マーシャル ビンテージ・シリーズ 100W アンプヘッド 1959SLP(後期型)(2020年3月生産完了品)

Marshall Vintage Re-issue Series 1959SLP 100Watt HeadAmp





       
<Photo :とんかつサンド>


【ギター小僧の憧れであるマーシャル1959】  (2020年4月30日内容更新)
僕は1997年に発売が開始されたばかりのマーシャルヘッドであるJCM2000 DSL100を1998年初頭に購入し、その素晴らしいトーンと扱いやすさからとても気に入っていた。
その後、2012年に再販版のDSL100Hが発売されていた事を知り、JCM2000版DSL100には設計構造上による発煙・発火等の危険性の問題から再販版のDSL100Hを買い直した。
ところが、このDSL100Hを購入したところから、また変なところに火が点いてしまった。
DSL100Hは現代型ヘッドの代表として必要であるのは勿論だが、これとは別に、往年の名機代表としてJMP 1959 Super Lead が欲しくなり、今回新たに現行復刻版の1959SLPを購入し
た。

マーシャルJCM2000 DSL100のレビュー記事は→こちら

マーシャル再販版 DSL100Hのレビュー記事は→こちら

ギブソンといえばレスポール、フェンダーといえばストラトキャスター、マーシャルといえば1959と言えるくらい、1959はマーシャルを代表するモデルである。
伝説的なロックギタリスト達にも1959愛用者は多く、ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、アンガス・ヤング、エディ・ヴァンヘイレン、イングヴェイ・マルムスティーン、ゲイ
リー・ムーア、スラッシュ等々、数え上げたらきりがない。


【マーシャルの1959ヘッドについて】
今でこそ大型ヘッドアンプにはマスターボリュームは勿論、リバーブ回路なども当たり前の様に搭載されているが、1959にはリバーブはおろかマスターボリュームすら装備されていない。
そのため、アンプ本体でオーバードライブトーンを作り出すためにはひたすらボリュームを上げて、大音響を轟かさなければならないという男気溢れる仕様だ。
アンプを使用する場所が大型コンサートホールであったり、完全防音室の中でギター一人だけで演奏するというのであればそれも可能だろうが、普通の人は練習スタジオやライブハウスな
どでバンドメンバーと一緒にセッションしたり、もしくは僕の様に自宅での演奏に使う場合が殆どだろう。
そのような環境で100Wの爆音を轟かせる事は不可能なため、実際にはアンプのボリュームを上げつつも、スピーカからの出音を小さくコントロールする事ができる「パワー・アッテネーター」
という機器をアンプヘッドとスピーカーキャビネットの間にセットするのが一般的な使い方となる。

さて、このような面倒くさいアンプをそこまでして使うメリットとは一体何なのだろうか?
この点については後のレビューで書かせて頂くとして、まずは「1959」モデルについて説明してみたい。
ちなみに下記にまとめた1959に関するヒストリーについては、国内外の多くの専門家達による資料や文献を参考に僕が情報としてまとめたものであり、出音に対するイメージの表現について
は僕自身が実機を検証した訳ではないので、その点についてはご理解願います。

1960年台初頭、当時楽器店を営んでいたジム・マーシャルと、ジムのお店の修理工として共に手を組む事になったケン・ブランにより、当時のロックギタリスト達から高い評価を得ていたフェ
ンダーのアンプであるBassmanの回路を参考にして開発されたJTM45 (45W)というアンプがあった。

そして1965年、当時人気急上昇中であったイギリスのロックバンド、The Whoのギタリストであったピート・タウンゼントより、大きなライブ会場でも十分な音量を得る事ができるアンプの製作
を求められる。
そこでジムとケン・ブランをはじめとするスタッフ達は、マーシャル社にとって初の100WのアンプとなるプロトタイプをJTM45をベースにして完成させた。
(1965年当時には、まだ「1959」というモデル名は与えられていないようだ。)

