初心者のためのエスプレッソマシン選び(2020年版)

〜あなたにってのベストバイとは?〜





【あなたのコーヒーライフにベストマッチなエスプレッソマシンとは?】  (2020年4月5日 内容更新)
エスプレッソやカプチーノ、キャラメルマキアートなどを自宅で作って飲んでみたい。
そのためにエスプレッソマシンを買いたいけれど、一体どれを買ったら良いのか見当もつかない、、、。
そんな悩みを抱えている方のために、このページでは皆さんのスタイルに最適なエスプレッソマシンを選ぶために必要なポイントについて説明していこう。

まずは初心者にも安心して使えるものとして、一般的に普及している電気式の家庭用エスプレッソマシンを大きく分類すると概ね下記の4種類の方式に分ける事ができる。


●パウダー式(セミオート)
フィルターに自らコーヒーパウダーを詰めて抽出をする、最も典型的なエスプレッソマシン。
コーヒー粉の粒の大きさ(メッシュと呼ぶ)や、粉をフィルターに詰める量(ドーシング)や、押し込む強さ(タンピングと呼ぶ)が適切でないと上手に抽出が出来なかったり、
作業に不慣れなうちは抽出前後の段取りや片付けに手間取る事があったりと、少々ハードルが高い部分もある。
しかし、他の方式に比べて使用できるコーヒー豆の種類に制限も無く、自分なりに色々と工夫をすることにより味に変化を与える事ができる、最も多くの可能性を秘めた方式である。
殆どの機種がスチームノズルを装備しており、ミルクをスチーミングすることでカフェラテやカプチーノ、キャラメルマキアートなどもこれ1台で作る事が出来る。
ちなみに世界中で活躍するバリスタ達が使用しているマシンも、基本的にはこれと同じ方式になる。

De'Longhiエスプレッソメーカー アイコナ ECO310B

デロンギ(DeLonghi) エスプレッソ・カプチーノメーカー ブラック×シルバー 1L EC680M

(前モデルの僕のレビューはこちら
クイック・ミル アンドレア・プレミアム・EVO (パウダー専用、スチームノズル付き/スチーミングと抽出の同時作業可能、HX方式)
(価格の目安:1,795ドル(米国より個人輸入時の本体価格))



アレックス・デュエット3(パウダー専用、スチームノズル付き/スチーミングと抽出の同時作業可能、ダブルポイラー方式)
(価格の目安:2,395ドル(米国より個人輸入時の本体価格))


(僕のレビューはこちら
ラ・マルゾッコ GS/3(パウダー専用、スチームノズル付き/スチーミングと抽出の同時作業可能、ダブルボイラー方式)
(価格の目安:198万円(国内)/7,100ドル(米国より個人輸入時の本体価格))


●カフェポッド式
直径44mmの丸い座布団型の紙パックに、コーヒーパウダーが封入されたカフェポッドと呼ばれているものをマシンにセットして抽出をするタイプ。
パウダー式の粉詰めとタンピングに関する手間を省く事ができ、誰にでも容易にエスプレッソを抽出する事ができる。
パウダーが袋に包まれているので、マシン本体やマシン周辺をコーヒー粉で汚すこともなく後片付けもラクだ。
しかし、クレマの量、香り、味などにおいて、新鮮な豆から挽いて抽出されたエスプレッソには、やはり及ばない。

一部のポッド専用マシンを除き、多くは上記のパウダー式に専用のホルダーを使用することでカフェポッドにも対応できるようになっている。
カフェポッドも多くの会社から発売されている為、味のバリエーションも結構多い。
カフェポッドの価格は1杯あたり50円〜100円が主流である。

(僕のレビューはこちら
デバイスタイル Brunopasso PD-1(カフェポッド専用、スチームノズル付き/スチーミングと抽出の同時作業可能)
(価格の目安:←メーカー生産終了)


●カプセル式
ネスレから販売されている「ドルチェグスト」や「ネスプレッソ」がこれにあたる。
専用のカプセルをマシンにセットして、レバーやスイッチを操作するだけでエスプレッソやカプチーノが出来上がる。
最も手軽で誰にでも簡単に安定した味を出す事ができるのだが、反面、ドルチェグストにはスチームノズルが無いので、メニューにアレンジを加えるという点では限界がある。
(2016年版新情報:ネスプレッソには、自動でスチームミルクを作ってくれるモデルが追加された。)
また、専用カプセルがネスレ1社からしか販売されておらず、ドルチェグストとネスプレッソの間に互換性もないので、豆のバリエーションとしてはやや少なめ。
抽出されるエスプレッソの質は上記のカフェポッドと同じくらいのレベル。

