デジタル一眼レフカメラ ニコンD3

Nikon D3




「写真撮影:とんかつサンド」(2011年2月13日 内容更新)


(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。)


【高感度画質や高速連写性能だけでなく、色の表現力も素晴らしい】
さて、今回取り上げるのはニコンのデジタル一眼レフカメラのフラッグシップモデル、D3である。
いつもの僕ならば、ここからD3の誕生に関するエピソードやらD3入手に至るエピソードをたらたらと書き綴っていくところだが、恐ら
くこのページを訪れた方は既にD3に関する情報については十分に把握していると思うので、今回は省略したい。
多分、D3の凄さは僕から説明されなくとも、この1〜2年の活躍ぶりから存分に理解していることだろう。

このカメラが発売されてから約2年、僕もD3の凄さについては十分に理解していると思っていた。
それらの情報源の殆どは、ネット上のレビューや数多くのサンプル写真によるものであるが、実際に自分のものとして使ってみると
その凄さは僕の理解を大幅に上回るものだった。

一般的にD3の優れているポイントとして高感度画質や高速連写性能などが取り上げられている。
これらの情報については僕も十分に理解していたし、皆さんも食傷ぎみだろうと思うので、あえてこの点に関しては触れるつもりは
ない。
しかし、それら以外のポイントおいて、実際に使っていく中で特に強く実感できたものがD3のRAWデータの加工耐性及び表現能力
の奥深さ、そしてダイナミックレンジの広さだった。(僕はCaptureNXを使用)
特にこれまでのニコン機の場合、暗い色の面積がある程度の割合を占める中で白いものに直射日光が照射されたシーンでは、そ
の暗い部分に露出が引っ張られてしまい、明るい部分が白とびしてしまう。そして更にハイライト部周辺にはオレンジ色っぽい滲み
が発生することがあった。
しかし、D3の場合は一見白とびしていると思われる部分にもしっかりと階調が残っており、その部位の照度を落としていくと、飛ん
でいた部分のディテールがごく自然な状態で浮かび上がるのだ。
これは、これまでのニコン機では考えられないレベルのダイナミックレンジを実現していることの証だろう。
また、色の調整に関しても実に幅広く多彩な表現力を秘めていることを実感した。

実はこれまで、デジタル一眼レフの色の表現力に関してはフジフィルムのS5proが他の機種に比べて一歩秀でていると信じて疑わ
なかった。
実際、僕がこれまでに使ってきたニコン機(D70、D200、D2H、D40)のRAWデータはちょっと弄るとすぐに色が破綻したり飽和してし
まう印象が強かった。
ところがD3のRAWデータは実に幅広い調整域を保有しており、また生データそのものにくせが無い為、少しの調整で狙い通りの色
が簡単に作り出せる。
(ちなみに僕がD3用にカスタムしたNX設定データはフジのS5proの色合いをイメージして作ったもので、下にあるサンプル画像もそ
れを使用して処理している。)

またJPEG撮影モードの画像についても、これまでのニコン機はJPEGにおける色合い設定が極端にあっさりしたものか、逆に極端
にこってりとしたものになっており、特にD40、D80以降のモデルに関してはその傾向が顕著になっている。
ある意味、彩度の高めな画像は一般的に受けが良いということもあるのだが、シチュエーションによってはそれが鼻につく場合も少
なくない。

そのため、自分にとって丁度良い色合いに仕上げるためにはRAWモードで撮影し、後からニコンキャプチャーやキャプチャーNX等に
よるデータ処理が必須というイメージが強かった。(特に空の青色、葉っぱの緑色、人の肌色、クルマなどの赤色の表現が弱かった
。)
しかし、D3のピクチャーコントロール(僕の場合は「風景」)を少々調整する程度でも十分満足できる色合いの設定にすることができ
た。
特にニコンのデジタル一眼レフカメラが、JPEGモードで人の肌色をこれほど自然に表現できるとは思っていなかった。

しかし一点だけ気になった事として、ホワイトバランスを「オート」に設定すると黄色っぽい色合いになってしまう事が多々あった。
そのため、僕はホワイトバランスを基本的に「晴天」に設定している。
まあ、いずれにしても僕はRAW&JPEGモードでの撮影がデフォなので、大した問題ではないのだが・・・・。