一口に(リイシューではない、レギュラー・シリーズの)「1959」というモデル名のアンプについては、1966年から1991年までの約26年間に渡り生産され続けていたが、この内、1966〜1977年
頃まで生産されていたスモールロゴ&ピンスイッチ仕様のモデル(これらのタイプは”オールドマーシャル”とよく呼ばれている)の人気が高い。
そのスモールロゴ&ピンスイッチ仕様の中でも、樹脂製のプレキシグラスをフロント&リアパネルに採用していた通称「プレキシ(Plexi)」と呼ばれる1969年中頃までのモデルは特にマニア垂涎
のアイテムとなっており、現在の流通価格は最低でも数十万円から、コンディションの良いものとなると百万円を軽く超える事も珍しくない。

1969年の中頃からはフロント&リアパネルの材質が樹脂製のプレキシグラスからアルミ製パネルに変更され、1971年以降からは徐々に歪みが強くなる傾向になる。
そして、1973年の中頃には従来のポイント・トゥ・ポイント配線である、いわゆる「ハンドワイヤード回路」からプリント基板回路 (PCB)へと変更された。
その為、69年中頃から73年中頃までのアルミパネル・モデルについても、ハンドワイヤード回路を採用しているという点で先のプレキシモデルに次いでマニア垂涎のアイテムと化している。

先程は1969年中頃までのプレキシモデルが最も希少価値が高いと説明したが、ハードロック音楽用のアンプとしてみた場合、69年までのプレキシ・モデルよりも71年〜73年辺りのモデルの
方がよく歪むと言う理由で71年以降のモデルを好む人も多い。
(ちなみに70年製については、69年製と同程度の歪み方のようだ。)

その後、上でも触れたように、1976年〜1977年頃を境に、ヘッド外観のデザインに大きな変更が施された。
その変更内容とは、「POWER」&「STANDBY」のスイッチが金属製のピンスイッチからプラスチック製のスクエアスイッチになり、「Marshall」ロゴがスモールタイプからラージタイプとなり、金色で
あったモール材が現在の様なホワイトになり、キャビネットの角には現行モデルのようなコーナーガードが装着された。

そして1981年には新たに「JCM800」シリーズの中の「1959」モデルという位置づけとなり、更に大きなデザイン変更が施された。
これまでビニール製のカバリングが貼られていたヘッド・キャビネット正面にはスピーカーキャビネットに使用されているフレットクロスが貼られ、金色のフロントパネル部もナローパネルからワ
イドパネルとなった。
つまりは、現在のスタンダードとも言えるヘッドデザインが、ここからスタートした。
その後、JCM800版の1959は、1991年にJCM800シリーズからJCM900シリーズへと移り変わると同時に生産中止となり、1966年から続いた「1959」モデルのレギュラーシリーズはここで一旦幕を閉
じる事となる。


【オールドマーシャルの復活】
レギュラーシリーズとしての「1959」という意味では1991年に生産は完了しているが、一方ではスモール・ロゴ&ピンスイッチ仕様の「オールド・マーシャル」の復活を望む声も多かったことから
1988年にマーシャル社にとって初のリイシューモデルとなる「1959S」が発売された。
この「1959S」は1973年頃の外観に仕立て上げられたものであったが、中身そのものは当時の現行モデルとして発売されていたJCM800版の1959モデルをベースにしており、当時、多くのマ
ニアが待ち望んでいたプレキシ・モデルの復刻ではなかったことなどからあまり受け入れられず、1年程度で姿を消す事となる。

その後1991年には1959のリイシューとしては2代目であり、初めてプレキシパネルを採用したリイシューとなる「1959X」をリリースした。
しかし、これもまたJCM800版の1959モデルをベースとしたものであり、また、外観は60年代末のプレキシスタイルでありながら、1959Xから生み出されるトーンはオールドマーシャルの中でも
よく歪むと言われている1971〜1972年頃のものよりも更に歪むものであったらしく、その再現内容に疑問を呈するユーザーも多かった。
その為、この「1959X」も2年程度で生産が中止された。

