ホンダ N-WGN カスタム G・ターボパッケージ

〜「ハイグレードスピーカーシステム」と「音の匠」の魅力について〜




(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、個人による感じ方以外に音源の質や接続機器等、再生環境によっても大きな差が生じる点もご理解願います。)


<写真/ 文:とんかつサンド>



【ノンターボ軽カーでは坂道が辛かったので、乗り換えを決意した】
僕は、2005年の7月から2010年9月までの5年間、トヨタのMR2(1994年式)に5年間乗り続け、その後はホンダのライフ・パステルを6年間乗り続けてきた。
このライフ・パステル、街中を普通に走る分には十分な性能なのだが、僕の会社までの通勤路の途中に急な勾配の坂道があり、そこを通る度に動力性能の非力さに悩まされてきた。

そんな中、僕の奥方が今年(2016年1月)ホンダN-BOXのターボモデルを新車で購入した。
そして、このN-BOXを運転した時、最新の軽カー(ターボ付き)の凄さを思い知らされた。

ということで、僕も最新の軽カーに乗り換えるべく、2016年の6月にマイナーチェンジをしたばかりのホンダ N-WGN カスタム G・ターボパッケージを契約した。
N-WGNそのものの詳しいレビューについてはネット上に腐るほど書き尽くされているので、あえて長々とは書かないが、簡単に書かせてもらうと、低速から高速までトルクフルな走りで、動力性のは全くもって不満無し。
コーナリング時のボディ剛性も、ライスパステルとは雲泥の差。
また、静寂性もライフパステルと比べてかなり静かになっている。
(静寂性について、カスタム・グレードの場合はルーフ全体と前後ドア部に遮音材が使用されているが、標準モデルには一切使用されていない点も大きい。)

とまあ、これらの感想はいろんなレビューサイトで書かれているような内容であり、特に目新しいものでもないと思う。

でも、僕がネット上のありとあらゆる情報を調べても全くヒットしなかったのが、N-WGNのディーラーオプションに設定されているナビゲーション・オーディオの拡張オプションとなる「ハイグレードスピーカーシステム」に関する詳細なユーザーレビューであった。

ということで、ここから先は、僕が実際に「ハイグレードスピーカーシステム」を導入した効果の感想をメインにレビューしてみたい。



↑ちなみにボディの表面にはKeeperコーティングを施してある。(詳細は→こちら



↑マイナーチェンジ版から採用されたピアノブラック調コントロールパネルガーニッシュ。
 わずかなホコリが付着しただけでも目立ってしまうのが難点
 クイックルワイパーは必須(苦笑)


 
↑ターボモデルのエンジンルーム。
 中央の右寄りに見える、大きな口を開けた吸入口は、ターボの圧縮空気を冷却するためのインタークーラーのエア取り込み口になっており
 ダクトの奥にはインタークーラーのコアが見える。


【「音の匠」の効果は凄まじかった】
僕がライフパステルに乗っていた時には、パイオニアのCDデッキに同社の外部パワーアンプである「 PRS-A900」と、スピーカーには同社の「TS-V171A」という、そこそこハイグレードなシステムを組んでいた。
そんなこともあり、試乗した時に搭載されていたN-WGNの純正オーディオ・システムにはどうにも我慢ができず、ディーラーオプションとして設定されていた純正ナビゲーション「ギャザズ:VXM-175VFI」と「ハイグレードスピーカーシステム」をオーダーした。

商品名(オプション名?)だけを見ると、まるでスピーカーだけをちょっと良いものに交換するだけのように思えてしまうが、実はこのオプション、そこらの素人(僕を含む)が、下手に後付けでスピーカーやアンプを追加する程度では到底敵う事ができない、超凄いシステムなのだ。

まず、採用されているスピーカーそのものは、つい先月までアルパインのフラッグシップシリーズであったDD Linearスピーカーが採用されている。
これについても、何となくアルパイン製と言う訳ではなく、複数のメーカーのモデルを全て実車で音を確かめた上で決定されている。
また、スピーカー本体も、フレームやバッフル、マグネット、ボイスコイル、ハイパスフィルター等が専用のものに変更されているとの事。


↑アルパイン社製のDD Linearスピーカー(17cm)がフロントとリアに設置されている。



↑フロントウインドウの左右両端にはアルパイン社製のカスタムツィーターが追加で設置される。


とまあ、ここまでの内容については、スピーカーがハイグレードなものに変わるという事で想定できる範囲の内容だ。
しかし、本当に凄いのはここから先の話になる。

ディーラーオプションとして全6種類のギャザズ・ナビゲーションが用意されている中で、上位の3機種が「音の匠」という機能に対応している。
「ハイグレードスピーカーシステム」自体は全てのギャザズ・ナビにセットする事は可能なのだが、上位3種のナビと組み合わせて「音の匠」を機能させてこそ、最大限の効果を発揮する事ができるというもの。

ギャザズ・ナビのシリーズ中、上位3機種がパナソニック製であり、その他はケンウッド製となっている。
これは、元々「音の匠」という機能がパナソニックのオリジナル・ナビゲーション・シリーズとなる「Strada:ストラーダ」の上位モデルに設定されていたものであり
ギャザズの上位3機種も、本体内部は「Strada:ストラーダ」がベースになっていることから「音の匠」に対応しているというわけなのだ。


