クリエイティブ サウンドブラスター

CREATIVE Sound Blaster X-Fi Titanium HD SB-XFT-HD





(注:下記のレビューはあくまでも私が個人的に感じたものであり、その感じ方には個人差があることをご理解願います。)

<Photo :とんかつサンド>  (2011年6月11日 内容更新)



【サウンドカード、、、?  オンボードでも十分じゃないの?】
僕が自宅のメインPCに向かって様々な作業をしている時、その殆どにおいて音楽を聴きながら作業をしている。
その場合、マザーボードのヘッドフォンジャックに接続されたロジクールの2.1chアクティブスピーカー、Z4から音を出す事もあれば、Z4のワイヤ
ードリモコンにあるヘッドフォン端子にオーディオテクニカのEW9を繋げて聴いたりしている。
(ていうか、EW9を使用する場合が殆ど)
もしくはiPodに自作のポータブルヘッドフォンアンプを介してEW9を使って聴いたりもしている。
そんな僕が今まで全く興味を示さなかったのがサウンドカードだ。

ちなみに、、、
・自作ポータブルヘッドフォンアンプのレビューは→こちら
・オーディオテクニカ EW9のレビューは→こちら
・オーディオ関係のトップページは→こちら

なぜ、今までサウンドカードに興味を示していなかったのかというと、GIGABYTEのマザーボード(GA-P55-UD3)のオンボードサウンドに対して
それほど大きな不満を感じていなかったという事と、自作ヘッドフォンアンプでも十分な音質を得ることが出来ていたからだ。
(いずれもイヤホンにはEW9を使用しています。 このイヤホンって、下手なオーバーヘッド式も顔負けの良い音がするので、、、。)

ところがある日、同じ職場にいる自作PCユーザーの方から、僕がサウンドカードに手を出さないのが不思議だと言われたのだ。
それから僕もふと気になり、今現在のサウンドカードに関する状況について調べてみることにしたのだ。
で、その二日後にはサウンドカードを小脇に抱えてPCショップから出てきたという訳だ(苦笑)
(勿論、その二日間は自分に合ったサウンドカードについてじっくりとリサーチしまくったことは言うまでも無い、、、。)


【組みつけの際はフロントパネルオーディオ端子も忘れずに!】
で、今回僕がチョイスしたサウンドカードがこのCREATIVE Sound Blaster X-Fi Titanium HD SB-XFT-HD。
早速箱を開けてみると、カード本体の他にオプティカルケーブルが2本、RCAピンプラグ-3.5mmミニプラグケーブルが1本とセットアップCD、取扱説
明書が付属している。
取扱説明書はかなりのエスパーレベルで、本書の組み付け説明にはフロントパネルオーディオの接続に関する記述が無い。
自作PCの組み立てを行ったことのある方ならば直感的に気が付くレベルではあるが、初心者の場合はフロントパネルオーディオの接続には気が
付かないかもしれない(苦笑)

ちなみに、このTitanium HDはWindows VistaとWindows 7だけに対応しており、Windows XPには非対応なので注意してほしい。


↑化粧箱からしてオーディオ製品っぽい雰囲気が漂っている(?)



↑同梱品の一式。
 光ケーブル(ミニプラグ-角型)が2本と、RCA⇔3.5mmステレオミニプラグケーブル1本が付属している。





【使われている電子パーツ郡はかなり豪華な顔ぶれ】
ところで、ミニアンプキットをベースにポータブルヘッドフォンアンプを組み立てた事のある者としては、やはり本製品に使用されている部品に興味が
湧いてしまう。
そこで、本製品に使用されている個々の部品の素性を調べてみたところ、このTitanium HDは相当気合の入った製品であることが判った。

まず、使用されているアルミ電解コンデンサについては、横浜市に本社を構えるELNA社製のものが数多く採用されている。
このELNA社(エルナー社)は大変品質の良いコンデンサを供給している会社で、オーディオ機器メーカー各社のハイエンドグレードアンプには、こぞ
ってELNA社のコンデンサが採用されている。
また、2010年に大変な話題となった小惑星探査機「はやぶさ」にも同社のコンデンサが採用されていたほどだ。