専用カプセルは、ドルチェグスト専用カプセルがミルクを使用しないタイプで1杯50円、カプチーノなどミルクカプセルを使用するタイプで1杯100円程度。
ネスプレッソ専用カプセルは1杯約80円〜となっており、ドルチェグストのようなミルクカプセルは用意されていない。

各方式の中で最もランニングコストが高いこともあり、たまにしか飲まない人や、とにかくお手軽に、あるいは面倒な事は大嫌いと言う人向けといえるだろうか。

Nestle(ネスレ) ネスカフェ ドルチェ グスト ジェニオ アイ ホワイト MD9747S

(僕のレビューはこちら

ネスカフェ ドルチェ グスト “ミニ ミー” MD9770(ドルチェグスト専用:スチームノズル無し/ミルク泡立て機能無し→ミルクカプセルのみ)


●全自動式
マシンにコーヒー豆と水をセットしておくことで、ボタン一つで豆を挽き、粉詰め、抽出、豆カスの排出を全て自動で作業してくれる。
また、エスプレッソ抽出は全自動であるのに対し泡立てミルクは手動で作るものと、全自動で作ってくれる機種がある。
豆から挽いて抽出をするタイプの全自動機の場合、新鮮な豆を使用して設定もバッチリと決まれば、パウダー式を手動で抽出したものに肉薄するレベルのエスプレッソを抽出する事も可能。

デロンギ マグニフィカ スタート 全自動コーヒーマシン ECAM22020B




さて、上記の各方式の中から自分に合っているのはどの方式にあたるのだろうか?

面倒なことは苦手な方や、時間の無い時にさっと飲みたいといった方の場合、パウダー式はまず無理だろう。
そういった用途がメインの方は、カフェポッド、カプセル式、全自動がお勧めとなるが、カフェポッドとカプセルの場合は1杯あたりの豆代を他の方式よりも抑えることができないため、ランニングコストは高めになってしまう。
しかし、パウダー式のマシンでもカフェポッドが使えるものも多いので、両方式兼用タイプのマシンならば忙しい時にポッドを使い、
時間をかけてじっくり作りたい場合にはパウダー(豆)を使うという手もある。


とにかく面倒な技術や手間を省き、更に安いマシンが欲しいのならドルチェグストになるだろうか?
牛乳も使わずにカプセルだけでカプチーノが完成してしまうのはこのドルチェグストだけ。
また専用のカプセルは通販やスーパー、全国のコンビニで買うこともできる。

上にも書いたが、同じネスレから販売されているもう一種のカプセル式であるネスプレッソとドルチェグストとはカプセルに互換性が無いので注意が必要。


次に、面倒な事は避けたいが、挽きたてのエスプレッソが飲みたいとか、自分で好きな豆を自由に使ってみたいと言う方は、豆から挽いてエスプレッソを抽出するタイプの全自動式がお勧めだ。

但し、全自動とはいってもカプチーノを作る際に欠かせないスチームミルクはマシンに備え付けのスチームノズルを使用して自分で作るのが一般的。
(スチームノズルによってミルクを泡立てたり温めたりすることをミルクスチーミングという)

このスチームミルクも全て自動で作ってくれる機種もあるのだが、ここで一つ注意しなくてはいけないポイントがある。
それは、スチームノズルによって作られたスチームミルクと、マシンによって自動で作られたスチームミルクは別物であり、スチーム
ノズルによって手作業でミルクスチーミングされたものにはかなわないということ。
ミルクスチーミングとは、ミルクに泡を含ませて温度を上げる事だけが目的ではなく、ミルクを激しく撹拌させることにより、ミルクの持つ甘みを増加させる効果もある。
しかし、自動的に作り出されたスチームミルクの場合は撹拌がされていないため、この甘みが作り出されない。
また、ミルクの温度を自分で加減する事もできないので、お好みで熱々にすることもできない。
以上の点をよく考えた上で、どちらにするかを選択すると良いだろう。
ちなみにマシンの価格は安くても5万円〜となるので、1万円くらいから買うことが出来る他の方式よりも初期投資はかなり高額になる。


とにかく本格的に淹れてみたい、プロのバリスタのように自分で粉を詰めて作ってみたいと言う方はオーソドックスなパウダー式だろう。
安定的に美味しいエスプレッソを作れるようになるには少々のコツとセンスが必要とされるが、それだけに美味しく作る事が出来るようになった時の感動も大きい。