(以下のサンプル画像は全てのレンズにタムロンのSP AF 28-75mm F/2.8 MACRO (Model A09 II)を使用しています。
また、画像をクリックすると大きな画像が観られます。 尚、このレンズに関するレビューは→こちら

下記以外にもVR70-300mmレンズのレビューページに数枚のオリジナルサイズの画像を載せてあります。→VR70-300mmレンズのページへ


↑ちょっと手ブレしてます(苦笑)





















↑これはTAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO(MODEL 272E)を使用




【操作性など】
操作に関してはD2Hを使用していたこともあり、機械的な操作という点では説明書を見ずとも使いこなす事ができた。
というよりもニコンの場合はエントリーモデルからプロ機まで一貫してほぼ同じ位置に各種の操作ボタン類を配置されているので、強
引な言い方をすればD40をある程度使いこなせていれば、このD3もそれ程悩むことなく使えるのではないだろうか?
ただし、メニュー項目の奥深さと言う点ではD40やD200に比べて細分化しているので、それぞれの項目・機能の内容を把握するため
に取り扱い説明書を読む必要はあった。

それにしてもこのD3、写真を撮影するという部分においてはシャッターを切る度につくづくプロ機であることを実感させられる。
D2Hのシャッターフィーリングも素晴らしいものだったが、D3の場合はそれを1枚上回っている。
「カシャーーン!」という、堅く乾いた音が何とも心地良く、シャッターのレスポンスに関してもD2Hと同じレリーズタイムラグは0.037秒。
これはシャッターを半押し状態から心の中で「今だ!」と思った瞬間、指先の神経とレリーズセンサーが同調してシャッターが切れる感
触に近い。
ちなみにD300sのレリーズタイムラグは0.049秒となっており、数値的にはD3の0.037秒と大した差が無いように思えるが、実際にシャ
ッターを切ってみるとD300sは一呼吸遅れてからシャターが切れているくらいに感じられる。
それだけこの0.012秒の差は大きいのだ。
このシャッターを切る度に自分の脳内にエンドルフィンが分泌されるがごとく、何ともいえない快感に包まれてしまう。

このD3はD300(s)と同じ51点AFポイントを採用している。しかし、FXフォーマットでありながらDXフォーマットのD300(s)と同じ範囲にセン
サーが配置されているため、各センサーがファインダー中央に寄っている。この点を心配されている方もいるかと思うが、僕が実際使っ
てみた限り、それ程大きな不自由は感じていない。
というのも、D3に関する情報を得るためにこのページ訪れる程の方ならば、「黄金分割」や「三分割構図」について勿論ご存知だろうと
思う。
FXフォーマットであるD3のファインダーを覗き、構図を決めていく上で三分割の構図を意識していくと、自然と51点センサーの範囲内ギ
リギリのところにフォーカスポイントが収まり、そこから極端に外側へ外れる事が殆ど無い。
仮にセンサー範囲から外れていたとしても、最も外周寄りのセンサーから少しだけシフトさせてロックすればコサイン誤差の影響もそれ
程受けないだろう。
この点に関しては、メーカーサイトのD3の紹介ページ中「機能と特長2」のページにある、バレリーナが踊っているシーンと海鳥が飛ん
でいるシーンの画像が解り易い。

【最後に】
D3のメカ的なカメラ部分や高感度特性の凄さについては購入前から理解していたが、色合い調整の自由度や抜けの良い画質につい
ても想像以上のものであり、今の僕にとっては全く欠点が見つからない。
正直、想像以上に完成度の高いカメラであることに今更ながら驚かされてしまった(苦笑)

