AVメインユニット/パイオニア カロッツェリア FH-770DVD

Pioneer carrozzeria FH-770DVD





(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。
   また、本ページに書かれている作業を真似して行う場合はあくまでも自己責任でお願い致します。
   万が一、これらの作業によって何らかの事故や損害が引き起こされたとしても当方は一切関知致しません。)

<Photo :とんかつサンド>      (2012年10月14日更新) 


【ホンダ ライフの純正デッキの音に我慢できず・・・】
ホンダ・ライフ・パステル(型式:JC1)には、純正のバックカメラ付きCDチューナーデッキが標準装備されている。
ところが、この純正デッキの音がとてもチープな音で、とりあえず曲が鳴っているのが聴こえるだけというレベルのもの。
納車から2年間ほどは何とか我慢をしてきたが、自宅に設置されている変態的な(?)ヘッドホンオーディオ環境による音質とのギャップも気にな
り、先日、まずはスピーカーだけを純正品からケンウッドのKFC-RS170に交換をした。(詳細は→こちら
これにより、音のレンジも広くなり、いくらかは改善されたのだが、音の出力元であるCDデッキの性能が酷いために満足のいく音質とは程遠い
ものであった。
ということで、いよいよCDデッキの交換を決心した。

では、一体どの製品をチョイスするのが今の僕にとってベストチョイスとなるのか?
僕にとって最低限必要な条件は下記の通り。

・音質が良いこと
・CD再生と、USBメモリあるいはiPodによる音楽ライブラリの再生に対応していること
・液晶モニターを装備し、バックカメラ入力と外部からの映像・音声入力に対応していること
・後々のために、外部アンプの増設などのシステムアップに対応していること
・ナビ機能については既存のGORILLA NV-SD650FTに全く不満は無いので不要

以上の条件となる。

ライフパステルにはバックカメラが標準装備されているのだが、CDデッキ交換によってこれが使えなくなるのは勿体無い。
そのためにはCDデッキ側がバックカメラに対応していることが必須条件となる。

また、既設のSSDナビ(GORILLA NV-SD650FT)はフルセグTVチューナーを装備しており、外部モニターを接続させることで、ナビ本体のモニタ
ーにはナビゲーションマップを表示させたまま、外部出力に接続したモニターには地デジ放送(映像&音声)を表示させる事が可能だ。
そこで、外部AV入力に対応しているCDデッキを選択することで、ナビマップと地デジ番組の両方を個々に同時に表示させることが可能となるの
だ。
この機能は家族を乗せて知らない場所へ移動する際にとても重宝するもので、運転者はナビ(だけ!)をチラ見しながら運転に集中し、同乗者は
テレビ番組(あるいはDVDなど)を観ることが可能となる。

USBメモリ&iPod入力については、最近の機種では殆どが対応しているので特に問題は無い。

という条件で絞り込んでいくと、ほぼパイオニア・カロッツェリアのFH-770DVDの一択に絞られる。
(同社のSPH-DA09については、僕にとって不要なスマホリンク機能が付加されることにより、実売価格が2倍近くに跳ね上がってしまうため、選
択肢から除外した。)
大手カー用品ショップの某トバックスには、自社で独自展開しているケンウッドのDDX516という製品があり、上記のFH-770DVDとほぼ同じような
機能を備えているのだが、取り扱いが同ショップのみとなり、価格もFH-770DVDのネット価格よりも1万円以上高いため、僕はパイオニアのFH-
770DVDをネット通販によって購入する事にした。(ネット通販価格:23,000円程度)


↑FH-770DVD本体と付属品


【ライフ・パステル(JC1)に取り付けるために必要なものとは?】
FH-770DVDをライフ・パステル(JC1)に組み付ける為には、最低でも二つの製品が別途に必要になる。

一つ目は、デッキ本体を車体に組み付けるために必要なパーツ類を集めた「取り付けキット」というもの。
これは、車体側からの配線類がメーカー独自規格のカプラーになっているのに対し、デッキ側の配線は汎用的な規格のものになっているためそ
れらの配線を変換して接続させるのに必要なアダプターと、アンテナ端子も独自形状から変換させるためのアダプターが必要になる。
また、インテリアパネルとデッキとの隙間を埋めるための外枠と、それを固定させるためのブラケットプレートなどがセットされている。
ちなみに、パイオニアが公式に推奨している製品としては、ジャストフィット(JFC)というブランドのKJ-H40DEとなり、互換製品の場合は日東工業
(NKK)というブランドのNKK-H76Dが適用する。
(後者についてはメーカーにて適用確認が取れていないが、JFCのKJ-H40DEの互換品である)
これらの価格については、カー用品店で6,400円程度、ネット通販では4,500円程度で販売されている。