そして、1993年には更に再現性を高めた2代目のプレキシ・リイシューとして「1959SLP」(初期型のSLP)がリリースされるが、この「1959SLP」を開発するにあたり、マーシャルのスタッフ達はオ
リジナルのプレキシヘッドを片っ端からチェックし、その中から2台の素晴らしいプレキシに出会い、そのヘッドを参考に作り出されたとのこと。
電源トランスが縦型にセットされている点から1969年製以降の最後のプレキシモデルのリイシューと言えるだろうか。
(まあ現実的には、本機を開発中にはまだ存在していたであろうJCM800版の1959をベースにした結果として、トランスが縦型レイアウトになったというのが本音だろう。)
また、69年製のリイシューとして見た場合におかしな点があるのだが、フロントパネルの左端(メインスイッチの向かって左側)に「Mk II」と印字されている。
これは本来なら1967年初頭頃までの「JTM45/100」に見られる特徴であり、この場合はパネル右端に「JTM45」の文字もセットで印字されるはずだ。
1969年のリイシューであるならば、パネル左端の印字は「JMP」であるのが正解のはずだ。

その後の2002年には、1993年から発売されたプレキシ・リイシュー(初期型1959SLP)をベースに、リアパネルにエフェクトループを搭載した「1959SLP」(後期型)が発売となる。
専門文献によると、1993年から発売されていた初期型の1959SLPに対して、世界中の専門家達からのアドバイスによって更なるリファインが施されているという情報もあるが、具体的な内容につ
いては不明だ。

そして2005年、究極とも言えるリイシューが誕生した。
モデル名は「1959HW」
1969年以前当時のプレキシと同様にポイント・トゥ・ポイント配線を採用した「ハンドワイヤード」が復活したのだ。
勿論、1960年代と現在とでは様々な安全基準が異なることから全く同じパーツ構成という訳ではないが、プリント基板を使用していないという点で多くのマニアから絶賛を浴びた。
ちなみに「1959SLP」では「Mk II」と印字されていたフロントパネルには、しっかりと「JMP」と印字されている。
しかし、電源関係の不具合が相次いだことから、日本国内正規代理店の取り扱い上では2009年に発売が中止されてしまったが、海外ではいまだに販売されているため、並行輸入品であれば
日本国内であっても普通に購入する事が可能となっている。
ちなみに1959HWは電源トランスが横置きにセットされている点から、 Vintage Re-issue Series 1959SLPのモデルとなったプレキシ最終版のひとつ前のバージョンのタイプのリイシューになると
思われる。

以上、「1959」について簡単に(?)説明させて頂いたが、この中から僕が購入したのは冒頭にも書いたように現行版の国内正規品のリイシューで、リアパネルにエフェクトループが搭載され
ている後期型の「1959SLP」になる。








【1959に自然な空間系エフェクトを与えるために】
僕にとって、1959SLPを購入する上ではエフェクトループは絶対に外せない条件であった。
というのも、僕がギターアンプを使ってギターを弾く場合には、必ずと言って良いほどリバーブを軽く掛けている。
何故なら、僕が高校生の頃にアルバイトをして初めて買ったギターアンプ(フェンダー サイドキック・リバーブ30)にはスプリングリバーブが装備されており、それを使って毎日のように練習して
いた為、それ以降からリバーブが無い状態では違和感を感じるようになってしまったからだ(苦笑)
それ以降、僕がギターアンプの購入を検討する際には、リバーブが搭載されていることが最低条件となっている。
そこで、リバーブの装備されていない1959SLPのエフェクトループにリバーブ系のエフェクターをセットすることで、これらの問題をクリアさせようという訳だ。