ただし上にも書いたように、殆どの機種がカフェポッドに対応しているので、ラクをしたい時にはカフェポッドを使うことも可能だ。
また、エスプレッソ作りに慣れて、更に上を目指したいということで10万円〜30万円超クラスの本格的なパウダー式のエスプレッソマシ
ンを導入したいとなった場合でも、基本的な操作方法やコツは共通なため、スムーズに移行する事ができるだろう。

ちなみに、上の方で紹介しているパウダー式のマシンのうち、デロンギのECO310、EC221、EC152Jの3種については外装デザインが異なるだけであり
内部のポンプやボイラーと言った主要部品は共通となっている。

また、デロンギから発売されているEC860Mについては、まるで全自動式マシンと手動(パウダー式)を足して2で割ったような特徴を持っている。
コーヒー粉はパウダー式のように自らポルタフィルターに詰め込むが、抽出量についてはプログラミングによって一定量で自動的に停止させることも可能。
また、泡立てミルクについても、スチームノズルを使って自ら作る事もできるし、自動泡立て機能付きの全自動マシンと同様に自動
で作る事もできる、正に至れり尽くせりのマシン。(但し、抽出しながら同時にスチーミングはできない)

このパウダー式の場合は、お店で挽いた粉を使うよりも豆のまま購入して抽出時に挽くようにした方が良い。
というのも、パウダータイプの手動式の場合、エスプレッソの出来上がりの良し悪しは粉の挽き方(粉の大きさ)に大きく左右されるからだ。
店で挽いてもらった粉の大きさが自分のマシンに合っていなかった場合、買った粉全てが無駄になる可能性も高い。
そのため、袋の豆を全て挽いてしまわずに、少量を挽いては抽出を試し、また少量を挽いては抽出するといった行動を繰り返して自分のマシンに合った挽き方を煮詰めていった方が良い。
また、単にコンディションを煮詰めるためだけではなく、鮮度の維持や香り、味に関しても抽出直前に挽くようにした方が断然有利なのだ。
そのために、コーヒーグラインダーは是非とも用意した方が良いだろう。

また、ラテアートにもチャレンジしてみたいという方の場合は、エスプレッソマシンにスチームノズルが備わっていることが必須となるので、機種を選択する上でのポイントとして押さえておくと良いだろう。
このスチームノズルに関しても、上記に紹介したスチームノズル付きモデルは全て初心者にも簡単に(むしろ強制的に)カプチーノ用のふわふわミルクを作る事ができる構造(パナレロ)になっている。
しかし、ラテアートのためにはスチーミングの加減によって泡の量をコントロールし、ふわふわミルクよりもサラサラミルクに仕上げた方が描きやすい。
このような場合には、パナレロ(空気を取り込むための外筒)を外してノズルを剥き出しにすることで微妙なスチーミングが可能となる
のだが、上記に紹介したモデルの一部はパナレロが外せない構造になっている(デロンギのEC152JやEC200Nなど)ので、この点も選択ポイントのひとつとして考えても良いだろう。
(注:上記2機種が全くスチームコントロールできないという訳ではなく、パナレロを外せる機種よりも多少のコツが必要とされる。)

スチーム機能に関しても、一部の高級なモデルにはボイラーを2台搭載した「ダブルボイラー」を採用しているものもある。
通常、1台のボイラーでは、エスプレッソを抽出した後にスチームを使うために、スチームに適した温度に加熱する必要がある。
そのために1分〜3分程度の加熱時間を要してしまったり、逆にスチームを使用してから抽出を行う為にはボイラーの圧力を逃がしてやる必要がある。

ところがダブルボイラーの場合は、抽出用とスチーム用にボイラーが独立しているので、お互いの状態とは無関係に抽出とスチーミングを連続して(あるいは同時に)作業する事ができる。
家庭内で一度に2杯分しか作らないという程度ならば特に支障の無い部分だが、同時に3〜4杯以上のカプチーノやカフェラテを作ることが多いという方の場合には必須な機能だ。

(シングルボイラー機の中にも、セミコマーシャルクラスの高級機にはHX機能によってスチームと抽出を同時に行えるものもある。
上の手動式の中にある、クイック・ミルのアンドレア・プレミアムもその一つである。)


【最後に】
さて、ご自分が買うべきエスプレッソマシンが見えてきただろうか?
むしろ妙な入知恵によって、かえって混乱してしまったかもしれない(苦笑)
今回、このページに書かれた内容が初めてエスプレッソマシンを買おうと考えていたあなたにとって、少しでも参考になれば幸いである。
(記:2010年3月22日〜2020年4月5日更新 )


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