二つ目に必要なものが「リアカメラ接続アダプター」というもの。
これは、純正装備のリアカメラもやはり接続カプラーが独自形状になっているため、接続に必要な変換ハーネスと、12V電源を6V電源に変換して
カメラに供給させるための電源部が一体になったアダプターだ。
こちらはデータシステムという会社からRCA005Hという品番で販売されており、価格はカー用品店で6,000円弱、ネット通販では4,000円〜で販売
されている。

また、これはFH-770DVDをライフ・パステル(JC1)に組み付ける為に必要な部品という訳ではないのだが、JC1の純正CDデッキを車体から取り外
す際に「有った方が良い?」と思われる「工具」がある。
純正デッキは計5箇所をプラスねじによって固定されている。
その内の4箇所については比較的手前側の浅い位置にあるのだが、デッキ下側センターにあるネジだけはデッキの前面から15センチほど奥に入った
位置にあり、結構固く締まっているため、プラスドライバーでは力が入らずネジを舐めてしまう。
そこで6角ボックスレンチを使う事になるのだが、ネジのある深さまでボックスが届く長さの延長ロッドが必要になる。



↑ホンダ ライフ(JC1)用の取り付けキット、ジャストフィット製「KJ-H40DE」



↑ホンダ ライフ(JC1)用のリアカメラ接続アダプター、データシステム製「RCA005H」



↑赤い矢印のネジが奥深い位置にあり、固く締まっているため、プラスドライバーでは  プラス溝をなめてしまう可能性が高い。


【基本的な取付作業そのものは簡単】
リアカメラも使用しないような一般的な車体への取り付けに関しては、特に難しい点は無い。
FH-770DVDに付属している配線カプラー側の配線と、取付キットの配線の色を合わせて接続し、デッキ本体と車体側からのカプラーに接続させる。
そしてFMアンテナ変換ハーネスも同様に接続する。
アースは適当な車体鉄板に接続させ、パーキング信号線をパーキングブレーキのスイッチ線に接続させるか、走行中でも映像関係を同乗者が見
られるようにしたい場合はボディにアースさせれば良い(←こちらの方法は自己責任で!)
以上の作業でFH-770DVDそのものは使えるようになるはずだ。

しかし、僕の場合はリアカメラを接続させる必要があり、リアカメラを作動させるために、シフトレバーがバック(R)に入ったことを検知させるための
信号線(バックライト電源)に、FH-770DVDから伸びている専用線を接続させる必要がある。
この点について、FH-770DVDの取説には、テールランプ付近のバックライトの配線に接続させると書いているのだが、JC1ライフの場合は運転席
の足元右側に設置されているヒューズボックスから取る事ができる。
あとはリアカメラ接続アダプター(RCA005H)のカプラーと車体側のカメラ用カプラー、ACC線、アース線をそれぞれ配線し、RCA005Hから伸びている
ビデオ端子(RCAピンプラグ)をFH-770DVD背面のリアカメラ入力端子に接続させればOKだ。

上記作業の他、僕の環境だけに関係する独自な配線作業として、上にも書いたようにナビのAV出力(映像・音声)もデッキ背面のAV入力端子に
接続した。
また、ライフパステルのリアカメラ付きCDデッキ仕様の場合、スピーカーが設置されているのはフロントドア側のみとなり、リアドア側には、スピー
カーを設置する穴とパネルはあるが、スピーカー用の配線は通されていない。
そのため、僕は適当なスピーカーケーブルを自分で配線し、とりあえず元々フロントドアに設置されていた純正スピーカー(先日、ケンウッドのKF
C-RS170に交換した際に余ったもの)をリアに設置し、4スピーカー構成にした。

以上で、全ての配線&接続作業は完了となる。
ここでFH-770DVD本体を車体に固定させる前に、この状態で音出しチェックと各種機能が正常に作動するかをチェックする。
バックカメラも正常に動作することを確認し、ナビの地デジ番組がFH-770DVD側で表示されることも確認してオールOK。