次に、音の品質を大きく左右するパーツの一つでもあるD/Aコンバータについては、Texas Instruments社の「PCM1794A」が積まれている。
このDACについては、ハイエンドオーディオアンプを自作したり改造したりするほどディープなオーディオマニア達が、まるで申し合わせたかのように
指名買いしていくチップなのだ。
しかもこのチップ、個人が単品で購入しようとすると、単価で2,000円近くもしてしまうもののようだ(驚!)
(勿論、メーカーが購入する場合は大量のロット仕入れでかなり安くなっていると思うが、、、、。)
試しに「PCM1794」というキーワードでググってみてほしい。
かなりマニアックなサイトが多数ヒットし、彼らにも好評なDACであることが理解できるはずだ。

また、メーカー側もウリの一つにしている交換可能なオペアンプについても、ポータブルアンプの世界では結構メジャーなものとなっているのだが、そ
れを本製品でも採用してくれたのは、ユーザーにとっても楽しみを広げることができる良いポイントだと思う。
ちなみにメーカー出荷時には、新日本無線や米国のNational Semiconductor社、スイスのSTMicroelectronics社製のオペアンプがそれぞれの出力
用に使われているようだ。
このオペアンプに関しては、マルツパーツや秋月電子などから一つ数百円くらいから手に入れることが出来るので、興味のある方は色々と試してみ
るのも良いかもしれない。

ということで、本製品に使われている部品だけを見ても、このTitanium HDに対するCREATIVEの意気込みが伝わってくる。
本機と同じようなパーツ構成のヘッドホンアンプが概ね3万円〜5万円以上はしていることを考えると、Titanium HDが2万円以下というのはバーゲン
プライスといっても良いかもしれない。


↑カバーを外した状態



↑二組4個のオペアンプは交換が可能。



↑D/Aコンバータは、ハイエンドオーディオマニア達にも認められているTexas Instruments社製の「PCM1794A」が積まれている。




【オンボードサウンドとは一線を画すレベルの音質】
今回、ドライバのインストールは付属のセットアップCDを使わずに、2011年の2月10日にリリースされたばかりの ドライバVer 3.00.1004をダウン
ロードして入れた。

このサウンドボードはドライバの「Creative オーデイオ コントロールパネル」によって様々な設定を行うことができ、オーディオモードやゲームモ
ード、エンターテイメントモード(映画鑑賞時など)といった3種類のモードを選択することができる。

まずはピュアオーディオとしての音質を試してみることにした。

とりあえずは付属CDのアプリケーション類はインストールせずに、ドライバのみをインストールさせた状態でPCを再起動させ、サウンドをカスタマイ
ズさせるためのエフェクト類やイコライザなどは全て無効に設定し、純粋にサウンドカードから吐き出されるストレートな音質を確かめてみることに
した。

まずはリアパネルのヘッドフォン端子にお気に入りのEW9を繋げて「Something for You : Eliane Elias Sings & Plays Bill Evans」を聴いてみた。
一曲目の「You and the Night and the Music」が始まり、ドラムとピアノとコントラバスによる演奏が僕の耳に届いた直後、僕の全身に無数の鳥肌
が立った(驚!)

一般的にPCのパーツを交換する場合、そのパーツは多くのテストやレビューなどによって効果が数値化されている場合が多い。
そしてユーザー側はそれらの情報を得ることで、パーツを組んだ後のPCに起きる変化は事前にある程度予測することができる。
しかし、音の変化や効果についてはなかなか数値で表すことは難しく、それを頭の中で想像することは難しい。
で、僕の場合はオンボードの音質に対し、若干、音の厚みが増す程度だと思っていた。

ところがTitanium HDから出てくる音は、オンボードサウンドとは全く次元の異なるものであった。
様々なレビューにも「ハッキリと違いが判る」とか「もう、オンボードには戻れない」といった絶賛の意見が多いことは知っていたのだが、その思い
の半分はプラシーボ的なものではないかと、半信半疑であった部分も多かったのだ(苦笑)
それにしてもここ数年間で、これだけ衝撃的に驚かされたという記憶が無く、正しく激変していた。

まず、音の分解能に優れており、個々の楽器の出音に余裕がある。
そして音全体に豊かな厚みが感じられるのだが、それが単純に低域を強調させただけのものではなく、しっかりとした剛性感と解像感、そして臨
場感が表現されており、その豊かな低域に見合うだけのしっかりとした中域と高域が存在している。
あまり使いたくない表現に「空気感」という言葉があるが、正に演奏しているスタジオの空気感までも再現しているかのように感じられる。