↑2002年以降のモデルにはエフェクトループが装備されている。


【100V電源のままでは1959SLP本来の魅力を味わえない】
ところで、このリイシュー版である「1959SLP」は、マーシャルの全シリーズの中から「ビンテージ・シリーズ」という枠に属されるのだが、国内正規品であっても、現行モデルの中でJCM800とビン
テージ・シリーズだけは電源の仕様が120V/117V仕様のままとなっており、日本国内の100V電源では本領を発揮する事ができない。
この点については正規輸入元のヤマハミュージックジャパンも公式に説明しており、ホームページのサポートページ上でも言及している。
100Vのまま使用した場合、フルテンの状態で約20パーセントほど能力が低下するようだ。
また、公式ページには書かれていないが、1959SLPのような北米仕様に設計されたアンプを100Vのまま使用した場合、トランスと真空管に過度な電流が流れる事で過大な負荷を掛けてしまう
ようだ。
何となく110V〜120Vに昇圧するよりも100Vのまま使用した方がアンプに優しそうの思えるが、実際には逆のようだ。
そのために、トランスの弱かった「1959HW」では、日本国内でのトラブルが相次いだと言う事らしい。 
しかし、僕の場合はもう一つの趣味である、北米仕様の業務用エスプレッソマシンに1500Wの115〜120Vステップアップトランスを使用しているため、こいつに1959SLPをつなぐことで電源問題は
クリアしている。

(ただし、中古品を購入した場合は、販売したショップによって真空管のバイアス調整等を日本の100V環境に合わせて調整している場合があり、この場合は昇圧してしまうとアンプに無理な負
荷を掛けてしまう事になるので注意が必要となる。)



↑もともと120V仕様のエスプレッソマシンのために使用していた100V→120Vの昇圧トランス(容量:1500W、価格:11,000円)
  アンプ本来の性能を発揮させるためには必須なアイテムだ。


【やっとのことで実機レビュー】
随分と前置きが長くなってしまったが、まずは外観から。
やはり1959といえば、ナローパネルにスモールロゴの精悍なフロントマスクが最高にかっこいい(笑)
上面と背面にはゴールドメッキのゴージャスな通気用メッシュが時代を感じさせる。

しかし、上でも書いたように、フロントパネルに印字された「Mk II」だけが、ちと残念(苦笑)

リアパネルを外し、内部を見てみると、向かって右端に置かれている電源トランスが縦置きにセットされている点から、この1959SLPが1969年製のプレキシ・モデルを再現している事が判る。
手前には4本のEL34真空管が見える。
また、所々に見える黒色の円柱形の物質は電解コンデンサーで、製造時期によって水色のARS社のものや、写真のように黒色のRUBY社のGOLD CAPが搭載されていたり、または2社のも
のが混載されているものもある。
ちなみに「アンプ大名鑑(Marshall編)」の裏表紙に現行の1959SLPのリア側からの内部画像が写っているが、このヘッドにもRUBY GOLD CAPが搭載されているようだ。


↑1959SLPのヘッド内部。
 右端の電源トランスが縦置きになっているのは、プレキシモデル最終型の特徴。
 また、電解コンデンサーにはRUBYのGOLD CAPが搭載されている。  





フロントパネル上のコントロール類にはリバーブもマスターボリュームも無い。
そのかわりと言う事ではないが、「1」と印字されたインプットジャックが縦に2つ、そして「2」と印字されたインプットジャックが縦に2つの合計4つのインプットジャックが装備されている。
その横には「LOUDNESS 1」(HIGH TREBLE)というコントロールつまみがあり、これは「1」の2か所のインプットに挿し込まれた音量を調節し、「LOUDNESS 2」(NORMAL)は「2」の2か所のイン
プットに挿し込まれた音量を調節する仕組みになっている。