【デッキ本体の位置がおかしい?】
最後に、デッキ本体を車体に固定させる作業だが、ここで一つの問題が発生した。
取付キットに付属している取付プレートをFH-770DVD本体側面のネジ穴に合わせ、純正のマウントブラケットもネジ穴に合うようにに組み付けた
場合、そのまま車体に固定すると、インテリアフロントパネルの開口枠縁よりも15mm程度奥側にずれた位置で本体がセットされてしまうのだ。
これは明らかに不自然な状態であるのだが、キットの取付プレートの穴が合うのはこの一ヶ所しかない。
しかし、取付プレートには穴が開けられていない部分の下のデッキ側面には、いくつかプレートに隠れてしまう穴が開いており、本来、取り付けに
使用する穴の15mmほど後ろ側にも穴が開いていた。
ところが、その位置まで取付プレートを後退させることはできない為、とりあえず取付プレートを使用せずに、純正のマウントブラケットに直接デッキ
本体を組み付けて車体にセットしてみたところ、なんと、これでインテリアパネルの開口枠縁と面一にセットされたではないか(驚!)
しかし、このままでは取付キットに付属している外枠パネルが組み付けられないのでは?と思いきや、取付プレートが無くともしっかりと良い感じ
にデッキ外周とインテリアパネル開口部との隙間に収まり、ガタつきも一切無い。
(インテリアパネル開口部の内側に貼られているウレタンクッションと、外枠パネルの外周に貼られたクッションがお互いに挟み合って固定された。)
なんじゃ?こりゃ!と思った瞬間であった(苦笑)

以上で、全ての取り付け作業は完了した。


↑説明書どおりにセットした状態。
 取り付けキットのパネルと内装パネルの間に大きな段差が出来ている。



↑説明書のネジ穴位置よりも15mmほど後ろに開いている穴にブラケットを固定させた状態。
 パネルどうしが面一になっている。





【純正オーディオシステムの音は一体何だったのか?】
さっそく、音質をチェックするために様々な音源を再生してみるが、純正デッキの音とは正に雲泥の差。
FH-770DVDのオーディオメニューにある、グラフィックイコライザーやラウドネス、バス・ブースト機能を全てオフにした状態でも音の厚みとレンジの
広さが実感できた。(あえて、デッキ取り付け以前と同じ環境である、フロント2スピーカー(ケンウッドのKFC-RS170)だけの構成による比較。)

特にiPhone(iPod)をUSB-Dockケーブルによって本機に接続させて再生させた時の音質が素晴らしい。
僕の場合、これまではライン出力か、あるいはナビからのヘッドフォン出力によるアナログ接続であったのに対し、本機ではデジタル転送&独自技術
による再生方式により、実に生々しい音を出力させている。

ちなみにスピーカーが2つから4つに増えたことにより、確かに音場そのものは大幅に拡大されたのだが、やはり、リアには純正スピーカーを使用し
ていることで、ケンウッドのKFC-RS170がセットされているフロント側との音質に大きなギャップが発生してしまい、明らかにリア側の音が足を引っ張
るかたちとなっている。
そのため、FH-770DVDを取り付けた翌日に早々とリア用のスピーカー(今回はパイオニアTS-F1720)を発注してリア側ドアに取り付けたのだが、明ら
かに音が激変し、室内全体が上質な音場に包まれ、低域から高域まで重厚でみずみずしい音が溢れる空間と化した。

これは、ライフパステルの場合は音の指向性が足元に集中してしまうフロント側のスピーカーに比べ、リア側スピーカーの方が位置的にドライバーの
耳に音が届きやすいことからスピーカー交換の効果が著しく感じられたのだろう。
(TS-F1720のレビューは→こちら
純正スピーカーの質にもよると思うが、少なくともホンダのライフやフィットの場合は絶対にスピーカー交換も視野に入れて検討すべきだろう。

本機を取付ける以前は必要に応じて外部アンプを増設することも検討しようと考えていたが、これほどの音質であれば(現時点では)特に必要は無
さそうだ。


【機能はとても豊富で至れり尽くせり】
個人的に嬉しかった機能として、各ソースごとの音量レベル調整ができること。
これまで、ナビ側からの地デジ番組やSDカードに記録された音楽再生の出力を純正デッキのAUX入力から音出ししていたのだが、デッキ側で再
生するCDの音量、地デジ放送、SDカード音楽再生の全ての音量がバラバラで、いつもそれぞれにボリューム調整が必要とされた。
しかし、本機では個々のソース音量を合わせる(あるいは差を減少させる)事が出来るようになった。