エレキギター(ベース)やシンセサイザーといった楽器を駆使するロック&ポップス系の音源でもハッキリとした効果を感じられるが、アコースティッ
ク系の楽器を使うジャズやクラシック・オーケストラなどでは更に大きな変化を感じ取ることが出来る。
本製品のキャッチコピー(?)である、「オーディオを愛する人に捧げる最高クラスの高音質オーディオカード 」は嘘ではないと感じた。

但し、フロントパネル側のヘッドフォン端子に接続させた場合、基本的な音質そのものはそれ程変わらないものの、演奏が静まった瞬間などに小
さなノイズが耳に入るのが少々気になった。
このあたりはそれぞれのPC環境にも大きく左右される部分だと思うが、僕の環境下の場合は演奏が始まってしまえばそれ程気にならなくなるレ
ベルではあった。

RCA出力の音質に関しては、その後に接続するアンプやスピーカー、更に言えば室内の環境にも大きく左右される部分である。
僕の場合は上にも書いたロジクールのZ4に繋げてあるのだが、やはりヘッドフォン試聴時と同様な音質の変化を感じる。
この場合はPC用アクティブスピーカーなどではなく、もっと上質なアンプとスピーカーに繋げたくもなるが、しかし、RCAから出力させた場合は、その
後のメインアンプの影響を大きく受けることになるので、本製品の素晴らしさを堪能しにくくなるかもしれない。
さすがにメインPCを僕のオーディオルームに持ち込むことは出来ないが、チャンスがあれば是非とも試してみたいとは思う。
ただ、元もとの回路設計がヘッドフォンアンプっぽい作りなので、やはりこのカードにはヘッドフォンを直挿しして音を堪能するといった使い方がベス
トのような気がする。
更に我がままを言わせて貰うとするならば、このカードのアナログ部分だけを採用したポータブルヘッドホンアンプを発売してほしいとも思う。

尚、RCA出力に関しては、フロントパネルオーディオやリアパネル(カード的にはフロントパネル)のヘッドホン端子にヘッドホンや延長ケーブルなど
のミニプラグが挿し込まれる事で出力がミュートされてしまうので注意が必要。
この点に関してはドライバ上でもキャンセルさせることはできず、物理的にミニプラグがパネル端子に差し込まれた時点でもれなくRCA出力をカットし
てしまう仕様のようだ。(メーカーサポートにて確認済)

さて、ピュアオーディオの再生に関しては十分に満足のいくカードであることは理解できた。
しかし、ゲーム用のサウンドカードとしての性能はどうなのだろうか?
ということで、今度はゲームモードに切り替えて、「コール・オブ・デューティー・ブラック・オプス」をプレイしてみることにした。
今回は「X-Fi CMSS-3D」や「X-Fi Crystalizer」といったエフェクトを有効にしている。

いきなり結論から言わせてもらうと、明らかにピュアオーディオ以上の効果が感じられた。
まず、音場の範囲が大幅に広くなり、今までは聞こえていなかった効果音があちらこちらから鳴り響いてくる。
そして銃の発射音が良い意味で以前とは全く異質の音質になっていた。
自分の周囲を走り回っている敵の足音も、周囲の壁に反響するエコー感の変化からリアルに距離感を感じ取ることができる。
つまり、耳に入ってくる音の質やレンジ、臨場感といった全ての情報量が以前よりも増し、結果的にゲームがより一層リアルな世界になっている。
このTitanium HDを通した音を体験して、改めてこのゲームのリアルな音の世界に対する作り手の拘りを再認識することができたほどだ。

そして最後はエンターテイメントモードによる映画鑑賞だ。
このモードにおいてはバーチャルサラウンドが本領を発揮するところだが、一口にバーチャルサラウンドとは言っても、実に多種多様な設定項目
があるので、人それぞれの環境によって大きく効果が変わるところだろう。
トランスフォーマーリベンジを色々な設定にて視聴してみたが、その度に効果が激変するので、一概にどれがベストとは言い切れないが、明らか
にオンボードによる音出しよりは臨場感溢れる映画鑑賞が可能になると思う。
ただ、あまりサラウンド効果を強調しすぎると、体調によっては疲れてしまう場合もあるかもしれない(苦笑)



↑オーディオ、ゲーム、エンターテイメントの3種類のモードがあり、それぞれに専用の設定項目がある。


【最後に・・・】
音質アップとしての効果をあまり期待することも無く、軽い気持ちで組み付けたSound Blaster X-Fi Titanium HDであったが、良い意味で大きく期
待を裏切られる結果となった。