「音の匠」の全てをここに記述すると、かなりの長文になってしまうので控えさせていただくが、簡単に説明すると以下のようになる。

元々は、パナソニックと日本トップクラスのサウンドエンジニア集団「ミキサーズ・ラボ」とがコラボし、ここのトップエンジニア達にとって「良い音」と感じられる音を出す事ができるようなナビゲーションを作り出す事が最初の目的であった。
ここでは、部品の一つ一つから全ての回路を見直して開発設計が進められ、特に締まりのある低域を実現させるためのコンデンサの作り込みには相当な苦労があったようだ。

ということで、何とかミキサーズ・ラボとパナソニックの両者にとって満足できる音質の理想的なナビゲーションが完成したわけだが、 これでミキサーズ・ラボの役目も終わりかと思われたその時、ここから更なる思いもよらない展開が待ち受けていた。

パナソニックの担当者がミキサーズ・ラボのエンジニアに対し、「今回完成したナビの音質調整機能を駆使して、あなたにとって理想的な音質設定に調整してみてもらえないか?」と依頼したというのだ。
そして、ミキサーズ・ラボのエンジニアによって調整・設定された音を聴いたパナソニックの担当者は、その音の更なる高音質化に驚愕し、これをユーザーがボタン一つで呼び出す事が出来ないだろうか?ということで生まれた機能が「音の匠」という訳だ。

ここまではパナソニックとミキサーズ・ラボの2社だけに関係する裏話だが、このシステムをホンダ車のオプションとして採用すると言う事は、搭載される車種までもが絞り込まれると言う事になる。
すると、ここへ新たにホンダの開発チームが加わり、更に車種ごとの音響・音質設定とスピーカー構成までをミキサーズラボと共同で開発し、完成したものが各車種ごとに専用設定された「ハイグレードスピーカーシステム」というわけだ。

実際にN-WGNの音響・音質設定を担当したミキサーズラボのエンジニアとは、内沼氏と三浦氏という二人によって作業が行われているのだが、実はこの二人がもの凄い方々なのだ。
内沼氏は、ミキサーズラボの設立者(現会長)であり、2005年に日本オーディオ協会から第10回「音の匠」として表彰された人物。
三浦氏は、ミキサーズラボの現代表であり、日本音楽スタジオ協会から第2回および第5回「日本プロ音楽録音賞最優秀賞」を受賞しているなど、両者ともに日本を代表するトップ・レコーディング・エンジニアなのだ。


ちなみに、「音の匠」によって車種別に設定される項目は、イコライザー、Q値、各スピーカーの出力、タイムアライメントなど、10項目が調整設定されており、前席の二人が、本来はレコーディング・スタジオでしか聴くことができない、スタジオ・マスターサウンドの空気感と躍動感の再現を求めたとのこと。


↑ホンダによる「音の匠」に関する紹介ムービー



↑ミキサーズラボが考える良い音とは?(チャンネル・パナソニック)



↑「音の匠」誕生秘話(チャンネル・パナソニック)





つまり、「音の匠」に対応したナビゲーションと「ハイグレードスピーカーシステム」を組み合わせた場合、専用のスピーカーとミキサーズ・ラボによってN-WGN用に微調整された音響・音質設定のデータをシステム組み付け時にインストールすることで、ユーザーがいつでもこの高音質設定を再現する事ができるのだ。


↑サウンドコントロールメニューの中で、「音の匠」ボタンをONにすることにより、ミキサーズ・ラボによるカスタム設定が車内に再現される。


で、実際に僕の車に搭載されている純正ナビゲーション「VXM-175VFI」と「ハイグレードスピーカーシステム」の組み合わせを聴いてみたのだが、、、。
当初、僕は所詮、純正のオプションシステムということで、前のライフのシステムには到底及ばず、音質については妥協をせざるを得ないだろうと覚悟していた。

ところが、その不安は逆の意味で裏切られる結果となった。

「え?これが純正オプションの音???」

これが僕の第一印象だった。

「音の匠」を機能させない状態でも、スピーカーそのものがグレードアップし、ツイーターが追加されていることもあり、そこそこ良い音はする。
しかし、この状態では断然、以前のシステムの方が勝っている印象。
ところが、「音の匠」をONにすることで、今までに経験した事の無いリアリティ溢れる音の空間が目の前に現れるのだ。
これは想像以上の驚きであった。
部品代45,000円(税抜き・工賃別)でこれだけの音質向上を実現できるとは、正直言って純正のシステムを舐めていた(汗)

今日現在で納車から1か月が経過しているが、今の僕にとってN-WGNを運転する楽しみのうち、そのパワフルな走りもそうだが、この「音の匠」の魅力を堪能することが大きな割合を占めている事は言うまでもない。
(記:2016年11月4日)


【2017年2月12日追加情報】
タイヤ&ホイールを、純正の「155 65R 14インチ」から「165 45R 16インチ」へとインチアップした。
画像では、ホイールカラーがブラックに見えるが、実際にはガングレー・メタリックだ。
心配していた乗り心地そのものは、思っていたほど悪化しておらず、ハンドリング時のレスポンスが大幅に向上した。






【2019年1月19日追加情報】
タイヤの山が減ってきたのを機に、タイヤ&ホイールを上記の「165 45R 16インチ」から「165 55R 15インチ」へ交換した。




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