操作スイッチなどのイルミネーションカラーについても自由自在に色設定を行う事が出来る。(僕の場合はオレンジに設定)
プリセットされた色の他、虹色のようなカラーバーの中から任意の色を指定したり、固定色ではなく、パチンコ屋さんのイルミネーションのように色が
変化し続けるように設定することも可能だ。

画像調整についてもかなり豊富な調整メニューがあり、家庭用の据え置き型テレビにも負けない調整項目が用意されており、リアカメラを含め、個
々の入力ソースごとの画像調整が可能となっている。
また、ライトのオン・オフによってモニター明度が変化する点も嬉しいポイントだ。

リアカメラについては純正CDデッキの時と同様に、シフトレバーをバックに入れた瞬間に後部の映像が表示される。
しかし、モニター上部には「CAUTION:車両周辺を確認してください。」という警告が表示されるようだ。
逆に、純正デッキによる後部表示にはあった車幅(?)ラインと、後方距離ライン(?)は表示されない。
また、メニュー操作により、ギアの位置とは関係なく意図的にリアカメラの映像を表示させること可能だ。


iPhone(iPod)再生時のレジューム機能も完璧で、FH-770DVDに接続したままエンジンを切り、そのまま再度エンジンを始動(再生開始)した場合は
当然ながらエンジンを停止したところから再生を再開する。
次に、エンジンを切って(or エンジンをかけたままでも)再生を停止させた後、一度iPhone(iPod)をケーブルから取り外し、再度接続させて再生を開始
させた場合も途中停止したところから再生を始める。
そして最後に、取り外したiPhone(iPod)にイヤホンを挿してiPhone(iPod)単体で再生をスタートさせると、取り外したポイントの続きから曲が始まり、ま
たFH-770DVDに接続させるとiPhone(iPod)単体で聴いていた続きから再生がスタートする。


【液晶モニターについて】
このFH-770DVDには、5.8インチワイドモニターが装備されている。
解像度としては、本来4:3の画面に使われるQVGA(320×240)を無理やり16:9のワイドモニターとして採用しているため、フルセグやDVDなどの映
像を表示させると若干ジャギーが目立つ。
しかし、これは画面に顔を近づけて(40〜50cmくらい)判るレベルであり、通常の鑑賞条件である助手席や後部席からの鑑賞では気にならない。
ところが、もう一点気になる現象がある。
それがTN方式の液晶モニター(特に安価なタイプ)に多く見られる色反転現象で、画面を正面からやや下方向から見た場合に画面の色がネガフィ
ルムのように反転してしまう現象だ。
僕のクルマ(ホンダ・ライフ:JC1)の場合、デッキ本体が垂直から若干上向きの角度にセットされる。
そのため、助手席や後部席からは、やや下方向から画面を見るかたちとなるので、モニター映像の色が若干反転気味になってしまうのだ。
また、正面から見た場合でも少々の色むらがあり、決してキレイな方ではない。
この点だけが唯一残念だ。

とはいえ、実売価格で23,000円程度でこれだけの機能満載のデッキが買えてしまうのは驚きであり、少し前なら軽く5万円以上はしても不思議で
はない製品だと思う。
僕のように2DINスペースにナビを埋め込む必要が無く、純正のオーディオに不満を感じている方にはお勧めの製品だ。
まずはファーストインプレッションとして、また気がついた点があれば追記していきたい。
(記:2012年9月9日)



↑リアカメラの映像。



↑iPhoneを繋ぐと、アルバムの諸情報とジャケットが表示された。
 選曲操作は切り替えによってデッキ側とiPhone側とで操作可能。
 USB-DOCKケーブルはパイオニア専用品でなくても使用可能。





【↓2012年9月23日追加情報】(結局、外部アンプも追加した。)
ファーストインプレッションでは、外部アンプ増設の必要性は感じていなかったが、結局外部アンプも追加した。
詳細は→こちら。



【↓2012年10月14日追加情報】(フロントスピーカーをケンウッドのKFC-RS170からパイオニアのTS-V171Aに換装した。)
外部アンプにPRS-A900を追加したので、それに見合うグレードのスピーカーとして、パイオニアのカスタムフィットシリーズでは最上級モデルとなるTS
-V171Aに換装した。
詳細は→こちら。


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