一度サウンドカードを使い始めると、次からは欠かすことの出来ないPCパーツになるという噂は聞いていたものの、まさかここまでとは思ってもい
なかった。
パソコンで音楽を聴くことが今まで以上に楽しくなり、過去に聴いていたアルバムを片っ端からもう一度聴き直してみたくなる。
ピュアオーディオ派の方は勿論、ゲーム用途や映画鑑賞用途にも十分満足することが出来るサウンドカードだと思う。
(記:2011年3月2日)









↑画像の左側2箇所のRCAプラグが光デジタルの入出力端子も兼ねている。
 (左端が出力で、右側が入力)


↑CPUクーラーとグラフィックボードに挟まれているが、リアパネル側からの出力に関してはノイズ等の問題は無かった。
 また、ちょうどこの高さのサイドパネルには吸入ファンが付いており、常にフレッシュエアが当たっているためかカバー
 を触ってみた限りでは発熱もそれほど感じられなかった。


【↓2011年4月14日追加情報↓】
このTitanium HDのヘッドホンアンプ部の音があまりにも良いので、これまで使っていたヘッドホン達では本領を発揮出来ていないと感じたため
新たにヘッドホンを入手した。
その新しいヘッドホンとは、オーディオテクニカのATH-W1000Xというモデルで、ハウジングにブラックチェリー・ウッドを採用したもの。
詳しいレビューについてはそちらのページを見ていただくとして、簡単に感想を述べさせてもらうとすると、正に完璧な出音。
Titanium HDとW1000Xが互いに優れたところを引き出し合っている印象で、僕にとっては恐ろしいほど完璧な音を吐き出してくれた。
詳細は→こちら


↑Titanium HDと相性バツグンのオーディオテクニカ ATH-W1000X(実売価格:4万円〜6万円程度)


【↓2011年4月30日追加情報↓】
オーディオテクニカのATH-W1000Xの音があまりにも良かったので、現行ラインナップの最上位モデルとなる、ATH-W5000も入手してみた。
これに関しては、残念ながらTitanium HDをはじめとする僕の手元の環境ではあまり良い結果を出せていない。
グラフィックイコラーザーの1〜3kHz付近だけのレバー持ち上げたような不自然な周波数帯域がちょっと気になる。
実際に後から調べてみると、後発品であるATH-W1000Xは、W5000に対するユーザーの意見を反映させて音作りをしたモデルのようだ。

詳細は→こちら


↑期待した割には少々残念な結果であったオーディオテクニカ ATH-W5000(実売価格:7万円〜8万円程度)


【↓2011年5月3日追加情報↓】
更に上質の音を求め、ゼンハイザーのHD800というヘッドホンを入手した。
詳しい内容はそちらのレビューを見ていただくとして、Titanium HDとのマッチングについて簡単に書かせて頂く。
2011年4月14日の追記にてW1000Xとの組み合わせを「完璧」と表現したが、HD800との組み合わせに関しては、もはや「奇跡」。

それにしても、たった1枚のサウンドカードを購入したことを機に、これ程散財する事になろうとは、、、。

詳細は→こちら


↑もはや奇跡の領域に導かせてくれるヘッドホン、ゼンハイザーHD800。(実売価格:16万円前後)


【↓2011年6月5日追加情報↓】
外付け用のUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプにも興味が沸いてしまい、試しにラックスマンのDA-200を購入してみた。
詳しいレビューは→こちら



↑ラックスマンDA-200とHD800。
 

【↓2011年6月11日追加情報↓】 <デジタル出力時の注意点について>
先日購入したDA-200とTitanium HDを試しに光接続させてみるべく、何の疑いも無く光ケーブルを使って繋げてみた。
すると、SPDIF出力のサウンドデバイスの設定項目には96kHzまでしか選択項目が表示されず、192kHzが表示されない。
これはおかしい思い、よく調べてみると、Titanium HDのデジタル出力は仕様上96kHzが上限であることが判った。

そこでマザーボード(ギガバイトGA-P55-UD3)に装備されているデジタル音声出力(光・同軸)の仕様を確認すると、こちらはしっかりと192kHzまで
対応していることが判ったので、マザーボード側の光出力端子に接続し、サウンドデバイスもマザーボード側(Realtec HD Audio)を選択すると、サ
ンプリングレートにはしっかりと24bit-192kHzまでが選択できるようになっていた。

ということで、このTitanium HDを使用してデジタル出力を考えている方は、出力上限が24bit-96kHzまでであるということを理解しておく必要がある。





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