ちなみにこのD3の兄弟機種として、同じボディに2450万画素のセンサーを採用したD3Xがある。しかし、D3よりも高解像度で高額だから
という単純な理由でD3XがD3の上位モデルだと僕は思っていない。
これはF1マシン(D3X)とWRCマシン(D3)のどちらがクルマとして上位なのか?という比較に近いと思う。
絶対的な最高速度(解像度)はF1マシンの方が速い。しかしその速さを実現させるためにはしっかりと整備されたサーキット(三脚など)が
必要となる。
ところがWRCマシンはF1が走れないような荒れた路面を力強く走破できるし、上記のサーキットもF1より遅いとはいえ走ることができる。
(D3は暗い場面でも手持ち撮影を可能とし、三脚に据えての静物・風景撮影などにも対応するということの比喩)
そのサーキットでどれほどの最高速度が必要とされるかについては人によるだろうが、僕にとってはWRCマシンが出せる最高速度でも十
分であり、むしろF1よりも走行することができるフィールドの多いWRCの方が使いやすいし、殆どの人にとってもメリットが多いのではない
だろうか?
これらの理由から、仮にD3とD3Xが同じ価格設定であったとしても僕はD3をチョイスする。(両方とも買えれば文句無しなんだけどね。)
それくらい、僕にとってこのD3は痒いところに手が届きまくるカメラなのだ。

ニコンD3、このカメラのファインダーを覗きシャッターを切った瞬間、様々なデータやスペック表では知る事ができない圧倒的な魅力にあなた
は理性を失ってしまうことだろう。

とりあえず上記までをファーストインプレッションとして、今後使い続けていく中で気がついた点を随時書き足していこうと思う。
ちなみに本日以降、当サイトに貼られている画像は、基本的に全てD3による画像となります。
(記:2010年1月3日)


【↓2010年1月19日追加情報↓】(水準器機能はありがたい)
D3では、カメラの傾き具合を確認するための水準器機能を備えており、メニュー項目から水準器をオンにすることで背面液晶モニターに
水準器を表示させることができる。
これはカメラを三脚に固定して撮影を行う際には便利であるが、手持ち撮影の場合には少々使いにくい。
しかし、ファンクションボタンに水準器表示を割り当てることにより、ファインダーを覗いたままボタン一つでファインダー内に水準器を表示
させることが可能となる。
ところが、この機能が僕にとっては大変重要な意味を持つ機能なのであった。

というのも、僕はファインダー内に写っている被写体や背景の中に水平垂直の基準となるものが無い場合、なぜか写真が2度ほど右上が
りになる(撮影時のカメラは右下がり)という、妙な癖がある。
実際、ファインダー内の水準器を表示させたまま自分なりの水平にカメラを合わせてみると、ファンダー内の水準器は右側が下がっている
と警告する。
そこで、カメラの水準器に合わせて撮影した画像を後からパソコンで確認すると確かにバッチリと水平垂直が取れており、僕の脳内水準器
が狂っていることをまざまざと思い知らされる。
そのため、今は自分の感覚を矯正するためにも、ファインダー内の水準器表示は欠かせないものとなっている。


【↓2010年3月19日追加情報↓】(ISOオート機能が超便利!!)
D3にはISOオート(感度自動制御機能)があるのだが、高感度も躊躇することなく使えるD3にとって、この機能が今までの一眼レフの使い方
に大きな革命をもたらしたと言っても過言ではない。

例えば、皆さんはこのような経験はないだろうか?
光量が充分ではない撮影場所において、被写体ブレを防ぐ為にシャッター速度をある程度上げたいシーンがあったとする。
そこでシャッター優先モードにしてSSを(例えば)1/125にセットしたとする。
しかしこの場合は光量に合わせて絞り値が可変するので、仮にF2.8レンズならば最大でF2.8まで絞りが開くことになる。
ところが更に光量が必要になる場合はこれ以上絞りを開く事は出来ない為、通常ならば露出が不足して暗くなってしまうのが当たり前であ
った。

そこでISOオート機能をONにし、仮に制御上限感度をISO3200に設定することにより、シャッター速度と絞りによる露出設定では不足してい
る分だけ、感度を最低限に上げる事で露出不足を補ってくれるというわけである。

それならば初めから感度を上げておけば良い事では?と考える方もいると思うが、その場合は多目に感度を上げておく必要があり、画質に
無駄な悪影響を与えてしまうことになる。

