も3,000円以下だったので、モノの試しに買ってみました。詳細レビューはこちらへ。


【2009年12月11日追加情報】
先日のポータブルヘッドホンアンプ、Fiio E1の効果に気を良くした僕は、本格的なポータブルヘッドホンアンプ
を自作してみることにした。
その詳細についてはこちら。


【2010年7月1日追加情報】
iPod購入から9ヶ月が過ぎようとしている。
購入前には僕がどれだけiPodを使用するか疑問であったが、実際には毎日欠かさず使用しており、逆に今となってはiPodの無い生活
は考えられない状態になってしまっている。
今更ではあるが、自分の音楽ライブラリーを全て自由に持ち運びができ、好きなアルバムを瞬時に引き出せる魅力は想像以上に素晴
らしいと実感した。


【2010年11月23日追加情報 : iTunes上において複数の曲を1枚のアルバムに収める方法について】
レコード会社やアーチストが異なる複数の曲を1枚のアルバムとしてPC内の一つのフォルダに集めて管理している場合、そのままフォ
ルダごとiTunesのライブラリに追加すると、同一アルバム扱いにならずに曲がバラバラに取り込まれてしまう。
この場合、iTunes上でバラバラの曲を同一アルバムとして認識させる必要がある。

ライブラリ上にバラバラなっている曲を1曲ごとか、あるいは「Ctrl」キーを押しながらアルバムに収めたい曲を複数選択し、右クリックして
プロパティを表示させる。
続いて「情報」タグを選択すると、曲に関する詳細情報を編集するための画面が表示される。
ここで、「アルバムアーチスト」と「アルバム」の2項目を、同じアルバムに収めたい曲全てにおいて統一させれば良い。
例えばオリコン・ランキングにBEST10入りしているJポップシングル曲を複数枚レンタルして取り込んだ場合。
「アーチスト」の欄には実際のアーチスト名を入力し、「アルバムアーチスト」の欄に「J-POPアーチスト」と、全ての曲に対して統一して入
力する。
(注:複数の曲を同時に選択してプロパティを表示させた場合は、アーチスト欄は空欄になるので弄らないこと。)

次に「アルバム」の欄に「オリコン・ベストアルバム」と全ての曲に統一させて入力し、プロパティを閉じればiTunes上において1枚のアル
バム扱いになる。
(トラック番号を個々に設定すれば、曲順も指定する事ができる。)


【2010年12月11日追加情報 : 第5世代iPod nanoがプレミア状態に!?】
先日、ふと不思議な事に気がついた。
最新型の第6世代iPod nanoが発売された直後に値下げして売っていた第5世代nanoが、最近になって突如として店頭から消えているのだ。
近所のiPodを取り扱っているショップ全てにおいて第5世代nanoが売り切れ状態。
「まさか、、、。」
僕の考えは的中していた。

僕が初めて新型の第6世代nanoを触った時の感想は。

・本体が小さすぎて取り扱いにくい(特にカーコンポ接続時の事を想像すると)
・動画撮影機能が無くなって残念
・クリックホイールは残すべきでしょ
・え?ボイスレコーダーも無くしちゃったの??

というもので、第5世代nanoに比べてコストダウンされている感が丸出しという印象だった。
特に第5世代のボイスレコーダー機能は秀逸で、下手な専用機よりも高音質で長時間録音することができるので、僕としては大変重宝してい
た機能であっただけに、廃止は残念で仕方が無い。
また動画機能に関しても、第6世代ではハイビジョンに対応させるのかとも思っていただけに、機能廃止は意外であった。

ということで、多くのユーザー達も同じことを感じていたのか、第6世代よりも第5世代の方に魅力を感じている方が多かったようで、結果的に第
5世代nanoがプレミア状態になってしまったようだ。
amazonや価格コムなどを見ても、第5世代nanoの16GBモデル新品は概ね24,000円〜となっており、中には30,000円を超えた価格をつけてい
るショップもある。

次の第7世代nanoでは、また第4、5世代のような縦長ボディに戻ったりして、、、?(苦笑)

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