インプット「1」は「HIGH TREBLE」という表示からも想像できるように、高域を強調させたトーンにセッティングされており、インプット「2」は「NORMAL」となっているが、実際にはスーパー・ウー
ハーのLFE音域のような超低域成分が出力される。
こちらが「NORMAL」と表示されているのは、1959の先祖でもあるフェンダーのアンプ、「Bassman」がベースアンプとして開発されていたことの名残りだ。
また、インプット「1」「2」共に上側がハイゲイン入力で下側がローゲイン入力となっており、パッチケーブルで「1」と「2」をリンク接続させることで2つのチャンネルのボリュームコントロールが
可能となり、低域と高域を自在にミックスさせることが可能となる。
一般的にはインプット「1」のハイゲイン側(上側)にギターからのシールドを接続し、インプット「1」のローゲイン(下側)とインプット「2」のハイゲイン側(上側)をリンクさせる方法が定番だが、アン
プ側を完全なクリーン状態にして、エフェクター側によって歪みをコントロールさせたい場合はインプット「1」のローゲイン側(下側)にギターからのシールドを接続し、インプット「1」のハイゲイン(
上側)とインプット「2」のローゲイン側(下側)をリンクさせた方が何かと扱いやすいようだ。



↑定番的なチャンネルリンクの様子。


さて、いよいよ実際に音出しを試みるが、その前に、僕はビンテージものの1959は使った事が無く、リイシュー版についても1998年あたりに当時のリイシューモデルをマーシャル純正のアッテネ
ーターであるPB100と共に少し試奏をした程度しかない。
この頃は1959に対する印象というよりも、PB100に対して随分と音質劣化が激しいアッテネーターだなぁという程度にしか思っていなかった。
勿論、電源は昇圧無しの100Vであった。

しかし、今回は自ら1959SLPを迎えるにあたり、準備は万全にしておいた。
電源については上にも書いたようにステップアップトランスを用意し、アッテネーターについてはメーカー製造の既製品ではなく、音質変化が殆ど無いと巷で評判の個人製作家によるハンドメイドの
ものを依頼して製作して頂いた。(アッテネーターに関するレビューについては→こちら)


↑個人製作家によるハンドメイドのパワーアッテネーター。
 音質劣化が殆ど感じられず、僕的には最強のアッテネーターだ。


スピーカーキャビネットは現行品の1960A LEAD。
使用ギターはGibson 1958 Les Paul Standard Reissue Hand Selected VOS(2014年製)と、FRT-5 & ハムバッカーPU付きのストラト系モデル。 

まず、アッテネーター無しの状態では「LOUDNESS 1」コントロールをボリューム「2」まで上げた状態で、すでにぶっ飛びそうな音量&音圧が感じられる。
いくら田舎の一戸建てだとは言っても、さすがにこれ以上は無理だ(苦笑)
これに対し、「LOUDNESS 2」コントロールの方はボリューム「5〜7」くらいまで上げても、ウーハーのLFE成分が大きくなるイメージで、大音響という感じではない。

しかし、この状態では1959の魅力のごく一部しか堪能する事ができていない。
そこで、次にはアッテネーターをヘッドとキャビネットの間にセットする。
ギターをインプット「1」のハイゲインへ挿し込み、上にも書いたチャンネルリンクをさせた状態で「LOUDNESS 1」コントロールを上げていくと、正しく伝説的ハードロックギタリスト達がプレイ
してきた演奏の、あのオールドマーシャル・トーンを身体全体で感じる事ができる。

歪みの量については想像していたものよりも多く、5〜6弦をリフすることで「ズン、ズン、ズン、、」と、野太くて心地良いディストーショントーンを醸し出してくれる。
DSL100で例えるならば、クラシック・ゲインchのクランチモードをフルテンにした時よりも更に歪み量は多く、ウルトラ・ゲインchの「LEAD1」モードをゲイン「4」程度にまで上げたのとほぼ同程度
の歪み量だ。
別の例え方をすると、AC/DCやLED ZEPPELINのような70年代ハードロック等を演じるには十分すぎる歪量が得られるものの、80年代以降のハードロックを演じるには歪が少々足りないと言っ
たところだろうか?
でもVAN HALENならば、一部のハイゲインの曲を除き、殆どの曲はブースターを使わずとも対応可能だ。
(但し、エフェクトループにディレイとリバーブ接続は必須)