つまり簡単に説明をすると、シャッター速度は稼ぎたいが、感度も無駄に上げたくないという場合にこの感度自動制御機能が有効ということ
なのだ。

しかし、この機能の凄いところはこれだけではない。
例えば上記と同じ暗めなシチュエーションにおいて、シャッター速度は1/125以下に落としたくは無いが、絞りも開放の画質はイマイチなの
で、開放よりも1段絞ったF4で固定したいという場合だ。
この場合は感度自動制御機能の設定メニュー内に「低速限界設定」という項目があり、ここで最低限確保したいシャッター速度(仮にここで
は1/125)を設定し、後は絞り優先モードで絞り値をF4に設定すれば良いというわけである。
ちなみにシャッター速度も完全に固定させたい場合は、露出モードをMモード(マニュアルモード)にして、シャッター速度と絞りを固定してし
まえばカメラ側が感度を増減して露出が制御される。
これらの機能を使用した撮影法は銀塩カメラ全盛時代には想像もつかなかったものであり、更に高感度も実用的になった近年のデジタルカ
メラならではの機能であると言えるだろう。


【↓2010年4月3日追加情報↓】(桜を撮影したよ)
ようやく桜が満開となったので、早速近所の公園に行って桜を撮影してみた。
全て14bitRAWで撮影し、CaptureNXにてJPEGに現像している。
(設定は僕がカスタムしたFUJIのS5proのF2モード風バッチファイルにて現像)
レンズは上2枚がタムロンの28-75mm f2.8(A09NII)を使用し、3枚目はタムロンの90mm F2.8マクロを使用。
また、DライティングはOFFにて撮影/現像している。

ここでもD3って凄いな〜と関心した事は、2枚目の画像は桜の花びらの透明感を表現するために逆光気味に撮影しているのだが、影になって
いる枝の部分が黒つぶれしていないこと。
従来のD2系、D200とかの場合は確実に黒くつぶれていたところだろうが、しっかりとシャドー部を表現していながら桜の花びらの透明感も自然
に表現されている。

また、3枚目の画像についても、今まではS5proでなければ表現できなかったような空気感がしっかりと表現されているな〜と、つくづく感じた。
ちなみに3枚目の画像と同じシチュエーションで撮影したS5proの画像はこちら。→S5pro画像
やはりD3は高速連写&高感度だけがウリではなく、表現力にもとても優れたカメラなのだと実感した。

(下の3枚の画像をクリックすると、オリジナルサイズ・ノートリミング版の画像が観られます。)









【↓2010年8月11日追加情報↓】(静岡ガンダムを撮影してきた)
一応は地元と言う事もあり、話題の静岡ガンダムを撮影してきた。
会場を訪れたのが8月4日(水)の平日ということもあり、来場者もそれ程多くはなく(ていうかガラガラ?)各ショップも待たされる事なく入店が
可能な状態。
会場へはクルマで行き、東静岡駅南側に面しているグランシップ駐車場(有料)がガラ空きだったので、そこに駐車した。
(料金は、グランシップ利用者が100円/h、利用者以外の一般は200円/hとなっている。)
ちなみに会場への入場は無料となっている。

(レンズは全てタムロンの28-75mm F/2.8 MACRO (Model A09 II)を使用しています。)












【↓2011年2月13日追加情報↓】
ニコンD3を入手してから1年と1ヶ月以上が過ぎた。
僕がこれまでに入手してきたデジタル一眼レフ(ニコンD70、D200、D2H、D40、フジフィルムFinepixS3pro、S5pro)らは、いずれも優れている
一面がある一方で、どこかに必ず "ここがもう少しこうなっていれば、、、。" というウィークポイントが存在していた。
しかし、このD3に関しては1年以上、様々なシーンで使用してきたが、全くと言って良いほど欠点が見つからない。
狙った瞬間を捕らえる能力、操作性、発色や色調整時の耐性、諧調性、高感度耐性、白とび耐性、解像度、堅牢性、信頼性、デザイン、所
有することの満足感等々、、、。
とにかく僕にとってはデジタルスチルカメラとして完璧であり、既に完成の域に達していると感じている。
今年の秋頃にはD4が発表されると思われるが、おそらく解像度アップと動画機能の強化が主な変更点になるのではないだろうか?
しかし、僕としてはこのクラスのデジタル一眼レフカメラに動画機能は求めていないし、解像度も今の1200万画素で大きな不満は無い。
ということで、現時点ではこのD3を退役させるに相応しいカメラは当分現れないのではないだろうか?


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