ところで僕自身も以前から気になっていた、「プレキシのようなトーン・・・」と謳われていたDSL100のクラシック・ゲインchのトーンは、実物の1959SLPと比較してどうなのか?
早速2者を比較してみると、こと、出音だけに関しては概ね同じ方向性に仕上げられており、あらためてDSL100の完成度の高さが実感できる。
しかし、明らかに異なるのは、1音ごとのレンジの広さと腰の強さ。
これは全くの別もので、1959SLPを弾いた後にDSL100に切り替えてみると、音の線が細く薄く感じられてしまう。
また、1959SLPの方は、6本の弦をジャーーン!と掻き鳴らした時の1弦ごとの分離感も素晴らしく、全ての音が変にコンプレッションされずに、しっかりと1弦ごとの音像が立体的な形状を保ってい
るところはさすがだ。
特に、シンプルな回路構成によるタッチ・レスポンスの速さと追従性は、これまでに体感した事が無いほどで、ピッキングの強弱に対して見事なまでに繊細な反応を示してくれる。
これらの点ではDSL100とは明かなアンプとしての資質の差を感じた。
1959SLPの方がお店で出される本物のラーメンだとすると、DSL100のクラシック・ゲインchの方は、お店が監修して店のラーメンを再現した本格カップ麺と言ったところだろうか?

ギター直挿しでも十分に素晴らしい1959SLPであるが、オーバードライブ等のエフェクターによって軽くブーストを掛けてやる事で、この1959SLPはまた別の魅力を見せてくれる。
僕の場合はSOSSのコンパクトエフェクターであるスーパーオーバードライブ「技クラフト」SD-1Wをセットしてみたのだが、ドライブを時計読みで8〜9時の位置に、トーンを0〜1に絞り、レベルを時計読
みで9〜10時の位置にセットしてアンプ側の「LOUDNESS 1」コントロールをボリューム6〜8にセットすると、正しくヴァンヘイレンの初期の頃のミッド感溢れる「ブラウン・サウンド」が再現され、思わず
全身に鳥肌が立ってしまった。
ここか更にゲインを上げることにより、80年代以降の比較的ハイゲインなトーンにも対応可能なトーンとなり、1959SLPの持つ可能性の大きさは想像以上のものであることが深く理解できた。


↑1959SLPのブースターとして相性バッチリの「BOSS スーパーオーバードライブ「技クラフト」SD-1W 」


ちなみにエフェクトループにはBOSSのコンパクトエフェクターである「Fender Reverb FRV-1」をセット。
これにより、まるでJCM2000に組み込まれていたアキュトロニクス社製のスプリング・リバーブのような自然なリバーブ効果を得る事ができた。


↑スプリングリバーブの名機、'63 Fender Reverbを見事に再現している「BOSS Fender Reverb FRV-1」
 ツマミを上げていく事で、スプリングリバーブ独特のピチャピチャ音までもがリアルに再現される。


それにしても、このマーシャル ビンテージ・シリーズ 1959SLPの出来は想像以上のものであり、なぜ、もっと早くに手に入れていなかったのかと後悔してしまったほど。
多くの方々が絶賛する理由が深く理解する事ができた。
マーシャル1959SLP 恐るべし!
(記:2015年3月30日)






↑DSL100Hを乗せてみた。


【↓2015年11月3日追加情報↓】 <1960AXキャビネットを買い増しした>

先日、現在の1960Aに加えて1960AXキャビネットを買い増しした。
詳しいレビューは→こちら。



【↓2020年4月30日追加情報↓】
なんと!1959SLPが2020年3月末をもって生産完了となってしまった!(驚!)

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